2005年からダラダラ続けてきた、小沢健二8㎝シングルクロニクル全18枚の最終回。まさか7年もかかるとは思わなかった。最後なので18枚並べて記念撮影。3分の2はレンタル落ちだな。
もう一ヶ月以上たったけど、4月4日“東京の街が奏でる”第7夜の話。
小沢健二のコンサートははじめて。全盛期は自分が忙しすぎてライブどころではなかったし、ひふみよはチケット争奪戦に敗れた。今回も厳しいかと思って応募したら、当たったよ第7夜。
結局一度も見ることが叶わなかったフリッパーズ解散から、「天気読み」(1993)発売までの空白期間、一度だけ小沢を見た。神戸で行われたDJイベント。「バースデイボーイ」(1992)はもうリリースされていたっけ?もう記憶があやふや。当時住んでいた広島から小沢見たさに神戸まで行ったのだ。本当にレコードかけただけだった。それでもいいやと思えるくらい、当時の私にとってフリッパーズ不在の穴は巨大だった。
あれから20年。はじめて歌う小沢を生で見た。
初台オペラシティ。どう見ても同世代が集まってきてる。たまにちょっと若い人もいるが、やや居心地悪そう?男女比では、圧倒的に女性優位。グッズ売り場の熱気も半端ない。
オペラシティは基本的にはクラシック音楽のためのホールで、めったにポピュラー系のコンサートが開かれることはない。小沢が12夜も押さえられたのは特別待遇?征爾の御威光?
場所も考えてか、先にアレンジ構想があったのかは知らないが、バンドはドラムレスの編成でほぼアンプラグド。小沢(ギター)、中村キタロー(ベース)、真城めぐみ(コーラス)に加え、4ストリングス(すべて女性)。
たくさんのメトロノームがバラバラなリズムを刻む。黒子がメトロノームをひとつずつ止めていき、暗闇の中響いたオープニングは「いちょう並木のセレナーデ (reprise) 」。アルバム『LIFE』で実際に使用されたオルゴールを持ってきて演奏したとのこと。オルゴールのハンドルを回していたのは原田郁子。原田さんがオープニングモノローグを語り終え、いよいよ小沢の登場!
一曲目はこのライブのテーマ曲「東京の街が奏でる」。力強かった。思ったよりガシガシ弾くギター。声も骨太で、迫力があった。フリッパーズでの「線の細いコーラス担当の人」の面影はない(いつの話だ)。
ライブは1994年のアルバム『LIFE』全曲とその頃のシングルを中心に。曲名だけ眺めると懐古的に過ぎるのでは?と思うし、それは否定できない面はあるけど、これはもう全面的にどっぷりと楽しかった。ドラムレス&弦楽四重奏入りのサウンドは、最近の私の音楽志向にもフィットしていて、新鮮かつすんなり入ってきたな。
セットリスト
00.いちょう並木のセレナーデ (reprise)
オープニングモノローグ:原田郁子(クラムボン)
01.東京の街が奏でる(新曲)
02.さよならなんて云えないよ
03.ドアをノックするのは誰だ?
04.いちょう並木のセレナーデ
05.今夜はブギー・バック/あの大きな心
モノローグ
06.あらし
07.いちごが染まる
08.それはちょっと
モノローグ
09.天使たちのシーン
10.おやすみなさい、仔猫ちゃん!
11.夜と日時計
モノローグ
12.東京恋愛専科・または恋は言ってみりゃボディー・ブロー
13.僕らが旅に出る理由
14.強い気持ち・強い愛
15.春にして君を想う
モノローグ
16.暗闇から手を伸ばせ
17.愛し愛されて生きるのさ
18.ラブリー
19.ある光
20.神秘的(新曲)
ENC
21.僕らが旅に出る理由(with 原田郁子)
22.東京の街が奏でる(新曲)
12回公演のうち「夜と日時計」が演奏されたのはこの日を含めて3日だけ。あとの日は代わりに「Back To Back」をやったらしい。選べるのならどう考えても「夜と日時計」なので、勝った気がする。
ブギーバックはメロディパートを会場に歌わせ、小沢はラップ!「オレ、スチャアニ」って!
ちょいちょい入るモノローグ、またはよく練られた小話。輪廻オチの話、かなり笑った。
この日の15曲目に、現時点での最新シングルが!(あれ、最新は配信の「ショッカショ節」になるのか?)
