7月15,16日と滋賀の彦根近くの男鬼町で毎年行われている、茅葺き体験イベントに行ってきました。
行ってきましたといっても滋賀県立大学の濱崎研究室の皆さんの実習に潜り込ませていただいた形です。
そこでの体験をもとに、茅葺きの魅力、思ったこと、感じたことを書いてみました。
文章力が無いのは許してください。
[そもそも茅葺きとは?]
茅というのはいわゆるススキやチガヤなどの中空で背丈が長い植物の総称です。茅葺き屋根は日本では白川郷の合掌造りの家があまりにも有名ですが、実は全国各地、そしてグローバルに存在するものなのです。畑で作物を育てた後に勝手に生えてくる植物をつかって屋根を葺いてやろうというのは自然な流れであったといえます。茅の代わりにワラやアシや笹の葉で屋根を葺いている地域もあるようです。昔は茅場といって、茅葺き屋根に使うための茅を育てるためだけに作られた土地も日本各地にありました。ただ現代では、葺き替えに手間とお金がかかることから、トタン板で屋根全体を覆ってしまった「元」茅葺き屋根の家が少なくありません。伝統的な茅葺き職人たちが減り、技術の継承が途絶えようとしていました。
そうしたなか、この茅葺きが今、急速にスポットライトを浴びています。若い人が職人を目指し、茅葺き文化を後世に伝えようと立ち上がっています。一世代跳んで増え始めてきた若い茅葺き職人たちは全国的にも引っ張りダコとなり、古民家だけでなく文化財の修復にも携わるようになっています。
なぜ今更、茅葺きなのか?・・・それは茅葺きに大いなる魅力があるからです。
茅葺きがすばらしいのは、如実に持続可能性を体現しているところです。休耕地には何もしなくても茅が生えてきます。それを刈り取って乾燥させ、茅葺きの材料にします。葺き替えの時期が来ると古い茅は屋根から下ろされますが、これを畑に漉き込むととても良い肥料になります。屋根の上で畑の肥料を作っているようなものです(笑)。
つまり家が自然と一体化しているのです。現代の家は工業製品化しており、自然とは完全に別離した存在です。家を葺き替えるという意識は存在しないに等しく「お金を払って他人に作ってもらう」ものです。
対して茅葺きは決して1人ではできないところにポイントがあります。集落の人々が集まってひとりの家を交替で葺き替えていくわけです。ここに現代社会には縁が薄くなった「結(ゆい)」の意識があります。茅葺き屋根を通して集落の人々の結びつきが強固になっていたのです。
[この茅葺き体験イベントのすごいところ]
何より「本物の職人さん」が「ほぼ手弁当で」指導し、初心者の作業を「ビシッと仕上げてくれる」ことに尽きます。職人さんがきてくださるおかげで、私のような素人でも「自分で屋根を葺けた!」という達成感を味わうことができます。おまけに茅の葺き替え工程の全てを体験させてもらえるので、茅葺きを一からマスターできます。
そして忘れてはいけないのが、滋賀県立大学濱崎研究室の学生さんたちのサポートです。2日間とても快適に過ごすことができました。
職人さん、研究室の皆さんには、改めて御礼申し上げます。
[さて、茅葺き体験です]
茅の葺き替え方法には、おもに2種類があります。一つは写真のように古い茅を中に押し込んで、新しい茅を差し込んでいく方法です。古い茅がまだある程度形を保っている場合はこの方法を使います。
ぐいぐい古い茅を押し込んでいきます。力が結構いります。茅が手にグサグサ刺さります…(^_^;)
職人さんの指導のもと、頑張って葺き替えをしていきます。
差し込む時、古い茅をうまく押し込まないと茅の先がハネてしまいます。これでは雨が降ったとき水がうまく流れません。難しい…。汗だくになりながらぐいぐいやっていました。
さてもうひとつの方法は、古い茅を完全に除去し、新しい茅で置き換える方法です。
古い茅がボロボロになってしまっている場合はこの方法を使います。
古い茅はとってもいい肥料になるのです。畑に使いたいといって持ち帰る方もいらっしゃいました。
長さを適当に切って、新しい茅を寝かせていったあと、屋根の骨組み(竹)と茅を結びつけます。茅葺き屋根は本当に茅と竹で屋根を葺いているんですよ!
