カタコンベの殉教者の墓
その道をゆくとき幸せ問ふ声がする
未知の土地への海外の旅は矢野さんの独自の
目によって豊潤な詩の声となっている。
歌の視野の深さは実際に見たものを観念的でなく
具体的に捉えて詠っているからである。
山名康郎・解説より
軽妙なエッセイにも深い味わいがある。
目次より
1 随縁随時
2 泱々舎屋通信
3 添削実例
4 選歌寸評
5 日録抄
6 作歌の余滴
7 今日ある私の短歌
■特別作品33首
都忘れ/稲葉京子
青葉しずまる/小高賢
■編集長インタビュー
短歌は日本酒である!/千々和久幸
■〔特集〕 菱川善夫ー批評の軌跡と美学
アンケート菱川善夫への直言!
穂村弘+阪森郁代+森本平+川本千栄+松岡達辰+なみの亜子+加藤英彦+梅内美加子
火の言葉―菱川善夫の軌跡/田中綾
菱川善夫論—短歌史の構想について/三枝昴之
「実感」と「思想」/吉川宏志
イロニーを越えて—塚本邦夫への視野/森井マスミ
夢を語る批評ー評論賞選考にみる菱川善夫/大野道夫
「現代短歌研究会」のことー文学の極北/武藤雅治
深く熱い酒ー批評の源泉/菱川和子
■歌人回想録 前川緑
●今月の新人
mellow/黒田亜希 9
●カルチャーの歌
らぷらす短歌会
短歌往来2007年7月号 *好評発売中*
ご注文はお電話・FAX・メールで承ります。
巻頭作品21首
ハイ/河野裕子
1ページエッセイ
古橋信孝 / 穂積生萩 / 塚本青史
作品33首
時田則雄 / 加藤治郎
評論シリーズ21世紀の視座
「徹底的リアリズムについて」高橋啓介
自然を詠む
「見沼」沖ななも
特集グローバリゼーションと歌の未来
「原理日本」のこと / 日本は社会主義だった!!?
俵・穂村・加藤の口語改革 / 鷗外短歌の読み
茂吉の歌ー近代性と現代性 / 仮想と現実の交差する時代に
レトリック・隠れ文語・隠れ口語 / 虚無感がどうしようもなく湧いて…
「老い」は強制収容所に近い / グーグルー新しい権力の登場
グローバリゼーションと歌の未来
特別寄稿
「「しらべ」はどこへ行くのか」落合けい子
追悼 川島喜代詩
追悼文 ・田野陽 / 50首抄・菊澤研一 /小歴・山中律雄
■作品13首
小林秀子 /外塚喬 / 伊東悦子 /小笠原和幸 ほか
■作品8首
永平利夫 / 福留フク子 / 荒谷皓
百武皐月 / 坂本朝子 / 市野千鶴子
大森益雄 / 大森英子 / 西村慶子 ほか
■歌人回想録79相澤正
小歴・小谷稔 / 相澤正のうた50首抄・小谷稔
エッセイ「知識人の憂愁」・猪股靜彌
連載
今野寿美 / 平山良明 / 福島泰樹
今月の新人
多田百合香
カルチャーの歌
田村広志
■新刊歌集歌書評
『谷川健一全歌集』/渡英子
岡井隆歌集『二〇〇六年水無月のころ』/齋藤慎爾
奥村晃作著『ただごと歌の系譜』/花山多佳子
坂井修一著『斎藤茂吉から塚本邦夫へ』/山田冨士郎
秋葉四郎歌集『新光』/久々湊盈子
小川佳世子歌集『水が見ていた』/ 大口玲子
豊岡裕一郎歌集『世界露』/佐藤通雅
梅内美華子『夏羽』/笹公人 ほか
■作品月表 5月号より/田中槐
■歌誌漂流87 /鈴木竹志
表紙・目次レイアウト/菊池大作
表紙作品/橋本トモコ(了徳寺大学)「朝顔の露」
本文カット/浅川洋
惑星探査機は無限を離り
洪水に洗はれてゐる陸のひとひら
地球はもはや遠い点である。下句の洪水に
洗われる陸地の一片というイメージは、
その地球の遠い未来の姿だろうか。
寒々とした孤独感が広がってくる一首である。
この孤絶感にこそ作者たる服部文子の矜持がある
のだろう。
…… 大塚寅彦・解説より
おのれより大きな影をともなひて
魚は小川を行きては戻る
細やかなレトリックを鏤め、
人生のほのかな温かみとほろ苦さとを鏤め、
そしてくすぐったいおかしみを湛えつつ、
危うからざる作品世界を展開する楜澤ワールド。
沖ななも 序より