小沢健二の18thシングル。
①春にして君を想う
作詞・作曲:小沢健二、編曲:渋谷毅
淡々と刻まれるドラムに、漂うように管楽器が歌うイントロ。名画のエンディングあるいは明るめの葬送曲といった趣き。前作「ある光」でひとつの到達をみた小沢ソロワークスの幕引きに相応しすぎる作品。私の中では、立花ハジメ「THERE'S NO DISAPPOINTMENT IN JESUS」と共通する「透明な哀しみ」を感じさせる名曲だ。タイトルは1991年のアイスランド映画の邦題から引用。最近はじめて見たけど、「老い」をテーマにした名作だった。小沢の詞が、この映画を意識しているのは間違いない。
アレンジに小沢の名前が入っていないのは極めてレア。「渋谷毅オーケストラ」としてクレジットされているのは、フルート、サックス×3、トロンボーンに加え、ベースはおなじみ川端民生、ドラムに(昨年亡くなられた)古澤良治郎、ピアノはもちろん渋谷毅、そしてギターは石渡明廣。小沢は弾いてないようだな。
ライブの中盤、まさか聴けるとは思っていなかったこの曲が演奏された。CDではアレンジの中核と言っていいドラムとホーン抜きで、代わりにストリングスが活躍。生歌も素晴らしかった。
②カラオケ
③ある光(シークレットトラック)
ここにこれを収録したってことは、ここでひと区切りと決めていたとしか考えられない。
ライブ終盤に、この曲もやってくれた。もう思い残すことはない、と会場で思った。
定価714円、レンタル落ち100円。
ジャケのアーティスト名表記は「K=nj(I)*03aWA」。写真のクレジットは「HRMX 101(PhotoDroid)」。ん~メカヒロミックスみたいなこと?「dedication・my parents&STO」の記載あり。STOって…ああ、渋谷毅オーケストラのことね。
アンコールでは、原田郁子を呼び込んでこの日2回目の「僕らが旅に出る理由」。原田さんが遠慮してあんまり歌ってくれなかったのが残念。
三時間半、もうお腹いっぱいのライブだった。この二日後の聖金曜日、同じ会場でBCJのマタイ受難曲を聴いた。こちらも休憩込みで3時間半!
昨年末のムーンライダーズ無期限活動休止前ライブにつづき、自分の中のポップミュージックのサイクルが一周した感あり。8㎝は買ってるけど、最近聴いてるのはほとんどいわゆるクラシックだしなあ。ポップス好きとしての現役感なさすぎ。
今最も興味のあるジャンルはルネサンス音楽(実践も)。バッハからさらに200年くらい遡ってしまった。でも、すべては繋がっているんだ。
もう一ヶ月以上たったけど、4月4日“東京の街が奏でる”第7夜の話。
小沢健二のコンサートははじめて。全盛期は自分が忙しすぎてライブどころではなかったし、ひふみよはチケット争奪戦に敗れた。今回も厳しいかと思って応募したら、当たったよ第7夜。
結局一度も見ることが叶わなかったフリッパーズ解散から、「天気読み」(1993)発売までの空白期間、一度だけ小沢を見た。神戸で行われたDJイベント。「バースデイボーイ」(1992)はもうリリースされていたっけ?もう記憶があやふや。当時住んでいた広島から小沢見たさに神戸まで行ったのだ。本当にレコードかけただけだった。それでもいいやと思えるくらい、当時の私にとってフリッパーズ不在の穴は巨大だった。
あれから20年。はじめて歌う小沢を生で見た。
初台オペラシティ。どう見ても同世代が集まってきてる。たまにちょっと若い人もいるが、やや居心地悪そう?男女比では、圧倒的に女性優位。グッズ売り場の熱気も半端ない。
オペラシティは基本的にはクラシック音楽のためのホールで、めったにポピュラー系のコンサートが開かれることはない。小沢が12夜も押さえられたのは特別待遇?征爾の御威光?
場所も考えてか、先にアレンジ構想があったのかは知らないが、バンドはドラムレスの編成でほぼアンプラグド。小沢(ギター)、中村キタロー(ベース)、真城めぐみ(コーラス)に加え、4ストリングス(すべて女性)。
たくさんのメトロノームがバラバラなリズムを刻む。黒子がメトロノームをひとつずつ止めていき、暗闇の中響いたオープニングは「いちょう並木のセレナーデ (reprise) 」。アルバム『LIFE』で実際に使用されたオルゴールを持ってきて演奏したとのこと。オルゴールのハンドルを回していたのは原田郁子。原田さんがオープニングモノローグを語り終え、いよいよ小沢の登場!
