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拾い読み★2012番外編≪箱根往路・朝刊記事2≫

2012年01月03日 07時31分48秒 | スポーツあれこれ
 

超神・柏原!自らの区間記録29秒更新!東洋大ぶっちぎり往路V4!…箱根駅伝
◆第88回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝=報知新聞社後援)(2日、東京・読売新聞旧東京本社前・建て替え中―神奈川・箱根町、5区間=108・0キロ)
 “新・山の神”柏原が、箱根ラストランで神話を残した。初めて首位でタスキを受けた東洋大の5区・柏原竜二主将(4年)は、自身が2年前に作った区間記録を29秒更新する1時間16分39秒で走破し、史上2人目の5区4年連続区間賞を達成。1964年の中大以来、48年ぶりの4年連続往路Vを5時間24分45秒の大会新で飾った。2位の早大に5分7秒の大差をつけ、2年ぶり3度目の総合優勝へ王手をかけた。復路は3日午前8時、箱根・芦ノ湖駐車場入り口をスタートする。(曇り、気温3・6度、湿度60%、北西の風2・0メートル=スタート時)
 箱根の山を越え、自分を超えた。標高差864メートルの天下の険、23・4キロを1時間16分39秒で踏破。2年前、柏原自身が作った記録を29秒更新した。06年に距離延長されて以降、初めて5区で首位交代なし。元祖山の神・今井正人(順大―トヨタ自動車九州)をしのぐ“新・山の神”は山の中で選手を抜くことなく史上2人目の4年連続区間賞で締めくくった。「トップで来てくれて、走る前に涙が出そうになった。みんなの力で出た記録です」と声を上ずらせた。
 故郷への思いが力になった。昨年3月11日に東日本大震災が発生。福島県は現在でも原発事故や風評被害に苦しんでいる。昨年8月下旬の新潟・長岡市山古志地区での夏合宿でのこと。04年10月の新潟県中越地震で被害を受けたが、以前の美しい山あいの風景を取り戻した山古志地区の夏祭りに参加。あいさつに立った柏原は「僕は福島のいわき市出身です。山古志を走っていると皆さんの復興の力のすごさを感じます。僕も福島の皆さんに少しでも力を与えられるような走りをしたいと思っています」。約100人の住民から大きな拍手が沸き起こった。あれから4か月弱…。「福島の皆さんに比べれば僕が苦しいのは、たった1時間ちょっと。全然、苦しくない」。遠くを見ながら話した。
 主将は箱根駅伝を走れない―東洋大で07年から前回まで5年も続いていたジンクスも打ち破った。昨年1月、酒井俊幸監督(35)は大黒柱の柏原を主将に指名。指揮官自身も主将だった99年に大会直前に故障し、欠場した。「一番、気持ちの強い選手を選んだ。柏原以外ではジンクスが続いてしまう可能性があった」と抜てきの理由を明かした。大会前、そのことを問われた柏原は「そんなものにビビっていたら勝負できません」とレース同様に強気に答えた。そして「僕は主将らしい仕事をしていないから、そのジンクスは当てはまらないんじゃないですか」。登録メンバーから外れた藤野俊成、西沢由浩が最上級生ながら率先してロード練習で交通整理する姿を見れば、ジンクスに屈するわけにはいかなかった。
 約1か月前に行われた激励会で柏原は、「5区でブッちぎりでゴールします。1月3日は監督、コーチを胴上げします」と宣言。最後の箱根での雄姿を見ようと、沿道には切れ目なく観客が詰め掛けた。記録も記憶も残した怪物は、タスキの絆で結ばれた仲間とともに完全Vへ気持ちを一つにする。
◆柏原記録メモ
▼4年連続往路V 出場が4回に制限されてから4年連続で同一選手がゴールテープを切る(往路、復路含む)のは史上初。制限前は5区で1935~38年の鈴木房重(日大)、50~53年の西田勝雄(中大)がいる。また、東洋大の4年連続往路Vは日大(35~38年)、中大2(50~53年&61~64年)に続いて最多タイ。
 ▼区間新3回 4年連続同区間同一コースで3回の区間新記録(2009年=1年、10年=2年、12年=4年)を樹立したのは史上初。過去には同じ5区の今井正人(順大、05年=2年、06年=3年、07年=4年)と、6区で田辺定明(中大、50年=3年、51年=4年、53年=6年)が3回の区間新記録をマークしたが、ともにコース変更をはさみ同一コースではない。
 ▼4年連続区間賞 全区間を通して8人目。すべて同じ区間で獲得した選手は74~77年5区の大久保初男(大東大)だけ。



