筑波峯(TUKUBANE)

奈良学友会(奈良大学文学部文化財歴史学科同窓会)関東支部報

水野 正好先生の講演会

2012-02-23 21:26:01 | 日記
 2月18日、さいたま市民会館うらわ において、前奈良大学学長 水野 正好先生の講演会がありました。
今回は「継体天皇陵と今城塚古墳」というテーマで、発掘事例をもとに継体天皇陵を考察したものです。



現在、宮内庁では「継体天皇陵」を太田茶臼山古墳と推定しています。
しかし、水野先生は、古くからの地元の言い伝えから、また古代の道から考え、近接する今城塚古墳が
「継体天皇陵」だと推定しました。
具体的に、今城塚古墳は発掘調査によると2重の堀を持つ大きな古墳である。それに比べ、太田茶臼山古墳は
一重の堀しかありません。造営年代を考えても、今城塚古墳のほうが後世に作られたことを示します。
また、今城塚古墳の堀には権力を示す巨大な円筒埴輪が隙間なく置かれています。さらに、食事を盛る埴輪と
酒を盛る埴輪が規則的に置かれています。このように今城塚古墳を見てみると、大王クラスすなわち「継体天皇陵」
としか考えられないのです。
 では、太田茶臼山古墳はだれの墓かというと年代的にみて、継体天皇の祖である「稚野毛二派王」と推定されたのです。
 さらに、継体天皇は、出身が現在の福井県の豪族出身で天皇家とはかかわりが薄いとされてきました。
しかし、水野先生は系統的に応神天皇の御子「稚野毛二派王」の系統であり、仁賢天皇の皇女である「手白香皇女」と
結ばれることで天皇としての正当性を示している。
 また、継体天皇の財力のもとは、変遷した都のすべてが淀川水系による港をもっていることから、琵琶湖の物流を中心に
経済活動を行っていたとされました。
 今回の水野先生の講演会は、いつも以上に活動的で、内容的にも「継体天皇」を軸に考古学的な発掘や調査をもとに、
継体天皇の天皇家との関わり、経済的なバックボーン、さらには、尾張氏など地方の大豪族との結びつきなど、
興味深い講演会でした。
 講演会終了後は、水野先生、奈良大学歴史地理の会顧問、青木先生を迎え親睦会を行いました。
今回の懇談会は、我々の質問に対し水野先生に答えてもらう形式で行いました。
 質問の内容に対し、水野先生は講演会とは違った角度で、質問者の意図する答え以上にお話しくださいました。





約1時間程の短い懇談会でしたがとても楽しい親睦会でした。

次回は、3月17日(土)
白石 太一郎先生(大阪府立近つ飛鳥博物館館長・もと奈良大学教授」による
「二つの山辺道上陵ー崇神陵と景行陵」です
是非、ご参加ください。
また、講演会終了後、白石先生と懇談会を行う予定です。詳しくは後日ご連絡いたします。

今後の予定
24年5月19日(土)
和田 萃 京都教育大学名誉教授
「奈良時代の天皇陵を考える」
です。

奈良学友会 関東支部からの連絡

24年4月8日(日)、奈良大同窓生と共催で「鎌倉見学会 4」を行います。(雨天決行)
集合場所は、JR鎌倉駅 西口(江ノ電側)
集合時間  午前10時
参加費   2000円(拝観料、保険代など)
持ち物   お弁当、飲み物、FMラジオ
主な見学場所 和田塚、高徳院(鎌倉大仏)、長谷寺、極楽寺t特に