政治家「又市征治」という男

元政治記者の私が最も興味を持った政治家、それが又市征治だった。その知られざる人物像に迫る。

党首・幹事長会談へ

2007年07月22日 | Weblog
 野党共闘を裏切り、与党に歩み寄る民主党に筋を通させるためにも、4野党の党首を集めようと考えた又市征治だったが、これは簡単な話ではない。

 代表・委員長・党首、いろんな呼び名があるが、要するに政党のトップである。そのトップどうしが話をし、合意したとなれば、その合意の重みは大きく、お互いに一定の拘束力すら持つ。その意味が重すぎるがゆえに、これまで全野党を集めた党首会談というのは4年前の夏から行われていなかった。

 さらに民主の小沢、国民新の綿貫は保守色が強く、理念的には共産、社民との間には大きな溝があった。とりわけ共産は元々、自分たち以外の政党を敵視しながらこれまでやってきた閉鎖性がある。その委員長が、呼ばれたからといって簡単には出てこない。民主や国民新にしても、共産と同席してもメリットはないし、民主は野党共闘を裏切ったばかりである。社民の福島もこの手の話にはあまり積極的ではなかった。そう簡単な話ではないというのは、そういうわけである。

 しかし又市征治という男は、これを1日でやってのけたのである。

 平成18年6月22日、又市は社民党内で野党党首会談を提起した。党としての決定ということで、まず福島の消極姿勢に釘を差したのである。
 その後、又市はすぐに民主の鳩山と会う。鳩山は「小泉首相の訪米前に、民主党が呼び掛ける形で党首会談を実現し、小泉首相を追い詰めよう。」という言葉で乗せた。もちろん代表の小沢にも趣旨を説明し、根回しをした。民主に対しては一応、野党第一党だということで持ち上げてかかったのである。

 民主党からは、すぐに呼びかけの文書が発せられた。
 その文書が共産、国民新に届く頃には、又市は既に両党の説得を終えていた。
 共産には米軍再編と基地機能強化の問題に重点を置いて説明し、国民新には郵政民営化の見直しを、と持ちかけた。

 たった1日のうちに4野党党首会談が決定したのである。しかも、党首だけでなく幹事長クラスも同席の会談である。これは平成14年の前回野党党首会談でも実現しなかったことである。実務者である幹事長を入れることによって、この合意文書に、より強い拘束力を持たせようと又市は考えたのだ。そしてその文案づくりには、各党と調整を行ってきた又市自身が当たった。

 2日後、党首会談に先立って又市と鳩山がその文案について事前に協議を行った。鳩山はそこにある1項目について、顔を曇らせた。

 「又市さん、この米軍再編問題は、うちもだが綿貫さんのところ(国民新党)も乗れないんじゃないだろうか。」

 又市は笑って「心配ない」とだけ答えたという。

 そして、各党の党首・幹事長がその会場に集まってきた。いよいよ会談が始まろうとしていたのである。
(敬称略)

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