東洋大、神頼みだけじゃない!往路記録5分5秒更新で3強対決圧倒…箱根駅伝
 “新・山の神”柏原が、箱根ラストランで神話を残した。初めて首位でタスキを受けた東洋大の5区・柏原竜二主将(4年)は、自身が2年前に作った区間記録を29秒更新する1時間16分39秒で走破し、史上2人目の5区4年連続区間賞を達成。1964年の中大以来、48年ぶりの4年連続往路Vを5時間24分45秒の大会新で飾った。2位の早大に5分7秒の大差をつけ、2年ぶり3度目の総合優勝へ王手をかけた。復路は3日午前8時、箱根・芦ノ湖駐車場入り口をスタートする。
 「柏原に頼るチーム」から「柏原を生かすチーム」へ。東洋大が驚異的な進化を見せた。5時間24分45秒。昨年の往路記録を5分5秒も更新した。1区の宇野が、早大の大迫のハイペースにも動じず、31秒差の4位と粘り、2年連続2区の設楽啓太(2年)が19キロ過ぎに早大を捕らえた。そして、3区の山本憲二(4年)が事実上、往路Vを決める激走をした。
 「啓太に、トップで来なかったらタスキを受け取らないぞ、と言っていたら、本当にトップで来たので僕も燃えました」と笑いながら振り返る。燃える理由がもう一つあった。前回、10区で区間賞を奪いながらも21秒だけ早大に届かず。「エンジの背中がはっきりと見えていたのに追いつけなかった。今度は僕の背中を見せつけたかった」。山本は5キロ過ぎに早大・矢沢曜に追いつかれたが、12キロで突き放した。
 4区のルーキー田口も勢いに乗り区間賞。エース柏原にタスキをつないだとき、1分54秒のリードを得ていた。「攻める走りができた。4区までに首位に立つというレースプラン通り。ほぼ100点満点。ただ、まだ、明日(復路)があります」酒井俊幸監督(35)は圧勝劇を冷静に振り返った。
 復路にも今季、急成長した設楽悠太、大津顕杜(ともに2年)が控える。来季から“新・山の神”はいない。それでも戦える力があることを完全Vで証明する。


 

早大2位 4区・三田出場辞退が誤算…箱根駅伝
 史上最多タイ14回目となる2年連続の総合優勝を目指した早大の渡辺康幸駅伝監督(38)が「相手に脱帽です。完全に“柏原ショー”でした」と新・山の神、柏原の走りに舌を巻いた。
 前回と同じく往路は東洋大に水を開けられての2位。チームは昨年より2秒遅い5時間29分52秒だったが、宿敵校とのタイム差は前回の「27秒」をはるかに上回る、天を仰ぐ「5分7秒」。柏原の前に大差をつけたかったが5区以外の選手に想定外の力走をされた。
 ロケットスタートを狙った1区は、大迫傑(2年)が2年連続区間賞となったが、2位に昨年の54秒差には及ばない23秒差と大幅な“貯金”は出来ず。エース区間の2区では平賀翔太(3年)が脇腹痛を起こし2位転落。東洋大に先行された。大迫は「後半に伸びがあれば良かった」と唇をかんだ。
 元日の昼過ぎに4区予定の三田裕介(4年)が「この重圧には耐えられません」と戦意喪失を告白し、直前に出場辞退したことも大きく響いた。急きょ投入の大串顕史(4年)は奮闘したものの、首位と1分54秒差。指揮官は「すべては4区で勝負が決まった」と敗因を挙げた。復路は故障を抱える主将の八木勇樹(4年)を外し2、3年生で勝負。「1人1分」の短縮ノルマを課し逆転Vを狙う。




