■11月20日(日、255日目)
昨日の気象庁余震発生予報に呼応するかのように、茨城県北部で震度5強の地震が発生。
・共同通信---『福島原発2号機は揺れで損傷か 専門家が解析』
『東京電力福島第1原発2号機で、原子炉格納容器下部の圧力抑制プールが地震の揺れで早期に損傷したか、劣化した可能性が高いとする解析結果を19日までに、原子力安全の専門家がまとめた。
東電は、地震による原子炉の明らかな損傷はなく、津波による電源喪失が事故原因との立場。揺れで損傷していれば、福島第1と同様に従来の耐震基準が適用されている他の原発への影響も必至だ。東電や政府の事故調査・検証委員会の調査結果が注目される。
解析したのは日本原子力研究開発機構の元研究者で、社会技術システム安全研究所(茨城県ひたちなか市)の田辺文也所長』
■11月19日(土、254日目)
良く解からない『地震の発生確率』、気象庁のHPでは
Q:「マグニチュード6以上の余震が3日間以内に発生する確率が30%」というのはどういう意味ですか?
A;サイコロをふったときに「次に1の目が出る確率」は6分の1、つまり16%です。ですから、確率30%という場合は、1の目が出るよりもマグニチュード6以上の余震が起こりやすい状態と言えます。
厳密に言うと、「確率30%」と発表することが10回あったとすれば、そのうち3回については実際にマグニチュード6以上の余震が発生する、という意味です。
・毎日jp---『<東日本大震災>M7以上の余震発生確率15%…気象庁』
『気象庁は18日、東日本大震災の震源となった宮城県沖で12月14日までの1カ月間にマグニチュード(M)7以上の余震が発生する確率が15.1%とする予測結果を、同日開かれた地震予知連絡会に報告した。「被災地では引き続き大きな余震に注意が必要だ」としている。
11月14日までの余震の情報を基に計算した結果、15日から12月14日までの30日間にM7以上の余震が起きる確率は「15.1%」となった。同庁の担当者は「この震源域では過去13年間でM7以上の地震が4回起きている。15%という確率は、過去の発生率より高い水準」としている。同庁は、震災直後は余震確率を3日間の幅で公表していたが、確率が10%を下回った5月ごろから公表を見あわせていた。
また国土地理院は、震災で沈下した地盤が隆起して元に戻ろうとする「余効上下変動」について、震災前の水準に戻ったのは東京都のみで、宮城県から茨城県北部の太平洋側では、平均で沈下幅の約2割しか回復せず、岩手県沿岸部ではさらに沈下が進んでいるとの観測結果を報告した。
現状を前提として震災前の水準に戻るのに必要な年数を試算したところ、約1.1メートル沈下した宮城県牡鹿地方では約9900億年、約31センチ沈下した福島県相馬市では約170万年となった。同院は「被災地で大きく地盤沈下した地域の防潮堤の再整備は、現状を前提にすべきだ」と話した。』
■11月18日(金、253日目)
・日経web---『福島原発、格納容器内38~70度 年内冷温停止へ 』
『政府と東京電力は17日、福島第1原子力発電所の事故収束に向けた工程表を改定、第2段階(ステップ2)の進捗状況を発表した。1~3号機の格納容器内の温度変化を初めて公表、100度を大幅に下回って推移しており、原子炉全体が十分に冷えていると結論づけた。ただ、専門家などからは異論も出ており、この先もなお不安は残る。
細野豪志原発事故担当相は統合対策室の記者会見で「炉の中の核燃料の状態はわからないが、安定的に冷却はできている」と発言。12月中を目標とする「冷温停止」についても「達成は可能だ」と自信をみせた。
1~3号機では核燃料の一部が圧力容器から格納容器に溶け落ちた可能性が指摘されており、炉内の状態は把握できていない。これまで主に圧力容器底部の温度から炉内の冷却状況を判断してきたが、今回、格納容器内の温度も詳細に調べた。17日の時点で格納容器内の温度は1号機が38度、2号機が70度、3号機が58度だった。燃料が漏洩していても冷却はできているとした。
建屋から新たに放出される放射性セシウムの推定量は毎時0.6億ベクレルで1カ月前から4割減った。圧力容器底部の温度も全号機で100度を大幅に下回っていることと合わせ、年内の冷温停止にメドがついた。
現在、経済産業省原子力安全・保安院が専門家の意見を聞きながら、原子炉への注水や汚染水の浄化に使う設備が中期的に安定して機能するかを評価中。地震や津波、停電などが起きても注水や浄化処理を維持でき、新たな放射性物質の大量放出を防げることを確認し、年内に冷温停止を宣言する見通し。
