短歌blog往来

ながらみ書房によるブログです。

森山晴美歌集『雲南』

2007年05月07日 | 新刊歌集・歌書


 マチュピチュの石の梁に背伸びして
 一つまみ置き来し夫の骨粉

 外連味のない生き方が生む、大きくて確かな描写、
 ゆるぎない写生の簡潔な文体が、感傷性を排除して、
 命の際に光を当てている。

        ―帯文より―


三平忠宏歌集『出向』

2007年05月07日 | 新刊歌集・歌書


  楽しげに妻の添ひ来る梅雨の町
  単身赴任の品々買ひに

 出向のための準備や、その後の赴任地での日々がうたわれている。
 壮年の男性による、仕事を素材とした臨場感あふれる歌はどんどん
 少なくなってきているから、私はこの歌集に収録されている歌の数々を
 とても貴重なものに思うわけである。
                         --- 大島史洋・序より---


小川佳世子歌集『水が見ていた』

2007年05月07日 | 新刊歌集・歌書

 

 たくみな歌作りでありながら、たくみさに
 反発を感じないのは、いたるところに
 見られる自己否定といふか、おのれを低く
 かまへる姿勢といふか、それが身について
 ゐるやうに思へるからである。


        --- 岡井隆 ・解説より ---