MSX研究所長の日常

80年代を駆け抜けたオールドパソコンMSXの研究の日々を綴ります。

唐突MSX会談

2005年06月21日 02時36分25秒 | MSX
MSXAの中の人に唐突に呼ばれて、ブルボン小林氏やらAmusementCenterの中の人やらMSX WORLD 2005でヴァリスのコスプレをして(させられて)いたモデルの女の子やらと話をするハメになってしまいました。あくまで飲み会的な柔らかい席ということで好き勝手に話をして参りました。

ACの中の人とモデルの子はさておき(おくのか)、ブルボン氏はMSX WORLD 2005での対談で見せた以上にMSX全般に造詣が深い方でございました。質問が極めて鋭いのでなかなか油断もできません。

例えば「カ○オのゲームを全部揃えようとしているんですよ」と言うと「カシ○のオリジナルって何本あったっけ」と、「他社のOEM版が少なからずあった」ということを知らないとできないイイ質問で返されました。そういえばきちんと数えたことがありません。さすがです。さらには「エグゾイドZエグゾイドZ・エリア5ではどちらがレアか」などという話にきちんとついてこれる人など滅多におりません。

いわゆるマニアというのは意外と雑誌情報に強い影響を受けていて、自分の遊んだことのあるソフトの感想も雑誌の文章そのまんまだったりすることは多くあります。特にMSXはファミコンなどに比べると情報が乏しいので仕方ない面はあるのですが、最悪の場合みんな言うことが一緒だったりするんですね。単に懐かしがりたい人の場合、むしろそうやって共有済みの過去の記憶に浸るほうがむしろ心地よいらしいのですが、しかしその行き着く先は若い人を寄せつけないオヤジ同士の寄り合い話であることに最近気がつきました。

さてブルボン小林氏は本業が作家ですから言うことが一味違うのは当然ではありますが、そこにMSXに関する厚い知識が土台としてあるわけです。多少のマニアではついてこれないハイレベル、かつ独創的ななお話を堪能して帰って参りました。ただマニア的であるだけでなく、分かりにくいところを同席の人に随時解説しつつ進行させる気配りを見せるブルボン氏の姿は、30過ぎたマニアは紳士たるべし、と思わせるものがありました。男女問わず人気があるわけです。

ソフトの整理とは

2005年06月09日 19時41分53秒 | MSX
ソフトの整理、というとどこか部屋の整理のようなものを思い浮かべるかもしれませんが、ここでいう整理とは「検索できる資料を作る」という意味であります。先日書いた「同人ソフト調査」でやらねばならないこととは、単にデータを保存するというだけの意味ではありません。マニュアルや周辺状況などを調べて資料にまとめる、という作業がどうしても必要になってきます。

デジタルデータは不変である、と思っている方は今でも多くおられるかと思いますが、実際のところいろんな意味で不変ではありません。デジタルデータは目に見えない以上、メディアの損傷と共に失われてしまいます。デジタルはコピー時に劣化がないことから、正しくは「コピーをし続ける限り不変」という言い方をしなくてはなりません。

また、デジタルデータはその性質上手を入れられた場合に痕跡が残りません。紙であれば「切り抜いた」「上から紙を貼った」「修正液を塗った」等の痕跡はどうしても残ります。残るが故に「変更を加えた」ということが後々まで分かります。世に流通している非合法コピーデータの多くは何らかの変更が加えられているか、あるいは破損していることが多いのですが、どれがオリジナルなのか分からないといった事態が容易に起きてしまいます。このことはMSXAでも長年の課題の一つですが、対処法は「周辺状況からオリジナルであると推測する」という極めてアナログ的な手法が取られています。「周辺状況」と書くと抽象的なので、具体的には「フロッピーに印刷されたラベルが貼ってある」「パッケージに入っている」といったオリジナルであろうと思われる事柄を確認する、ということを指します。バカバカしいように見えますが、メーカーにもゲームが、あるいはメーカーそのものが残っていないような場合は箱ごと中古屋で買ってきます。場合によってはオークションを使うこともありますが、予算が厳しいのと状態が不明確なのであまり使わない傾向にあります。

という面倒を経た上で、データを取り出します。この時点でいわゆる「ROMイメージ」「ディスクイメージ」と言われる形になります。誤解を招きかねない表現ですが、フォーマットとしては非合法とされる形式と一緒です。この後、例えばMSXマガジンではMSXPLAYerに組み込まれてCD-ROMに収められ、合法的に遊べるものとして皆さんのお手元に届けられるわけです(なぜか社会科見学風)。当然ですが、許可が取れてもソフトが入手できないような場合、逆にソフトはあるのに許可が取れない場合、いずれも収録されません。飲んだ涙の量はもう忘れました。