この1カ月で1号機の原子炉建屋カバーが完成、放射性物質の海への流出を防ぐ遮水壁の工事に着手した。10項目あるステップ2の目標のうち、「海洋汚染の拡大防止」「飛散抑制」「測定、公表」の3項目を今回達成、未達成は「冷温停止」を含め4項目になった。』
■11月17日(木、252日目)
・共同通信---『中期的安定確認でステップ2終了 細野原発事故担当相』
『東京電力福島第1原発事故の収束に向けた工程表の「ステップ2」開始から4カ月が過ぎた17日、細野豪志原発事故担当相は記者会見で、「燃料は安定的に冷却できている。中期的安定に向け、適切な対策が取られているか確認できた時点でステップ2終了になる」と述べ、目標とする年内終了は可能と強調した。
政府・東電統合対策室は、1~3号機から依然、毎時0・6億ベクレルの放射性物質が放出され、原発の敷地境界での被ばくは年間約0・1ミリシーベルトとの分析結果を示した。1カ月前の40%減で、原子炉の冷温停止状態の判断条件の一つである年間1ミリシーベルトを下回る。』
■11月16日(水、251日目)
■11月15日(火、250日目)
・時事通信---『西日本山岳、北海道も=低濃度で沈着可能性―福島原発のセシウム・国際チーム』
『東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質のうち、半減期が約30年と長いセシウム137が、3月20日からの1カ月間に中部や中国、四国地方の山岳地帯や北海道の土壌に沈着した可能性があることが分かった。米大学宇宙研究協会(USRA)や名古屋大、東京大などの国際チームが14日までに行ったシミュレーションの結果で、米科学アカデミー紀要電子版に発表される。
これらの地域の大半は人体に影響を及ぼしたり、除染が必要だったりする汚染濃度ではないと推定される。ただ、局所的に濃度が高いホットスポットが存在する可能性があり、詳細な調査が必要という。
USRAの安成哲平客員研究員や名大の安成哲三教授、東大の早野龍五教授らは、ノルウェーで開発された地球全体の大気輸送モデル(20キロ四方単位)とヨーロッパ中期予報センターの気象データ、文部科学省の降下物観測データを組み合わせシミュレーションした。
その結果、日本列島へのセシウム137沈着量は1カ月間で1000ペタ(ペタは1兆)ベクレル以上と推定された。福島県を中心に東北、関東の太平洋側の沈着量が多いのは文科省の航空機モニタリング結果などと一致したが、中部、中国、四国の山岳地帯や北海道でも、低気圧が通過した際に同原発からセシウム137の微粒子を含む風が流入し、雨で沈着した可能性が示された。』
・読売online---『中国・四国でもセシウム沈着…名古屋大推計』
『東京電力福島第一原子力発電所事故で放出されたとみられる放射性セシウムは、北海道や中国、四国地方などにも広がっている可能性が高いことが、名古屋大などの推計でわかった。
米科学アカデミー紀要電子版に近く発表する。
安成哲三教授らは、3月20日~4月19日の都道府県各1か所のセシウム実測値をもとに、日本全域の土壌に1か月間で沈着した量をコンピューターで推計。深さ5センチの土壌での濃度に換算して地図を作った。
推計では、北海道の東部や中国、四国地方の山間部などで、放射性セシウム137が1キロ・グラム当たり500ベクレル以下の低濃度で沈着したとみられる地域があった。
これらの地域の濃度は、米の作付け制限(同5000ベクレル超)を下回ることなどから、研究チームは、直ちに除染が必要なレベルではないとしている。』
・東京web---『山岳地帯がセシウム拡散防ぐ 原発事故の汚染解析』
『東京電力福島第1原発事故で放出された放射性セシウムは、中部地方の山岳地帯によって西日本への拡散が防がれた可能性があるとの解析結果を名古屋大などの研究チームがまとめ、14日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
チームは、3月20日から1カ月間に福島第1原発から放出されたセシウム137について、各地の自治体が計測した連日の降下量データをもとに、大気中の拡散をシミュレーションし、土壌への沈着量を推定した。
セシウムは北海道から中国地方にかけた広い範囲に沈着するが、全体的に西日本の汚染は少ない結果となった。山岳地帯が汚染大気の拡散を防いだとみられるという。』
・時事通信---『2回の雨で高濃度汚染=福島と茨城、3月に―筑波大・日大が土壌調査』
