芋焼酎のつぶやき、バラとの戯れ & HbA1c・血糖値を下げる新しい糖尿病食事療法『糖質制限食』実践記録

A Days of Wine and Roses.酒とバラとイバラの日々。芋焼酎好きアラ還-バラ栽培と糖質制限に挑戦です

東日本大震災(平成の大地震) - その135 備忘録

2012年03月11日 | 大地震
東日本大震災から一年が過ぎた。楽天ブックスに予約していた本日発売の『福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書』いわゆる民間事故調の報告書が昼前に届く。報告書は400ページ強。通勤途中に読める大きさではないので読みきるまでには暫くかかりそうだ。別便で東京新聞原発事故取材班の『レベル7 福島原発事故、隠された真実』も届く。

この備忘録もまさか1年も続くとは思わなかった。3月12日~15日頃まで原発が最大のピンチだった。そのころのブログを見返してみると全然危機感のない内容が綴られている。本当に危機は隠されていたのだと改めて思う。政治的観点からは敢えてその時点では公表する必要性は無かったのかもしれないが。夏頃、秋頃、何が報道されていたのかとランダムにブログを読み返してみた。どの時点でも看過できない(記録に留めておきたい)様々なニュースが出てきている。本当に大変な1年だったのだと思う。

東電も原発も罪深いものだ。

東電のHPには14時に社長名で次の文章が掲載された。
=====
当社福島第一原子力発電所の事故発生から1年にあたって

東北地方太平洋沖地震の発生から1年にあたり、改めて、震災によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
当社福島第一原子力発電所の事故により、発電所周辺地域の皆さまをはじめ、福島県の皆さま、さらには広く社会の皆さまに、現在も大変なご迷惑とご心配をおかけしていることを、改めて心より深くお詫び申し上げます。
併せまして、事故発生以降この1年間、国内外を問わず、関係する数多くの皆さまに多大なるご協力とご支援をいただき、改めて心より深く感謝申し上げます。
当社は、責任の重さと果たすべき役割を常に意識し、福島第一原子力発電所の安定状態の維持、中長期にわたる廃止措置等への取り組みを、何よりも安全に十分配慮しながら確実に進めてまいります。そして、事故により被害にあわれた方々に寄り添った迅速・適切な賠償の実現に、当社グループを挙げて、真摯に取り組んでまいります。
3月11日という日を、当社グループ社員一人ひとりがしっかりと心に刻み、安全を最優先に、全身全霊をもって課題の解決に努めてまいります。
平成24年3月11日
東京電力株式会社
取締役社長 西澤俊夫
=====

■3月11日(日、367日目)

・東京web---『人為ミスで原発事故拡大 福島1年、IAEA天野氏』
『【ウィーン共同】国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は10日、東京電力福島第1原発事故から1年を前に共同通信と単独会見し、事故拡大の背景に経済産業省原子力安全・保安院の東京電力に対する監督不足など「数々の人為的ミスがあった」と強調した。
また、福島事故で世界の人々が原子力発電に「不安を感じたのは間違いない」と述べ、日本での新たな原発建設の可能性についても「国内世論が受け入れるような雰囲気にはないと感じている」と話した。
IAEAは原子力の平和利用促進を設立目的としており、事務局長として踏み込んだ発言。』


■3月10日(土、366日目)

10日午前2時25分ごろ、茨城県で震度5弱の地震があった。茨城県高萩市で震度5弱。

■3月9日(金、365日目)

政府が福島第1原発事故への対応を行った原子力災害対策本部の議事概要などを公表したというが、それらは何処で見ることができるのか。何処で入手できるのか。入手する手段まで報道して欲しいものだ。と、思いながら捜していたら首相官邸のサイトで見つかった。ただ首相官邸のHPからリンクを辿って探し出すのはなかなか難しい。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/index.html

・日経web---『原発事故「戦争だ」 政府混迷、議事概要で明らかに 』
『東日本大震災に対処する会議の議事録がなかった問題で、政府は9日、福島第1原子力発電所の事故を受けた原子力災害対策本部などの議事概要を公表した。当時の閣僚らは「米スリーマイル事故が3つ重なった」「統率がとれていない」などと発言。情報不足から意見がかみ合わず、政府の意思決定は混迷した。突然の大地震と原発事故の前に国の備えが機能不全に陥った様子がうかがえる。不十分な連絡体制は復旧を急ぐ現場と、政府・東京電力本店が再三衝突する形で表れた。
震災当日の昨年3月11日夜に開いた原子力災害対策本部の初会合で、松本龍防災担当相は「官邸に情報が入っていない」と発言。1号機の水素爆発後の同13日には、海江田万里経済産業相が「深刻な破損はない旨報告を受けている」と述べた。
同14日には菅直人首相が「避難範囲は20キロメートルで十分」との見方を説明したが、玄葉光一郎国家戦略相が「違う意見もある」と反論。同戦略相は同17日にも「これは戦争だ。3つのスリーマイル事故が重なったようなものだ」と語った。同15日は片山善博総務相が「消防活動への要請も断片的かつ子供っぽい」「統率がとれていない」と悲鳴を上げた。
昨年7月19日、平野達男復興担当相は「除染をしても簡単には戻れない高線量の地域」に言及。「福島県双葉町などは帰還できないことを覚悟している」と述べた。
政府・東電統合対策本部の議事概要では、現場との衝突も描かれている。同11月2日には、核分裂が続く再臨界の可能性を発表した東電本店に対し、吉田昌郎所長が「作業員がおびえる」と主張。再臨界は起きていないとの立場から「(会見できちんと説明しないなら)明日の作業を全てストップさせる」と述べた。
累積100ミリシーベルト超の放射線を浴びた作業員は5年間作業できないとの見解を厚生労働省が示したとする報道を受け、同4月29日の会議で吉田所長は「人を割けなくなり、収束シナリオが厳しくなる」と指摘。同5月に予定していた厚労相の視察を「本部が認めても発電所長としては拒否する」と反発した。(肩書は当時)』
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819595E2EBE2E0908DE2EBE2E1E0E2E3E09F9FEAE2E2E2

・毎日jp---『<福島第1原発>炉心溶融の可能性指摘 対策本部議事概要 毎日新聞 3月9日(金)11時49分配信』
『政府は9日、東京電力福島第1原発事故への対応を行った原子力災害対策本部の議事概要などを公表し、事故が発生した昨年3月11日午後7時すぎに開かれた第1回会議から炉心溶融(メルトダウン)の可能性が指摘されていたことが明らかになった。翌12日正午すぎからの第3回会議でも炉心溶融を懸念して避難範囲の見直しに言及した閣僚もおり、政府が早い段階から炉心溶融の可能性を認識していたことがうかがえる。
第1回会議では、全電源が失われ、電池で動く原子炉冷却装置だけが動いていることが指摘され、この状態が「8時間を超え、炉心の温度があがるようなことになるとメルトダウンに至る可能性もあり」と報告された。ただし、この時点では放射性物質の外部放出が確認されていなかったことから「直ちに特別の行動は不要」との発言もあった。
第3回会議では、玄葉光一郎国家戦略担当相(当時)が「メルトダウンの可能性がある。避難地域(当時は半径10キロ圏内)を考え直す必要はないのか」と懸念を示し、菅直人首相(同)も「楽観はできない」と発言。その約3時間後に、1号機で最初の水素爆発が発生した。
その後、12日夜に開かれた第4回会議では、海江田万里経済産業相(同)が1号機の中央操作室や敷地境界で放射線量が大幅に上昇していることを報告。菅氏が「チェルノブイリ型(の水蒸気爆発)はあり得るのか。スリーマイルのようなメルトダウンがあり得るのか」と問いかける場面もあった。
一方、実際は原子炉圧力容器や格納容器が破損し、核燃料によって汚染された水が外部に漏れ出す事態に発展したにもかかわらず、13日午前10時すぎの第5回会議では、海江田氏が「1号機で爆発が起きたが、原子炉は頑丈な鋼鉄製の格納容器に納められており、深刻な破損はない旨報告を受けている」と話すなど、被害を過小に見積もっていたことを示す発言もみられる。また、13日の第6回会議では、菅氏が「戦後における我が国最大の危機である」と発言した。
政府は当時、議事を記録していなかったことへの批判を受け、会議の出席者のメモや関係者への聴取などをもとに議事概要を作成した。【西川拓】』
http://mainichi.jp/select/science/news/20120309k0000e040175000c.html

・日経web---『炉心溶融の恐れ、震災当日に指摘 政府対策本部 福島第1原発 』
『政府は9日、東京電力福島第1原子力発電所の事故対応にあたった原子力災害対策本部の未作成だった議事録に代わる議事概要を公表した。東日本大震災当日の昨年3月11日夜の第1回会議で「(冷却停止が)8時間を超え炉心の温度が上がるようなことになると、炉心溶融(メルトダウン)に至る可能性もある」と報告されていたことが分かった。発言者は確認できないが、事故直後から炉心溶融を念頭にした対応を迫られていた。
公表したのは昨年3月11日夜から同12月26日までの23回分。出席者は首相と関係閣僚、班目春樹原子力安全委員長ら。議事録が作成されていなかったため、事務局員のメモなどをもとに、主な発言の概要をまとめた。ただ、18回目までは録音が残っておらず、当時の会議の様子がどこまで忠実に反映されているかはわからない。
3月11日午後7時3~22分の第1回会議では、放射性物質の漏洩は確認されていないとして「直ちに特別の行動は不要」と報告。ただ、海江田万里経済産業相(当時)が「10キロメートル範囲の人を、どこかの時点で避難させる必要があるかもしれない」と言及、「日本で初めてのことで波紋も呼ぶ」としていた。
北沢俊美防衛相(同)は「発電機は何機あればいいのか」と発言し、ルース駐日米大使や米軍から支援の申し出があったことを報告した。また、松本龍防災担当相(同)が「官邸に情報が入っていない」と発言するなど、当時の官邸の混乱ぶりがうかがえる。
同12日の第3回会議では、菅直人首相(同)から「1号機などから住民には健康被害を及ぼすことはない微量な放射能が流出している」と説明。玄葉光一郎国家戦略担当相(同)が「メルトダウンの可能性がある。避難地域は10キロメートルでいいのか。考え直す必要はないのか」と発言していた。』
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819595E2EBE2E2EA8DE2EBE2E1E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2