何を言いたいのかというと、デジタルデータに対して「オリジナルであることの証明」をしないといけない、ということです。それも信用できる人、あるいは機関が行わなくてはならず、それをしていないものは実はなんの価値もない、ということに理解のある方はほとんどいません(もっとも、オリジナルであると分かっていても磁気が弱っていてデータが化けている、あるいはオリジナルのディスクが書き換えられている、といった問題もありますが今回は触れません)。

というわけで資料の話に戻りますと、周辺状況を確認しつつ作業しなくてはならず、これがたいへん骨の折れる作業なのです。ただ単に確認するのではなく、記録しつつ資料を作るというのはアタシャもうやってらんないヨという気分にもなろうというものです。これが市販ソフトでも大変なのに、同人ソフトとなると元々パッケージが存在しなかったり、中にはディスクラベルすらないものが多く、忍耐と想像力の要求されるうっとおしい作業です。まずディスクにナンバーを振って、マニュアルがあるものは関連を確認した上でファイルに保存してナンバーを振って・・・てなことを繰り返します。はぁ。

同人ソフトに興味のない方は「なんでそんなもん残す必要があるの?」とお思いでしょう。分かっています、実はMSXの世界においても同人ソフトというのはさほどの商業的価値を持っていません。しかし、私には同人ソフトの作者として知り合った多くの友人がおりますし、何より工夫やヒラメキの詰まったMSXの同人ソフトというのが好きなのです。一般に同人ソフトと言うと「エロ」「キャラクターのパクリ」といったダーティな認識がなされがちですが、MSXに関してはそのスペックの低さ故にアイディアと努力のエッセンスとも言える特徴的な作品が多くあります。特に規模的に個人制作でも割となんとかなったので、「僕にもできそう」なソフトがいろいろあるのです。そういう点で、MSXの価値ある財産、と言えるわけです(お金にはなりませんけど)。それはいずれホームページでご紹介するつもりでいますし、いくつかは既にMSXマガジンに収録をお願いすることができました。

と、話がズレましたがそのためにもオリジナルのソフトは残しておく必要があるんですね。それも「他人の使える形の資料と共に」という条件つきで。ソフトを寄付というのは一見気前よく見えるかもしれませんが、どこにあるのか分からない物は無いのと一緒という言葉の通り、限りなくゴミに近い存在です。まして場所を取って倉庫代を食うような場合は貰った時点でマイナスなわけです。というわけで、下手すればゴミの塊であるこれらディスクの一部を引き取ってコツコツと調査しているわけです。まあ、寄付をするような場合はせめてホントのゴミくらいより分けておいて下さいね、というイヤミが本稿の趣旨なわけです。

中には写真のようにラベルが接着剤のせいか悲しいくらい変色してほとんど剥がれかかっているものもあり、このままではドライブに入れることができないためラベルの処置も同時に考えなくてはなりません・・・。

左のものは制作元も発表時期も不明です。2HDを使っているのでそもそもMSX用かどうかも分かりません。右は年号からすると11年前のディスクですが、今頃になって悩ましいことになっているなんてきっと作った人も知らぬがホトケのお富さん(ヤケクソ)作者の方がこのblogを見ていたことが判明しました。それにしてもこの接着剤はハケかなんかで塗ったんでしょうか。この茶色はペーパーセメントが経年変化したものだそうです。


(2005/06/11追記)
まさか作者の方がこの記事の以前から見ておられたとは夢にも思いませんでした。知らぬとは言え失礼すぎる書き方をしてしまいました。ゴメンナサイ(見つかったらいいな、位の気持ちはなかったわけではないのですが・・・)。

先日の「mixiとMSX」でも書きましたが、不思議なくらい一気に尋ね人が見つかる時というのがあります。今はそういう時期なんでしょうか。気をつけます。

菊タロー氏のペイロード

2005年06月08日 23時30分54秒 | MSX
MSX WORLD 2005でゲームトークをして下さったブルボン小林氏のファミ通.comでの記事「ブルボン小林のE3末端レポート」の第二回「ロスの銀行、銀行でゲーム」を読んでいたら、先日チョコっと話題にしたMSXのゲーム「ペイロード」のことが出ていました。ブルボン小林氏であれば知っていてむしろ当然なんですが、お相手の菊太郎氏と話がはずんでいる、ムムム。この菊太郎とはプロレスラーのえべっさんの現在のお名前です。

えべっさんという人については先日出たばかりの「いい電子」5巻で始めて知ったので、そこで読んだ以上の知識を持っていません。そこでは確かにゲーム好きとして描かれてはいたものの、プロレスラーであることは間違いない事実であります。いくらゲーム好きでもプロレスラーという職業の方が「ペイロード」の話なんかで盛り上がれるもんなのでしょうか。でも「頑張れトラックボーイ」という副題をサラリと切り出している当たり、どうやら当時を知るホンモノのようであります。以前「いい電子」の著者であるみずしな孝之氏も「メタルギア」関連でMSXユーザー(?)であることをカミングアウトしていましたが、二人揃ってとはチト意外でありました。

