平成うきよの覚え書き

日々の出来事などを老化防止の為 書いてゆきます。

技術屋軽視

2011年04月08日 | Weblog
新ベンチャー革命の記事から転載させていただきます。
以下転載

東電および原子力安全・保安院の技術軽視体質が取り返しのつかない大失態を招いた (新ベンチャー革命)


1.新設投資にしか目が行かない東電経営陣のお粗末

 テレビ各局の報道番組は東電福島第一原発の模型を作って、連日、事故経過を根掘り葉掘り報道していますが、ろくな話はなく、国民もウンザリでしょう。

 3.11大地震から20日経ち、国民も事情がわかるにつれ、この事故は紛れもない人災であることに気付き始めています。

 ところで、東電は2010年9月29日、増資を発表し、5549億円を調達すると発表していました。そのうち、2200億円を青森県の東通原発1号機(注2)建設投資に充てると表明していました(注1)。

 しかしながら、築後40年も経た老朽原発・福島マークⅠ(1号機~4号機)の潜在リスクには目もくれなかったことが明々白々です。

 青森県東通村は六ヶ所再処理工場と非常に近く、確かに効率的です。

 東電の設備投資感覚に強い疑問符がつきます。

2.せめて津波対策用の非常用発電設備を増設しておけばこんなことにならなかった

 上記マークⅠ老朽機4基が津波で破局的事故に至ったわけですが、その原因はいくつもあった非常用電源が津波ですべて破壊されたことにあります。もし、津波で発電所が冠水しても非常用炉心冷却システム(ECCS)の電源を確保できていれば、破局事故に至らなかったのは明らかです。

 現状の非常用電源設備が津波で冠水すれば作動しなくなることは予めわかっていたはずですから、津波でそちらが壊れても電源喪失に至らないよう非常用バックアップ電源を別途増設しておくべきだったのです。

3.東電の技術系人材は電気工学出身者が主流

 電気事業は多種多様の技術資産(危険物含む)を必要としますので、電力会社にも技術系人材はおりますが、主流はやはり、電気工学系の人材です。そのため、原子炉の専門家は電力会社には多くないと思います。原子力工学系人材は東芝、日立、三菱重工などに行ってしまいます。また発電プラントの耐震設計の専門家も電力会社にはあまりおりません。耐震設計はプラント・メーカーの領域だからです。

 このような関係から、建設プラント・メーカーの手を離れた福島老朽機の耐震安全性を真剣に考える人材が東電にはいなかったと思われます。つまり、破局事故を起こした福島老朽機は東電内で完全に取り残されていたのではないでしょうか。

4.福島老朽機の潜在リスクを見破れるのはCTOである

 さて、筆者の専門はMOT(技術経営)ですが、企業においてMOTを統括する幹部をCTO(Chief Technology Officer)と言います。

 CTOは自社の技術課題を抽出し、解決する統括責任者です。東電の場合、東大工学部卒の武藤副社長がCTOとみなせます。

 武藤氏は本来、福島老朽機の潜在リスクを見破り、プラント・メーカーと相談して、耐震補強をすべき責任があったはずです。

 同氏が事前にそういう手を打っていたが、社長から却下されたのか、単に怠慢だったのかはわかりませんが、技術のかたまりである原発というシステムに潜むリスクを見破れなかったのは確かであり、同氏の不作為の罪は非常に重いと言えます。

 東電技術陣は東通原発建設を控えて、忙殺されていたでしょうが、その上に立つCTOは、常にマクロの視点から、自社の技術資産を俯瞰し、事前に潜在的問題点を摘出する義務があります。それができなければ、CTOの資格はありません。

5.東電に技術軽視の体質はないか

 東電は危険物を含む多くの技術資産を駆使して、電力供給を行う“サービス企業”ですから、社内に大小多数の技術資産(原発含む)を保有していても、製造業やプラント・メーカーとは異なります。その結果、サービス業の東電では技術系人材が社長になれる確率は非常に低いわけです。このような文系主導の技術資産マネジメント企業では、技術に囲まれながら、技術を軽視する体質が生まれがちです。

 その意味では、経産省の原子力安全・保安院で東電事故経過をマスコミに伝える西山審議官も東大法卒の文系官僚であり、経産省の技官軽視体質と東電の技術軽視体質には類似性があります。

 このような技術軽視体質の組織は産官学を問わず、指導層が技術の本質に精通していないことが多いわけです。

 この技術軽視体質によって、東電も原子力安全・保安院も取り返しのつかない大失態をしてしまったといえます。

注1:ロイター『東京電力が増資、約5549億円調達し原発設備などに投資』
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-17432520100929

注2:東通原子力発電所、ウィキペディア参照

注3:六ヶ所再処理工場、ウィキペディア参照

 転載以上
 地方の技術職員であった貧しい筆者の体験から、官庁の技術軽視の実態は明らかのように感じます。技術者は全く事務やさんの下請けと化し彼らの手足としてのみその存在を認められる、ということです。その結果、技術の研鑽を考慮せず、ただ事務屋の指示にいかに早く効率よく答えるか、あるいは彼らが何を欲しているかを速く察して行動するか、で評価されるということになり、これがますます技術軽視となり、技術の自殺行為となり、・・・・。

 私、如き取るに足りぬ一介の地方公務員の体験と、超一流組織の役所や、東電などとは比較考察することは出来ないかも知れませんが。
 本質(国民・国家・市・県民の福利)より体裁と自己保身(如何に言い訳するか)が招いた悲劇が今回の事故の本質と賢くも考える(愚考とは言わない)次第だ。

 

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