茅を寝かせていきます。長さを2尺や3尺に揃えて、厚みが均等になるように並べていきます。
足でしっかり押さえの竹を踏んで、屋根の骨組みの竹と茅を縛ります。今回は簡単のため、針金を使いましたが、本当は荒縄などを使うそうです。「トックリ結び」でしばります。
職人さんはやっぱりかっこいいですね!
ちなみに裏側はこうなっています。竹と茅を結びつけているだけなんです!
[職人さんの出番です]
頑張りましたが、所詮素人仕事。見た目があんまりよくありませんし、雨漏りしそうです。
これがどうなるのか…?!職人さんが作業してくださっているあいだ、しばらく素人は退散です。
しかしあれだけ素人に指導をして大変なはずなのに、職人さんの動きときたら目も止まらぬ速さ。一瞬たりとも無駄に動いていないんですね。
職人さんの見事な手さばきは、以下の動画でも観ていただけます◎
短い動画ですが(⌒-⌒; )
茅葺き職人さんの手際の良さ①
茅葺き職人さんの手際の良さ②
茅葺き職人さんの手際の良さ③
職人さんのお仕事の後、見違えるように屋根は綺麗になりました。
遠目にしか写真を撮れませんでしたが、見てください。この美しさ!
大きなバリカンで綺麗に刈り揃えられ、茅の先がビシッと揃ってます!これなら水はけも良く、屋根の役割を十分に果たしてくれるでしょう。
右側が古い茅。左側が今回葺き替えを行った部分です。一目瞭然ですね。
…2日間かけて、やっとこさ屋根の4分の1を葺き替えできました。この家の屋根は小さいですが、なかなか日数と人手がかかる仕事だということがわかりました。
これは、ハマります。やってみれば、みなさんもわかります。
汗だくになり、古い茅の吸い込んだススだらけになり、手首に茅が刺さりまくっても、終わったあとに見上げる屋根の綺麗なこと。もちろん今回は職人さんの多大なるお助けがあったからここまで綺麗にできたわけですが、それでも「自分たちがこの屋根を葺いたんだ」という感動は何にも代え難いものがあります。
実は私は、9月にも茅葺き体験に挑戦します!
その時のことも、追々書いていこうと思います。
あ、第12回名古屋千年ゼミの議事録がまだでした…(;´д`)
また新しい方が見えて、面白い会だったので楽しみにしててくださいね!
ではでは~。
行ってきましたといっても滋賀県立大学の濱崎研究室の皆さんの実習に潜り込ませていただいた形です。
そこでの体験をもとに、茅葺きの魅力、思ったこと、感じたことを書いてみました。
文章力が無いのは許してください。
[そもそも茅葺きとは?]
茅というのはいわゆるススキやチガヤなどの中空で背丈が長い植物の総称です。茅葺き屋根は日本では白川郷の合掌造りの家があまりにも有名ですが、実は全国各地、そしてグローバルに存在するものなのです。畑で作物を育てた後に勝手に生えてくる植物をつかって屋根を葺いてやろうというのは自然な流れであったといえます。茅の代わりにワラやアシや笹の葉で屋根を葺いている地域もあるようです。昔は茅場といって、茅葺き屋根に使うための茅を育てるためだけに作られた土地も日本各地にありました。ただ現代では、葺き替えに手間とお金がかかることから、トタン板で屋根全体を覆ってしまった「元」茅葺き屋根の家が少なくありません。伝統的な茅葺き職人たちが減り、技術の継承が途絶えようとしていました。
そうしたなか、この茅葺きが今、急速にスポットライトを浴びています。若い人が職人を目指し、茅葺き文化を後世に伝えようと立ち上がっています。一世代跳んで増え始めてきた若い茅葺き職人たちは全国的にも引っ張りダコとなり、古民家だけでなく文化財の修復にも携わるようになっています。
なぜ今更、茅葺きなのか?・・・それは茅葺きに大いなる魅力があるからです。
茅葺きがすばらしいのは、如実に持続可能性を体現しているところです。休耕地には何もしなくても茅が生えてきます。それを刈り取って乾燥させ、茅葺きの材料にします。葺き替えの時期が来ると古い茅は屋根から下ろされますが、これを畑に漉き込むととても良い肥料になります。屋根の上で畑の肥料を作っているようなものです(笑)。
つまり家が自然と一体化しているのです。現代の家は工業製品化しており、自然とは完全に別離した存在です。家を葺き替えるという意識は存在しないに等しく「お金を払って他人に作ってもらう」ものです。
