平成13年、又市征治が出馬を決意して全国を駆け回っているとき、低支持率にあえいでいた森喜朗内閣が退陣を表明する。夏の参院選に向けて民主党をはじめ野党は「押せ押せ」の感があった。
そこに「本当の敵」が登場することになる。小泉純一郎である。
4月、小泉は「自民党をぶっ壊してでも改革を!」と叫んで世論を味方につけ、総理総裁におさまる。組閣では、ワイドショー受けする田中眞紀子を外相に就け、ますます人気を博していく。
このときの民主党の代表は鳩山由紀夫だった。それまで鳩山は「改革」を訴えて来たのに、小泉にお株を奪われた形となった。鳩山は「小泉さんのは本当の改革ではない」「私たちこそ本当の改革が実現できる」などと繰り返したが、その存在はかすんでいった。
そもそも彼らの言う「改革」は、漠然としてとらえどころのない代物だった。何を変えるのか、どう変えるのかという議論もなく、「改革」といえば良いことだと思わされ、「改革に反対する者は抵抗勢力」という小泉に手を叩いた。まるでかつてのソ連や中国の「革命」「反革命」のようなものだったのだが、当時の国民はすっかり小泉の催眠術にかかっていた。
しかし、又市はその頃、いち早くその「改革」の本質を見抜き、警鐘を鳴らしていた。
「小泉首相の言う『改革』とは、国際的競争力のためと称して、あらゆる産業でリストラを徹底することであり《弱肉強食の競争社会づくり》をおし進める一方、憲法9条の改悪による《戦争のできる国づくり》を進めるものだ。」
「いま国民が求める改革とは、雇用創出と年金・医療・介護や福祉の拡充を中心とした《国民生活優先の政治》と、世界政治の趨勢である《平和憲法を守り活かしていく政治》の実現だ。」
又市が所属する社民党も、この参院選にあたってテレビCMを作った。そこには次のフレーズがあった。
「本当に怖いことは最初、人気者の顔をしてやってくる。」「今しかない。戦前に戻らない道を。」
世論の、小泉小泉の大合唱の中、民放各局はこのCMの放映を拒否した。その頃、テレビでも、また新聞雑誌でも、小泉人気に水を差すものは敬遠されていた。
今ほどインターネットも普及しておらずブログなどもない時代である。どれほど的を得た批判や評論であっても、メディアで取り上げられなければ注目されることはなかった。
マスメディアを味方に付けた小泉純一郎という「本当の敵」は、大変な強敵だった。
こうして平成13年の参院選は、与党優位のまま投票日を迎えることになる。
(敬称略)
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そこに「本当の敵」が登場することになる。小泉純一郎である。
4月、小泉は「自民党をぶっ壊してでも改革を!」と叫んで世論を味方につけ、総理総裁におさまる。組閣では、ワイドショー受けする田中眞紀子を外相に就け、ますます人気を博していく。
このときの民主党の代表は鳩山由紀夫だった。それまで鳩山は「改革」を訴えて来たのに、小泉にお株を奪われた形となった。鳩山は「小泉さんのは本当の改革ではない」「私たちこそ本当の改革が実現できる」などと繰り返したが、その存在はかすんでいった。
そもそも彼らの言う「改革」は、漠然としてとらえどころのない代物だった。何を変えるのか、どう変えるのかという議論もなく、「改革」といえば良いことだと思わされ、「改革に反対する者は抵抗勢力」という小泉に手を叩いた。まるでかつてのソ連や中国の「革命」「反革命」のようなものだったのだが、当時の国民はすっかり小泉の催眠術にかかっていた。
しかし、又市はその頃、いち早くその「改革」の本質を見抜き、警鐘を鳴らしていた。
「小泉首相の言う『改革』とは、国際的競争力のためと称して、あらゆる産業でリストラを徹底することであり《弱肉強食の競争社会づくり》をおし進める一方、憲法9条の改悪による《戦争のできる国づくり》を進めるものだ。」
「いま国民が求める改革とは、雇用創出と年金・医療・介護や福祉の拡充を中心とした《国民生活優先の政治》と、世界政治の趨勢である《平和憲法を守り活かしていく政治》の実現だ。」
又市が所属する社民党も、この参院選にあたってテレビCMを作った。そこには次のフレーズがあった。
「本当に怖いことは最初、人気者の顔をしてやってくる。」「今しかない。戦前に戻らない道を。」
世論の、小泉小泉の大合唱の中、民放各局はこのCMの放映を拒否した。その頃、テレビでも、また新聞雑誌でも、小泉人気に水を差すものは敬遠されていた。
今ほどインターネットも普及しておらずブログなどもない時代である。どれほど的を得た批判や評論であっても、メディアで取り上げられなければ注目されることはなかった。
マスメディアを味方に付けた小泉純一郎という「本当の敵」は、大変な強敵だった。
こうして平成13年の参院選は、与党優位のまま投票日を迎えることになる。
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