天下御免のすっとこどっこい

自分が読み返して「楽しかった」と思えることを書き綴っています。

11/17 南座 錦秋新派公演

2012年11月18日 | 舞台(歌舞伎以外)
昨日(11/17)京都南座 錦秋新派公演を観にいきました。



新派は4年振り。なんと今回は歌舞伎組メンバーが多数出演の滝の白糸。これは絶対観にいかねばと思いました。

1.滝の白糸(16:15~18:08)

滝の白糸 市川春猿
村越欣弥 井上恭太
南京寅吉 市川月乃助
お辰   市川笑三郎
春平   田口守
桔梗   瀬戸摩純

たまたま知り合った水芸の太夫滝の白糸と検事を目指す馬丁欣さん。
欣さんの夢をかなえるために仕送りを続ける白糸。しかし、舞台の公演も斜陽となり、仕送りを借金することに。それを盗み聞きされ、帰りに強盗にあう。どうしても欣さんに仕送りをという想いである家に強盗殺人。そして半年が過ぎ…。

最初の白糸が欣さんにほれるいきさつ。主な登場人物の台詞だけで説明されるのですが、クルマだ馬車だベットウだと、明治時代の交通移動手段がよくわからないため、どうして、白糸がうなされるほどそのベットウさんにほれたのかさっぱりわかりませんでした。
卯辰橋の場で白糸が欣さんに「私を抱いたでしょ。」という件でなんとなくわかる始末。
なんか高岡から金沢へ行く途中で抱きかかえられたんやなあと。
欣さんの格好が車夫さんぽい格好だったので、最初車夫さんかとおもったら、馬丁さんだったんですね。
番付に「馬丁(べっとう)」ってありました。
散切りものは難しい…。

春猿さんはずっと白塗りの女形、月乃助さんは昔の時代劇の悪役のような青いアイシャドー(?)で絵に描いたような悪者。
下座からお囃子も聴こえてきますし、春猿さん見得きってるし、七三で「おもだかやぁっ!」「しゅんえん!」と大向こうもかかったので、まるで歌舞伎を観ているような気分でした。
きっとこれが書かれたときは現代劇だったんでしょうが、約120年前が舞台ですから、十分時代劇ですね。

当然ですが、全場面春猿さん出ずっぱり。2列目からじっくり堪能できました。
卯辰橋の場で白糸が着ていた将棋の駒の絵柄の藍色のお着物に角出しのだらしなく結んだような(何結びかわからない)帯と、真っ赤なショールがかっこよかった。
石に腰掛けて、島田はしんどいからと髪を解いてぐるぐるまいて簪さしてましたが、どう楽なのかピンときませんでした。でも色っぽかったなあ。

水芸の舞台の準備と片付けの間は定式幕が引かれ、その間、実際に番付と手ぬぐいが売られていました。
楽しい演出。
本番の水芸も楽しかった。チューブで水がつながっているんだろうなと想像はつくのですが、やっぱり不思議に思ってしまいました。テレビ時代劇でしか観たことがない水芸。実際に観ることができて嬉しいです。
春平さんの頭から水が出てましたが、水袋でもぶら下げてはったんでしょうか。引っ込み際でも出して面白かった。

愛する男のために強盗殺人を犯してしまった女を、その金で検事になった男が裁く。
なんとも悲運なお話でした。

欣弥の銃声と舌をかんだ白糸。私の目の前で息絶えた白糸の目が忘れられないです。


2.麥秋(ばくしゅう)(18:38~19:45/20:00~20:41)

間宮志げ 水谷八重子
間宮周吉 安井昌二
間宮史子 波乃久里子
間宮康一 田口守
間宮紀子 瀬戸摩純
矢部謙吉 児玉真二
矢部たみ 英太郎

昭和29年、北鎌倉の間宮家。自宅を改造し医院を営む康一とその妻史子と二人の息子。康一の両親周吉と志げ。康一の妹紀子の7人家族。そして実は康一の弟に戦死した武が居た。志げはまだ戦死が信じられず尋ね人のラジオを聴く毎日。紀子は年頃だがまだ独身。そんな一家の日常。

なにやら小津安二郎監督の「麥秋」という映画を山田洋次監督が舞台用に脚本、そして演出の演目とか。
多分私の苦手系で、「絶対眠たいわ。2列目やしどないしょー。」って思ってました。
チラシがもう、眠たいぞオーラ満点ででしたので。

ところがどっこい!

あっというまの約2時間でした。
すばらしい!何がどう良いと聞かれたら、「全部」と答えるしかないぐらい、すばらしいお芝居でした。
私、こういう類のお芝居観れるんやと感心しました。

まず、ものすごく凝ったセット。お医者さんらしいお金持ちっぽい昭和29年と想像できるような居間と台所、そして玄関、階段。縁側の戸も実際開け閉めができ、風景画もまるで写真のよう。
2列目だったので絵とわかりますが、後ろから見たら本物のようだと思います。
つくり棚に無造作に置かれている箱類や、台所の木のしゃもじとお味噌を溶くざると、あとおろしがねなのか、大根をつくのかなんか羽子板みたいな木製の用具がかかっていました。何でしょう、さすがの私もわかりませんでした。
双眼鏡でじーーーーーっと見ても、本物にしかみえなかったです。
蛇口から水出てきそうなほどです。
いちばん細かいと思ったのが、居間の電球からコンセントをさしてアイロンがけをする件。
さすがに、それは知らなかったなあ。コンセントは電球からとるんですか。ほぉ。

幕間にお隣の年配の方たちがお話されてたのが、「私の家は台所が土間やったけど、お医者さんやからつながってるんやねえ。」へぇ~なるほど。

出てくる人物みんな魅力的で、原作がよいのか、演出がよいのか、俳優さんがよいのか…、
いや、すべてがいいんでしょう。

印象的な台詞も多かったです。
紀子の友人たちが「結婚した幸福って何。」という質問に史子は「夜片付けをしたあと、お風呂に入って、ねまきに着替えて、お布団に入ると、こどもがよって来る。その時かな。」

勝手に隣の謙吉との結婚を決めた紀子。史子の質問に「無くしたハサミ(だったと思います)が何処かへいって、すごくさがしてなかなかみつからなかったけど、目の前にあったってことあるでしょ。そんな感じ。」


今年の観劇予定はこれでおしまいです。すばらしいお芝居で締めくくられたこと嬉しく思います。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ランチパックカニクリーミー... | トップ | ランチパックハム&マヨネーズ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

舞台(歌舞伎以外)」カテゴリの最新記事