MSX研究所長の日常

80年代を駆け抜けたオールドパソコンMSXの研究の日々を綴ります。

コンピュータと日本人(2)

2005年06月03日 01時53分34秒 | PC全般
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さて第2回。前回での結論は、コンピュータというものが一般生活において無縁だったころ(35年くらい前)は、「神秘的」「正確」「非人間的」といった感覚で捉えられていた、ということでした。

では現在はどうか?と考えてみます。ぶっちゃけて言うとWindowsを対象とします。さらに「物心つく頃から」という言葉がありますが、物心つく頃に既にWindows(95以降)があった世代というのが既に存在するわけです。「物心つく頃」には明確な定義はありませんが、とりあえず5歳前後とすると、もう中学生~高校生くらいの子にとってコンピュータ=パソコン=Windowsマシン、なわけです。

Windowsは率直に言って使う人の言うことを聞いてくれません。最近ではマシになったものの、いきなり止まったりして作っていたデータがパー、などは誰しも経験していると思います。昔のコンピュータでも勿論ありましたが、まあ単純だったので自分の操作ミスかソフトのバグである、と納得できました。

そりゃWindowsでもいきなり止まったりするのには何がしかの理由があるはずです。あるんでしょうが、誰の責任なのかは分からなくなっています。それは好ましくはありませんが、誰かの悪意によって引き起こされているわけではありません。タチの悪いところなのですが。

昔の何千倍もの性能のコンピュータが安くなったのはいろんなメーカーから出ているおかけで大きく普及しましたし、Windowsの操作はおおむね共通なので何とかなります。僕らはその恩恵を大いに受けています。

しかし、たまに(場合によっては頻繁に)止まってしまうのは、分かっていてもやっぱり困ります。安く広く普及した代わりに、何となく不安定なわけです。そういう意味では極めて「不正確」で「人間的」であります。なぜかここへきて35年前と正反対の評価となってしまいました。

僕らオジンにとっては、「昔よりソフトの規模が増してるからね」「昔のシングルタスクと違ってマルチだからいろんなソフトが同時に走ってるからね」「昔の一つのメーカーが責任持ってたマシンと違ってチップセットとかピンキリあるもんね」など、色々と納得できていると思います。んが、さっきの中高生にとっては何となく不安定で、時に不正確、というある意味大変「人間的」なものがコンピュータである、と思っているんではなかろうか、と私は思ったわけです。

いや、中高生に限らず、ここ数年でパソコンを使いだしたウチの家族にとってもそうなんではないだろうかと思い始めたのです。一応家族で一番パソコンに詳しいのは私なので、無料コンサルタント兼サポートデスクとして無償の活躍(涙)を期待され、彼らの環境に対してはそれなりに安定するための努力を払っています。払っていますが、やはり止まったり予想外の挙動をしたりするわけです。その時決まって「なんで止まっちゃうの?」とか聞かれるのです。しかし、これに正確に答えることはできないのです。一応「昔より規模が大きいから」とかの回答はありえますが、そんなことは現実問題として意味がないのです。みんなの本当の質問は「どうすれば止まらないの?」です。そして、その答えはどこにもない、ということはここを読んでいるような皆さんなら御存知の通りです。

これは、物凄く危ないことなのではないでしょうか。

ウチの父母や妹ならそれなりの年齢なのでとりあえずごまかしてもさほどの問題にはなりませんが、仮に10歳くらいの子供に真剣に聞かれたとしても、何の答えも持てないのです。性教育に関わることなら「コウノトリさんが運んでくるのよ」と言って数年間の時間を稼ぐ、というのが古くからの定番です。そして、時期を見て正しい教育をするわけです。ありがとうコウノトリさん。

しかし、パソコンに関してはこれだけ世間に浸透し、かつ就職や仕事の上では使わざるを得ないものなのに、何の回答も解決策もないのです。仮にコウノトリさんに相当する何かがあって時間が稼げたとして、その後の教育をする機会はありません。私はまだ人の親ではありませんが、世間のお父さんお母さんはこのへんをどのように処理しているのでしょうか。なぜかこの点について新聞などで話題になったというのを聞いたことはありません。

「ねーねー、おとーさーん。私のせっかく描いた絵があるのにパソコンが止まっちゃったよー。なんとかしてー」と嘆き悲しむ子供たちに対して、「諦めなさい」とか「今度はマメに保存しようね」としか言えないお父さん。さらにお母さん泣きつく子供に対して追い打ちをかげるように「そういうもんなのよッ」とか「総理大臣が決めたのよッ」とか、テキトーなことを言っているんではないか、と心配になります。理不尽な仕打ちに傷ついた子供が非行に走っているやも知れません。考えすぎでしょうか。


というわけで、何かこれに対する解決策を考えていきたいと思います。まだ思いついてません。ここでMSXを切り出すつもりは毛頭ありませんが、コンピュータの原理を学ぶ機会はどっかで必要であるとは思います。もっとも、現実の問題解決には全く結びつかないですね。うーん、どうしよう。