2014年俳句総集編

2014年12月30日 | 俳句

1 冬枯れの枝の隙よりニュータウン

2 冬鴉止まりし枝の撓みかな

3 葉牡丹や睦月終わりのうるんだ眼

4 ぐいぐいと三日月昇り春近し

5 大きめのマスクの中に眠りけり

6 葉牡丹の色移ろひて寒の明け

7 立春の声聞けば鳥ざわめけり

8 春来たる年に一度の花買ふ日

9 みぞれ降る我慢できずに墜ちて来る

10 音高く坂道の雪削りをる

11 春寒し真昼の交差点に立つ

12 この冬の最後の風が頬を打つ

13 嬉しさも悔しさもありソチの春

14 季節にも手順のありて余寒かな

15 菜の花やズボンの折り目緩くなり

16 囀りや結露小粒となりにけり

17 春昼や優しき風に出会いけり

18 真青なる空うらめしき杉花粉

19 風が吹く冬将軍に雛あられ

20 靴脱ぎて足も欠伸の春の暮

21 一日がきちんと暮れて春夕焼

22 冴返る偏西風の蛇行なり

23 しくじりを悔やんでみても春の空

24 ゆるゆると行くや三月仏の座

25 小さき川なれど流れは春の音

26 眠たげなそぶりも見せずお雛様 ◎

27 鶯を真似て口笛吹いてみる

28 春なかば二枚重ねの時刻表

29 単調な仕事に疲れ果てし春

30 水仙や一輪咲けば堰を切る

31 優勝は無理でも二位を願う春

32 ストレスを春のサウナに流しけり

33 深い霧覆い尽くせりこれも春

34 花を見て木を見て妻とすごしけり

35 エイプリルファースト心機一転

36 咲き残る梅五分咲きの桜かな

37 一斉に勿体なくも花の季(とき)