■3月8日(木、364日目)

・毎日jp---『福島第1原発:前消防総監、部下に危険な命令…苦悩今も』
『昨年3月19日未明、東京電力福島第1原発3号機建屋への放水作業を成功させた東京消防庁の新井雄治前消防総監(60)が毎日新聞の単独インタビューに応じ、「部下の安全を確保できないのに命令をかけたのは許されないと今も思う。本来あってはならないことだった」と、死と隣り合わせの命令を下した苦悩を打ち明けた。そのうえで、放射線を防護できる免震重要棟の存在を知らされていなかったことを痛恨事として挙げ、「情報共有という阪神淡路大震災の教訓が生かされていなかった」と述べた。【千代崎聖史】
新井氏は昨年7月に総監を退任。震災から1年を機にインタビューに応じた。
新井氏によると、部隊派遣の発端は、3月17日午後6時ごろの意外な内容の電話だったという。知事部局からの依頼で、石原慎太郎都知事に電話すると、「(菅直人)総理が、東京消防庁があまり協力してくれないと言っている。どうなんだい」と言われ、「16日に特殊災害対策車を出したり既に協力している」と説明。知事は「もう一度総理と連絡を取る」と言って、電話はいったん切れた。
知事から再度の電話があり、「政府も非常に混乱している。ただ、他に方法がない。やってくれるなら政府としてお願いしたいと言っているがどうか」と聞かれたため、「準備はしてるので部隊を出します」と回答。首相からの出動要請という超法規的な部隊派遣が決まった。
17日朝、自衛隊ヘリの放水が芳しい効果を上げなかった時点で、新井氏は出番を確信。東京・荒川の河川敷で屈折放水塔車を使った大規模な放水訓練を始めさせていた。「15分あれば水を出せるとの報告が夕刻には届いていた。事前に被ばく対策のアドバイスを受けていた特殊災害支援アドバイザーの山口先生(芳裕・杏林大医学部教授)の存在も大きかった。最大の懸念は4号機の情報が全くなく、爆発の可能性を否定できないことだった」
それでも、派遣命令を下したことについて新井氏は「あの危機的状況で、選択の余地はなかった。ただ、部下を安全に活動させるのが私の最大の責任。命令をかけたのはある意味、任務放棄だった。本当に矛盾だと。その後もずっと感じている」と振り返った。
また、免震重要棟について「総務省消防庁は存在すら知らず、我々にも伝わらなかった。知っていれば現場での作業の拠点にできた。後で抗議し、総務省も初めて知ったぐらい。阪神淡路大震災の反省から官邸に危機管理センターを作り、情報共有がされるはずだったのにできていなかった。全体を仕切る人がいなかったことが理由だと思うが、最大の反省材料だ」と述べた。
◇東京消防庁の放水作業
東京電力福島第1原発3号機の使用済み核燃料プールを冷却するため、東京消防庁は11年3月18日、ハイパーレスキュー隊を派遣。遠距離大量送水装置「スーパーポンパー」と「屈折放水塔車」を組み合わせた「無人放水」を試みた。岸壁が地震で崩壊し、ホース延長車が入れなかったため、隊員らは長さ50メートル、重さ100キロのホース7本を手作業でつなぐなどした。放射線を浴びるのを最小限に抑えるため、約50人の隊員が交代しながらつなぎ合わせ、19日未明から放水を実現させた。毎日新聞 2012年3月8日 15時00分』
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20120308k0000e040209000c.html


■3月7日(水、363日目)

・産経web---『首都圏の地震、大震災前の3倍に増加 文科省「M7いつ起きても…」』
『首都直下地震が想定されている南関東の地震活動が東日本大震災後に活発化し、地震の発生頻度は現在も大震災前の約3倍と高い状態となっていることが7日、文部科学省の特別プロジェクト研究で分かった。研究チームはマグニチュード(M)7程度の首都直下地震について「いつ発生しても不思議ではない」としている。
南関東で起きたM3以上の地震の数を大震災の前後半年間で比較したところ、大震災後は約7倍に増加。徐々に減少しているが、現在も約3倍で「地震災害発生リスクは現在も高い」との見解を示した。
国はM7程度の首都直下地震の発生確率を30年以内に70%としている。研究チームは確率がどの程度上昇したかは示していない。
また、首都直下地震のひとつである東京湾北部地震の揺れは、従来想定の震度6強を上回る震度7との推定を正式に公表。沈み込むフィリピン海プレート(岩板)と陸のプレートとの境界が従来想定より約10キロ浅いことが分かったためで、震度7は東京23区の湾岸部や多摩川河口付近と予想した。
国が首都直下地震の発生確率の計算で評価対象としている過去の5つの地震について、震源域の調査結果も公表。明治27年の明治東京地震はフィリピン海プレート内部または太平洋プレート上面▽明治28年の茨城県南部地震は太平洋プレート内部▽大正10年の茨城県南部地震、翌年の浦賀水道付近の地震はフィリピン海プレート内部と分かった。
研究プロジェクトには東大地震研究所、京都大防災研究所、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)が参加した。』
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120307/dst12030714250010-n1.htm


■3月6日(火、362日目)

共同通信---『福島原発の汚染水、依然流出か 海のセシウム濃度下がらず』
『東電福島第1原発周辺の海で放射性セシウムの濃度の下がり方が遅いとの分析結果を、気象研究所の青山道夫主任研究官らが6日までにまとめた。事故で発生した高濃度の放射性物質を含む汚染水が、見えない部分から漏れ続けている可能性があるという。
事故後の昨年4月、海への汚染水の流出が発覚し、東電は地中に薬剤を入れて止めた。東電は「この3~4カ月は濃度低下が緩やかだが、昨年3月より大きく下がっている。11月ごろから下がりきったところで推移しており、漏えいがあるとは考えていない」としている。
青山さんらは、東電が測定した原発付近の海水の放射性セシウム濃度を分析。』
http://www.47news.jp/CN/201203/CN2012030601002005.html

・読売online---『セシウム流出量、東電推計の6倍…海洋研試算』
『東京電力福島第一原子力発電所の事故で、原発から海に流出した放射性セシウム137の総量は最大で5600テラ・ベクレル(1テラは1兆)に上るとの試算を、海洋研究開発機構がまとめた。
東電の推計量の約6倍にあたる。6日に開かれた日本原子力研究開発機構の研究報告会で発表した。
海洋研究開発機構の宮沢泰正主任研究員らは、福島県の沿岸など約500地点で採取した海水のセシウム濃度や、潮の流れなどをもとに、昨年5月7日までにセシウムが移動した経路を模擬計算した。その結果から、海に流出した高濃度汚染水のセシウムの総量は、4200~5600テラ・ベクレルと算出された。このほか、同原発から大気中に放出され、雨などによって海に沈着したセシウムは1200~1500テラ・ベクレルになった。(2012年3月6日21時29分 読売新聞)』
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120306-OYT1T01065.htm


■3月5日(月、361日目)

大震災からもうすぐ1年を迎える。TVもその他メディアも特集記事が多い。

ダイヤモンドオンラインには海江田経産大臣のインタービューが載っている。『一番のピンチはどのタイミングだったのか』の問に『やっぱり15日だろう。本当に神に祈る気持ちだった。「なんとか収まってくれ」と。あのとき、得体の知れない怪物と人類が戦っていて、押しまくられていた。1号機から4号機まで水素爆発し、目の前が真っ白になった。次から次へと、事態が悪化していく情報が入ってきて、本当に打つ手がないのではないかと思った。』

産経ニュースはNYタイムズの記事を紹介。
=====
ニューヨーク・タイムズ(米国)
不信の連鎖、米国の懸念裏付け
「壊れた原子炉をめぐる混沌の中、(当事者の)信頼は欠如し、狂乱めいた電話のやりとりが続いた」
2月28日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、民間の有識者でつくる「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」の調査報告書を紹介する記事で、事故当時の菅直人政権の対応の混乱ぶりを強調した。
記事は、事故の最も深刻な初期段階で、「日本のリーダーたちは、原発が実際にどれだけのダメージを受けているか把握しておらず、あまつさえ国民へのリスクを軽視しようとさえした」と厳しく批判する。
「主要な登場人物たちの間の信頼の崩壊が、いかに日本の当局者の(適切な)反応を妨げたかを報告書は物語っている」とし、菅氏と東電の首脳陣、そして福島第1原発の責任者の相互不信を問題視。関係者の対立が、危機の初期段階で、「ときに矛盾した情報の氾濫による混乱を生み出した」と指摘した。
記事は、報告書が放射性物質の拡散予測や、4号機の使用済み核燃料プールに冷却用の水が残っているかどうかの見極め、さらには福島第1原発に対する海水注入をめぐる菅政権の混乱ぶりを克明に描写しながら、「日本国民ばかりか、米国など同盟国に対しても、最も注意すべき情報分析を伝えていなかった」と指摘。日本の当局は原発の危険性について十分に公表していなかったとする、米国の原子力専門家の疑念を裏付けるような内容だと評価している。
同紙は「国民に危険を警告できなかったのは政府の責任」として、独自の調査を思い立った民間事故調の関係者の言葉を紹介し、「当局の発表をうのみにしがちな日本において、この種の外部調査はまれな例だ」と指摘している。(ワシントン 柿内公輔)
=====