対して茅葺きは決して1人ではできないところにポイントがあります。集落の人々が集まってひとりの家を交替で葺き替えていくわけです。ここに現代社会には縁が薄くなった「結(ゆい)」の意識があります。茅葺き屋根を通して集落の人々の結びつきが強固になっていたのです。
[この茅葺き体験イベントのすごいところ]
何より「本物の職人さん」が「ほぼ手弁当で」指導し、初心者の作業を「ビシッと仕上げてくれる」ことに尽きます。職人さんがきてくださるおかげで、私のような素人でも「自分で屋根を葺けた!」という達成感を味わうことができます。おまけに茅の葺き替え工程の全てを体験させてもらえるので、茅葺きを一からマスターできます。
そして忘れてはいけないのが、滋賀県立大学濱崎研究室の学生さんたちのサポートです。2日間とても快適に過ごすことができました。
職人さん、研究室の皆さんには、改めて御礼申し上げます。
[さて、茅葺き体験です]
茅の葺き替え方法には、おもに2種類があります。一つは写真のように古い茅を中に押し込んで、新しい茅を差し込んでいく方法です。古い茅がまだある程度形を保っている場合はこの方法を使います。
ぐいぐい古い茅を押し込んでいきます。力が結構いります。茅が手にグサグサ刺さります…(^_^;)
職人さんの指導のもと、頑張って葺き替えをしていきます。
差し込む時、古い茅をうまく押し込まないと茅の先がハネてしまいます。これでは雨が降ったとき水がうまく流れません。難しい…。汗だくになりながらぐいぐいやっていました。
さてもうひとつの方法は、古い茅を完全に除去し、新しい茅で置き換える方法です。
古い茅がボロボロになってしまっている場合はこの方法を使います。
古い茅はとってもいい肥料になるのです。畑に使いたいといって持ち帰る方もいらっしゃいました。
長さを適当に切って、新しい茅を寝かせていったあと、屋根の骨組み(竹)と茅を結びつけます。茅葺き屋根は本当に茅と竹で屋根を葺いているんですよ!
茅を寝かせていきます。長さを2尺や3尺に揃えて、厚みが均等になるように並べていきます。
足でしっかり押さえの竹を踏んで、屋根の骨組みの竹と茅を縛ります。今回は簡単のため、針金を使いましたが、本当は荒縄などを使うそうです。「トックリ結び」でしばります。
職人さんはやっぱりかっこいいですね!
ちなみに裏側はこうなっています。竹と茅を結びつけているだけなんです!
[職人さんの出番です]
頑張りましたが、所詮素人仕事。見た目があんまりよくありませんし、雨漏りしそうです。
これがどうなるのか…?!職人さんが作業してくださっているあいだ、しばらく素人は退散です。
しかしあれだけ素人に指導をして大変なはずなのに、職人さんの動きときたら目も止まらぬ速さ。一瞬たりとも無駄に動いていないんですね。
職人さんの見事な手さばきは、以下の動画でも観ていただけます◎
短い動画ですが(⌒-⌒; )
茅葺き職人さんの手際の良さ①
茅葺き職人さんの手際の良さ②
茅葺き職人さんの手際の良さ③
職人さんのお仕事の後、見違えるように屋根は綺麗になりました。
遠目にしか写真を撮れませんでしたが、見てください。この美しさ!
大きなバリカンで綺麗に刈り揃えられ、茅の先がビシッと揃ってます!これなら水はけも良く、屋根の役割を十分に果たしてくれるでしょう。
右側が古い茅。左側が今回葺き替えを行った部分です。一目瞭然ですね。
…2日間かけて、やっとこさ屋根の4分の1を葺き替えできました。この家の屋根は小さいですが、なかなか日数と人手がかかる仕事だということがわかりました。
これは、ハマります。やってみれば、みなさんもわかります。
汗だくになり、古い茅の吸い込んだススだらけになり、手首に茅が刺さりまくっても、終わったあとに見上げる屋根の綺麗なこと。もちろん今回は職人さんの多大なるお助けがあったからここまで綺麗にできたわけですが、それでも「自分たちがこの屋根を葺いたんだ」という感動は何にも代え難いものがあります。
実は私は、9月にも茅葺き体験に挑戦します!
その時のことも、追々書いていこうと思います。
あ、第12回名古屋千年ゼミの議事録がまだでした…(;´д`)
また新しい方が見えて、面白い会だったので楽しみにしててくださいね!
ではでは~。