『東京電力福島第1原発事故で、筑波大と日本大の研究チームは14日までに、福島から東京までの1都5県で3月末から5月上旬、独自に行った土壌採取調査の結果をまとめた。気象庁のデータと照合すると、福島県の飯舘村や中通り地方で検出された高濃度の放射性物質は3月15、16日の雨、茨城県南東部付近では同月21日ごろの雨によって降下したとみられることが分かった。論文は米科学アカデミー紀要電子版に発表される。
筑波大アイソトープ総合センターの末木啓介准教授は、旧ソ連ウクライナのチェルノブイリ原発事故と異なり、今回の事故の降下量分布は風向きと雨のほか、地形の影響が大きいと指摘。福島県内に高濃度地域があることは予想されたが、やや離れた茨城県南東部の霞ケ浦・北浦周辺の濃度が高くなったのは想像を超えており、詳細に現地調査を行う必要があるという。』
■11月14日(月、249日目)
・毎日jp---『福島甲状腺検査:全県調査スタート…子供約36万人対象』
『東京電力福島第1原発事故を受け、福島県で18歳以下の子供約36万人を対象にした甲状腺検査の全県調査が14日、始まった。一部開始している先行検査は福島市の県立医大病院で実施されたが、全県調査は各自治体に医師らが出向く。
14~18日、川俣町で山木屋地区以外の子供を検査。続いて国の避難区域などに指定された10市町村を巡回し、その後は3月18日時点の放射線量が高かった地区の順に行い、14年3月までに全県を一巡する予定。
この日は川俣町の保育園などに検査機を持ち込み、園児らを調べた。検査はのどに超音波を当て、しこりがないか調査。20歳までは2年ごと、それ以降は5年ごとに継続して確認する。
10月9日から住民の被ばく量が比較的高いとみられる浪江町と飯舘村、川俣町山木屋地区の子供を対象に先行実施され、今月13日までに4908人中3765人が受けた。【長野宏美】』
7月の記事だが、
・読売online---『稲わら出荷制限せず、農水省「盲点だった」』
『福島県浅川町の畜産農家から、放射性セシウムを含む稲わらを与えた肉牛が出荷され、流通していたことが14日明らかになった。
東電福島第一原発の事故後、農林水産省は畜産農家に屋内保管の飼料などを使うよう指導してきたが、稲わらの出荷については制限しておらず、「盲点だった」と認識の甘さを認めた。購入した餌が汚染されていたという想定外の事態を受け、関係自治体は、牛肉の追跡調査を急いでいる。
同町の畜産農家の男性は14日夜、読売新聞の取材に対し、「こんなことになるとは夢にも思わなかった」と肩を落とした。稲わらは、原発事故後に仕入れたもので、同県南相馬市の汚染牛の問題を受けて不安になり、自ら県の調査を求めたという。男性は「ことの重大性を考えると忸怩(じくじ)たる思いでいっぱいだ。世の中を騒がせてしまって申し訳ない」と語った。
汚染された稲わらをこの農家に出荷したのは、同県白河市内の稲作農家7戸でつくる同業者組合「白河有機農業研究会」。代表の男性(60)によると、原発事故後の3月下旬、浅川町の畜産農家から「牛の餌がないので稲わらを譲ってほしい」と申し入れがあった。研究会で対応を協議したが、稲わらの扱いについて県や市の指導がなかったこともあり出荷を決めたという。
「稲作農家まで指導が行き届いていなかった可能性がある」。14日夜の記者会見で、農林水産省の大野高志・畜産振興課長は、指導に不備があったのでは、との質問にそう答えた。同省は原発事故後、各県を通じて畜産農家に対し、牛の餌となる牧草について、事故前に刈り取られたものや、屋内で保管されたものを与えるように指導した。しかし、稲わらの対策については手つかずだった。(2011年7月15日09時10分 読売新聞)』
昨日の気象庁余震発生予報に呼応するかのように、茨城県北部で震度5強の地震が発生。
・共同通信---『福島原発2号機は揺れで損傷か 専門家が解析』
『東京電力福島第1原発2号機で、原子炉格納容器下部の圧力抑制プールが地震の揺れで早期に損傷したか、劣化した可能性が高いとする解析結果を19日までに、原子力安全の専門家がまとめた。
東電は、地震による原子炉の明らかな損傷はなく、津波による電源喪失が事故原因との立場。揺れで損傷していれば、福島第1と同様に従来の耐震基準が適用されている他の原発への影響も必至だ。東電や政府の事故調査・検証委員会の調査結果が注目される。
解析したのは日本原子力研究開発機構の元研究者で、社会技術システム安全研究所(茨城県ひたちなか市)の田辺文也所長』
■11月19日(土、254日目)
良く解からない『地震の発生確率』、気象庁のHPでは
Q:「マグニチュード6以上の余震が3日間以内に発生する確率が30%」というのはどういう意味ですか?