・産経web---『炉心溶解 1週間後に判断 保安院「信頼性不十分」公表せず』
『東京電力福島第1原発事故で、経済産業省原子力安全・保安院が昨年3月の事故の1週間後に、1~3号機が炉心溶融していると分析していたことが分かった。保安院は「信頼性が十分でない」として公表していなかった。
保安院によると、分析したのは事故を受け原子炉の状態を調べるため新たに発足した「情報分析・対応評価チーム」。原子炉の水位や圧力、放射線量のデータを基に分析したところ、昨年3月18日午後2時45分の時点で、1~3号機の原子炉について「炉心はすでに溶融している」と判断し、「外部から注水を続ける限りにおいては、安定した状態が継続している」との評価をまとめたという。
公表しなかった理由について、保安院は「分析の基となったデータの信頼性が十分でなかったため、内部の参考資料の位置づけだった」と釈明した。
炉心溶融をめぐっては、保安院は昨年3月12日の会見で、中村幸一郎審議官が1号機について「炉心溶融の可能性がある」と言及。ただ、同日夜に中村審議官が広報担当から交代して以降は「燃料の損傷」などと説明を変え、炉心溶融という表現を使わなくなった。
保安院が炉心溶融を正式に認めたのは、東電が炉心溶融の解析結果をまとめた昨年5月で事故から約2カ月後だった。
公表遅れは政府の事故調査・検証委員会の中間報告でも「国民に対する情報提供として問題がある」と批判された。』
コメント

東日本大震災(平成の大地震) - その134 備忘録 民間事故調報告書

2012年03月03日 | 大地震
原発のニュースは少なくなっているが、今週は『民間事故調の報告書』が発表され新聞各紙で要旨が紹介されてた。当初限定部数が無料で配布されたようだが、一般からの入手リクエストが多いため、急遽3月11日から書店やダウンロード販売されるとのこと。ただこの民間事故調のヒアリングを東電は拒否しているとのこと。いくら法的拘束力を持たない民間の調査とは言え、東電も応じる責務があるのではないだろうか。
これに関して何らかのコメントが載っているのではないかと東電のHPを見てみたが見けることができなかった(過去記事にあるかもしれないが)。代わりに『東電からのお知らせ - 新聞、テレビ、インターネットなどで取り上げられている話題について、東京電力から解説いたします。』とのページに以下の記載があった。
=====
東京電力が福島第一原子力発電所から全員を退避させようとしていたのではないかと、メディアで広く報道されていますが、そのような事実はありません。昨年3月15日6時30分頃、社長が「最低限の人員を除き、退避すること」と指示を出し、発電所長が「必要な人員は班長が指名すること」を指示し、作業に直接関わりのない協力企業作業員及び当社社員(約650名)が一時的に安全な場所へ移動を開始し、復旧作業は残った人員(約70名)で継続することとしたものです。
東京電力が官邸に申し上げた主旨は「プラントが厳しい状況であるため、作業に直接関係のない社員を一時的に退避させることについて、いずれ必要となるため検討したい」というものです。3月15日4時30分頃に社長の清水が官邸に呼ばれ、菅総理から撤退するつもりかと問われましたが、清水は撤退を考えていない旨回答しており、菅総理もその主旨で4月18日、4月25日、5月2日の参議院予算委員会で答弁されています。清水も4月13日の記者会見において「全面撤退を考えていたということは事実ではない」と申し上げています
=====
→民間事故調の報告書には『東電は「全面撤退ではなく一部撤退の要請だった」としている。しかし民間事故調は「全面撤退でなければそこまで繰り返し電話しないはずだ」などと、全面撤退を求めていたと推定している。』との記載がある。
→『取り上げられている話題について、東京電力から解説いたします』と言うのであれば民間事故調のヒアリングを受けない理由も掲載してほしいものだ。菅首相、枝野幹事長など政府関係者も多数応じているのを知らないわけはないだろう。

民間事故調の報告書を探していたら面白い記事に出会った。以下gooニュースの『ニュースな英語』より
=====
27日付の米紙『ニューヨーク・タイムズ』も、「東京の避難も検討されていた」というこの部分を見出しに取り上げていました。
マーティン・ファクラー東京特派員は、「原発事故を受けて最も暗澹としていた最悪の時」という書き出しで記事を開始。「in the darkest moments」は慣用句です。「最も暗かったあの当時」という直訳でも意味は通じるかと思いますが、つまり「最悪が懸念されていた時」とか「失意のどん底にあった時」などの意味で使います。そして記者は、日本の指導部はその当時「原発の実際の被害程度を知らず、公には懸念を抑制的に伝えつつも、東京避難の可能性を秘密裏に検討していた」ことが示されていると書いています。
さらに、原発事故に対する懸念がピークに達した3月14日~15日の頃、当時の枝野官房長官が「1(福島第一)がダメになれば2(福島第2)もダメになる。2もダメになったら、今度は東海もダメになる、という悪魔の連鎖になる」、「そんなことになったら常識的に考えて東京までだめでしょうと私は思っていた」と民間事故調に証言した内容が、そのまま引用されています。
記事は、日本再建イニシアティブ財団の理事長で以前は朝日新聞の主筆だった船橋洋一氏を、「日本で最も尊敬されている公共分野の知識人の一人」と形容し、船橋氏が中心にいたからこそ、この民間事故調に政府首脳や幹部たちが協力したのだと説明。そして「私たちは最悪のシナリオをギリギリ回避した。国民は当時そんなこと知らなかったが」という船橋氏の言葉を紹介しています(英語は"We barely avoided the worst-case scenario, though the public didn't know it at the time")。そして政府が危険の全容を国民や同盟国アメリカにつまびらかにしなかったせいで、国民の不信を招き、アメリカの不信も招いたという船橋氏の批判も紹介しています。
それでも尚、福島第一からの職員撤退を主張する東電を菅氏が叱責したことを船橋氏は評価。「Prime Minister Kan had his minuses and he had his lapses, but his decision to storm into Tepco and demand that it not give up saved Japan (菅首相には欠点もあったしどうかと思う時もあったが、東電に乗り込んで諦めるなと要求したおかげで、日本は救われた)」というこの言葉で、記事は締めくくっています。3/11後の混乱をほとんど全て菅氏個人の責任に帰結させようとするかのような一部の論調とは、かなり対照的です。
=====
http://news.goo.ne.jp/article/newsengw/world/newsengw-20120229-01.html

■3月4日(日、360日目)

以下、ともに2月28日付けの記事だが。

・産経web---『東電「優先順位は事故収束」と釈明 民間事故調の聴取拒否』
『東京電力は28日、民間の有識者からなる「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」の聴取に応じなかった理由について、「基本的に民間の任意団体。事故収束に取り組むことを優先順位の第1とした」と釈明した。
東電の寺沢徹哉広報部長は会見で「(民間事故調から)幹部へのインタビューの要請があったが、事故の一刻も早い収束や中長期の課題、賠償に全力で取り組んでいるので、インタビューへの協力は控えた」と述べた上で、会社として一部の質問事項には回答していると説明した。』

・時事通信---『「賠償などの対応に全力」=民間事故調の聴取拒否で東電』
『東京電力福島第1原発事故で、民間事故調からの同社幹部に対する聴取要請を断ったことについて、東電の松本純一原子力・立地本部長代理は28日、「(同原発の)中長期対策や賠償の取り組みに全力を挙げており、インタビューに関しては控えている」と理由を説明した。
 松本代理は「以前からさまざまな機関からの要請があるが、公平性の観点から断っている」と、同事故調が民間団体であることも挙げ、「政府や国会という裏付けのある機関には、対応させていただきたいと思っている」と述べた。』


■3月3日(土、359日目)

・東京web---『SPEEDI予測「公表できない」 文科省文書に記載』
『東京電力福島第1原発事故5日目の昨年3月15日、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による放射性物質の拡散予測について、当時の高木義明文部科学相ら政務三役や文科省幹部が協議し「一般にはとても公表できない内容と判断」と記した内部文書が作成されていたことが2日、同省関係者への取材で分かった。
文科省は「事務方が作ったメモだが不正確。公表の具体的な判断はしなかった」と内容を一部否定している。
事故直後のSPEEDIの試算公表をめぐる文科省の議事録などは公表されていなかった。』
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012030201002418.html


■3月2日(金、358日目)

・東京web---『空調フィルター大量洗浄 瀬谷の高線量』
『横浜市瀬谷区の排水路跡地の土から二月、毎時六・八五マイクロシーベルトの高い放射線量が検出された問題で、市は一日、現場隣の空調設備会社が、放射性物質の付着した大量の外気清浄用空調フィルターを水洗いしたのが原因とみられると発表した。福島第一原発事故の影響とみられる。
空調設備会社によると、昨年三月の事故後も十一月二十三日まで、神奈川県内の商業施設などの空調フィルター(縦横約五十センチ)を毎月数百枚、会社敷地内で水洗いしていた。廃水が排水路跡地に流れ、放射性物質が堆積したと考えられる。
現場の土からは一キログラム当たり最大六万二九〇〇ベクレルの放射性セシウムが検出された。市は土をコンクリート製の箱に詰め、現場に埋めて封じ込める。
空調設備の業界団体が昨年十一月二十二日、空調フィルターの交換の際、作業員の被ばくに注意するよう指針を出し、同社は敷地内での洗浄を中止した。
同社の担当者は「指針が出るまで、フィルターに放射性物質が付着したという考えはなかった」と話した。』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012030202000026.html?ref=rank
→こんな所でこんな事がおきるなんて。俄に信じがたいが。微量な放射能でも消えることはなく、ちりも積もれば途轍もない数字になるということか。
250キロ以上離れた横浜で、まさかフィルターに放射性物質が付着しているとは誰も考えないだろう。罪深いものだ。

・日経web---『原発事故対策拠点を公開 当時の混乱ありありと 』
『政府の原子力災害現地対策本部は2日、東京電力福島第1原発に近接する「福島県原子力災害対策センター(通称オフサイトセンター)」(同県大熊町)の内部を報道陣に初公開した。同センターは事故の対策拠点となるはずだったが、線量上昇などで職員が滞在できず、機能しなかった。室内は職員らの退避時の状態のままで、事故直後の混乱ぶりがうかがえた。
「3月13日8:41 3号機ベント操作開始」「3u爆発(詳細不明)」。センター内の大会議室に置かれたホワイトボードには、原発の状態や周辺の放射線量などがびっしりと走り書きされたまま。机上には飲みかけの飲料水のペットボトルが並び、「広報班」や「総括班」のネーム入りのベストが無造作に脱ぎ捨てられていた。
センターは福島第1原発の西約5キロに位置。事故直後の昨年3月14日には警察・消防や経済産業省の担当者ら約100人が詰めていたが、通信手段が確保できず、室内の放射線量も上昇したため15日に全員が退避。福島県庁に機能を移した。
事故当時、センター内に数十台あった電話は通じず、業務用パソコンの電子メールも使用不能だった。避難指示などを話し合う会議室で会議が開かれることはなく、職員の仮眠室として使われただけだった。』

