ブーゲンビリアのきちきち日記

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フクシマ事故と東京オリンピック「その1」(3回連載)小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)

2018年11月14日 19時05分52秒 | たんぽぽ舎
写真はノギク?県立相原高校の、最後の散策会で、
広い庭に咲いていました。

たんぽぽ舎より転載します。

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┗■1.フクシマ事故と東京オリンピック  「その1」(3回連載)
 |  福島第一原発事故で広島原爆168発分のセシウム137を大気中に放出
 |  日本国政府が国際原子力機関に提出した報告書
 └──── 小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)

1.2011年3月11日、巨大な地震と津波に襲われ、東京電力・福島第一原子力発
電所が全所停電となった。

 全所停電は、原発が破局的事故を引き起こす一番可能性のある原因だと専門家
は一致して考えていた。その予測通り、福島第一原子力発電所の原子炉は熔け落
ちて、大量の放射性物質を周辺環境にばらまいた。


 日本国政府が国際原子力機関に提出した報告書によると、その事故では、1.5×
10の16乗ベクレル、広島原爆168発分のセシウム137を大気中に放出した。広島
原爆1発分の放射能だって猛烈に恐ろしいものだが、なんとその168倍もの放射能
を大気中にばらまいたと日本政府が言っている。

2.その事故で炉心が熔け落ちた原子炉は1号機、2号機、3号機で、合計で7
×10の17乗ベクレル、広島原爆に換算すれば約8000発分のセシウム137が炉心
に存在していた。

 そのうち大気中に放出されたものが168発分であり、海に放出されたものも合わ
せても、現在までに環境に放出されたものは広島原爆約1000発分程度であろう。
 つまり、炉心にあった放射性物質の多くの部分が、いまだに福島第一原子力発
電所の壊れた原子炉建屋などに存在している。

 これ以上、炉心を熔かせば、再度放射性物質が環境に放出されしまうことにな
る。それを防ごうとして、事故から7年以上経った今も、どこかにあるであろう
熔け落ちた炉心に向けてひたすら水を注入してきた。

 そのため、毎日数百トンの放射能汚染水が貯まり続けてきた。東京電力は敷地
内に1000基を超えるタンクを作って汚染水を貯めてきたが、その総量はすでに
100万トンを超えた。敷地には限りがあり、タンクの増設には限度がある。近い将
来、東京電力は放射能汚染水を海に流さざるを得なくなる。


3.もちろん一番大切なのは、熔け落ちてしまった炉心を少しでも安全な状態に
持って行くことだが、7年以上の歳月が流れた今でも、熔け落ちた炉心がどこに、
どんな状態であるかすら分からない。

 なぜなら現場に行かれないからである。事故を起こした発電所が火力発電所で
あれば、簡単である。当初何日間か火災が続くかもしれないが、それが収まれば
現場に行くことができる。事故の様子を調べ、復旧し、再稼働することだって出
来る。

 しかし、事故を起こしたものが原子力発電所の場合、事故現場に人間が行けば、
死んでしまう。国と東京電力は代わりにロボットを行かせようとしてきたが、ロ
ボットは被曝に弱い。

 なぜなら命令が書き込まれているICチップに放射線が当たれば、命令自体が
書き変わってしまうからである。そのため、これまでに送り込まれはロボットは
ほぼすべてが帰還できなかった。

4.2017年1月末に、東京電力は原子炉圧力容器が乗っているコンクリート製の
台座(ペデスタル)内部に、いわゆる胃カメラのような遠隔操作カメラを挿入し
た。圧力容器直下にある鋼鉄製の作業用足場には大きな穴が開き、圧力容器の底
を抜いて熔け落ちて来た炉心がさらに下に落ちていることが分かった。

 しかし、その調査ではもっと重要なことが判明した。人間は8シーベルト被曝
すれば、確実に死ぬ。圧力容器直下での放射線量は1時間当たり20Svであったが、
そこに辿り着く前に530あるいは650シーベルトという放射線が計測された。

 そして、この高線量が測定された場所は、円筒形のぺデスタルの内部ではなく、
ペデスタルの壁と格納容器の壁の間だったのである。

 東京電力や国は、熔け落ちた炉心はペデスタルの内部に饅頭のように堆積して
いるというシナリオを書き、30年から40年後には、熔け落ちた炉心を回収し容器
に封入する、それを事故の収束と呼ぶとしてきた。

 しかし実際には、熔けた核燃料はペデスタルの外部に流れ出、飛び散ってしま
っているのである。やむなく国と東京電力は「ロードマップ」を書き換え、格納
容器の横腹に穴を開けて掴み出すと言い始めた。

 しかし、そんな作業をすれば、労働者の被曝量が膨大になってしまい、出来る
はずがない。 「その2」に続く

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以上、読みやすいように行間を開けて転載しました。


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