短歌blog往来

ながらみ書房によるブログです。

砂場房歌集『一粒万倍』

2010年02月20日 | 新刊歌集・歌書
荒らしてはならぬ転作田に蒔く豆よ一粒万倍の日を選び蒔く

農業政策の変更のために農家の現場では右往左往する様子が手に取って見える。
そういう状況のなかで「一粒万倍」を願い豆を蒔くという。       桜井登世子
2625円・税込

中原トミ遺歌集『荒野にあらず』

2010年02月11日 | 新刊歌集・歌書
春近く娘と歩む街触れぬこと互みにありてスカーフを買う

母は言葉にすることと本当の気持が異なっている人であった。
母親としてこうあらねばならないと思って口にする言葉は、子としていたたまれないほどの我慢を母に強いるというようなことがよくあった。
私は母の心ばかりさぐり、間違っては怒られていた。
歌は本音かと思う。たぶん。    中原千絵子

中原千絵子第三歌集『ふうせんかずら忌』

2010年02月11日 | 新刊歌集・歌書
わたくしを産みやる洞が口あくを見るは苦しき摘便のたび

母堂を介護する歌は、圧倒的なリアリズムの迫力で読者を打ちのめす。
歌集のクライマックスは実生活での苦しみと裏腹にこのような歌にあって、『ふうせんかずら忌』を価値づけている。
  黒木三千代

A5版2625円・税込

若菜邦彦歌集『モンスーン・ロード』

2010年02月04日 | 新刊歌集・歌書
  この風はモンスーン・ロードを渡り来し風か目覚むる海馬の瞳

雪のキリマンジャロへの憧憬、地球温暖化への危惧、二つを併せ持ちながら創作への意欲に燃える著者。
言霊を信じた『モンスター・ハンター』につづく音律の快挙である。  晋樹隆彦

定価2730円(税込)

短歌往来2010年2月号

2010年02月03日 | 新刊歌集・歌書

◎巻頭作品21首
佐佐木幸綱

◎特別作品首
阿木津英
  島田修三
評論シリーズ 世紀の視座   近代短歌やまざくら考 川本千栄
◎〈自然〉を詠む・撮る・描く首 渡辺幸一
[特集]オメデトウ 寅年生れの歌人 作品+コメント
作品+コメント
春日真木子 後藤直二  穂積生萩  藤岡武雄 高尾文子 浜田康敬 中島やよひ 小野寺幸男 楠田立身 喜納勝代 山田富士郎 俵万智 穂村弘 駒田晶子 林和清 冬道麻子 荻原裕幸  鈴木英子 大北敏子  新井美由紀  福井和子 布々岐敬子 今村すま子 名嘉真恵美子 鳥居あけみ 沢田英司 齋藤典子 三枝むつみ  楜澤丈二 天草季紅 萩岡良博 落合けい子 藤本喜久恵 桂保子 丸山郁夫 栗明純生 池田裕美子 鈴木恒子 和田親子 吉野亜矢 山口加津子 新井直子 三浦槙子 間鍋三和子 清水亜彦  中村規子 田中多津子 佐野善雄  斉藤美江子 菅原恵子 浅岡千枝子 市橋千加子 香川テル 植岡康子  陣内直樹 宇佐川智美 高倉マリ子

今月の視点 信頼が醸すもの 寺島博子

◎今月の新人 岩村夏子

新刊歌集歌書評
春日真木子歌集「風の柱」 山埜井喜美枝
三枝昂之著「啄木・ふるさとの空遠みかも」 岩井謙一
短歌説話 佐藤佐太郎随聞上下」 吉川宏志
浜田康敬歌集「百年後」 西勝洋一
天草紅季歌集「青墓」 大島史洋
村山美恵子歌集「蠍江」 山谷陽子
桂保子歌集「はちみつたんぽぽ」 栗木京子
原田清歌集「夕映え」 横山岩男
森田小夜子歌集「パントマイム」 高田流子
須川千恵香歌集「せせらぎの譜」 佐藤恵子