A;サイコロをふったときに「次に1の目が出る確率」は6分の1、つまり16%です。ですから、確率30%という場合は、1の目が出るよりもマグニチュード6以上の余震が起こりやすい状態と言えます。
厳密に言うと、「確率30%」と発表することが10回あったとすれば、そのうち3回については実際にマグニチュード6以上の余震が発生する、という意味です。
・毎日jp---『<東日本大震災>M7以上の余震発生確率15%…気象庁』
『気象庁は18日、東日本大震災の震源となった宮城県沖で12月14日までの1カ月間にマグニチュード(M)7以上の余震が発生する確率が15.1%とする予測結果を、同日開かれた地震予知連絡会に報告した。「被災地では引き続き大きな余震に注意が必要だ」としている。
11月14日までの余震の情報を基に計算した結果、15日から12月14日までの30日間にM7以上の余震が起きる確率は「15.1%」となった。同庁の担当者は「この震源域では過去13年間でM7以上の地震が4回起きている。15%という確率は、過去の発生率より高い水準」としている。同庁は、震災直後は余震確率を3日間の幅で公表していたが、確率が10%を下回った5月ごろから公表を見あわせていた。
また国土地理院は、震災で沈下した地盤が隆起して元に戻ろうとする「余効上下変動」について、震災前の水準に戻ったのは東京都のみで、宮城県から茨城県北部の太平洋側では、平均で沈下幅の約2割しか回復せず、岩手県沿岸部ではさらに沈下が進んでいるとの観測結果を報告した。
現状を前提として震災前の水準に戻るのに必要な年数を試算したところ、約1.1メートル沈下した宮城県牡鹿地方では約9900億年、約31センチ沈下した福島県相馬市では約170万年となった。同院は「被災地で大きく地盤沈下した地域の防潮堤の再整備は、現状を前提にすべきだ」と話した。』
■11月18日(金、253日目)
・日経web---『福島原発、格納容器内38~70度 年内冷温停止へ 』
『政府と東京電力は17日、福島第1原子力発電所の事故収束に向けた工程表を改定、第2段階(ステップ2)の進捗状況を発表した。1~3号機の格納容器内の温度変化を初めて公表、100度を大幅に下回って推移しており、原子炉全体が十分に冷えていると結論づけた。ただ、専門家などからは異論も出ており、この先もなお不安は残る。
細野豪志原発事故担当相は統合対策室の記者会見で「炉の中の核燃料の状態はわからないが、安定的に冷却はできている」と発言。12月中を目標とする「冷温停止」についても「達成は可能だ」と自信をみせた。
1~3号機では核燃料の一部が圧力容器から格納容器に溶け落ちた可能性が指摘されており、炉内の状態は把握できていない。これまで主に圧力容器底部の温度から炉内の冷却状況を判断してきたが、今回、格納容器内の温度も詳細に調べた。17日の時点で格納容器内の温度は1号機が38度、2号機が70度、3号機が58度だった。燃料が漏洩していても冷却はできているとした。
建屋から新たに放出される放射性セシウムの推定量は毎時0.6億ベクレルで1カ月前から4割減った。圧力容器底部の温度も全号機で100度を大幅に下回っていることと合わせ、年内の冷温停止にメドがついた。
現在、経済産業省原子力安全・保安院が専門家の意見を聞きながら、原子炉への注水や汚染水の浄化に使う設備が中期的に安定して機能するかを評価中。地震や津波、停電などが起きても注水や浄化処理を維持でき、新たな放射性物質の大量放出を防げることを確認し、年内に冷温停止を宣言する見通し。
この1カ月で1号機の原子炉建屋カバーが完成、放射性物質の海への流出を防ぐ遮水壁の工事に着手した。10項目あるステップ2の目標のうち、「海洋汚染の拡大防止」「飛散抑制」「測定、公表」の3項目を今回達成、未達成は「冷温停止」を含め4項目になった。』
■11月17日(木、252日目)
