政治家「又市征治」という男

元政治記者の私が最も興味を持った政治家、それが又市征治だった。その知られざる人物像に迫る。

国民生活と財源

2007年07月07日 | Weblog
 初当選を果たした又市征治は選挙中、「国民が求める改革とは、雇用創出と年金・医療・介護や福祉の拡充を中心とした《国民生活優先の政治》だ」と説いた。

 しかし、小泉構造改革によって大量のリストラ・失業が生み出されていった。また年金・医療・介護や福祉は「拡充」どころか、国民の負担は増やされ、給付は減らされていった。
 その後さらに定率減税の廃止、各種控除の見直しなども行われていく。

 又市は、地方の労働組合の一役員に過ぎなかった時代から、福祉に執念を燃やしてきた男である。このようなことを黙っていられるわけがなかった。

 「消費税を年金などの財源に」というのはよく聞くが、一定の財源さえ確保できれば、何も消費税を上げる必要はない。逆に充分な財源があれば、小泉が切り下げてきた年金や医療や介護、障がい者福祉などを回復することもできる。

 野党はその財源として、法人や高額所得者への減税措置をやめることや、防衛費削減や公共事業の見直しなどを挙げてきた。しかしこれらの策を導入しようとすれば与党は必死で抵抗するであろう。それこそ政権交代でもなければ無理だ。

 今そこで国民が苦しんでいる。そしてもっと苦しめられようとしている。悠長なことは言っていられない。そこで又市は特別会計に着目した。

 通常、国会で審議される国の予算は、一般会計と呼ばれるものである。金額にして約80兆円、純支出で35兆円弱のものである。しかし、これとは別に、長期的に取り組まなければならない事業などに充てるための特別会計という予算もある。この特別会計は金額にして約460兆円、純支出で約225兆円という膨大な予算なのだ。一般会計を表とし、特別会計を裏とするならば、裏が表の7~8倍という規模になる。これだけの予算が国会でろくに審議もなく執行されているのである。

 しかし、又市以外の議員は、これまでこの特別会計には触れようとしなかった。まず、この特別会計は恐ろしく複雑で難解だったのだ。どこからどう金が来て、どこへ行き、どう使われるのかということが、一見しただけでは全く分からないようになっている。さらにこれに触れようとすれば、特別会計を食い物にしてきた省庁や官僚たちの抵抗は大きい。どのような反撃が待っているかも分からない。さらに、特別会計には利権が絡むものも多くある。特定の企業へのばらまき補助金のようなものも多く潜んでいる。自民党や民主党のように政治献金を得ることに血道をあげるような政党ならば、そこにメスを入れるより、そこから献金を受け取る道を選ぶだろう。

 実際、自民党や公明党、民主党は、この特別会計に切り込むことに難色を示した。
 テレビの討論番組で、「特別会計に切り込んで、その無駄を国民に還元すべきだ。」と唱える又市に、自民党の幹事長だった武部勤は、「そのような無駄は一切ありません。」と即座に否定した。公明党の幹事長だった冬柴鐵三は、「どれだけやってみたって、一円も出てきませんよ。」と小馬鹿にしたような笑みを浮かべた。

 その頃、民主党の代表だった前原誠司にも、又市は「民主党は公務員給与2割削減と言うが、国の人件費を2割削っても1兆円しか出てこない。特別会計に切り込めば何兆円も出てくる。これを国民生活の向上に充てるべきじゃないか。」と言って協力を打診したことがある。これに対する前原の答えはこうだった。「そんなことより、公務員を叩いた方が票になりますから。」この前原をはじめ多くの民主党議員は、実際の効果より、票になるかならないか、ということにしか興味を示さない。

 こうした彼らの言動が又市の闘志に火をつけ、それをさらに燃えたぎらせていた。
 自身が唱えた《国民生活優先の政治》という「本当の改革」のために、又市は力を注いでいったのである。
(敬称略)

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