筑波峯(TUKUBANE)

奈良学友会(奈良大学文学部文化財歴史学科同窓会)関東支部報

白石太一郎先生の講演会

2012-03-21 11:38:56 | 日記
3月17日、さいたま市民会館うらわにおいて、奈良歴史地理の会主催による白石太一郎先生の講演会が行われました。
今回は「二つの山野辺上陵ー崇神陵と景行陵」というテーマで、旧山野辺道にある2つの大型古墳の埋葬者を推定するものでした。



先生は、奈良盆地に点在する大型古墳の考古学的年代と、古事記や日本書紀、延喜諸陵式の文献とを合わせて考察し、
行燈山古墳を崇神陵、渋谷向山古墳を景行陵とされました。

古代の天皇陵を推定することは、今日でも大変難しい問題です。
その大きな理由に中世以来天皇陵が十分管理されてこなかったことがあります。
また、延喜諸陵式が制定されたときでも、初期の天皇陵については天皇の存在自身が歴史的に証明されていません。
また、存在がわかっていても、600年あまり放置されている場合、古代の地名、道路、環境が失われている場合があり、
文献と照合する困難さがあります。
天皇陵そのものが農地や宅地に転用され完全な形で残ることも少なかったこともあります。
今日、天皇陵に指定されている陵は、江戸時代本居宣長など国学者が文献をもとに推定したもの元になっています。
そのため、陵が造営された年台と天皇の即位の年代がずれていることや古代の地名と合わないところに存在するなど
まだ完全な結論が出ていない状態だといえます。
このような状況にある天皇陵の推定には、白石天声が提示されたように。古代の道路跡や地名、考古学的資料、文献学的見地
を総合的に勘案し推定することが必要だと感じました。

講演会の後、奈良学友会主催により、懇談会が行われました。



今回の懇談会は卒論の作成に伴う話題を話し合う場として行いました。
発表者には、中田さん、都宮さん、小原さん、長谷川さんの4人の方々の報告がありました。



4人の方々の報告から共通点として、
卒論を作成するに当たり、自分の興味関心だけでなく、テーマを絞っていく必要性、
資料を収集するうえでも身近にある素材を大切にする、
さらに、卒論は、自分の研究にとり出発点であり、終着点ではない。
ということがわかりました。
今後の懇談会の運営については、奈良学友会関東支部の会員だけではなく、在校生にとっても有益であるように
皆様のご意見をいただきながら改善、向上に努めていきます。

奈良学友会 関東支部の行事について
6月17日、「下野見学会」を6月17日に実施いたします。
見学場所 下野薬師寺跡歴史館、しもつけ風土記の丘資料館、埋蔵文化財センター等の見学を行います。
詳しい内容については、後日文章等でお知らせいたします。

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