明大、半世紀ぶり3位!腰痛・鎧坂の復路投入は直前判断…箱根駅伝
 明大が51年ぶりの大躍進を遂げた。腰痛で調整が遅れている1万メートル日本人学生歴代トップの鎧坂哲哉主将(4年)を“温存”しながら、4区の八木沢元樹(1年)が区間2位に入るなど、健闘。3年生以下の若い力で往路3位に入った。一方、東洋大と“3強”を形成していた早大は、東洋大から5分7秒差の2位、駒大は6分43秒の4位と大きく突き放され、総合優勝は厳しい状況。両首脳陣は、復路優勝を第一目標に掲げた。
 紫紺のきずなは強かった。5区の大江啓貴(3年)は区間2位の激走で箱根の山を駆け上り、3位でゴールに飛び込んだ。往路3位は1961年大会以来、実に51年ぶりの快挙。西弘美駅伝監督(59)は「点数は100点。全員よく走った」と合格点を与えた。
 昨年10月の出雲駅伝後に腰痛を発症したエース・鎧坂哲哉(4年)が不在の中、一致団結で穴を埋めた。鎧坂の往路回避を受け、急きょ2区に抜てきされた菊地賢人(3年)は「鎧坂さんから『頼むぞ』と言われた。頼れる先輩がいないので開き直った」と力を振り絞り、早大の平賀と並ぶ区間5位。八木沢元樹(1年)は8位でタスキをもらうと、区間2位の走りで総合3位に浮上した。
 2年連続5区の大江は被災地への思いも込めて走った。兵庫・三田市出身で、4歳の時に阪神大震災に遭った。「自分も悲しみがよく分かるので、東日本大震災の被災者に勇気を送りたい」。1度は2位に浮上し、前回に続いて東洋大の柏原に次ぐ区間2位となった。
 西監督は「今までは鎧坂に頼ってきたが、自分たちで戦うんだと団結できた」と勝因を振り返った。それでも復路ではエース復活の可能性が残されている。鎧坂はこの日、都内で独自調整。西監督は「将来がある選手なので無理をさせたくないが、練習の様子を聞いて決めたい」とレース直前まで起用を検討する方針だ。
 63年ぶりの総合優勝を目指し、東洋大と5分21秒差で復路をスタートする。「早大とは14秒差しかない。1つでも順位を上げたい」と指揮官。再びチーム一丸となって紫紺のタスキをつなぎ、古豪復活へひた走る。




駒大スピード軍団不発4位 復路で新記録狙う…箱根駅伝
 駒大の名将・大八木弘明監督(53)は笑っていた。「東洋大のタイムは? (5時間)24分? 速いなあ。柏原も1時間16分か。すごいね。すさまじい」。最大のライバルと目していた東洋大の強さを素直に認めるしかなかった。
 不安が的中した。5000メートル13分台がエントリーメンバーに9人そろう豪華すぎる布陣。入学直後からスピード強化に努めてきたこの日の5人は、いずれもそれに該当するスター集団だった。だが、大八木監督は「強さが足りないのが不安」と言っていた通り、期待のルーキー村山謙太が伸びずに区間9位。追いかける立場となった油布郁人(2年)もレース中盤から左ふくらはぎを痛めて失速し、区間12位。指揮官から「指示通りに動いていない」とゲキを飛ばされた村山が「集団で前を走らされて相手に楽をさせてしまった。(敗れたのは)自分のせいです」と悔しがれば、油布は「チームに迷惑をかけてしまった」と目を赤くした。
 東洋大との差は6分43秒。平地換算で約2・4キロの差だ。「俺たちだってプライドはある。復路で勝つしかない。復路記録を狙っていきますよ」と大八木監督。復路には7区の上野渉(3年)に加え、補欠エントリーの窪田忍(2年)ら強力な選手が控える。開き直った常勝軍団は、本当の強さを見せつけることができるか。


城西大、往路史上最高5位!シード3秒差涙の1年前から躍進…箱根駅伝
 城西大が完全復活を予感させる走りを見せた。前回大会は10位国学院大と史上最少の3秒差でシード圏(10位以内)外の11位と、屈辱を味わった。その悔しさを晴らすかのような快走で、同校往路史上最高の5位につけた。5区・田村優典主将(4年)は「『1秒を大切にしよう』と全員がやってきた結果。本当にみんな頑張った」と安堵(あんど)の表情を見せた。
 往路躍進の立役者は紛れもなく村山紘太(1年)だ。実力選手が集まる1区で、トップから32秒差の5位とチームに流れを呼び込んだ。村山は「チームで5位以内を目指していたので合格点」と手応えを話した。村山の力走に櫛部静二監督(40)は「紘太は100点満点でしょう。スタート前は緊張していたが、よく走ってくれた」と大健闘のルーキーをたたえた。
 ジンクスを打ち破る。過去、予選会で関東インカレポイントによるアドバンテージタイムを使った大学はシード権を獲得していない。今回はその“壁”も越える。「前回は往路7位で11位に終わったので、また気を引き締めたい」と田村。油断をなくし、前回の“借り”を返す舞台は整った。




