勇者様の雑記帳

ゲーム暦40ウン年の勇者様の足跡が書き散らす日記。ゲームや映画、読んだ本などについて、好き勝手に書いています。

「砂と人類」を読んだ

2023-12-08 05:02:41 | 書籍
砂と人類~いかにして砂が文明を変容させたか~(ヴィンス・バイザー著。草思社文庫)


というわけで、「砂と人類」である。
この本は、皆がどこにでもあると思っている「砂」が、
現代社会にどれほどの影響を及ぼしているのか、
これからどうなっていくのか、をテーマとした本だ。

こういう内容の本は、これまでほとんど目にしたことがなかったので、
かなり興味深く読ませていただいた。

今、周りを見渡すと、
私たちの世界を作り上げている様々な構築物、
住宅、商店、学校、道路、諸々は、
「コンクリート」や「アスファルト」、あるいは「ガラス」によって、その大部分が出来上がっている。
街中だと、それこそ見渡す限りコンクリートに囲まれているといってもいい。

このコンクリートというのは、素晴らしい素材だ。
中に鉄骨を入れて成型することで、
どんな形にも仕上げることが出来るし、安価で、それなりの強度もある。
アスファルトもそうだ。日本中に道路が張り巡らされて、
日夜車や人が往来しているが、
これが成り立つのは、コンクリートやアスファルトの元となる「砂」が、
他の素材と比べて非常に安価に入手できるためだ。

「砂」というのは、それこそどこにでもある。
陸地や海の底、アスファルトを剥がすと、その下には土がある。
いくらでも手に入るし、どんどん使って、どんどん街を作ろう。
・・・というのは、これからも本当に可能なのだろうか?
というのがこの本の投げかけだ。

実は、建築物用のコンクリートに使える砂というのは、
一定の強度を保つため、ある種の形状の砂である必要がある。
サハラ砂漠には大量の砂があるが、アレはコンクリート素材としては不向きで、
実際に使えるのは、川や海の底に溜まっているような、角の取れていない砂に限られる。

世界の文明化が進み、これまで発展途上国とされていた国でも、
どんどん建設が進むようになってきた現在、
素材として使える砂の消費は、すさまじいペースで増えてきており、
もはや地球が雨や風によって作り出す、砂の供給スピードを遥かに上回ってしまっている。
こういうのは、他の資源についても同じことが言えるが、
例えば入手先を太陽光や風にシフトしようとしているエネルギーと違い、
砂は今のところ他に替えが効かない。
というのも、砂以上に安価に、大量に手に入れることのできる素材が、地球上には無いからだ。

ちなみに、砂を含め、人が消費し続けている地球の資源を、
今のレベルで確保し続けるためには、地球がだいたい1個半必要になるらしい。
世界で最ものびのびと暮していそうなアメリカ人と同じレベルで世界中の人が暮らしていこうとすると、
地球4個半ぐらいが相場になる、というのが著者のヴィンス・バイザー氏の意見である。
こういう状況は100年前には意識されなかったし、そうする必要もなかった。
100年後、世界はどう変わっているのだろうか。
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