発題者 倉石 満
司会者 小舘美彦
記録 鷲見実三
司会者の食前の祈り、参加者12人の自己紹介の後に司会者より3つの問いかけが出され、それについて活発な討議がなされた。その内容を時間的に記述した。
まず司会者より「原発は本当にダメなのか。なぜダメなのか確認したい。」の問いかけがなされ、最初に被災地の方の発言を求め、その後次々に意見が出された。
○原発事故は反面福島でよかった。それは、東京、大阪等の大都市でなく福島の範囲で止まった。ドイツまで行ってきたが、再生エネルギーはコスト的に厳しい。自家分はある程度賄える。最終的にはエネルギーの自給を目指す。風評被害で影響を受けていない地区の米をはじめ、農作物が売れない。土壌汚染も完全に除染するのはほとんど不可能と思われる。
○被災者家族の分裂(残るか他の地域で生活するか)、避難先での軋轢等で住みにくいという例が多々ある。
○この事故は東電だからよかった。地方電力会社だと、これほど話題問題にならなかっただろう。ここで諸問題を明確にしていくことが大事だ。
ここで司会者から「ハッキリとダメと云わないといけない。何がダメなのか。」問いかけがあり、
○それは原料のウラン鉱の発掘そのものに問題がある。オーストラリアでは現場作業員の被爆の後遺症がある。被爆補償、処理方法も未解決のままである。除染した水は下流の田畑、地下水、川に影響をもたらす。
○放射能が発生する所では、必ず被爆する。現場作業は安全と言われているが計測そのものに問題がある。しかし、 エネルギーは必要、放射能を出さなければ良いがどうしても安いコストにシフトしていく。
○3人の被爆作業員が今後の生活のメドが無くなるのに告発したニュースがあったが、その後ニュースになっていない。
○原発は最高の頭脳・技術者が開発・推進した。彼らはこれらの問題をエモーショナリズムと言っている。原発は広島の原爆から繋がっている。被害者のDNAは壊され、後代に残されていく。これは、生物学者が解明できるのか、まさに神の領域に入ってきている。
米国でもGE、WH等も技術開発・研究しているが、解決されていない部分がある。例えば機器等(パイプ、バルブ等)は腐食するが、放射能があるため検査できない。福島の作業員はハイリスクだが、高賃金で働き、お金を貯え、持家をし、ローンを払い始めると発病している。又、ロボットを使える場所でも、安全でないことを裏付けることになるので使用していない。全て100%で行っていることが前提なので、ウソで固めてきており、ウソをつき続けるしかない。
○この世は神の被造物である。あの野の花でさえ自然の中で生き続けている。原発は核分裂を始めたら止まらなくなく。福島のように死と隣り合せている。人間の創り出した一番のアンコントロールなもの。人は無節操、無感動になっている。
○失敗したら取り返しができないものとなっている。
○原爆はヒットラーを殺すために研究・開発された。核分裂→武器→平和利用と繋がっているが、実は誤魔化しで、 原発を持っていることは、原爆を作れることだ。
○プルトリウムは半減するのに24万年、 ヨードは8日で1/2、16日で1/4となるが、放射能はアルミニウムに改変し、発ガン物質になる。チェルノブイリでも生物制限地域になっていなかった場所が、28年後に訪問した時は立入禁止地域となっていた。
次に司会者より「もし原発がなければ経済は成りたたないのか。」の問いかけが出され、以下の意見・考え方が出された。
○エネルギー使用の程度の問題である。簡素な生活を行えば成りたつ。ただ、どのエネルギーを選択・創り出していくかということになる。
○現在、原発稼働ゼロなのに成りたっている。
○長野ではソーラー設置が増えている。
○ドイツでは2030年原発全廃を打出している。今、具体的に成果が見えているわけではないが、どこまで物質社会を節減できるか、ライフサイクルを変えていくべき時が来ている。
○福島も各家ソーラー設置をしている。又、バイオマスを色々やりはじめている。
○ドイツのある町では10年計画で電気の地産地消をかかげ、今では全国から電気を買いにきている。