一曲目はこのライブのテーマ曲「東京の街が奏でる」。力強かった。思ったよりガシガシ弾くギター。声も骨太で、迫力があった。フリッパーズでの「線の細いコーラス担当の人」の面影はない(いつの話だ)。
ライブは1994年のアルバム『LIFE』全曲とその頃のシングルを中心に。曲名だけ眺めると懐古的に過ぎるのでは?と思うし、それは否定できない面はあるけど、これはもう全面的にどっぷりと楽しかった。ドラムレス&弦楽四重奏入りのサウンドは、最近の私の音楽志向にもフィットしていて、新鮮かつすんなり入ってきたな。
セットリスト
00.いちょう並木のセレナーデ (reprise)
オープニングモノローグ:原田郁子(クラムボン)
01.東京の街が奏でる(新曲)
02.さよならなんて云えないよ
03.ドアをノックするのは誰だ?
04.いちょう並木のセレナーデ
05.今夜はブギー・バック/あの大きな心
モノローグ
06.あらし
07.いちごが染まる
08.それはちょっと
モノローグ
09.天使たちのシーン
10.おやすみなさい、仔猫ちゃん!
11.夜と日時計
モノローグ
12.東京恋愛専科・または恋は言ってみりゃボディー・ブロー
13.僕らが旅に出る理由
14.強い気持ち・強い愛
15.春にして君を想う
モノローグ
16.暗闇から手を伸ばせ
17.愛し愛されて生きるのさ
18.ラブリー
19.ある光
20.神秘的(新曲)
ENC
21.僕らが旅に出る理由(with 原田郁子)
22.東京の街が奏でる(新曲)
12回公演のうち「夜と日時計」が演奏されたのはこの日を含めて3日だけ。あとの日は代わりに「Back To Back」をやったらしい。選べるのならどう考えても「夜と日時計」なので、勝った気がする。
ブギーバックはメロディパートを会場に歌わせ、小沢はラップ!「オレ、スチャアニ」って!
ちょいちょい入るモノローグ、またはよく練られた小話。輪廻オチの話、かなり笑った。
この日の15曲目に、現時点での最新シングルが!(あれ、最新は配信の「ショッカショ節」になるのか?)
小沢健二の18thシングル。
①春にして君を想う
作詞・作曲:小沢健二、編曲:渋谷毅
淡々と刻まれるドラムに、漂うように管楽器が歌うイントロ。名画のエンディングあるいは明るめの葬送曲といった趣き。前作「ある光」でひとつの到達をみた小沢ソロワークスの幕引きに相応しすぎる作品。私の中では、立花ハジメ「THERE'S NO DISAPPOINTMENT IN JESUS」と共通する「透明な哀しみ」を感じさせる名曲だ。タイトルは1991年のアイスランド映画の邦題から引用。最近はじめて見たけど、「老い」をテーマにした名作だった。小沢の詞が、この映画を意識しているのは間違いない。
アレンジに小沢の名前が入っていないのは極めてレア。「渋谷毅オーケストラ」としてクレジットされているのは、フルート、サックス×3、トロンボーンに加え、ベースはおなじみ川端民生、ドラムに(昨年亡くなられた)古澤良治郎、ピアノはもちろん渋谷毅、そしてギターは石渡明廣。小沢は弾いてないようだな。
ライブの中盤、まさか聴けるとは思っていなかったこの曲が演奏された。CDではアレンジの中核と言っていいドラムとホーン抜きで、代わりにストリングスが活躍。生歌も素晴らしかった。
②カラオケ
③ある光(シークレットトラック)
ここにこれを収録したってことは、ここでひと区切りと決めていたとしか考えられない。
ライブ終盤に、この曲もやってくれた。もう思い残すことはない、と会場で思った。
定価714円、レンタル落ち100円。
ジャケのアーティスト名表記は「K=nj(I)*03aWA」。写真のクレジットは「HRMX 101(PhotoDroid)」。ん~メカヒロミックスみたいなこと?「dedication・my parents&STO」の記載あり。STOって…ああ、渋谷毅オーケストラのことね。
アンコールでは、原田郁子を呼び込んでこの日2回目の「僕らが旅に出る理由」。原田さんが遠慮してあんまり歌ってくれなかったのが残念。
三時間半、もうお腹いっぱいのライブだった。この二日後の聖金曜日、同じ会場でBCJのマタイ受難曲を聴いた。こちらも休憩込みで3時間半!
昨年末のムーンライダーズ無期限活動休止前ライブにつづき、自分の中のポップミュージックのサイクルが一周した感あり。8㎝は買ってるけど、最近聴いてるのはほとんどいわゆるクラシックだしなあ。ポップス好きとしての現役感なさすぎ。
今最も興味のあるジャンルはルネサンス音楽(実践も)。バッハからさらに200年くらい遡ってしまった。でも、すべては繋がっているんだ。
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