トーキング・マイノリティ

読書、歴史、映画の話を主に書き綴る電子随想

私たちの心はイスラエルと共にある その一

2021-05-24 21:30:57 | 世相(外国)

 中山泰秀防衛副大臣が5月12日に投稿したツイートに、「私たちの心はイスラエルと共にある」という一文があり、18日付の河北新報にも取り上げられていた。件のツイートは20日に削除されたが、これにパレスチナ側が反発したのは書くまでもない。以下は河北新報記事の後半からの引用。

自身のツイートを巡り中山氏は、記者団から適切かどうかを問われ、「テロから自国民を守る権利はどの国にもある」と反論した。
 これに対し、東京のパレスチナ常駐総代表部のシアム代表は14日の記者会見で「人種差別」「自衛という名目で(イスラエル軍に)殺された多くのパレスチナ市民に無礼だと非難した。
 イスラエル側は「われわれが聞きたいと思っていた意見だ。励まされた」(ストルロブ駐日臨時代表大使)と歓迎している。 

 仮に中山防衛副大臣が私人だったとしても、この発言に私は不快になっただろう。2016-12-26付の記事でも書いたが、私はイスラエルが大嫌い。己がイスラエルシンパなのは自由だが、他人も同じ思いであると勝手に一般化するな!と言いたい。
 自分が好きだから他人も同じと思うのは子供の見方だが、いい年をした社会人にもこの類が少なくない。中山副大臣のツイートは早速動画にもアップされており、なかなか香ばしい書込みや中国語のコメントも見られた。



 全員ではないにせよ、日本人クリスチャンやキリスト教研究者は総じてイスラエルシンパなのだ。イスラエル擁護するのは自由だが、戦時中にユダヤ人を虐殺したドイツと同盟した日本を糾弾し続けるクリスチャンもいる。日本人クリスチャンには反日種族が多く、日本非難をせずにはいられないのだ。

 だが、ユダヤ人虐殺をいえば最もそれに血道をあげたのがキリスト教徒、ことにカトリックだった。この類はキリスト教徒によるユダヤ人虐殺には触れぬばかりか、十字軍、近代の欧米帝国主義の尖兵的存在となったキリスト教宣教師にも口をつぐんでいる。
 そして近代、ポグロムを精力的に行った国の一つこそ、カトリック国ポーランド。もちろん連中は70年経ても続くイスラエルによるパレスチナ人へのナチスと遜色ない人権蹂躙には言及しない。

 このようなことを書くと、連中は「アラブびいきの人」と解釈するが、短絡的願望解釈とレッテル貼りを兼ねているようだ。特に私の様に中東に関心を持つ日本人は、「アラブびいきの人」と誤解されやすい。中東に興味を持つこと自体、日本では特異な人物と思われている。
 拙ブログを読まれて頂ければ解るはずだが、私はイスラム批判をかなり書いており、決して「アラブびいき」ではない。親中反日傾向の強いユダヤ人並びイスラエルは大嫌いだが、アラブも実は嫌いだ。異教を絶対認めないイスラムのような宗教を生み出した民族には、やはり好感は覚えない。

 イスラムは寛容と強調するイスラムシンパはネットでも少なくないが、少しでも調べれば実態は違っていることに気付くはず。コーランには神の怒りに触れた異教徒が、サルまたはブタとされたという記述もある。
5-60.言ってやるがいい。「アッラーの御許の応報で、それよりも悪いものを、あなたがたに告げようか。それはアッラーが見放した者、御怒りを被むった者、サルまたはブタとされた者、そして邪神に仕える者、かれらは、最悪の境地におり、(正しい)道から遠く迷い去った者たちである。

『イスラム教再考 18億人が信仰する世界宗教の実相』(飯山陽 著、扶桑社新書)第3章「イスラムは異教徒に寛容な宗教家」か、にはキリスト教徒をブタやサル呼ばわりするエジプトやインドネシアの例が挙げられている(84頁)。
 2011年4月、エジプトのキナー県コプト教徒が知事に任命されたことに対し、1万人以上のムスリムが「あいつは不信仰者のブタだ!」「ブタ野郎などに支配されてたまるか!」等と怒号を上げながら抗議デモを行い、知事はたちまち解任される。
 インドネシアのスラバヤでは2019年8月、メラネシア系キリスト教徒のパプア人学生がインドネシア国旗を破損したという噂が広まり、イスラム教徒住民や警官がパプア人学生の寄宿舎を取り囲み「サル!」「ブタ!」と侮蔑的な言葉を浴びせたことをきっかけに、パプア人が「我々はサルではない!」とプラカードを掲げてデモを行い、暴動に発展したそうだ。

 幸いこの新書は3章まではネットでも見られ、先に引用した個所も載っている。これだけでバーナード・ルイスが著書『イスラーム世界の二千年――文明の十字路中東全史』で、“聖なる差別”と表現したのも頷ける。
その二に続く

◆関連記事:「イスラエル大嫌い!
イスラエル・ロビー
イスラエルを擁護する人々
ネット・パトロールに躍起になるゴイム達

よろしかったら、クリックお願いします
   にほんブログ村 歴史ブログへ



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (鳳山)
2021-05-24 22:54:08
今回の紛争、イスラエルもハマスもどっちもどっちだという感想です。一番の被害者は巻き込まれたパレスチナの民衆で、ハマス側も人間の盾にしていますしイスラエル側も全く躊躇せず空爆しています。

日本は平和ボケの中にどっぷりつかっているので世界の厳しい現実が見えないんでしょう。
返信する
鳳山さんへ (mugi)
2021-05-25 22:58:10
 今回に限りませんが、ハマスは子供や女性を「人間の盾」にしていることを隠そうともしません。しかし日本のイスラムシンパはそれには言及せず、全てイスラエルが悪い!で済ませます。事実を指摘する飯山氏のような研究者を差別主義者と誹謗中傷する始末。ハマスの様な卑怯者同士、ウマが合うのでしょう。

 イスラエル法相アイェレット・シャクド(♀)など、「パレスチナの母親たちも皆一緒に地獄に行くべきだ。そうでもしないと、また小賢しい〈ヘビ〉たちが生まれ育てられる」とツイートで公言する極右タカ派。これが世界の極右です。
返信する