■3月1日(木、357日目)

朝7時30分過ぎ、茨城県東海村で震度5弱、福島県浜通でも震度4を記録する地震が。昨夜23時32分には千葉県南部で震度4の地震が
発生している。

民間事故調のHPに『福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書 3.11 緊急出版が決まりました』の文言が。早速楽天ブックスで予約する。
発売日は3月11日とのこと。早く入手したいものだ。電子書籍でも1000円で入手できるとのこと。


■2月29日(水、356日目)

スカイツリーが完成し、工事業者である大林組から東武に引き渡された。だが首都圏は生憎の雪。ビュースポットからもスカイツリーは
全く見えない。

民間事故調のHPに以下の記載が。早く一般人でも調査報告書が安く、できれば無料で入手できるようになって欲しい。
=====
報告書の入手方法につきまして
記者会見後、多くの方々から、報告書の入手方法についてお問い合わせを頂戴しております。当プロジェクトにご関心をお寄せ頂き、本当にありがとうございます。
当財団は非営利で運営しておりますことから、今回の報告書は非売品として限定部数作成致しました。会見後に在庫が払底している状態です。皆さまからリクエストを頂戴しておりますところ、すぐに報告書をお手元にお届けすることができず誠に申し訳ございません。
「国民の視点からの検証」という報告書の性質上、広く皆さまにお読み頂きたく思っておりますので、なるべくお求めやすい価格での出版や、ウェブでの公開など、様々な方法を現在検討中です。
追って、本ウェブサイトで詳しい情報をご案内致します。
=====

・時事通信---『2号機5階「人の作業困難」=最大220ミリシーベルト―福島第1』
『東京電力福島第1原発事故で、東電は28日、2号機の原子炉建屋に無人走行ロボットが入って放射線量の測定をした結果、5階オペレーティングフロアで最大1時間当たり220ミリシーベルトを記録したと発表した。同社は「生易しい環境ではなく、人が作業するのは困難」としている。
東電によると、ロボットは27日に建屋へ入り、調査を実施。1~4階の階段や踊り場は1時間当たり11~30ミリシーベルトだった。
5階では、主に西側部分を調査。格納容器に近い中央部付近で同127~220ミリシーベルトと比較的高い線量が測定された。格納容器から放射性物質を含む水蒸気が漏れ出して線量が高くなっている可能性があるという。』


■2月28日(火、355日目)

民間事故調が作成した報告書の内容が発表になった。どこかにPDFが無いかと探してみたが見つからない。
民間事故調のHPを見ると日本語版の報告書は2012年3月11日までに刊行されるとのこと。PDFでは公開されないのか・・。

以下民間事故調のHPより
=====
記者会見にて調査・検証報告書を発表
福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)は、半年にわたる調査・検証活動を終え、北澤宏一委員長ら検証委員会の委員が28日、日本記者クラブで400ページを超える詳細な報告書を発表しました。
民間事故調では、今回の事故に関わる政治家や官僚など事故対応の当事者を招いて約2時間から3時間にわたるロングインタビューを行った。
インタビューを行ったのは菅直人前首相、枝野幸男経産相(前官房長官)、海江田万里元経産相、細野豪志環境・原発事故担当相、福山哲郎前官房副長官など事故対応時に政務中枢にいた政治家と、班目春樹原子力安全委員長、深野弘行原子力安全・保安院長など事故収拾に当たった当事者である。
さらに近藤駿介原子力委員長、久木田豊原子力安全委員長代理ら事情を詳しく知るキーパーソンにも、メンバー有志が参加するラウンドテーブル形式で長時間話を聞いた。調査の過程でヒアリングをした関係者は300人を超えている。なお、東京電力には勝俣恒久会長、清水正孝前社長ら経営陣トップや吉田昌郎前所長ら現場責任者へのインタビューを正式に申し入れたが、協力は得られなかった。そのため、元社長や元原子力担当副社長ら元経営幹部、非公式な社内関係者へのインタビューを通して可能な限りの情報を集めた。
=====

・東京web---『福島第一 対応「場当たり的」 民間事故調が報告書』
『学者や元検事ら民間人でつくる「福島原発事故民間独立検証委員会」(民間事故調、北沢宏一委員長)は二十七日、報告書を公表した。菅直人前首相らから事情を聴き、東京電力福島第一原発の事故当時、政府内部が混乱していた状況を詳しくまとめた。問題点として、場当たり的な対応、規制当局の能力不足、縦割り行政の弊害などを指摘した。
報告書によると、1号機の原子炉内の蒸気を放出するベント実施前に、避難区域が三キロとされたことについて、班目(まだらめ)春樹原子力安全委員長は「(放射性物質を含む気体を直接放出する)ドライベントは失念していた。ドライベントの場合、避難は三キロでは足りない」と述べた。
1号機の水素爆発時、班目委員長は「あー」と頭を抱えるばかりだった。民間事故調の聴取に「水素爆発はないと首相に話していたので、水素爆発だと分かっても何も言えなかった」と答えた。
官邸の危機感が頂点に達したのは、2号機の状態が悪化した三月十四~十五日。東電の清水正孝社長(当時)から福島第一原発からの撤退を申し出る電話が枝野幸男官房長官(当時)らに何度もあり、「まだやれることはある」とする官邸と対立。菅前首相の東電乗り込みにつながった。一方で枝野長官らは近藤駿介原子力委員長に、事故が深刻になった場合を想定した「最悪シナリオ」を作るよう依頼しシナリオは九月の菅前首相退任まで秘密にされた、としている。
民間事故調は、シンクタンク「日本再建イニシアティブ」(船橋洋一理事長)が主導し、委員六人と約三十人の作業グループが調査に当たった。政府関係者を中心に三百人に聴いたが、東電首脳への聴取はできず、事故調は「協力が得られなかった」としている。』
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012022890070609.html

・毎日jp---『福島第1原発:官邸初動対応が混乱の要因 民間事故調報告』
『東京電力福島第1原発事故を調査してきた民間の「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」(北沢宏一委員長)は27日、菅直人首相(事故発生当時)ら官邸の初動対応を「無用な混乱やストレスにより状況を悪化させるリスクを高めた。場当たり的で、泥縄的な危機管理」と指摘する報告書をまとめた。官邸の指示が事故の拡大防止にほとんど貢献しなかったと総括。緊急事態の際の政府トップによる現場への介入を戒めた。
民間事故調は、科学者や法曹関係者ら6人の有識者が委員を務め、昨年の9月から調査していた。東電側は聴取を拒否した。
報告書によると、原発のすべての電源が失われた際、官邸主導で手配された電源車が、コードをつなげず現地で役に立たなかった。枝野幸男官房長官(同)は「東電への不信はそれぐらいから始まっている」と、事故当日から東電への不信感が政府側に生まれていたと証言。報告書はこうした不信感が、官邸の現場への介入の一因になったと分析した。
原子炉格納容器の圧力を下げるため気体を外に出す「ベント」が遅れたことについては、東電が現地の住民避難の完了を待っていたことや電源喪失が原因だったと指摘。「官邸の決定や経済産業相の命令、首相の要請がベントの早期実現に役立ったと認められる点はなかった」とした。
1号機への海水注入では、12日午後6時ごろの会議で、注入による再臨界の可能性を菅氏が「強い調子」で問いただし、再検討を指示していた。海水注入は既に午後7時4分に始まっており、第1原発の吉田昌郎所長(同)は官邸と東電本店の中断指示を無視し注入を続けた。報告書は「官邸の中断要請に従っていれば、作業が遅延した可能性がある危険な状況だった」との見方を示した。同時に、吉田氏の行動についても「官邸及び東電本店の意向に明確に反する対応を現場が行ったことは、危機管理上の重大なリスクを含む問題」と批判した。
一方、菅氏が昨年3月15日に東電に「(福島第1原発からの)撤退なんてありえませんよ」と、第1原発にとどまるように強く求めたことについては、「結果的に東電に強い覚悟を迫った」と評価した。
また、菅氏の官邸での指揮に関し「強く自身の意見を主張する傾向」が班目(まだらめ)春樹原子力安全委員長や閣僚らの反論を「躊躇(ちゅうちょ)」させたとの認識も示した。さらに「トップリーダーの強い自己主張は、物事を決断し実行するための効果という正の面、関係者を萎縮させるなど心理的抑制効果という負の面があった」と言及した。【笈田直樹】
◇民間事故調報告書の骨子
・首相官邸の現場介入によって、1号機のベント(排気)などで無用の混乱を招き、事故の悪化リスクを高めた可能性。介入の背景は、マニュアルの想定不備や官邸の認識不足▽東電や保安院への不信感▽被害拡大の危機感▽菅直人前首相の政治手腕など
・01年の米同時多発テロを教訓にした新たな規制内容を未反映
・菅前首相は昨年3月22日、原子力委員会の近藤駿介委員長に「最悪シナリオ」の想定を依頼
・地震当時、原発構内の作業員は「この原発は終わった。東電は終わりだ」と顔面蒼白(そうはく)
・緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)の運用や結果の公表を巡り、文部科学省が原子力安全委員会に役割分担させるなど責任回避を念頭にした組織防衛的な兆候が散見
・航空機モニタリングで、文科省と防衛省の連携が不十分
【ことば】福島原発事故独立検証委員会
東京電力福島第1原発事故の原因などについて民間の立場で検証しようと、財団法人が設立した組織。通称・民間事故調。委員は元検事総長の但木敬一弁護士ら民間人6人。研究者や弁護士ら約30人から成るワーキンググループがあり、菅直人前首相ら政治家や官僚ら300人余りから意見を聴取した。原発事故をめぐっては政府、国会、日本原子力学会なども独自に調査している。法律に基づいて設置された国会の事故調は、証人喚問といった強い権限がある。
毎日新聞 2012年2月27日 22時22分(最終更新 2月28日 0時25分)』
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120228k0000m010104000c.html

