失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「DESIRE ―情熱―」 中森明菜 1986年

2015-01-27 | アイドル系
「天城越え」は、レコード大賞にノミネートされたが、大賞は逃した。他のノミネート作品をみると、小林旭「熱き心に」、渡辺美里「My Revolution」、テレサ・テン「時の流れに身をまかせ」など強豪揃い。並み居る猛者を抑えての大賞は…


答えは、中森明菜の14thシングル。1988年に8㎝CDとして再発。

①DESIRE ―情熱―
作詞:阿木燿子、作曲:鈴木キサブロー、編曲:椎名和夫
前年(1985年)の「ミ・アモーレ」に続く2年連続レコード大賞受賞曲。レコ大が今とは比べものにならないくらい歌謡界で重みをもっていた時代。2年連続獲得で「明菜の時代」を強烈に印象づけた。楽曲的にもパフォーマー中森明菜の魅力のひとつである攻撃的退廃ムードを最大限に引き出した傑作。王道歌謡ロックなイントロから「♪ゲラッ ゲラッ ゲラッ バーニラ~~~~」挨拶がわりのロングトーンビブラートが開始15秒で登場。もうボブウィッグとキモノをアレンジした堕落系衣装のビジュアル抜きには思い出せない。「やり切れない程 退屈な時があるわ あなたと居ても」なんて醒めた目でズバッと詰めてくるキャラは、明菜が「少女A」以来育ててきた分身の完成型。「愛の見えない時代の恋人達」を客観的に描写しているようで、「恋も dance ほど 夢中になれないなんてね 淋しい」と叫ぶ明菜に、当時一片の真実の迫力を感じていたような気がする。「難破船」をシンクロ芸のピークとすれば、“演じるシンガー”明菜の最も成功した仕事はこの作品だろう。

②LA BOHÈME
作詞:湯川れい子、作曲:都志見隆、編曲:椎名和夫
当初はこちらがA面候補だったらしい。椎名和夫のアレンジ設計は①とほぼ同じ。曲想もかなりかぶっている。比べれは①の完成度と切迫感に軍配が上がると思うのは、すでに明菜の選択を知っているからなのか。

定価1000円、中古で210円。
ジャケは普通に着物を着て、髪も違和感なくまとめている。ここからイメージを膨らませて、あのビザールなビジュアルにたどり着いたプロデューサー明菜の力量に改めて感心。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