山梨学大・コスマス「狙って」7人抜き区間新…箱根駅伝
 山梨学大の3区・コスマス(4年)が1時間1分38秒の区間新記録を樹立。「記録を狙っていた。周りのことを考えず、自分の走りに集中したのが良かった」と笑顔で汗をぬぐった。上田誠仁監督(52)も「4年間の成長を感じさせる圧巻の走りを見せてくれた」とエースの快走をたたえた。
 16位でタスキを受けると、強い向かい風に悩まされたが、風向きが変わった15キロ過ぎにペースを上げ、7人を抜き9位まで順位を上げた。大会前日には尊敬する同郷の先輩・モグス(25)から電話で「最後まで自分を信じて頑張れ」と激励を受け、その言葉を力に変えた。
 大会前は「2区で記録を狙いたい」とエース区間挑戦に意欲を見せていたが、3年連続の3区起用。上田監督から「3区は往路の真ん中。1、2区でつまずいても、お前なら流れを引き寄せられる」と諭され、気持ちを切り替えた。
 「新記録を作ったけど、喜びは少し」とコスマス。続けて「何としてもシード権を取りたい。喜ぶのはそれから」と復路のメンバーの奮起に期待していた。




最高の出岐!9人抜きで青学大初の2区区間賞…箱根駅伝
 2区で青学大の3年生エース・出岐雄大が激走。1時間7分26秒で同大学初の区間賞をもたらし、チームも12位から3位に浮上。往路7位で3年連続のシード権獲得が見えてきた。一方で東農大の5区・津野浩大(2年)が大ブレーキ。体調不良を抱えながらレースに出場し、フラフラになって最下位でゴールした。首位・東洋大とは41分17秒もの大差をつけられた。
 小さな体から底知れぬパワーを発揮した。159センチ、54キロの出岐が、各大学のエースランナーが走る花の2区で青学大史上初の区間賞を獲得。昨年同区区間賞の東海大・村沢にも競り勝ち、「今の状態の120%が出せました」と笑顔を見せ、初の3年連続シード権獲得も視野に入る活躍には「チームに勢いを付けられた」と胸を張った。
 昨年も2区を走り、16位から11人をごぼう抜きしたが、今年は更に24秒上回るタイム。首位と1分27秒差の12位でタスキを受け取ると、9人を抜き去り、18秒差まで縮めた。この走りに原晋監督(44)は「上出来。出来過ぎですよ」と大絶賛。胸を突き出し、前傾姿勢で走る独特のフォームを指揮官は「まるで獲物を狙っているよう」と表現した。
 坂の多い街並みで知られる長崎市生まれ。実家近くの150段の石段を上り下りして通学せざるを得なかったため、自然と脚力が鍛えられた。中学からサッカーに打ち込み、長崎北陽台高でも当初はサッカー部に入部。だが「小さい頃からテレビで見ていた」という箱根路への思いが忘れられず、高校1年時の冬から陸上部に転部した。
 レース前は好調ではなかった。昨年12月中旬に疲労から右アキレスけんが腫れ、痛みに悩まされた。それでも練習は休まず、毎日1時間のマッサージでほぐした。腫れが引いたのは3日前だったが、レース中は「痛みはなかった」。スタート直前は験担ぎに地元の銘菓・カステラをパクリ。祖母・板坂美代子さん(76)がくれた地元の諏訪神社のお守りも身につけ、不安を吹き飛ばした。
 最終目標は「フルマラソンでオリンピック」。3月にはロンドン五輪の選考対象となるびわこ毎日マラソンに挑戦する。“ハンター走り”の小兵が、夢の五輪舞台まで駆け抜ける。
 ◆青学大の区間記録 箱根駅伝で、同大学史上初めて区間賞を獲得した。これまでは76年(第52回)に多田英農の6区で区間3位が最高だった。また、17回目の出場でようやくつかんだが、これは拓大の27回目、神奈川大の25回目、亜大の21回目に次いで史上4番目に遅い“名誉”だった。




東海大「2本柱」の故障響き8位…箱根駅伝
 東海大は総合3位を目標に掲げて臨んだが、首位・東洋大に10分9秒差の8位と厳しい往路スタートとなった。2区を任された村沢明伸(3年)は区間3位と力を出し切れず。11年の関東インカレ1万メートルで優勝し、山上りエースとして期待された5区の早川翼(3年)は14位に沈んだ。両角速駅伝監督(45)は「早川は力があるだけに残念。絶好調であれば違っていたと思う」と無念さをにじませた。
 「2本柱」の故障が響いた。村沢は11月末に左足を捻挫。早川も12月からスランプに陥り、本戦まで残り2週間に迫った段階でも、最後の2~3キロを残して練習を切り上げるなど本調子とは程遠いコンディションだった。「足が重くなってしまった」と早川は唇をかんだ。
 このままでは終われない。「何とかシード圏内に入りたい」と指揮官。9月にクロカンコースをキャンパス内に建設し、スタミナと粘り強さを必死に養ってきた。前回の復路は6区から4位を守り続けるなど意地を見せた。実力校が復路で本領を発揮する。




