短歌blog往来

ながらみ書房によるブログです。

矢野しげ子歌集『机上の地球儀』

2007年07月30日 | 新刊歌集・歌書


  カタコンベの殉教者の墓
 その道をゆくとき幸せ問ふ声がする

 未知の土地への海外の旅は矢野さんの独自の
 目によって豊潤な詩の声となっている。
 歌の視野の深さは実際に見たものを観念的でなく
 具体的に捉えて詠っているからである。

  山名康郎・解説より


田中子之吉著『こころのうちそと 2 』

2007年07月25日 | 新刊歌集・歌書
佐藤佐太郎の高足として長く作歌をつづけてきた写実の第一人者が、作歌の神髄とは何かを丁寧な添削実例によって証した書!
軽妙なエッセイにも深い味わいがある。

目次より
1 随縁随時
2 泱々舎屋通信
3 添削実例
4 選歌寸評
5 日録抄
6 作歌の余滴
7 今日ある私の短歌

太田豊歌集『巣鴨まで』

2007年07月19日 | 新刊歌集・歌書
登記簿の抵当の出入の激しさは
  修羅の時代の書面というべし

著者は数字を見るのが仕事である。知的労働
に励む若き金融波の作品群は、今日の歌壇に
間口を広げたと言えるだろう。島崎榮一・序より



短歌往来200708号

2007年07月17日 | 短歌往来
●巻頭作品21首 酔別/大口玲子

■特別作品33首
都忘れ/稲葉京子
青葉しずまる/小高賢

■編集長インタビュー
短歌は日本酒である!/千々和久幸

■〔特集〕 菱川善夫ー批評の軌跡と美学
アンケート菱川善夫への直言!
 穂村弘+阪森郁代+森本平+川本千栄+松岡達辰+なみの亜子+加藤英彦+梅内美加子
 火の言葉―菱川善夫の軌跡/田中綾
 菱川善夫論—短歌史の構想について/三枝昴之
 「実感」と「思想」/吉川宏志
 イロニーを越えて—塚本邦夫への視野/森井マスミ
 夢を語る批評ー評論賞選考にみる菱川善夫/大野道夫
 「現代短歌研究会」のことー文学の極北/武藤雅治
 深く熱い酒ー批評の源泉/菱川和子

■歌人回想録 前川緑

●今月の新人
mellow/黒田亜希 9

●カルチャーの歌
らぷらす短歌会

短歌往来2007年7月号

2007年07月13日 | 短歌往来


 短歌往来2007年7月号 *好評発売中*
              ご注文はお電話・FAX・メールで承ります。

 
巻頭作品21首 
ハイ/河野裕子 
 
ページエッセイ 
古橋信孝 / 穂積生萩 / 塚本青史 

作品33首  
時田則雄 / 加藤治郎 
 
評論シリーズ21世紀の視座
 「徹底的リアリズムについて」
高橋啓介 
 
自然を詠む
 「見沼」沖ななも  

特集グローバリゼーションと歌の未来      
 
「原理日本」のこと / 日本は社会主義だった!!?    
 俵・穂村・加藤の口語改革 / 鷗外短歌の読み    
 茂吉の歌ー近代性と現代性  / 仮想と現実の交差する時代に    
 レトリック・隠れ文語・隠れ口語  / 虚無感がどうしようもなく湧いて…    
 「老い」は強制収容所に近い  / グーグルー新しい権力の登場    
 グローバリゼーションと歌の未来
               
    
特別寄稿
 「「しらべ」はどこへ行くのか」落合けい子  

追悼 川島喜代詩
 追悼文 ・田野陽  / 50首抄・菊澤研一 /小歴・山中律雄 

 ■作品13首 
 小林秀子 /外塚喬 / 伊東悦子 /小笠原和幸 ほか  

■作品8首
 永平利夫 / 福留フク子 / 荒谷皓 
 百武皐月 / 坂本朝子 / 市野千鶴子 
 大森益雄 / 大森英子 / 西村慶子    ほか
      
歌人回想録79相澤正
 小歴・小谷稔 / 相澤正のうた50首抄・小谷稔 
 エッセイ「知識人の憂愁」・猪股靜彌 
     
連載
 今野寿美 / 
平山良明 / 福島泰樹 

今月の新人
 多田百合香 
カルチャーの歌
 田村広志 
    
■新刊歌集歌書評
 『谷川健一全歌集』/渡英子 
 岡井隆歌集『二〇〇六年水無月のころ』/齋藤慎爾  
 奥村晃作著『ただごと歌の系譜』/花山多佳子  
 坂井修一著『斎藤茂吉から塚本邦夫へ』/山田冨士郎  
 秋葉四郎歌集『新光』/久々湊盈子  
 小川佳世子歌集『水が見ていた』/ 大口玲子  
 豊岡裕一郎歌集『世界露』/佐藤通雅  
 梅内美華子『夏羽』/笹公人          ほか 
      
■作品月表 5月号より/田中槐 
      
■歌誌漂流87  /鈴木竹志 

表紙・目次レイアウト/菊池大作
表紙作品/橋本トモコ(了徳寺大学)「朝顔の露」
本文カット/浅川洋

 


服部文子歌集『Voyager-旅するもの』

2007年07月13日 | 新刊歌集・歌書


 惑星探査機は無限を離り
 洪水に洗はれてゐる陸のひとひら

 地球はもはや遠い点である。下句の洪水に
 洗われる陸地の一片というイメージは、
 その地球の遠い未来の姿だろうか。
 寒々とした孤独感が広がってくる一首である。
 この孤絶感にこそ作者たる服部文子の矜持がある
 のだろう。 

 …… 大塚寅彦・解説より


楜澤丈二歌集『危草』

2007年07月13日 | 新刊歌集・歌書


 おのれより大きな影をともなひて
 魚は小川を行きては戻る

 細やかなレトリックを鏤め、
 人生のほのかな温かみとほろ苦さとを鏤め、
 そしてくすぐったいおかしみを湛えつつ、
 危うからざる作品世界を展開する楜澤ワールド。

 沖ななも 序より