38 蒲公英や知らぬ間に種は異なりて

39 連翹や黄花の上に葉の緑

40 新人を迎え華やぐ四月かな

41 ツクツクと三つ葉躑躅の葉の立ちぬ

42 大樹寺に飯ほうばれば桜舞ふ

43 出陣の武将足軽初燕

44 この季節儂のもんじゃと桜花

45 間違っても蓮華の見えぬ田んぼかな

46 電柱の陰で見送る母の春 ◎

47 道端に積む花屑に触れてみる

48 桜終わる白いドットのアスファルト

49 登校の列は小柄に新学期

50 楽し夜明けて蛙の目借時

51 田も畑もゆるく潤す穀雨かな

52 鳥雲に駅の書店は閉めたまま

53 独り観るテルマエロマエ夏来る

54 風薫る不自由な子を送る父

55 新緑を梳いて形を整えり

56 首回りひんやりとしてクールビズ

57 茎頂にぽつりひらりと罌粟の花

58 気にかけているよのサイン緑さす

59 溝浚へ近所の距離の近づきぬ

60 丈高き蒲公英咲きて咲き続く

61 するすると落ちる心地や蠅取機

62 目薬の甘い滴り梅雨の入り

63 伐りしまま枝山積みに初夏の午後

64 時鳥声聞き分ける嬉しさよ

65 鳥の声あれこれ聞こえ梅雨の入り

66 夕暮れは土砂降りとなる梅雨の入り

67 梅雨空や人の数より多き傘

68 紫陽花や雨を乞ひつつ咲いてをり

69 切り分けてその後冷やす大西瓜

70 親燕低き天井すれすれに

71 姉描きし妹西瓜食みをるを

72 燕の巣今朝はもぬけの殻となる

73 梅雨に咲くアガパンサスの青さかな

74 蒲の穂と半夏生との憩いかな

75 時として好きな仕事も鬱の梅雨

76 新暦で見るは難し天の川

77 二日目の冬瓜汁のとろみかな

78 あぢさゐや人との出会ひ避けたがる

79 花が葉に染まりてみどり額の花

80 高蔵寺駅の蝉より鳴き始む

81 おほばこの花咲く余地もなき街路

82 踏めばよし大葉子の花踏んでよし

83 スカートのみじかき丈を競う夏 ◎

84 入院の一部始終や蝉しぐれ

85 一匹の蜻蛉窓辺にもがきをる

86 列島に夏の空気の入れ替り

87 満天が森のごとくに蝉しぐれ

88 携帯を忘れて過ごす涼しさよ ◎

89 テンポよく白球響く盛夏かな

90 秋立つや西アフリカにエボラ熱

91 今朝もまた始発冷房指定席

92 夏雲の夏雲らしく懐かしく

93 秋立つも蝉鳴く声に変りなし

94 好きな木に停まって鳴いて蝉の夏

95 冷徹に物見る眼あれ敗戦日

96 雨戸打つ野分を余所の昼寝かな

97 立秋や白紙の句帳手にとりぬ

98 バス停に我ひとり待つ盆休み

99 五十肩なすすべ無くて秋の雨

100 兄弟で焚く迎え火や初の盆

101 甲子園果つ夏雲を見ぬままに

102 冷房の水のレールに滴れり

103 白い百合白い朝顔ゴーヤの黄

104 雑草の中に白百合つんと立つ

105 夏終わる愚図な天気も今日限り

106 延長五十回よくぞ投げたり天高し

107 重かろう月曜からの新学期

108 秋出水ザリガニ迷い出でにけり

109 この秋も三人の旅信濃路へ

110 名月や少し仕事は閑となり

111 孫の手を引きつつ探す薄かな

112 さわさわと薄く掃きたる秋の雲

113 パソコンに向ひて過ごす秋日和

114 待ちかねた秋晴れの日となりにけり

115 襲われて眠りに落ちぬ秋の水

116 叱られし夢より覚めぬ秋の夜半

117 吸い込まれさうなる朝の鰯雲

118 我もまた鰯とならむ空の奥

119 三人の話は尽きず虫集く(すだく)

120 カーナビの無きまま走る秋の旅

121 道路地図あれこれ見ては秋うらら

122 鰯雲平山郁夫美術館

123 虫の音のまだまだ鳴いてほしき夜

124 タイなんぞ締めたくもなし神無月

125 御岳の捜索またも野分立ち

126 目の前の六十五歳ちちろ虫

127 三種類ほどの虫の音聞き分けり

128 友と食う食ひ放題のとろろ飯

129 すれ違うバス輝いて秋の風

130 秋の薔薇ゆったり時は流れけり

131 身に入むや風の看板叩く音

132 公園の紅葉の下の読書かな

133 落葉なし落ち葉スキーのゲレンデに

134 濃きお茶に栗きんとんの甘さかな

135 朝鴉朗々と哭き天高し

136 サフランや想い遥かに南欧の

137 山茶花や咲けば初冬の匂いあり

138 山中に棲むかのごとし霧のビル

139 見上ぐればツインタワーは霧の中

140 芒の穂揃ひて靡く分離帯

141 六時半もうとつぷりと秋深し

142 灯火親しむ侯と言ひつつ睡魔来て

143 柿落葉不精三日の髭を剃る

144 帚木の終の一本仄赤く ◎

145 千日紅たしかに長く咲いてをり

146 ゆっくりと冬になれ慌てるなかれ

147 鈴懸の墓場となりて初冬かな

148 二人では鍋を囲むと言ひ難し

149 まっぷたつ冬至南瓜の鎧割

150 寄鍋の残りに足して一人鍋

151 寄鍋の湯気より魔人立ち昇り

152 ペットボトルを持つ手冷たし冬始め

153 灯油売り曲がり角より聞こえけり

154 斜向かいの家の前まで落葉掃く

155 冬浅しトリコロールのエアメール

156 予報にはなくて時雨の降ることも

157 悴む手高倉健は凛と立ち

158 時雨れたと報告ありて京の旅

159 厚着して出かける大腸検査かな

160 鴉飛び飛行船飛ぶ冬日かな

161 丸い窓四角い窓の紅葉かな

162 いい夫婦といへるかどうか冬ぬくし

163 冬ざれや無言電話に息もなし

164 蜘蛛の巣に降りかかりたる小雪かな

165 枯枝に滴の花の咲きにけり

166 ともに住む人のありけり冬温し

167 手袋の片割れのまた落ちており

168 明けにくき朝となりたり冬の雨

169 雪の輪の薯蕷饅頭見つからず

170 年とともに洟をかむのも上手くなり

171 黙々と食べるおでんや時代劇


2 コメント

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Unknown (きりぎりす)
2014-12-30 17:44:45
今年一年間ありがとうございました。毎朝楽しみにネットを開いていました。また来年もどうぞ楽しませてください。貴兄にとって素晴らしい年となりますことを心よりお祈りいたします。
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御礼 (gouza)
2014-12-31 13:11:09
こちらこそ今年一年もまたお世話になりました。

キリギリスさんのコメントあればこそ
”がんばれ!swallows”のブログが続いています。
書き上げた後はいつも、
どんなことを書いてもらえるかなぁと
楽しみにしながら眠りにつきます。

明日から始まる2015年もまたよろしくお願いします。
キリギリスさんのご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
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