ちなみにこの「ペイロード」は今は亡き株式会社ザップの作品です。ザップはかの板倉雄一郎氏が最初に設立した会社です。その作風は一言でいうと投げやりというかいい加減で、板倉氏の著書「ベンチャーわれ倒産す」にチョコっと出てくるのを読むと分かる通り、ゲームに対する愛情がまるっきりありませんでした。本の中でもカネのために設立した会社、てな感じでハッキリ言い切っているほどです。でも、その愛のなさ加減がMSX界でも群を抜いていたため他にない奇妙な作風が愛された、よく分からないメーカーでもあります。

そんな感じでMSXは400万台という普及台数のためか、「ペイロード」一本で芥川賞作家や元実業家やプロレスラーや漫画家を巻き込んでしまうのでありました。調べれば調べるほど面白い人が出てくるのでもう大変です。書いていてまとまりがなくなったのでこのへんで。そういう私はしがないサラリーマンです、きっと。

同人ソフト調査

2005年06月08日 22時20分15秒 | MSX
ある方がMSXのソフトを大量に寄付してくださった物の調査をMSXアソシエーション(MSXA)より依頼されました。寄付して下さった、と書きましたが、正確にはその方から某団体が引き取るフリをしてMSXAに押しつけたというのが正しいところのようです。問題の多くは某団体側にあるのですが、結局何をしたかったのかよく分かりません。イイ顔したかったんでしょうか。

ともかく溜まりに溜まった物を誰かに突然あげる、あるいは捨てるというのはかなり困難です。気をつけましょう。さて、その中には大量にMSXの同人ソフト(らしきもの)がありまして、調査の対象はとりあえずそちらの一群です。同人ソフトというのはどうしても資料が残らないので、研究所の知識と蓄積を活かしてコツコツと調べています。

しかし中には単なるブランクディスクとか市販ソフトのコ●ーなどが大量に混じっていて、全く整理されていませんでした。こういうのは判定が難しいので、時間ばかりかかるし何といっても腹が立ってきますね!寄付というのはゴミを捨てることとは違うと思うのですが、まあ集めることしか考えないでいるといつか他人に迷惑をかける、ということは覚えておいて損はないでしょう。

さて、それでも各ソフトのおおむねの保存状態は良好でした。しかし一部袋にムリヤリ突っ込んだだけで保管されていたものがあり、ご覧の通りディスク全体が歪んでしまっています。約10枚、しばらくノシでもかけてやれば読めるかなあ・・・。今回の調査でほとんど幻とされていた「殺さないで」(PARTY COLOR)や「名探偵ぬまりん」「名探偵ぬまりん2」(A.R.E SYSTEM)などが見つかったので、機会があればご紹介したいと思います。

ちなみに中にはFM-TOWNSの同人ソフトも混じっていましたが、調査の方法がありません。今となっては愛好者も極めて少なく、公式のエミュレータもない業界なのでおそらく出番はないでしょう。どうしたものか・・・。

mixiとMSX

2005年06月06日 01時55分36秒 | MSX
最近あっちこっちで聞くようになったソーシャルネットワーキングサイト(SNS)というのは、何かというと「知人に誘われないと入れない会員制のサイト」です。私も「mixi」というところに入ってます。知り合いの紹介(お誘い)が無い限りお試しで中を見ることすらもできないシステムですのであまりネタにはしたくなかったのですが、せっかくなので書いてしまいます。ちなみに僕は知人に揺さぶりをかけて無理やり誘わせました。ひどいですね。

さてその性質のゆえかソフト業界関係の人が多く、最近見ないと思ったらここにいたんですね、というよう人が結構見つかります。そして中にはかつてMSXやその他オールドPCに関わっていた人もいるわけで、EGGMSXマガジンで探していた会社に勤めていた方がふとしたきっかけで見つかることがあります。その多くは日記やプロフィールの形で見つかるのですが、「会員の紹介がない人は見ない」という安心感ゆえか、多少ボカしていても知識があれば分かるように書かれている傾向があります。

ここ数カ月は「次々に」という感じで探し求めていた人が見つかっています。そうして探し当てた人が実は前からの知人だったり、あるいは探していた人が別件で探していたMSX関係者と同一人物だったりして、なんとも言えない気持ちになる事が多くあります。嬉しくないわけではないのですが、ともあれそういった方々はMSXAやEGGの人に紹介して、過去のソフトがまた遊べるような方向へ持っていくようにしておりまする。