・日経web---『官邸の介入強めた班目発言 「水素爆発ない」 東電は再三の撤退申し入れ 民間事故調報告 』
『2012/2/27 23:07 ニュースソース 日本経済新聞 電子版  
東京電力福島第1原子力発電所の民間版事故調査委員会「福島原発事故独立検証委員会」(委員長・北沢宏一科学技術振興機構前理事長)は27日、独自に事故を検証した報告書をまとめた。政府の事故調では未聴取だった事故当時の菅直人首相をはじめ、日米政府関係者らへヒアリング。専門家が役割を果たせず、官邸も場当たり的な対応を繰り返したことが混乱を広げたと指摘した。(本文中の肩書はいずれも当時)
■官邸
約3キロ離れた地点から撮影した東京電力福島第1原発の現在の全景(26日)=共同
事故後の昨年3月12日午前6時すぎ、ヘリコプターでの原発視察で、首相は同乗した班目春樹原子力安全委員長に「俺の質問にだけ答えろ」と命じて他の説明を拒否した
首相が東電本店や福島第1原発に乗り込むなど、官邸が現場への介入を強めていった背景について、報告書は(1)マニュアルの認識不足(2)専門家への不信感(3)災害拡大の危機感(4)首相の管理手法――などが重なったと分析している。
事故後の原発視察で首相から水素爆発の可能性を問われた班目委員長は「ない」と答えた。しかし帰京後に官邸で1号機の水素爆発の映像がテレビで流れる。委員長は「あー」とだけ言い、頭を抱えて前のめりになった。ぼうぜん自失し「(水素爆発とすぐにわかったが)誰にも言えなかった」。経済産業省・原子力安全・保安院や東電の幹部も説明に窮する場面が相次いだ。「この人たちのいうことも疑ってかからなければいけないな」(海江田万里経済産業相)。官邸側は専門家への不信感を募らせていった。
官邸内では3千万人の首都圏退避の「最悪のシナリオ」が話題に。枝野幸男官房長官は「悪魔の連鎖になる」と感じた
報告書は、「最悪のシナリオ」などが話題になり始めた結果、原子力災害対策マニュアルに定められていない官邸の関与が進んだとしている。
■米国
米国の支援対応は早く、米軍や原子力規制委員会(NRC)関係者ら160人のスタッフを日本に派遣。日本政府の収束策を見守り支援要請を待った。だが、日本側が3月12日に米NRC委員長の支援の申し出を断ったことで、米側は情報共有が十分でないことに不信感を強めた。
ルース駐日大使は同14日深夜に米専門家を官邸に常駐させたいと申し出たが、枝野官房長官は難色を示した。米は4号機の使用済み核燃料プールが干上がって爆発するのを懸念し、同17日に米国民の出国勧告を行うなど日米関係は危機に直面した。細野豪志補佐官らの日米調整会合が同22日に発足して、ようやく情報共有が進み関係が改善したという。
かねて米NRCは同時多発テロを受けて日本に核テロ対策強化を促していた。安全性が高まるチャンスだったが、「保安院は全く関心を示さなかった」(NRC幹部)。
■東電
東京電力の清水正孝社長は海江田経産相や枝野官房長官に繰り返し電話し、「とても現場はこれ以上もちません」などと撤退の許可を求めた
清水社長が3月15日午前3時ごろ、海江田経産相や枝野官房長官らに約1時間にわたって繰り返し電話し、第1原発からの撤退を再三申し入れていたことも判明した。
両大臣は午前3時20分ごろ、寝ていた首相を起こして報告したが、首相は「そんなことはあり得ない」と強く拒否。午前4時17分に清水社長を官邸に呼び「撤退はあり得ない」と直接念を押した。清水社長は消え入るような声で「はい」と答えたという。
東電は「全面撤退ではなく一部撤退の要請だった」としている。しかし民間事故調は「全面撤退でなければそこまで繰り返し電話しないはずだ」などと、全面撤退を求めていたと推定している。東電は聴取に応じていない。

報告書が指摘した主な問題点
○過酷事故への備えを怠った東電の組織的怠慢
○原子力災害をタブー視する絶対安全神話
○官邸主導による現場への過剰介入
○国民とのコミュニケーション不足による政府の信頼喪失
○原子力安全規制のガラパゴス化と能力不足 』
http://www.nikkei.com/news/print-article/g=96958A9C93819695E0E5E2E69A8DE0E5E2E0E0E2E3E09191E3E2E2E2;bf=0;m=96948D999D9C819A9B9C8D8D8D8D;R_FLG=0


■2月27日(月、354日目)

・毎日jp---『福島第1原発:「保安院は逃げた」経団連会長、政府を批判』
『経団連の米倉弘昌会長は27日の記者会見で、東京電力の福島第1原発事故について「東電の経営問題で事故が起きたのではなく、大災害で起きた。特に政府の対応が非常に間違っていたのではないか」と政府を批判。「事故直後に原子力安全・保安院の駐在員は逃げ出したが、東電の職員は逃げ出すことなく事故の収束に全力を挙げた。国は『保安院の職員が逃げ、どうもすみませんでした』と謝るべきだ」と、改めて東電を擁護した。
米倉会長が指摘したのは、事故直後の昨年3月12日、原発周辺に駐在している原子力保安検査官がオフサイトセンターに退避したこと。政府の事故調査・検証委員会は昨年12月の中間報告で「この時期に保安検査官が退避する判断が適切だったか疑問が残る」としていた。
米倉会長は東電の企業向け電気料金の値上げについても「原発の稼働ができないことで原油の輸入が何兆円か増えている。値上げするなと言われたら、電力会社は全部つぶれてしまう」と理解を示したが、東電擁護と受け取れる一連の発言は議論を呼びそうだ。【川口雅浩】』
http://mainichi.jp/select/today/news/20120228k0000m020113000c.html


コメント

東日本大震災(平成の大地震) - その133 備忘録

2012年02月26日 | 大地震
■2月26日(日、353日目)

・毎日jp---『東日本大震災:福島第1原発事故 双葉町長「政府罪深い」 拡散予測データ非公表で--国会事故調』
『東京電力福島第1原発事故に関する国会の事故調査委員会(委員長・黒川清元日本学術会議会長)は30日、福島県双葉町民が避難している埼玉県加須市で第3回委員会を開いた。参考人として出席した井戸川克隆双葉町長は、放射性物質の拡散予測データが当初、住民に提供されていなかったことについて「手元にあれば当然違った方向に(避難の)かじを切った。罪の深さは計り知れないほど大きい」と、政府を厳しく批判した。
井戸川町長は「避難指示は政府から出たが、その後の行動については、指示や指導がないまま今日に至っている。大変残念だ」と指摘。東電に対しても「事故を発生させ、(その後の賠償についての対応も)紳士的とは言えない」と述べ、経営陣の総退陣を求めた。国会事故調には「苦しさや無念さが晴れるような調査をお願いしたい」と訴えた。【笈田直樹、藤沢美由紀】』
毎日新聞 2012年1月30日 21時25分(最終更新 1月30日 21時28分)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120131ddm041040107000c.html

■2月25日(土、352日目)

■2月24日(金、351日目)

■2月23日(木、350日目)

・東京web---『米専門家官邸常駐拒否にいら立つ 原発事故、意思疎通に10日』
『東京電力福島第1原発事故で、米原子力規制委員会(NRC)が日本に派遣した専門家の首相官邸常駐を日本側が断り、情報不足に苦しむ米側が「フラストレーション(いら立ち)」を募らせた。専門家チームの責任者だったチャールズ・カストー氏が22日までに共同通信の電話インタビューに応じ、事故発生後、日米の意思疎通が順調になるまで10日間を要したなどと語った。
官邸常駐をめぐる対立は、国家の威信を懸けて事故対応を進めたい日本側と、自国民保護のため情報収集を急いだ米側の綱引きがあったとみられる。
米側は原発から北西方向38キロに放射性雲の到達可能性を予測していたという。』
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012022201001851.html


■2月22日(水、349日目)

・東京web---『事故翌日「スリーマイル超える」 震災当初の保安院広報 中村幸一郎審議官』
『福島第一原発の事故当初、記者会見で「炉心溶融の可能性がある」と説明した後、経済産業省原子力安全・保安院の広報担当を交代した中村幸一郎審議官(52)が21日、本紙のインタビューに応じ、その経緯などを語った。事故は深刻で、発生翌日には、米スリーマイル島原発事故を超えると思ったと当時の認識を語る一方、交代は発言とは無関係だと強調した。
交代の経緯は、政府事故調査・検証委員会の中間報告でも検証されているが、報道機関に詳細を語るのは初めてという。
中村氏は、1号機の原子炉を覆う格納容器の圧力が上昇した昨年三月十二日未明には「難しい状況に入ってきているなと思った」と、当時の認識を説明。
消防車で注水を始めたのに、原子炉の水位が低下している状況をとらえ「(過熱した)核燃料の溶融が始まっている可能性がある」と考えた。大学で学んだ原子力工学の知識も判断を下支えした。
同日午前の会見で、「(核燃料を覆う)被覆管が一部溶け始めていることも考えられる」と、初めて溶融の可能性に言及した。
午後の会見前には、「コア(幹部)の人たちはそういう(溶融の可能性があるとの)認識を持っていた」と、寺坂信昭院長(当時)らと認識を共有していたと説明。寺坂氏の了承を得て、会見で「炉心溶融の可能性がある。ほぼ進んでいるのではないか」と踏み込んだ経緯を説明した。
その後、首相官邸側が保安院の説明に懸念を示しているとの情報を得た寺坂氏から、ほかの審議官を介して「発言に注意するように」と指示された。
中村氏は同日夕の会見を最後に広報担当を交代した。その後、保安院の説明は「炉心が破損」など、「溶融」を使わなくなった。
このため、溶融発言によって交代させられたと受け取られてきたが、中村氏は「一、二時間おきに計十数回、二十五、六時間寝ずに会見をし、長い仕事になると思ったので休もうと考えた」と、自ら願い出ての交代だったと強調した。』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2012022202100005.html