○原発は制御不可能が問題であって、制御処理が完結すれば問題ない。
○原発・核分裂は予測できないものである。ストレスの検討だけで良とするのは問題が残る。
○司会者から「代替が見つからない。代りになるものが必要だ」の発言あり。
○この問題は素人が討論してもしかたがない。
○そうではない。 大塚久雄は、「かつて英国は地産地消をもとに自国産業に活力し、輸出まで行い、国富を積み、世界へと経済圏を拡げた。」と指摘した。野田政権は、原発ゼロを目指したが、安倍政権は原発復活を進めているのは問題だ。経済構造を変えていくべきだ。最低限の電力は必要だ。電力消費の在り方、電力の蓄積等やるべきことをやっていくこと。かつて、大島正健を師とする石橋湛山は小日本主義を唱えた。
○司会者から飯舘村の地産地消についての質問があった。(福島からの参加に対し)
○エネルギーについては知らない。村長は農業の活性化、人材育成、人の活性化で実績をあげた。
○飯館村出身者が、四国で再出発をし、実践しはじめた。
○原発なしでも経済社会は成りたっていける。政府・産業界は電力の安定供給を建前にしている。
○当初原発については、技術もなかった。主な産業のない自治体が産業を呼ぶために、金と農地を交換していった。しかしそこに産業が来ないので原発や処理場がつくられる構造に変っていった。元に戻そうとするのが一般人の考えであるはずだ。
○もう一度、飯館村の基本理念に戻るべきだ。
○双葉町がいい例だ。産業は何もない。原発で潤おう。もう1基欲しいとなる。
最後に司会者から「これだけ悪い原発が無くてもやっていけるのに、しがみついているのは何故か」、「支持する人が多いのは何故か」の問いかけに次のような意見、考え方が出された。
○経済発展の為の国策(原子力産業の発展も含む)、大企業の利権が前提になっている。
○この原子力産業の発展は、表は経済発展としているが、裏はいつでも武器への転用という“暗い意志”が働いているのが窺がえる。
○今までの資本の論理は止められない。原発は未完の技術である。これはバベルの塔と呼べる。本来触れてはいけない神の領域である。
司会者から「これだけ問題のある事を推進している自民党を一般の人達が支持しているのは行政か」に対し
○自分達の生活を守ってくれていると思う党に投票する。そう思いこんでいる。
○これこそが国民の当事者意識が無いことを意味している。神の存在を持っていないからだ。
○まさに幻想に陥っている。飲みこまれている。
○これは教育に問題がある。自分の考えを、自分の言葉で発言することが海外に比べて極めて低い。付和雷同が大半である。
○それは個よりも集団を大事にしているから、神をもって個に立つべきだ。
○福島で被災した若い農業従事者(参加者のご子息)は次のように文書を書かれた。「自分は無知であった。それは自分の罪であり、このままでは神に赦されない。エネルギーの自立、産業の活性化等自分達でやれることを示すことが必要だ。被害者意識にひたり、無知、無学、無関心であった。学び直して進む。
○参加者のほとんどの人が政府も国民も反省が無い。国民は本当の事は知らされていない。
○アベノミクスに誑かされている。大企業が収益を上げると社員、下請が潤い、それが底辺まで拡がり、全員が潤うという論理は間違っている。現実は、大企業は過去最大の利益を上げているが利益は大企業に溜まったまま。それは大企業が投資する先が無いからで、有効需要が生れない。その結果貧富の差はますます拡がっている。
という意見が出された。
分科会を終るにあたって、司会者から発題者に発言を求めた。
○明治維新後、富国強兵、日清・日露・太平洋戦争へと進み、敗戦への道を辿った。戦後の日本復興から原子力発電へと歩んできた。日本人は当事者意識が無い。大きな問題があるのに気づいていない。戦前の中国・朝鮮で行ったこと、今回の福島のことも被害者に対して何もしていない。近年起こっていることは、神が何かお示しなさっている。一国として考えていかなければならない。