“伝説の道間違え男”国学院大・寺田4人抜き!…箱根駅伝
 伝説の男が、力で魅せた。国学院大は5区の寺田夏生(2年)が区間5位の1時間21分6秒と快走。チームを13位から9位に引き上げ、2年連続のシード権獲得に好発進を決め「100点というと自己満足になるけど、いい走りができたと思う」と笑みがこぼれた。
 前回、10区に出場し、残りの直線120メートルで右に曲がってコースを間違えるハプニング。そこからコースに戻り、再度城西大を抜き返してチーム初のシード獲得をもたらした。「コースを間違えた男」として、練習中に一般市民からも声をかけられるほど地元では一躍有名になったが「本当は力で有名になりたい」と思っていた。1万メートルの自己記録も更新できず「箱根でやるしかない」と心に決めて臨んだ山上り。レース直前は大好きなハードロックで気持ちを高め、今度は力を証明して見せた。
 前田康弘監督(33)は「寺田は状態の良さが結果で出た」と“ヒーロー”の活躍に満面の笑み。シード圏外11位の日体大とは1分46秒差。27年連続シード権獲得中の中大など、下位に強豪校がひしめいているが「ちょっとでも前に出て勝負をさせたい」と指揮官。目標の総合1ケタを、攻めの走りで決める。




関東学連選抜10位 流通経大・吉村が収穫…箱根駅伝
 10大学による連合チームは、1区に全日本大学駅伝1区区間賞の田村優宝(ひろたか、2年)、2区で予選会2位の佐藤佑輔(3年)という日大のエースコンビを投入。スタートダッシュを図ったが、田村は9位、佐藤も区間14位に終わった。
 指揮を執った日大の鈴木従道監督(66)は「1区が全て。田村が流れを作れなかった」と教え子を名指しで叱咤(しった)。田村は「非常に申し訳ない」と平謝りだった。
 収穫は5区の吉村大輝(流通経大1年)。10年の全国高校駅伝で鹿児島実の主力として初優勝したが、「強豪校に行くより、まだ出ていないチームで初出場した方が価値がある」と入学、区間8位と結果を出した。
 翌年の予選会枠が1つ増えることを意味する3年ぶりのシードへ、指揮官は「復路も力のある選手はいるので(総合10位以内を)確保したい」と意気込んだ。




日体大11位 1区・服部、天国の父に力走見せた…箱根駅伝
 右胸に喪章をつけた日体大が必死のタスキリレーを見せた。昨年12月18日、服部翔大(2年)の父・重夫さんが肺がんで死去。50歳という若さだった。「生前に区間賞を取る約束をしていた」という息子は任された1区で奮起。早大の大迫傑と白熱した先頭争いを繰り広げた。
 10キロの通過タイムは自己ベストの28分37秒。それを見た服部は「速すぎるかなと思って、弱気になってしまった」。直後から大迫には離されたが、最後まで粘り強く走った。区間賞には届かなかったが、トップと23秒差の2位でゴール。シード権獲得を狙うチームを大きく後押しした。
 その姿はチームメートも鼓舞した。2区の本田匠(2年)が4位でタスキをつなぐなど、4区を終えた時点でシード圏内の10位をキープ。だが、最後の5区で踏ん張れなかった。故障を抱える高田翔二(3年)に代わり急きょ出場した主将の鈴木友也(4年)が区間17位となり、11位で往路を終えた。
 「区間賞を取れずに残念」と服部はうつむく。だが、前回3区に続き2年連続の区間2位は天国へと旅立った父親にも十分に誇れる記録。今後の巻き返しも期待できる位置につける。「力のある選手がいるので何とかシードを取ってほしい」と鈴木主将。勝負は復路。服部の力走を無駄にするわけにはいかない。