■2月21日(火、348日目)

・読売online---『都心部、想定外の震度7も…東京湾北部地震で』
『都直下で起こる東京湾北部地震で、これまで想定していなかった震度7の揺れが都心部を襲う可能性があることが分かった。
文部科学省が進めてきた地下構造調査で、地震を起こすプレート(地球を覆う岩板)の境界が約10キロ浅くなる部分があると判明したため。国は新年度、被害想定と対策の見直しを始める。
東京湾北部地震は、国の中央防災会議が18通りの発生領域を想定している首都直下地震の一つ。震源は陸のプレートと、その下に沈み込むフィリピン海プレートの境界で、規模はマグニチュード(M)7・3。同会議が2004年に公表した震度分布の最大震度は6強だった。
しかし、大学や研究機関などが参加する文科省の研究チームが07~11年度、首都圏約300地点に地震計を設置し、地震波を解析した結果、東京湾北部のプレート境界の深さが、同会議の想定(30~40キロ)より約10キロ浅くなる部分があることが確認された。
(2012年2月21日03時14分 読売新聞)』
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120220-OYT1T01259.htm?from=main2

・河北新報---『収束 程遠い実態 高線量、撤去阻む 福島第1原発公開』
『東京電力福島第1原発(福島県双葉町、大熊町)が20日、報道陣に公開され、4号機で燃料プールから燃料を取り出すためのがれき撤去が進む一方、3号機では高い放射線量が撤去の進捗(しんちょく)を阻むなど、事故から1年近くたった今も実態は収束とは程遠いことが明らかになった。
昨年12月に就任した高橋毅所長は、凍結による配管からの汚染水漏れや、2号機の温度計故障など相次ぐトラブルについて「皆さまに多大な心配をかけ、おわび申し上げる」と陳謝した。
今回は経済産業省原子力安全・保安院による保安検査に伴う公開で、政府が原子炉の冷温停止状態が実現したとして事故収束の「ステップ2」完了を宣言した昨年12月以降初めて。
事故後では昨年11月に続き2回目となり、河北新報社など国内外のメディア約30社が参加した。
保安検査は6日から行われており、保安院は冷温停止状態を維持するのに必要な循環注水冷却や汚染水処理など設備7種類の運用状況の確認を進めている。
20日は東電側に対し、汚染水処理で発生する放射性物質を含む気体の管理について説明を求めた。検査は24日に終了する予定。
報道陣は、事故対応の最前線となっている免震重要棟の緊急時対策室などを視察したほか、バスで敷地内を回った。2012年02月21日火曜日』
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/02/20120221t63008.htm


■2月20日(月、347日目)
コメント

東日本大震災(平成の大地震) - その132 備忘録

2012年02月19日 | 大地震
■2月19日(日、346日目)

14時54分頃、茨城県北部を震源とする地震があり、同県日立市で震度5弱、水戸市などで震度4を観測。東京23区は震度2。なぜか休日に地震が多い。

首都直下型地震の発生も言われているので、再度、地震対策を見直す。会社では1泊or2泊の対応と歩いて帰るための準備を。家庭では一週間程度の水と食料、日用品など。家具の転倒防止と食器類の飛び出し防止を徹底、滑り止めのゴムマットをいろんなものに敷く。

■2月18日(土、345日目)

14時13分ごろ、千葉県北西部を震源とする地震が。千葉県北西部、千葉市中央区で震度4を観測。東京23区は震度2。

■2月17日(金、344日目)

■2月16日(木、343日目)

東京電力福島第1原発事故調査委員会のHPが解説されている。資料などまだ準備中の画面もあるが、委員会の中継内容が動画でも見ることができる。
新聞やニュースでこのような URL を積極的に報道して貰いたいものだ。
http://www.naiic.jp/

15日の委員会で班目委員長はは「1週間以上寝ていないのでほとんど記憶がない」と発言している。こんな人が事故対策にあたっていたとは信じがたい。不幸なことだった。

たまたま見つけたサイトだが
http://tanakaryusaku.jp/2012/02/0003694

・産経web---『2トップ、福島事故で謝罪 「言い訳に時間をかけた」「私は文系で…」』
『国会が設置した東京電力福島第1原発事故調査委員会(委員長・黒川清元日本学術会議会長)の第4回委員会が15日、国会・衆院別館で開かれ、原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長と経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭前院長が、原子力の安全規制当局として事故を防げなかったことについて陳謝した。
班目氏は津波や全電源喪失に備える原発の安全指針について「瑕疵(かし)があったと認めざるを得ない。おわびしたい」と謝罪。指針が改善されなかった背景について「低い安全基準を事業者が提案し、規制当局がのんでしまう。国がお墨付きを与えたから安全だとなり、事業者が安全性を向上させる努力をしなくなる悪循環に陥っていた」と言及し、「わが国は(対策を)やらなくてもいいという言い訳に時間をかけ、抵抗があってもやるという意思決定ができにくいシステムになっている」と述べた。
寺坂氏は平成16年の美浜原発配管破断事故などを挙げ、「(保安院は)安全規制を進めようとしていたが、個別の問題の改善や安全確保に相当な時間や人員をとられた」と釈明した。
官邸への助言など、事故当時のそれぞれの行動について、班目氏は「1週間以上寝ていないのでほとんど記憶がない。私がいた場所は固定電話が2回線で携帯も通じず、できる助言は限りがあった」と説明。寺坂氏は「私は文系なので、官邸内の対応は理系の次長に任せた」と述べた。
また、放射性物質の拡散予測システム(SPEEDI)を避難に活用しなかったと政府事故調などで指摘されていることについて、班目氏は「SPEEDIがあればうまく避難できたというのは全くの誤解だ」と反論。寺坂氏は「避難方向など何らかの形で有用な情報になったのではないかという思いはある」と述べ、異なる認識を示した。
黒川委員長は委員会後の会見で「安全委員会と保安院は安全を担う使命を持っているが、緊急時の備えができておらず、事故がない前提で原子力行政を推進するなど、国民の安全を守る意識が希薄だ」と批判した。』
http://sankei.jp.msn.com/science/news/120215/scn12021522210001-n1.htm


■2月15日(水、342日目)

sponichi---『班目委員長 指針に瑕疵と謝罪「やらない言い訳に時間をかけてしまった」』
『国会に設置された東京電力福島第1原発事故調査委員会(委員長・黒川清元日本学術会議会長)が15日、都内で開いた第4回委員会で、原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は「指針にいろんな瑕疵があった。おわび申し上げる」と原発の津波対策や全電源喪失に関する指針の誤りを認め、謝罪した。
事故調査委員会は、経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭前院長からも聴取。
班目委員長は、全電源喪失対策を想定していなかった理由について「わが国ではやらなくていい、という言い訳、説明ばかりに時間をかけてしまった。抵抗があってもやるという意思決定ができにくいシステムになっている」と述べ、短期間で担当を交代する官僚制度に言及した。
住民避難に使われる放射性物質の拡散予測システム(SPEEDI)は、原子炉のデータがないなど情報が十分でなく「動いていたらうまく避難できたのではないか、というのは誤解」と説明。一方で、予測データは「公開されてしかるべきものだった」と述べた。 』
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/02/15/kiji/K20120215002639680.html
→斑目委員長の発言はいつも他人事のように聞こえる。責任転嫁ばっかりではないのか。

・東京web---『原子力安全委の班目委員長が謝罪 国会の原発事故調で』
『国会が設置した福島第1原発事故調査委員会が15日、会合を開き、参考人として出席した原子力安全委員会の班目春樹委員長は「指針にいろんな瑕疵があった」と原発の津波対策や全電源喪失に関する指針の誤りを認め、謝罪した。
この日の会合には続いて、事故発生当時に経済産業省原子力・安全保安院の責任者だった寺坂信昭・前院長が出席。』
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012021501001379.html
→「指針にいろんな瑕疵があった」のは解るが、原発事故以降の委員長自身の対応についてはどう答えているのか知りたいものだ。どこで見れるのだろうか。

・東京web---『圧力容器の温度計8個に異常 福島第1原発2号機』
『福島第1原発2号機で原子炉圧力容器底部の温度計の数値が異常に上昇した問題で、東電は14日、他の温度計の点検を進め、圧力容器に41個ある温度計のうち計8個に異常がみられると発表した。
一時、400度を超えた温度計1個のほか、2個に温度を測るもととなる電気抵抗値に異常が見つかった。残りの5個は故障と判断していた。東電は残る33個の温度計で圧力容器全体の温度傾向を監視する。
経産省原子力安全・保安院から、故障とみられる温度計に代わる温度監視の策を求められたことについて、東電は「新たに温度計を設置するのは難しい。実現可能性含め対応したい」としている。』
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012021401002271.html


■2月14日(火、341日目)

12時28分と15時22分に茨城県沖を震源とする浜通りで震度3の地震が。東京23区も震度2の揺れだった。大きくは無かったが長く嫌な感じで揺れていた。
21時40分頃には、長野北部で震度4の地震が。

・東京web---『「逮捕者なし 不思議な会社」 東電に埼玉県知事皮肉 2012年2月14日 12時08分』
『「(原発事故で)満天下に迷惑をかけて、誰ひとり警察のご厄介になっていない。不思議な会社だ」。上田清司埼玉県知事は十三日の記者会見で、企業や官公庁向けの電気料金の値上げを計画する東京電力への怒りを爆発させた。
知事は「これまでさんざん節電に協力したり、(節電を)強いられた人たちに対するむごい仕打ちだ」と値上げを強く批判。「ガスタンク爆発やデパート火災でも(責任者が警察に)御用になるのに、まだ誰も御用になってない」とヒートアップし、「(東電から)誰か自首するやつはいないのか」と言い放った。
(杉本慶一・東京新聞)』
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012021490120855.html


