面白く、そして下らない

私は批判をして何かを為した気になっている大衆の一人に過ぎないが、何か少しでも波紋を起こす小石になれればと書いている。

郵政民営化という愚挙

2019-03-20 18:20:40 | 政治
~~引用ここから~~
「振り込め詐欺と変わらない」郵便局員、違法営業の実態 背景に過重なノルマも
2019年03月18日 06時00分 (西日本新聞)


 長年培った地域からの信頼を逆手に取り、高齢者に不必要な保険契約を結ばせる。客に不利益になるような保険の「乗り換え」を勧める…。日本郵便の内部資料で明らかになった不適正な営業の実態。民営化以降、全国の郵便局では収益の向上が求められており、専門家は「現場に過重なノルマが課されていることが一因」と指摘する。

 「認知症の父は契約内容を理解できていないのに契約を結ばされた」

 「90歳の父の月額保険料が50万円近くになっている」

 「高齢者をだます振り込め詐欺と変わらないのではないか」

 内部資料には、客や家族からの苦情が多数記されていた。日本郵便が昨年12月に全局員向けに出した文書には「全国の消費生活センターへ寄せられた生命保険についての相談件数は、他社が減少する中、郵便局に関しては増加傾向にある」との記述もあった。

 同社は対外的には「郵便局への苦情は減っている」と説明しているが、九州のある局員は「客に納得してもらって穏便に済ませた案件もあり、改善されているとは言い難い」と明かす。

 2015年度以降に発覚した不適正な事案の中には、局長自らが法律で義務付けられた説明を怠ったり、局内の不祥事を隠蔽(いんぺい)したりしたケースもある。

 別の局員は「高齢者は郵便局員だと名乗ると安心して家に上げてくれる。そこにつけ込んで高齢者をだますような行為が続けば郵便局への信頼が失われてしまう」と危機感を募らせる。

   ◆    ◆

 「平日に時間がなければ土日に営業しろ」「給料はどこから稼ぐんだ」。九州のある郵便局では、毎日のように幹部から営業成績を伸ばすよう指示されるという。外回りの営業局員だけに設定されていた「営業目標」は5年ほど前から窓口担当にも課されるようになった。達成できなければ、反省文の提出や研修会への参加を命じられるという。

 日本郵便は「個々の局員の営業目安は、局員が納得する形で設定している」と説明するが、「営業先は増えないのにノルマだけが重くなり、精神的に追い詰められて退職する局員が増えている」(局員)。目標を達成するため、客の保険料を立て替えて処分されるケースも相次いでいる。

 熊本学園大の坂本正シニア客員教授(金融制度論)は「利益至上主義に陥るのではないかという、民営化当初に懸念していた事態が現実に起きている」と指摘。不適正な営業をした局員自身の問題を踏まえた上で「そのような状況に追い込んだ経営陣の責任も重い。地域社会を支える役割をどのように果たしていくのか、経営理念をしっかりと提示してほしい」と話している。

=2019/03/18付 西日本新聞朝刊=
~~引用ここまで~~


郵政民営化の結果がこれだ。竹中平蔵は郵政民営化で何もかもが良くなる「バラ色の未来」を掲げたが民営化で良くなったことはとくにない。

それどころか利益至上主義に陥り、局員に無理なノルマを課して高齢者を騙す事例が頻発しているようだ。これが小泉純一郎と竹中平蔵が日本中を騙して郵便局を民営化した結果だ。

冷静になって考え直せば、郵便局が国営で何の不利益もなかった。郵便局は全体で黒字で税金で補填する必要もなかった。逆に官の立場を利用して儲けすぎということもなかった。

銀行業界からは多少文句をつけられていたが、むしろ民営化後の方が「民業圧迫」は酷いのではないだろうか。

「民営化」後の郵便局は全国約2万の郵便局で米国企業アフラックのガン保険を独占販売している。「民営化」とは何だったのかと言いたくなる事例ではないか。米国への利益供与か?

「既得権」として特定郵便局長が「世襲」ということで批判を受けたが、小泉純一郎その人が小泉進次郎に国会議員職を「世襲」させている。

国会議員は選挙の洗礼を受けていると言う人もいるだろう。しかし首相になるような人の子供は落選はまずあり得ない。強固な支持基盤を固めていて知名度も高い。選挙資金も親から受け継いでいる。選挙は社会的手続きでしかない。

それなのに当時自分は郵政民営化を支持してしまった。恥じ入るしかない。ただひとつ言い訳をさせて貰えば郵政民営化選挙の際は自分は未成年で選挙権がなかった。

だが選挙権があれば小選挙区、比例ともに自民党に入れていただろう。未成年とはいえ賛成の「風」を作ってしまった責任もある。とくに世論調査に賛成したわけではないのだが。

安倍晋三と竹中平蔵は郵便局どころか水道局まで民営化しようとしている。しかし自治体首長の99%(わからないとの回答も多いが)は水道民営化に反対のようで、宮城県内の市町村、静岡県浜松市、大阪市以外はひとまず安心してよさそうだ。

「民でできることは民で」のスローガンが正しいと思ってしまった。利益を上げることが使命の民間に比べ効率は悪くとも社会的責任を果たす官の方が良い事業があることに思い至らなかった。

さらに言えば国鉄の民営化さえ成功とは断言できない。JR西日本は福知山線で脱線事故を引き起こし多数の死傷者を出した。国鉄なら起きなかった、とは言わないが。

JR北海道とJR四国は経営が苦しい。とくに赤字路線が多いJR北海道は苦しい。満足に整備もできない。だましだましやっている。赤字路線も地域の人には欠かせない足だから、簡単には廃線にできないのだ。

交通機関は都市部の黒字で郡部の赤字を補填する。そういう構造になっている。国鉄時代は首都圏や近畿圏の黒字で北海道や四国の赤字を補っていた。

それが分割民営化で北海道や四国は「独立採算」でやれということになった。しかし明らかにJR北海道は無理だ。経営的にはお荷物だが、JR東日本かJR東海に吸収合併させるしかないだろう。地域の「足」を守るためには。

結局国鉄の分割民営化は中曽根康弘による新自由主義と「総評」潰しだったのだ。国鉄が保有する資産を市場価格で売却できれば累積赤字も解消できたと言われているくらいなのだから。

労働組合は加入者の激減もあってか近年は元気がない。交通機関でストライキなどされては堪らないが、労組が弱いと労働者の立場も弱くなる。

韓国のように強すぎても問題だが、日本のように弱すぎても問題だ。ただ日本でも旧社会保険庁の労組やゴーンが大鉈を振るう前の日産の労組など、局所的に「強すぎる労組」もあってそれは職場そのものまで破壊してしまった。

官公労系の労組は左過ぎて公務員の待遇改善より政治活動ばかりしていて嫌だ。大企業の労組のように御用労組化しても困るが。

左翼や旧社会党を支持する強い労組が邪魔だからとそんな理由で民営化してはならない。結局は国民に不利益になる。反動からか中曽根康弘と小泉純一郎の後の内閣は短命内閣が続き最終的に自民党は下野した。

郵政民営化後の郵便局は無理なノルマの強制で高齢者を騙す事例が頻発している。郵便局でのアフラックのガン保険の独占販売も問題だ。その反面民営化の「果実」はない。

こういったことを野党が国会でも国会の外でも国民に広く訴えれば、郵政民営化がおかしかったということになり国営に戻るかもしれない。もちろん野党が総選挙で勝てばだが。

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