中大12位 主将・井口がまさかの失速…箱根駅伝
 「打倒3強の一番手」と目された伝統校が、“ヤマ場”で泣いた。4区まで6位につけたが、5区の井口恵太主将(4年)が区間18位とまさかのブレーキ。「上りの途中から、足がしびれて力が入らなかった」とV争いどころか、シード圏外の12位まで順位を下げた。
 前回大会まで3年連続5区で、順位を上げた大石港与(みなと、現トヨタ自動車)の穴が埋まらず。「主将として最後の箱根。結果を残そうと思ったが、最後までチームに貢献できなかった」と井口は肩を落とした。
 それでも、指揮官は前向きだ。浦田春生駅伝監督(49)は、「井口は13位に落ちてから順大を抜き返し、意地を見せてくれた。復路の選手もそれを見せてくれると思う」と復路での逆襲を誓った。
 実績のある戦力が残る。前回10区で区間6位の塩谷潤一(3年)が同区に控え、補欠から8区に、同区間4位の新庄浩太(3年)を起用予定。「このタイム差。開き直って挑戦していきたい。焦らず、力通りの走りをすることが大切」と指揮官は冷静だ。シード圏内10位と1分58秒差。史上最多14回の総合優勝を誇る名門のプライドにかけて、28年連続シード権は死守する。


順大13位 5年ぶりシード権見えた…箱根駅伝
 5年ぶりのシード権が視界に入ってきた。順大は3区の田中秀幸(3年)が区間4位と好走するなど序盤から粘り強い走りを披露した。「全員がうちらしい走りをしてくれた。田中にはビックリしました」と仲村明駅伝監督(44)も手応えを口にした。往路13位ながら、シード圏内の10位までは2分5秒差につけた。
 昨年10月の箱根予選会は、9位ギリギリでの通過。箱根経験者は小高悠馬(4年)のみ。戦前は苦戦が予想されていた。箱根初出場の的場亮太主将(4年)は「花の2区」で、物おじしない強気な走りで1つ順位を上げた。「初めての箱根だったけど、力は出し切れた。シード権に向かって、後輩たちもやってくれると思う」と若き血をたぎらせた。
 「復路の順大」と称されてきた名門だ。復路では補欠から、双子のルーキー・松村ツインズの起用もありそうだ。兄・優樹(1年)は、1万メートル28分台で主要区間への配置が有力。「双子の起用は明日のお楽しみ。ミス無くつないでいくことが大事になります」と指揮官。3年ぶりに箱根路に戻ってきた紺色のウエアが、安定した駅伝で07年大会以来のシード権へと突っ走る。


国士舘大14位 現役選手のコーチがゲキ…箱根駅伝
 タスキの色を黄土色から青地に赤の縁取りに変え、心機一転の“新生”チーム・国士舘大は、22年ぶりのシード獲得へは出遅れた。ハイペースとなった1区で15位とつまずくと、その後もばん回することはできなかった。
 小川博之駅伝コーチ(33)は、実業団の八千代工業に所属する現役選手。元日のニューイヤー駅伝に出場して3区で11位だった。「筋肉痛ですけど、いい経験。(箱根の)1区のような気持ちで頑張りました」。選手、指導者として奮闘するコーチの姿は、選手たちにも大きな力を与えている。「競技者の気持ちを分かってくれるのですごくプラス。いい刺激になっています」と、2区を走った伊藤正樹主将(4年)。シード権獲得の10位とは2分46秒差。コーチがつないでくれた“タスキ”を胸に、復路で反撃を狙う。




神奈川大15位 シードへ淡々「粘っこく」…箱根駅伝
 シードへの道は遠かった。神奈川大は1区の小嶋直耶(4年)が区間18位に沈むと、2区の坪内武史(4年)も区間17位と両エースが失速。4年生で最初で最後の箱根路を走った小嶋は「5キロ、10キロ、15キロとすべて自己ベストより速いペースで付いていけなかった」と反省。大後栄治監督(47)は「1~3区で流れをつかめないと上位にいけない」と序盤の出遅れを嘆いた。
 目標の10位以内を下回る順位で往路を終えたが、最後に意地は見せた。5区の小堀佑真(4年)が粘り強い走りで区間5位と大健闘した。近年はスタミナ強化でクロカン練習を多く取り入れており、2月には横浜市の神奈川大中高の敷地内に専用コースも完成する。大後監督は「シード争いは大混戦だが、うちは淡々と粘っこくいきたい」と復路で逆転を誓った。


予選会1位・上武大16位 花田監督「まだ力及ばない」…箱根駅伝
 上武大は予選会トップ、初出場の全日本大学駅伝では6位で史上初のシード獲得と勢いに乗るはずだったが、箱根の大きな壁にはね返された。1区7位の滑り出しも、2区で14位に後退し最終的には下位に沈んだ。花田勝彦監督(40)は「まだ他校のエース級には力が及ばない。勝負強い選手を3、4人育てないといけない」と、今後の課題を口にした。
 4度目での初シードに向け状況は厳しいが、逆襲への策は残っている。復路では選手を変更し、坂口竜成主将(4年)を投入予定だ。運営管理車の中では、大学のある群馬の名物・ダルマが選手たちを見守る。昨年までは赤だったが、3年連続でシード獲得に失敗したことからスクールカラーの黒に変えた。「しっかりしたウチらしい走りを見せたい」と花田監督。空いているダルマの片方の目に墨を入れるためにも魂の走りを見せる。


