東京都知事選挙で、各候補が提案している少子化対策について、
知人である保育所経営者がご立腹だ。
曰く、
「日本一出生率が低い東京都が、
巨大財源を背景に、他府県が対抗できないような独自の少子化対策を打ち出している。
それを見た周辺の若年層は、東京への転入意欲が高まるかもしれないけど、
実際に転入してみると、低収入に見合わない生活費の高さに、
とても子どもを産み育てる余裕が持てない。
結局、東京都に若年人口がどんどん吸い上げられるばかりで、
地方の少子化が一層深刻化することになる。
うちの園の経営を、一体どうしてくれるのか」
似たような論調の論説を、今日の新聞でも読んだが、
つまりまぁ、そういうことなんだと思う。
現状としては、東京都がブラックホールの様に若年世代を取り込んで、
むしろ地方の少子高齢化を加速化させている、と。
これが更に顕著な姿で現れているのが、お隣の韓国だ。
首都ソウルへの若年世代の一極集中が進んだ結果、
昨年度の合計特殊出生率は、0.72と過去最低を記録した。
首都ソウルの合計特殊出生率は0.55と東京以上に深刻で、
近い未来の東京と日本の姿が映し出されているとも言える。
結局のところ、生活基盤の安定化が確保されていない状況で、
教育や保育の無償化といった部分的な経済支援を行うと、
むしろ逆効果になってしまう、ということなのかもしれない。
東京都に限らず、今や日本中で取り組まれている、
保育や教育費の無償化は、既に子どもが生まれている家庭への「子育て支援対策」にはなるけれども、
結婚したり、子どもを産んだりする余裕がない単身世帯や夫婦にとっての「少子化対策」ではないと思う。
正直なところ、特に東京都に限っては、
根本的な解決にならない「少子化対策」はやめてほしい。