失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「東京ぬけ道ガール」 岡田徹 presents LIFE GOES ON 1995年

2006-10-31 | 湾岸系
どうしよう。凄いアルバムが!

30周年を迎えたムーンライダーズ。4月には毎週のようにライブに通った。4本のライブはそれぞれ楽しかったけど、今から思えば過去の総決算的な内容で、半年後に届けられたアルバムがこんなことになっているとは予想していなかった。ローズバッド(バラの蕾)と言えばオーソン・ウエルズの「市民ケ―ン」を真っ先に思い出す。重量感はあの名画に負けていないかも。『MOON OVER the ROSEBUD』この十年(いや20年?)の最高傑作、とか言ってしまおうかな。

10年前の『Bizarre Music For You』や20年前の『DON'T TRUST OVER THIRTY』比べるもよし、「バラ」ってことで『マニアマニエラ』を思いうかべるのもアリだろう。「砂」のイメージ、「船乗り」のイメージなどが曲を越えてつながっていく快感は、聴きこんでいくうちにもっと強くなりそう。今のところ鈴木慶一の詞の切れ味が、いつもにも増して凄みを感じさせる、という印象。

一曲目、「Cool Dynamo,Right on」は30周年を最も意識したと思われる、ライダーズを長く聴いてきたヒトならニヤリ、の過去の作品の断片が散りばめられた歌詞。コンセプト的には「続・ダイナマイトとクールガイ」かな。その「ダイナマイトとクールガイ」と同じく慶一+岡田作品。淡々とした演奏に美しいメロディ。言うことなし、のオープニングナンバー。全曲語るのは止めにして、同じコンビの作品をもうひとつ。12曲目「Vintage Wine Spirits,and Roses」これはもう…ライダーズの到達点、と言ってしまいたくなる美しさ。(どうでもいいんだけど、タイトルのSpiritsのあとのカンマはおかしいのでは?Wineのあとにくるのが正しいと思う。何か深い意味があるのかな…)縁起でもないが、この曲を残して6人が砂のように消えてしまっても誰も文句が言えないような。果たしてこの先に歩くことは可能なのか?と心配してしまうほどにロックの極北。このギター、最高に好きな音色だな。「76年来」と慶一さんが歌うだけで鳥肌!「プール」を通じてラスト曲「When This Grateful War is Ended」と表裏になっているのもゾクゾクする。
ボーナストラックは…やっぱ要らないよなあ。


岡田徹。数々の名曲を生み出した、ムーンライダーズきってのメロディメーカー。
以前、すかすかじっぷす名義の8cmを紹介した。今回は「岡田徹 presents LIFE GOES ON」で。

LIFE GOES ON are:
岡田徹
鶴来正基
あきらなおみ
棚谷祐一
丸尾めぐみ
上野洋子
徳武弘文
森一起
吉田孝

①東京ぬけ道ガール
作詞:森雪之丞 作曲:岡田徹・鶴来正基、編曲:LIFE GOES ON、CHORUS ARRANGEMENT:上野洋子
ライダーズの6人の中で最もリードヴォーカル曲が少ない岡田さん。確かお父さんがアナウンサーで、普通に歌うとアナウンサー声になってしまうってことで「週末の恋人」のわざと潰したヴォーカルスタイルが編み出されたらしい。この曲は、その作ったしわがれ声が存分に味わえるポップナンバー。ちなみに、同名タイトルの妻夫木聡&ともさかりえ主演の深夜ドラマは、この曲にインスパイアされたらしい。岡田さんがライブで言ってたけど、全くお金は入ってこなかったそうな。

②THE ROBOTS (GOOD PAPA MIX)
作曲:Hutter/Schneider/Bartos 編曲:LIFE GOES ON
LGO唯一のアルバム『GOOD PAPA, BAD PAPA』には「BAD PAPA MIX」が収められている(アルバム未聴なので違いは分かりません)。ご存知クラフトワークの代表曲のアコーディオンによるカヴァー。と、書くと何かキワモノっぽいものを想像してしまうが、意外なくらいストレートにカッコいい。そういえばあがた森魚もこの曲カヴァーしてた。

③①のカラオケ

定価1000円、中古で483円(レコファン)。
このシングルの2曲とも4月のライブで聴けた。その時は所有していなかったので、記事にできなかったんだな。


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4 コメント

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やーもう (moonlightdrive)
2006-10-31 11:05:41
ほんとに言葉がありません、このアルバムには…
(と言いながら結構喋ってるけど…)。
12が「ロックの極北」というの、しみじみとそう。
ムーンライダーズにとって、というより
ロックミュージックとって
「この先」はあるのか?と思ってしまうぐらい。
毎回そう思うけど、とんでもないバンドです…。

そして4月には所有していなかった8㎝が!
着々と収穫してるのですねー、
その地道な努力、スバラシイ!
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Unknown (nakamura8cm)
2006-10-31 13:25:44
>と言いながら結構喋ってるけど…
確かに(笑)
じゃんじゃん語っちゃってください!
湾岸バカのひとりとして群がりにいきますから(笑)
前作もよかったけど、これはちょっと衝撃の深さが…
20年前を少し思い出してます。

着々と収穫してますよ~
でもそろそろ湾岸ネタは限界です…
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Unknown (石ばし)
2006-11-01 00:32:07
どうしよう。
新作はもう一音目から本気度が違う。
油断してました。正に衝撃。
語りたくなりますよねー。
でもみなさんが僕の思ったことを
ほとんど書いてくれているので助かります(笑)
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そうですね (nakamura8cm)
2006-11-01 09:13:25
多くのリスナーがまさに「油断」してたんじゃないでしょうか。
そういう流れを作ったのはあの4月のライブ、あるいは20周年のときの雰囲気だったかも。
10年伏線を張った計算づくの「衝撃」なのか?
そんなわけない、と思いつつそれでもいいか、とも思う今日この頃。
ちょっと他のが聴けない状態です…
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