・共同通信---『中期的安定確認でステップ2終了 細野原発事故担当相』
『東京電力福島第1原発事故の収束に向けた工程表の「ステップ2」開始から4カ月が過ぎた17日、細野豪志原発事故担当相は記者会見で、「燃料は安定的に冷却できている。中期的安定に向け、適切な対策が取られているか確認できた時点でステップ2終了になる」と述べ、目標とする年内終了は可能と強調した。
政府・東電統合対策室は、1~3号機から依然、毎時0・6億ベクレルの放射性物質が放出され、原発の敷地境界での被ばくは年間約0・1ミリシーベルトとの分析結果を示した。1カ月前の40%減で、原子炉の冷温停止状態の判断条件の一つである年間1ミリシーベルトを下回る。』
■11月16日(水、251日目)
■11月15日(火、250日目)
・時事通信---『西日本山岳、北海道も=低濃度で沈着可能性―福島原発のセシウム・国際チーム』
『東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質のうち、半減期が約30年と長いセシウム137が、3月20日からの1カ月間に中部や中国、四国地方の山岳地帯や北海道の土壌に沈着した可能性があることが分かった。米大学宇宙研究協会(USRA)や名古屋大、東京大などの国際チームが14日までに行ったシミュレーションの結果で、米科学アカデミー紀要電子版に発表される。
これらの地域の大半は人体に影響を及ぼしたり、除染が必要だったりする汚染濃度ではないと推定される。ただ、局所的に濃度が高いホットスポットが存在する可能性があり、詳細な調査が必要という。
USRAの安成哲平客員研究員や名大の安成哲三教授、東大の早野龍五教授らは、ノルウェーで開発された地球全体の大気輸送モデル(20キロ四方単位)とヨーロッパ中期予報センターの気象データ、文部科学省の降下物観測データを組み合わせシミュレーションした。
その結果、日本列島へのセシウム137沈着量は1カ月間で1000ペタ(ペタは1兆)ベクレル以上と推定された。福島県を中心に東北、関東の太平洋側の沈着量が多いのは文科省の航空機モニタリング結果などと一致したが、中部、中国、四国の山岳地帯や北海道でも、低気圧が通過した際に同原発からセシウム137の微粒子を含む風が流入し、雨で沈着した可能性が示された。』
・読売online---『中国・四国でもセシウム沈着…名古屋大推計』
『東京電力福島第一原子力発電所事故で放出されたとみられる放射性セシウムは、北海道や中国、四国地方などにも広がっている可能性が高いことが、名古屋大などの推計でわかった。
米科学アカデミー紀要電子版に近く発表する。
安成哲三教授らは、3月20日~4月19日の都道府県各1か所のセシウム実測値をもとに、日本全域の土壌に1か月間で沈着した量をコンピューターで推計。深さ5センチの土壌での濃度に換算して地図を作った。
推計では、北海道の東部や中国、四国地方の山間部などで、放射性セシウム137が1キロ・グラム当たり500ベクレル以下の低濃度で沈着したとみられる地域があった。
これらの地域の濃度は、米の作付け制限(同5000ベクレル超)を下回ることなどから、研究チームは、直ちに除染が必要なレベルではないとしている。』
・東京web---『山岳地帯がセシウム拡散防ぐ 原発事故の汚染解析』
『東京電力福島第1原発事故で放出された放射性セシウムは、中部地方の山岳地帯によって西日本への拡散が防がれた可能性があるとの解析結果を名古屋大などの研究チームがまとめ、14日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
チームは、3月20日から1カ月間に福島第1原発から放出されたセシウム137について、各地の自治体が計測した連日の降下量データをもとに、大気中の拡散をシミュレーションし、土壌への沈着量を推定した。