帝京大17位 復路4年生爆発に期待…箱根駅伝
 4年ぶりのシード権獲得を狙うが、苦しい往路となった。帝京大の中野孝行監督(48)は「ある程度は予想していましたが、厳しい戦いでした。選手たちは精いっぱい戦った」と表情を崩さず振り返った。
 1区の神田純也(4年)が19位と、いきなり2分51秒差をつけられた。「ハイペースの展開は想定していたが、ついていけなかった。流れを作れず残念」と最初で最後の箱根での出遅れを悔やんだ。
 チームが目標とする総合8位へ、中野監督は「遠いです…が、可能性は0ではない。復路はいいメンバーを置いてますから」と、最も信頼する9区・渡辺、10区・稲葉の4年生コンビの爆発に期待する。高校時代は無名だった選手ばかりの“雑草軍団”はまだまだあきらめない。


中央学大18位 1区・芝山が出遅れ「情けない」…箱根駅伝
 厳しい船出となった。中央学院大は1区芝山智紀(1年)が20位と大ブレーキ。19位の帝京大にも1分35秒離され「情けない。気持ちの面で弱さがあった」とデビュー戦の結果を悔しがった。主将で2区を任された藤井啓介(3年)も区間11位と順位を伸ばせず、全区間で区間1ケタ順位の走者が出ないまま18位で往路を終えた。
 3年ぶりのシード圏内まで約7分差。川崎勇二監督(49)は復路に巻き返しを懸ける。山田侑紀(1年)ら期待の新人4人をエントリーしている。13校が一斉に芦ノ湖を出発するとあって、「今日は1人旅だったが、集団で走れれば違う。最後まであきらめる姿勢だけは見せたくない」と語った。


拓大に誤算 3区で詰められず19位…箱根駅伝
 前回7位ながら、シード落ちの大ピンチだ。拓大の岡田正裕監督(66)は「疲れました。2区まではまだいいと思っていたけど、3区で詰められなかった」と、期待のケニア人留学生ダンカン・モゼ(2年)が区間5位のタイムながら、15位から順位を上げられなかったことが誤算だった。
 5区では横山築主将(4年)が区間19位のブレーキ。完走後は一言も話すことができず、医務室へ運ばれた。岡田監督は「体調不良とは聞いてなかったが、主将としての重圧があったのかな。見抜けなかった私の責任」と主将を責めることはなかった。
 復路は「淡々とした走りで、1つでも2つでも順位を上げます」と指揮官。夏合宿40日で1500キロを走破し身につけた粘りの走りで反撃する。


 

東農大5区・津野が脱水症状 平成最大41分差もタスキつないだ…箱根駅伝
 右脇腹を押さえながら、何度も苦しそうに天を仰いだ。東農大の5区・津野が時に蛇行し、時に倒れそうになりながら、箱根の急斜面を上っていく。傍らで見守った前田直樹監督(52)も「途中で3度くらいやめさせよう、抱いて止めようと思った」。だが、意識が薄れゆく中でも足は止めなかった。最後は気力だけだった。
 悪夢は本番の朝に待っていた。本番前の練習を順調に終えた直後、突然、吐き気を覚え、嘔吐(おうと)。前田監督に伝わったのは午前10時半で、すでにメンバー変更は不可能だった。本人の「大丈夫です」という言葉で、前田監督も決断。「完走できる程度に走らせるしかない」と覚悟したものの、脱水症状は想像以上に深刻だった。
 トップの東洋大から遅れること41分17秒。平成に入ってからは、最大差だ。津野は弱々しい足取りでゴールにたどり着くと、すぐさま抱え込まれて医療用テントへ。真っ青な表情で、体を小刻みに震わせながら、点滴を受けた。そこで回復の兆しが見えたため、救急車での搬送は見送られたが、数時間は起き上がることはもちろん、まともに会話すらできなかった。そんな津野を駆けつけた仲間は毛布などで体を温め続けた。
 この日は2区の木下潤哉主将(4年)も1キロ過ぎで古傷の左アキレスけん痛が発症。数度立ち止まるなど、区間20位に終わった。主将は「自分がいけなかった」と唇をかむ。往路は負傷や体調不良に悩まされ続けた今季を象徴するような内容だった。それでも、津野を含め、誰ひとりタスキを止めなかった。
 「タスキを持ってきてくれたことが一番。津野は頑張ってくれた」と木下。死力を尽くした姿を胸に刻み、チーム一丸で復路Vを目指す。