・産経web---『福島第1原発2号機 「完全安定」程遠く 計器不安、炉内把握できず』
『福島第1原発2号機の原子炉圧力容器下部の異常な温度上昇の原因は、温度計の故障であることがほぼ確実になった。だが、信頼性に不安が残る計器が頼りで、原子炉内の様子を把握し切れていないことが露呈。「完全安定」には程遠い状況が改めて浮かび上がった。(原子力取材班)
2号機原子炉には、下部に水をためやすい給水系、中心部にかける炉心スプレー系と呼ばれる2系統の配管で注水されている。
配管関係の工事のため、1月下旬から2系統の流量バランスの変更を重ねたところ、圧力容器下部に3つある温度計のうちの1つが温度上昇を示し始めた。
東電は流量変更が原因とみて注水量を増加したところ、いったんは低下傾向をみせたものの再び上昇。さらなる注水増などの対応に追われたが、結局、東電が「流量変更とはまったく因果関係がなかった。総合的に分析する仕組みが必要」と釈明するに至った。
今回の事故で、政府と東電が決めた冷温停止状態の条件の1つは、圧力容器下部の温度が100度以下。東電は、温度計に20度前後の誤差があるとみており、80度以下に保つことが必要とされてきた。
東電と原子力安全・保安院は「故障」が判明する前から、「原子炉全体は冷やされ、冷温停止状態は維持できている」と繰り返してきたが、誤った原因推定に基づく対応を取っていただけに、そうした説明には不信感も生まれかねない。
また、原子炉内には溶融した燃料があり、高い放射線量のため、温度計の修理や交換は難しい。内部の状況を知る貴重な手段が1つ失われたことで、廃炉に向けた状況把握が一層困難さを増すほか、残る2つの温度計が今後も正常である保証はない。
大阪大学の宮崎慶次名誉教授(原子力工学)は「他の2つの温度計は現在は正常だが、(故障の原因になる)湿度が高い状況では今後の信頼性に不安が残り、点検する必要がある。原子炉内の状態が分からない中で、完全に安定した状況にあるとは言い難い」と指摘している。』
http://sankei.jp.msn.com/science/news/120214/scn12021401090001-n2.htm

・日経web---『福島2号機、温度計故障の見方強まる 一時400度 』
『東京電力は13日、福島第1原子力発電所2号機の原子炉圧力容器底部にある温度計の1つが400度の上限を超え振り切れたと発表した。「故障とみてほぼ間違いない」というが、炉の状態については不安が残る。
Q 何が起きているのか。
A 東電が冷却水の配管の交換工事をした1月26日以降、それまで約50度だった温度が上がりだした。12日には冷温停止状態の目安とされる80度を超えて保安院に報告、緊張が走った。注水量を増やしても上昇は止まらなくなった。
Q なぜ温度計の故障と言えるのか。
A 6カ所の測定点のうち5カ所では温度は安定し低下傾向なのに、1カ所だけ乱高下がひどい。こうした事態は「実際の現象では考えにくく、温度計の故障であると見ていい」(奈良林直・北海道大学教授)。
温度計は熱電対と呼ばれ、2種類の金属を組み合わせた単純な構造。電圧を測って温度を割り出す。正常に機能しているか判断するために13日に電気抵抗を測ると通常よりも大きな値で、故障が確実になったという。
Q なぜ壊れたのか。
A 事故直後に原子炉内が高温高圧になったためと考えられる。計測機器メーカーによると、湿度変化や結露などによる過酷な環境変化で熱電対が破断する可能性があるという。金属の接合部分がはがれる際には、電気抵抗が上昇して大きな誤差が生じる。
海水の影響で熱電対を覆うステンレスにひびが入りやすくなり、水や塩素が入って反応を起こした可能性もある。腐食によって抵抗値が上がり、温度が異常に高くなるケースもある。衝撃などによるケーブルの断線や絶縁不良も、数値の上昇や乱高下の原因となる。
Q 温度上昇の心配はなくなったのか。
A 東電は当初、水の流れや溶けた燃料の位置が変わるなどして冷えにくくなった可能性があると説明していた。温度計の故障の時期は不明のため、実際に温度が上がったのかわからない。
東電も保安院も冷温停止状態の判断は変えておらず、放射性物質の測定などから再臨界も起きていないとみている。ただ温度計を信頼できないのは問題だ。本当に高温になれば、蒸発する水分とともに放射性物質の放出が増える恐れがあり、監視の強化が必要だ。』
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819595E3E1E2E0998DE3E1E2E0E0E2E3E09C9CEAE2E2E2


■2月13日(月、340日目)

12日夜のNHKニュースで原子力委員会の近藤駿介委員長が、去年3月25日に政府に提出した『福島第一原子力発電所の不測事態シナリオの素描』というタイトルの文書の存在が報道された。女性アナの手にはPowerPointで作成された文書が映し出されている。この文書は去年末まで情報公開の対象とはされていなかったらしい。ネットを検索すると当該PPがPDFで見つかった。早速見てみるが、専門的すぎてよく解らない。事象連鎖の防止策が述べられているが、素人にはなかなか理解できない。
ただ『上記の策を講じても、事象の進展が収まらない場合の最後の手段として「砂と水の混合物による遮へいが最も有効」』という文言が目に付いた。最後の手段が砂と水の混合物という文言にその恐ろしさを感じる。

13日、福島第1原発2号機の温度は94.9度を示したと発表した。東電は温度計の故障と見ているらしいが、新たな温度計は高線量のため設置できる目処が立っていないとのこと。他の2つの温度計は低温を示しているというがこれは正常なのか? そう簡単に線量が下がるとは思えない中で、この2つが故障したらどうなるのか??

・福島民報---『「再臨界防止」が急務 ウクライナの団体が郡山で講演会』
『ウクライナの原子力学会長・国立科学アカデミー原子力発電所安全問題研究所長のアレクサンダー・クリュチニコフ氏は11日、郡山市のホテルハマツで開かれた講演会で、東京電力福島第一原発事故に関し、燃料の核分裂の連鎖反応が再び起きる可能性を指摘し、「再臨界」の防止が急務と提言した。監視と対策のシステム構築を訴えた。
クリュチニコフ氏は福島第一原発1~4号機の使用済み核燃料について、チェルノブイリ原発で1990年に発生した核反応異常事象と同様の事態が生じる可能性が高いとの見方を示した。その上で、「燃料の監視システム、中性子吸収材緊急投入システムを開発し、再臨界を防ぐべき」と語った。また、チェルノブイリ原発で放射性物質の取り出し・取り扱い作業に必要な機能を備えた施設を2015年に完成させることを紹介。福島第一原発にも整備すべきと提言した。
講演会では原子力や放射線、医療、農業の各分野の専門家5人が持論を語った。国家安全技術副博士のヴァレンティナ・ヴァシレンコ氏は「内部被ばくの記録を残しておかないと、復元は困難」とし、データベース形成の必要性を強調。ウクライナではホールボディーカウンターで60万件以上調べ、データを蓄積していることを説明した。さらに、食料品による内部被ばくは、住民に対する啓発を続けないと上昇する実態を示した。
講演会はウクライナの原子力学会と医学アカデミー主催。会場には県民ら約100人が訪れた。講演の終了後、専門家が来場者の質問に回答した。チェルノブイリ原発事故以降の病気の特徴に関する質問に対し、専門家が「事故処理に当たった人は専門的にチェックされている。肺や心臓、循環器系、神経系統の病気が明らかになっている」と答えた。』
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4107&blockId=9935232&newsMode=article
→メルトダウンした原子炉ではなく、『使用済み核燃料』の再臨界を懸念しているところが恐い。このような報道はなかなか目に入らない。一応、小康状態を保っている現在、あらゆる可能性について、国民に積極的に開示する必要があるのではないか。
コメント

東日本大震災(平成の大地震) - その131 備忘録

2012年02月12日 | 大地震
■2月12日(日、339日目)

・毎日jp---『福島第1原発:2号機の温度、79.1度に上昇』
『東京電力は12日、福島第1原発2号機の原子炉圧力容器底部にある温度計の一つが、同日正午現在で79.1度に達したと発表した。昨年12月の「冷温停止状態」宣言後で最高値。温度計の誤差を考慮し、80度を超えると「冷温停止状態」の条件を満たさなくなる。東電は温度計の故障もあり得るとする一方、原子炉への注水量を増やす。
2号機圧力容器下部の温度は2月に入り上昇傾向で、6日午前7時には73.3度に達した。そのため7日に原子炉への注水量を毎時3立方メートル増の同13.5立方メートルとし、一時は約64度まで下がった。しかし再び上昇傾向を示し、11日午後9時には73.3度まで上昇。さらに注水量を毎時1立方メートル増やし同14.6立方メートルにしたが、効果がないため、12日午後にもさらに毎時約3立方メートル増やす予定。
同じ高さにある別の二つの温度計はいずれも35度前後を示し低下傾向。東電は上昇傾向を示す温度計が故障している可能性もあるとして調査を続けている。
東電は冷温停止状態の定義の一つが「圧力容器底部が100度以下」であることから、温度計の誤差を最大20度と見積もって、80度を超えれば地元自治体に通報すると保安規定で定めている。今回の温度上昇を受け東電は「この温度計の値だけで冷温停止状態でなくなったと判断はせず、他の温度計の値なども見ながら状況を判断したい」としている。【岡田英】』
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120212k0000e040147000c.html
→2日から温度上昇が始まっている。今日で12日目。原因も分からず、コントロールもできず、ただただ水量を増やすだけ。温度計の故障も当初から言われているが未だに解からないものなのか。これで冷温停止状態なのか。


■2月11日(土、338日目)

大震災、原発事故から早いもので11カ月目を迎えた。

■2月10日(金、337日目)