セシウムは北海道から中国地方にかけた広い範囲に沈着するが、全体的に西日本の汚染は少ない結果となった。山岳地帯が汚染大気の拡散を防いだとみられるという。』
・時事通信---『2回の雨で高濃度汚染=福島と茨城、3月に―筑波大・日大が土壌調査』
『東京電力福島第1原発事故で、筑波大と日本大の研究チームは14日までに、福島から東京までの1都5県で3月末から5月上旬、独自に行った土壌採取調査の結果をまとめた。気象庁のデータと照合すると、福島県の飯舘村や中通り地方で検出された高濃度の放射性物質は3月15、16日の雨、茨城県南東部付近では同月21日ごろの雨によって降下したとみられることが分かった。論文は米科学アカデミー紀要電子版に発表される。
筑波大アイソトープ総合センターの末木啓介准教授は、旧ソ連ウクライナのチェルノブイリ原発事故と異なり、今回の事故の降下量分布は風向きと雨のほか、地形の影響が大きいと指摘。福島県内に高濃度地域があることは予想されたが、やや離れた茨城県南東部の霞ケ浦・北浦周辺の濃度が高くなったのは想像を超えており、詳細に現地調査を行う必要があるという。』
■11月14日(月、249日目)
・毎日jp---『福島甲状腺検査:全県調査スタート…子供約36万人対象』
『東京電力福島第1原発事故を受け、福島県で18歳以下の子供約36万人を対象にした甲状腺検査の全県調査が14日、始まった。一部開始している先行検査は福島市の県立医大病院で実施されたが、全県調査は各自治体に医師らが出向く。
14~18日、川俣町で山木屋地区以外の子供を検査。続いて国の避難区域などに指定された10市町村を巡回し、その後は3月18日時点の放射線量が高かった地区の順に行い、14年3月までに全県を一巡する予定。
この日は川俣町の保育園などに検査機を持ち込み、園児らを調べた。検査はのどに超音波を当て、しこりがないか調査。20歳までは2年ごと、それ以降は5年ごとに継続して確認する。
10月9日から住民の被ばく量が比較的高いとみられる浪江町と飯舘村、川俣町山木屋地区の子供を対象に先行実施され、今月13日までに4908人中3765人が受けた。【長野宏美】』
7月の記事だが、
・読売online---『稲わら出荷制限せず、農水省「盲点だった」』
『福島県浅川町の畜産農家から、放射性セシウムを含む稲わらを与えた肉牛が出荷され、流通していたことが14日明らかになった。
東電福島第一原発の事故後、農林水産省は畜産農家に屋内保管の飼料などを使うよう指導してきたが、稲わらの出荷については制限しておらず、「盲点だった」と認識の甘さを認めた。購入した餌が汚染されていたという想定外の事態を受け、関係自治体は、牛肉の追跡調査を急いでいる。
同町の畜産農家の男性は14日夜、読売新聞の取材に対し、「こんなことになるとは夢にも思わなかった」と肩を落とした。稲わらは、原発事故後に仕入れたもので、同県南相馬市の汚染牛の問題を受けて不安になり、自ら県の調査を求めたという。男性は「ことの重大性を考えると忸怩(じくじ)たる思いでいっぱいだ。世の中を騒がせてしまって申し訳ない」と語った。
汚染された稲わらをこの農家に出荷したのは、同県白河市内の稲作農家7戸でつくる同業者組合「白河有機農業研究会」。代表の男性(60)によると、原発事故後の3月下旬、浅川町の畜産農家から「牛の餌がないので稲わらを譲ってほしい」と申し入れがあった。研究会で対応を協議したが、稲わらの扱いについて県や市の指導がなかったこともあり出荷を決めたという。
「稲作農家まで指導が行き届いていなかった可能性がある」。14日夜の記者会見で、農林水産省の大野高志・畜産振興課長は、指導に不備があったのでは、との質問にそう答えた。同省は原発事故後、各県を通じて畜産農家に対し、牛の餌となる牧草について、事故前に刈り取られたものや、屋内で保管されたものを与えるように指導した。しかし、稲わらの対策については手つかずだった。(2011年7月15日09時10分 読売新聞)』