(以上 報知)




柏原が柏原をぶっちぎった!/箱根駅伝
 東洋大の「山の神」柏原竜二主将(4年)が、最後の山登りを前人未到の大記録で締めた。5区(23・4キロ)を1時間16分39秒で走破し、2年前に自ら樹立した区間記録を29秒も更新し、4年連続区間賞を獲得した。チームも昨年記録した往路最高記録を、実に5分5秒も更新する5時間24分45秒の新記録で、史上4度目の往路4連覇。前回総合優勝争いで21秒差で敗れた、往路2位の早大に5分7秒の大差をつけた。4年間の思いが詰まった闘将の気迫あふれる走りで、チームは3度目の総合優勝に力強く王手をかけた。
 過去3年とは状況が違った。小田原中継所。2位早大に1分54秒差をつけ、柏原がトップでタスキを受けた。追う者がいない。しかし、山の神は山の神だった。「後ろで宇野、啓太(設楽)、憲二(山本)、田口が頑張った。次はお前の番だ!」。酒井監督のゲキに、闘将が熱いハートで応えた。
 最初の1キロこそ2分55秒と抑えめのペース。それでも箱根湯本駅の5・5キロすぎ、本格的な登りが始まると自然とスイッチが入った。追い越す相手は「2年前の自分」だ。9・6キロの大平台ヘアピンカーブを29分34秒で通過し、7秒上回る。10キロ地点は23秒、14・2キロの小涌園前は10秒更新。くねくね曲がりくねった急勾配の坂道が、ボディーブローのように体を痛めつける。表情は苦痛でゆがむが、ここから真骨頂だった。
 「1秒でも削り出せ」。昨年21秒差で敗れた悔しさがよみがえる。4年間戦ってきた仲間たちの顔が脳裏に浮かんだ。18・4キロの芦之湯フラワーセンター前は2年前より13秒短縮。山頂874メートルの天下の険を征服すると、あとは下りだ。「転んでもいいからドンドン攻めよう」。勇敢に大地を蹴り続けた。迎えたゴールの瞬間、3度のガッツポーズでテープを切った。前人未到の1時間16分台(39秒)で、チームも5時間24分45秒の往路区間新記録。柏原は「時計もあまり見なかったし、76分台は意識していなかった」とそっけない。それでも表彰台で、何度も白い歯を輝かせた。
 山が少年を大人に変えた。1年生で衝撃的なデビューを飾ると、2年で記録更新。だが、首位明大を抜いた際、相手選手の顔を何度も見たことを「にらんだ」「嫌みだ」とネットへ書き込まれた。大学3年の夏。周囲の目が気になり、部屋に閉じこもった。右ひざの故障も重なり、走れなくなった。酒井監督の計らいで東洋大を離れ、母校の合宿に参加。高校生の隣で「ハー、ハー」と泥にまみれ、ゼロからはい上がった。
 そして昨年3月11日の東日本大震災。故郷福島のため、都内での復興支援活動に参加した。目立つのは大嫌い。それでも自らの知名度を認識し、「僕が何かやることで被災地のためになるのなら」。苦手なメディア取材も積極的に受けた。この日見せた力強い走りの後には「1時間ちょっとの苦しさなんて、震災で苦しんでいる人に比べたら大したことない」。走りも態度も立派な「大人」だった。
 4度の5区で登った高さは3456メートル。走行距離93・6キロ、合計16人を抜いた。だが、そんな記録よりも記憶に残る。2位早大とは5分7秒差。1988年(6分9秒)以来の大差で、総合優勝はもう目前だ。柏原は「ゴールするまで気を抜かない。でも優勝したら泣くのかな、泣くんじゃないかな」。4年連続区間賞。山を完全踏破した男の爽快感があふれていた。【佐藤隆志】
 ◆2人目快挙 柏原が達成した4年連続区間賞は史上8人目。同一区間に限れば5区を74年から4度制して「山のスペシャリスト」と呼ばれた大久保初男(大東大)以来2人目の快挙。区間変更された06年以降の5区で首位が交代しなかったのは初、過去6大会は全て往路の最終区間で逆転劇があった。

(日刊)
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