政治家「又市征治」という男

元政治記者の私が最も興味を持った政治家、それが又市征治だった。その知られざる人物像に迫る。

超党派の「護憲議連」構想

2007年07月28日 | Weblog
 平成19年の国会は荒れに荒れた。
 野党共闘から離脱した共産党を除く3野党は、2月に党首・幹事長会談を開き、再び結束を確認した。
 閣僚の相次ぐ失言と暴言、次々と明らかになる「政治とカネ」の問題、閣僚の任命権者である安倍晋三の遅い決断は、現職閣僚の自殺という悲劇を生んだ。さらに安倍は、野党からの追及から逃げるかのように極端に強引な国会運営を行っていく。強行採決以外に法案成立の方法はないのではないか、と思えるほど与党は強行を繰り返していった。

 さらに問題は浮上し、沸騰する。「宙に浮いた」「消えた」と言われた年金記録問題で国民の怒りは頂点に達した。年金の給付が削られ、さらに年金にも課税されるようになった。それだけでなく、今度は誰のものか分からない記録が5千万件以上もあるという。
 「暮らしていけない」という国民の悲鳴に、住民税の増税が追い討ちをかけた。
 それでも与党は多くの法案審議を打ち切り、強行採決を繰り返し、しまいには安倍内閣や与党の問題で時間が足りなくなったというのに一方的に会期延長を決め、さらに強行採決を積み重ねた。

 このように強行された中に、日本国憲法の改正手続に関する法律、いわゆる国民投票法があった。この成立によって安倍政権は「任期中の新憲法制定」を目指し、平成22年秋の憲法改正発議を目ざしていた。
 この法案の審議にあたって、自民・公明両党は民主党との連携を模索し続けた。3年後の改憲案発議の際、民主党の協力がなくては発議に必要な、衆参両院での3分の2という議席数は確保できない。手続法の段階から自公民3党の協力態勢を作っておくに越したことはない。

 しかし、自民党の新憲法草案はあまりにも近代以後の立憲主義の概念とかけ離れている。又市征治をはじめ社民党議員はそこを突いた。

 「憲法とは国民を守るために権力を縛るものだ。自民党案にその憲法観があるか。」
 「中立公正な法案などではない。自民党の草案を押し通すためのシステム作りだ。」

 民主党も枝野幸男をはじめ弁護士出身の議員が多く抱えている。多少なりとも法理論を学んだ人間ならば、自民党の憲法観が、国民を縛り、権力を強化する内容であることは分かる。又市らの説得に、民主党の多くの議員も「立憲主義さえ理解してない自民党と、憲法改正は語れない。」と与党との対決姿勢を強めていった。
 国民新党は「憲法改正には賛成の立場だが、国民に幅広く理解を求め、合意形成を図るべきなのに与党の国会運営は強引過ぎる。」と非難した。

 憲法問題で民主党を与党に歩み寄らせないというのも、野党共闘で絶えず又市が呼び掛けてきたことや、法案審議の過程で社民党が、与野党間の憲法観の違いを明確にしてきたことの成果だった。参院選でも社民党は、勝敗の鍵を握る一人区で野党間の選挙協力を進めながら、候補者を通じて民主党・国民新党との間に「現行憲法を尊重し擁護すること」という政策協定を結んでいった。
 又市は彼らに、言うなれば「護憲の楔(くさび)」を打ち込んでいたのだ。

 憲法を守るという一点で連携できる議員を国会に送り出し、参院選後には超党派の「護憲」議員連盟を作る。

 これが又市征治の構想だった。

 社民党や共産党だけでは憲法を守り抜くことはできない。自民でも民主でも公明でも国民新でも、「いま憲法を変えるべきではない」「自民党新憲法草案のような国家主義色の強い改憲には賛成できない」という議員と幅広く連携していく必要がある。現実主義者である又市らしい発想である。とことん野党共闘を追求し、そのまとめ役となってきたのは、このための布石でもあったのかもしれない。
 あの辛口で知られる評論家の佐高信が、又市を「護憲の要石」と高く評価しているのも頷ける。
(敬称略)

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お久しぶりです (M・T)
2007-10-26 00:51:46
sararinさん、お久しぶりです。
お元気でお過ごしでしょうか。
さて、私はある依頼を断りきれず、8月下旬頃から記者稼業に戻ってしまいました。
最近では、会社から給料や取材費をもらって取材して得た情報を、すぐにネット上に流すような若い記者もいますが、古いタイプの私にはそれができません。「元記者」だったときは書けたのに、「現役」だと気が咎めて書けなくなってしまうのです。

ところで、確かにメディア上では又市氏の露出が少なくなってきています。しかし先週の参議院の総務委員会理事懇談会や野党国対などでは、相変わらずの存在感を発揮していたようです。
7月の選挙により、参議院では民主党が第一党となり、その後の統一会派戦術によって119名の会派を構成しています。しかし、参議院の過半数は122議席であり、社民党か共産党の支持を取り付けなければ、民主党の法案すら通りません。言わば社民党はキャスティングボートを握っています。「交渉巧者」である又市幹事長の腕の見せどころと言えるでしょう。

お尋ねの件ですが、残念ながら私はこのブログしか持っていないのです。もともと私はインターネット初心者です。「六十の手習い(還暦にはまだ数年あります。念のため)」のつもりで書き始めたものなのです。いずれまた引退し、「元記者」となったときに、第二部として書きたいと思います。

最後に、いつかは作りたいと思っていた目次がようやく完成しました。「HTML」という言語はややこしいものですね。でも、これで少しは読みやすくなるのではないかと思っています。

長々と申し訳ありません。これからもどうかよろしくお願いします。
Unknown (sararin)
2007-11-05 14:40:03
ご丁寧なお返事ありがとうございました
現役にお戻りとのこと、やはりM・Tさんのお力は引く手あまた
そしてまだまだ五十代半ば、
現場がそのような方をほっておくはずはないでしょう
すごく納得です
どうぞ、くれぐれもご自愛の上、
今まで以上に存分なご活躍をお祈り申し上げます

それから、政治家「又市征治という男」は《第一部完》なのですね
ということは、続きがあるものと期待してよろしいですよね
いつの日にか、第二部、三部とM・Tさんの筆で書かれたものを
拝読させていただく日を楽しみにしております

*第一部、目次が付いてとっても読みやすくなりました
*他のものを執筆されたときは、ぜひデカヨーキーブログのほうに教えてくださいね こちらも時々拝見しに伺います
 

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