失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「ピアノ・レッスン」 マイケル・ナイマン 1995年

2006-04-28 | 
映画音楽オムニバス8cm。

マイケル・ナイマンは、イーノのObscure Recordsから「Decay Music」(1976)でデビュー。ロバート・フリップやデヴィッド・カニンガムとも交流がある、ミニマル・ミュージックの巨匠。
80年代、英国の変態映画監督、ピーター・グリーナウェイとの仕事で評価が高かったが、1992年のジェーン・カンピオン監督『ピアノ・レッスン』の音楽を担当し、一躍メジャー作家になった。

①ピアノ・レッスン THE SACRIFICE NISSANシルビアCFソング
『ピアノ・レッスン』(1992)より
もちろん、ピアノ曲。車のCMに似合いそうなひんやりとしたゴージャス感あり。

②ホイールバロウ・ウォーク WHEELBARROW WALK 日産スカイラインCM曲
ピーター・グリーナウェイ監督『数に溺れて』(Drowning by Numbers)(1988)より
のサントラから。
弦楽器の性急なフレーズが繰り返される、ミニマル・ミュージック。ミニマルの名作「Different Trains」 (1988)(クロノス・カルテットによるスティーヴ・ライヒ作品演奏)を思わせる、張り詰めた緊張感が素晴らしい。これも日産車のCMに使われた。
映画は…数字がたくさん出てきたな、確か。

③赤い帽子の女 LADY IN THE RED HAT 『料理の鉄人』の挿入曲
これもピーター・グリーナウェイ監督『Zoo』(Zoo:A Zed and Two Noughts)(1985)より。
「料理の鉄人」(1993-99)で鹿賀丈史が「鉄人か、挑戦者か!」と叫んだあと、判定を告げるまでの緊迫の瞬間にかかっていた曲。(ちなみに番組テーマ曲は「バックドラフト」サントラを使用していた)なぜこれが収録されているかというと、「鉄人」が日産提供だったから?
映画「ZOO」はグリーナウェイの偏執狂的嗜好がこれでもか、と詰め込まれた、息苦しいまでに密度の濃い映像だった。ストーリーについてはおぼろげな記憶しかないが、いくつかの強烈なシーンがトラウマのように思い出される。もう一度見たいような見たくないような…

定価930円、中古で400円。
日産車の上に浮かび上がるポートレイトは作曲家本人。禿げ頭に丸メガネ、いかにもインテリ英国紳士然としたルックスは、音楽に似合いすぎ。イーノも意外だったが、もろ現代音楽アーティストの作品集がこうして短冊化されていることに感激する。どれくらい需要があったのか分からんが。
ナイマン作品では、他にもトヨタ・クラウンのCM曲「あの人のワルツ」がシングルカットされているらしい。





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