散歩と俳句とスワローズ

2016年に大野鵠士宗匠と出会い
芭蕉・支考由来の「美濃派獅子門」に入会
日々俳句生活を楽しんでいます

口癖は業が沸くあの夏の雲 <2021年7月21日提出句>

2021年07月23日 | 俳句
■2021.06.21~2021.07.20作品
【獅子吼十月号掲載予定】
七句のうちで五句または四句、出来が悪ければ三句の掲載となります。

老鶯にもつと良き名を授けばや
  季語 老鶯(三夏)
  老鶯は夏の鶯。鶯だけなら春の季語。
  この辺りは自然豊かで、毎朝の散歩で必ず良い鳴き声が聞こえてくる。
  春よりももっといい声で鳴いてくれる。年取った鶯とはとても思えない。

縮む尾に伸びる頭や蚯蚓這ふ
  季語 蚯蚓(みみず)(三夏)
  散歩ルートの野球場を歩くと、梅雨時は大きな蚯蚓を見かける事が多い。
  暇なのでじっと観察すると、句に詠んだ通りの動きをしながら前進する。
  大したものだ、ミミズ君。

人踏まぬ樹下のきのきと梅雨茸
  季語 梅雨茸(仲夏)
  梅雨末期。これも散歩ルート。
  じめじめした木の下の裸地に見事なキノコが一杯生えている。
  一本見つけると次々に、いつの間にこんなに沢山の茸が!
  これも大したものだ、キノコ君。

しとど降る雨に緑の青田かな
  季語 青田(晩夏)
  多少の雨が降っても傘をさして散歩する、時もある。
  田植え時から観察してきた田圃は緑を増している。
  ちょっと嬉しい。自分の田圃ではないが・・・。

薄紅の夢ふうはりとねぶの花
  季語 ねぶの花(晩夏)
  散歩ルートの終点に合歓の木が何本かあり、
  普段は気に留めませんが薄紅の花が咲くと気付きます。
  はかない夢のような淡い恋心がほのかに浮かびます。

口癖は業が沸くあの夏の雲
  季語 夏の雲(三夏)
  業が沸く(ごうがわく)は辞書で引くと「(西日本で)腹が立つ」とある。
  亡き父がよく「ごがわいて、ごがわいて!」と使っていたのを思い出す。
  親父は三重県亀山の生まれ。関西では今でも使うのだろうか。

木々の吐く酸素の香り夏の暁
  季語 夏の暁(三夏)
  梅雨が明けて樹木の中を歩くと、酸素をたっぷり含んだ空気が美味い。
  本格的な夏は嬉しくもあり、酷暑が恐ろしくもあるが、朝はいいなぁ。


【一つ葉集】獅子吼九月号に掲載予定。
獅子吼には「一つ葉集」という別コーナーがあり、選者は半年くらいで変わります。
「伊吹、鵜舟、踏青」の3つのクラスの誰もがフラットで投稿が出来るコーナーです。
今回は時事俳句で揃えてみました。ネタ晴らしはしない方が良いのでしょうが・・・。

現代の猿の惑星滾る夏
 季語 夏(三夏)
 依然として過激な支持者の多い元大統領の集会映像を見て、
 映画のあの場面この場面が浮かびます。
 
青林檎実らず叩き落とされぬ
 季語 青林檎(晩夏)
 蘋果日報という新聞が廃刊になりました。
 香港があの活力に満ちた香港ではなくなった・・・。
 
半夏雨人に由来の土石流
 季語 半夏雨(陽暦で7月2日ごろに降る強い雨)( 仲夏)
 災害は人が作る。不法な盛り土をした業者の責任は非常に重い。
 半夏雨熱海伊豆山山津波 という漢字ばかりの句も。

2 コメント

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本当に (きりぎりす)
2021-07-24 17:07:24
世界の気候はどうなってしまったのでしょうか。
大雨、洪水、土砂崩れ。多くの被害が出てしまっている。
梅雨などと言って呑気に、柳の葉が濡れ濡っているのを眺めてなどいられない。
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穏やかな四季とは (健人)
2021-07-24 19:32:22
程遠いような気象が世界中で見られますね。今、沖縄方面を襲っている台風も停滞時間がとても長いし、一昨年だったか、東から西へと列島南岸を走ってゆく台風もありました。梅雨末期の雨は毎年襲う場所を変えて線状降水帯を作り豪雨を降らせます。ドイツの豪雨もひどかったようだし、中国では地下鉄で首まで浸かった人の映像が映っていました。時事俳句は難しいと言われていますが、印象に残る出来事を無視するわけにはいきません。
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