・読売online---『汚染水漏れ、原因は雑草…ホースを貫通』
『福島第一原子力発電所から出る高濃度汚染水の処理に使うポリ塩化ビニール製のホースから水漏れが22件見つかっている問題で、東京電力は9日、ホース周辺にはえたイネ科の雑草のチガヤが原因と断定した。
ホースからは枯れたチガヤが見つかっている。東電は、ホースに欠陥がある可能性もあるとみて、ねじり、ひっぱりなどの実験を行ったが、破損は生じなかった。一方で、先端のとがったチガヤと同じ硬さの針を刺すと貫通。チガヤが原因と結論づけた。ホースは、汚染水を処理して冷却に再利用する「循環注水冷却システム」に使われ、全長4キロ・メートル。東電は再発防止のため、チガヤが貫通しないシートを地面に敷くなどの対策をとりたいとしている。2012年2月10日14時04分 読売新聞)』
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120210-OYT1T00565.htm?from=main5
→雑草が塩ビ菅を突き破るなんて、信じられないことばかり起こる。こんなことですら自然の力には敵わないのかと思う。

■2月9日(木、336日目)

・読売online---『炉心溶融「紙一重だった」…福島第二も総力戦』
『東日本大震災で被災した東京電力福島第二原子力発電所(福島県楢葉町、富岡町)が8日、震災後初めて報道陣に公開された。
震災当時から現場を指揮してきた増田尚宏(なおひろ)所長(53)は、報道陣に対し、「(大惨事を招いた)福島第一原発と同様の事態まで、紙一重だった」と震災直後の緊迫した状況を振り返った。
第二原発とメルトダウン(炉心溶融)に至った第一原発の距離はわずか約12キロ・メートル。襲来した津波は第一原発の13メートルに対して第二原発は9メートルだったが、海岸近くにある原子炉を冷却するための海水ポンプの機能が奪われ、原子炉4基中3基が一時危険な状態に陥った。しかし、外部からの高圧送電線が1回線生き残り、中央制御室で原子炉の温度や水位などのデータが把握できた。必要な対策を見極め、事故4日後の3月15日までに全号機で冷温停止にこぎ着け、放射性物質は外部に漏れなかった。「原子炉の状態をつかめなかった第一原発とは大きく違った」と増田所長は指摘する。ただ、復旧までの道のりは険しく、総力戦だった。
(2012年2月9日09時58分 読売新聞)』
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120208-OYT1T00979.htm?from=main3
→福島第二の様子は殆ど報道されないが、これを見ると結構大変だったと思われる。高圧送電線が1回線生き残り、かろうじて電気を送ることができたということか。
タラレバはないがこの線もダメになっていたらどうなっていやことか。


■2月8日(水、335日目)

21時過ぎ、新潟佐渡で震度5強の地震が発生。久し振りに緊急地震速報が流れる。



■2月7日(火、334日目)

・東京web---『福島2号機 続く高温 注水を大幅増 保安規定違反』
『東京電力福島第一原発2号機の原子炉の温度上昇が続き、東電は六日、同日深夜から非常用の注水口からの注入量を毎時三・八トンから毎時六・八トンに増やすと発表した。福島第一の保安規定では、注水量の増加を「二十四時間あたり毎時一トンまで」と定めている。今回の注水量変更は保安規定に抵触する上、汚染水を増やすリスクがあるが、原子炉の冷却を優先したという。
東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「経済産業省原子力安全・保安院の了承を受けている。計画的な逸脱だ」と話した。
東電によると、温度が上がっているのは原子炉下部の温度計。一月下旬まで五〇度程度で安定していたが、二月一日夜に五二・〇度を記録。六日朝には七三度を超えた。
保安規定では、温度計の誤差が二〇度あっても炉内を一〇〇度未満に保つため「八〇度以下」にするよう定めており、規定まで一〇度を切っている。
このため、東電は原子炉への注水量を一気に増やし、再臨界防止のために中性子を吸収するホウ酸水も注入する方針を固めた。
なぜ温度が上がり続けるのか。東電の担当者は「注水の流れに変化が生じ、うまく燃料付近に当たっていない」とみている。
炉内の冷却は現在、通常運転時に用いる側面からの注水と、非常時用の上からスプレー状に水を注ぐ二通りの方法を使っている。このうち上からの注水を一月二十六日に行った注水ポンプ配管交換作業の際、約六時間ストップ。その影響で水の当たる場所がずれたとの見方だ。
エネルギー総合工学研究所の内藤正則部長は「燃料を支える網目状の板に載っていた溶けた燃料の一部が原子炉の底に落ち、局所的に小山のようにたまって発熱量が増えたのでは」と推測する。
東電は「汚染水は処理して循環させるので増えない」と説明。一方で、処理水が増えることで、処理施設のフィルターなど高濃度の放射性廃棄物が増えることを認めている。』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012020702000039.html
→冷温停止状態のはずなのにこのようなトラブルが発生するのか。冷温停止状態を宣言したにも拘わらず原因を突き止められないところに疑問を感じる。
とても制御可能状態にあるとはいえない。

・毎日jp---『福島第1原発:温度上昇の2号機にホウ酸水注入』
『東京電力福島第1原発2号機で圧力容器底部の温度が急上昇した問題で、東京電力は7日未明、再臨界を防ぐためのホウ酸水を原子炉内に注入したと発表した。冷却のための炉内への注水量も毎時10.5立方メートル(10.5トン)から同13.5立方メートル(13.5トン)に増やし、昨年12月の事故収束に向けた工程表のステップ2達成宣言後で最大の量になった。同日午前10時現在の温度は69度と高止まりしている。
ホウ酸水の注入は7日午前0時19分から同3時20分まで実施された。注入量は約1トンだった。ホウ酸水の注入は昨年11月に同原発2号機で、燃料の核分裂が連続する「再臨界」の可能性を示す放射性キセノンが検出された時以来になる。細野豪志原発事故担当相は7日、閣議後の記者会見で、「政府としても責任を持って対処していく」と述べた。
2号機の圧力容器底部には三つの温度計が設置されている。このうち二つは同日午前10時現在、約42度だが、残りの一つは5日夜に70度を超え、その後も70度前後を推移している。6日の検査では、キセノンなどの放射性物質は検出されなかったという。
温度上昇の原因について、東電は、凍結防止用に冷却水用の配管を1月末に交換したことで炉内の水の流れが変わり、溶け落ちた一部燃料に水が十分当たらなくなった可能性があるとしている。
7日午前の会見で、東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「キセノンが検出されておらず、未臨界と確認している。ホウ酸水注入は万全を期すためで、温度を注意深く観察していきたい」と話した。【神保圭作】
毎日新聞 2012年2月7日 11時52分(最終更新 2月7日 12時47分)』
http://mainichi.jp/select/science/news/20120207k0000e040167000c.html


・毎日jp---『東日本大震災:福島第1原発事故 2号機、一時70度超 冷却水配管交換が原因か』
『東京電力は6日、福島第1原発2号機で、原子炉の「冷温停止状態」の判断基準となる圧力容器底部の温度が急上昇し、午前7時現在で73・3度に達したことを明らかにした。東電が保安規定で地元への通報基準としている「80度」に迫る温度で、昨年12月の「冷温停止状態」宣言後で最も高い。冷却水の量を段階的に増やして対応しているが、温度は高止まりしている。
東電によると、圧力容器底部には三つの温度計がほぼ等間隔に配置されている。このうち一つは今月1日午前中まで50度前後で推移していたが、その後上昇し始め、5日夜に70度を超えた。残り二つの温度計はともに44度前後を指したままだ。
上昇の原因について東電は、冷却水用の配管を凍結防止のため1月26日に交換したことにより、炉内に入る水の流れが変わり、溶け落ちた燃料の一部に水が十分当たらなくなった可能性があると推定している。
6日、圧力容器内の気体を調べたところ、燃料の核分裂が連続する「再臨界」の可能性を示すキセノンなどの放射性物質は検出されなかったという。
温度を下げるため、5日未明から6日未明にかけ注水量を段階的に増やして毎時10・6立方メートルとしたが、6日午後5時現在の温度は69・2度と70度前後を保っている。1号機は午前11時現在で24・5度、3号機は50・1度。
温度計は事故後、最大20度の誤差が生じた。東電は冷温停止状態の定義が「圧力容器底部が100度以下」であることから、誤差を最大に見積もって80度を超えれば地元自治体に通報すると保安規定で定めている。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は6日の記者会見で「炉全体としては十分冷えており、冷温停止状態の判断を見直す必要はない」と話した。
経済産業省原子力安全・保安院は同日、再臨界を防ぐホウ酸水を加えながら注水量を増やすことを求め、東電は応じる方針。保安院の森山善範・原子力災害対策監は「十分落ち着いたと判断するのは早い」と説明した。【比嘉洋、関東晋慈、中西拓司】
◇「冷温停止状態」宣言に影響なし--官房長官
2号機の炉内温度が70度以上に上がった問題について藤村修官房長官は6日の記者会見で「温度上昇は1カ所だけで、他の部位は安定している」として、昨年12月に政府が出した「冷温停止状態」宣言に影響はないとの判断を示した。
内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長は同日、「溶けた燃料がどこにあるか分かっていない状況では、こういうことは起こりうる。それほど心配する事態ではない」との見解を示し、「現状でどういうことが起こりうるか、あらかじめ説明する努力が足りない。何かあるたびに国民は不安になる」と東電に苦言を呈した。【西川拓】毎日新聞 2012年2月7日 東京朝刊』
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20120207ddm002040074000c.html


■2月6日(月、333日目)

・毎日jp---『放射性セシウム:福島県川内村のミミズから検出』
『東京電力福島第1原発から約20キロ離れた福島県川内村に生息するミミズから、1キロあたり約2万ベクレルの放射性セシウムが検出されたことが、森林総合研究所(茨城県)の長谷川元洋主任研究員(土壌動物学)らの調査で分かった。ミミズは多くの野生動物が餌にしている。食物連鎖で他の生物の体内に次々と蓄積していく現象が起きている可能性も懸念される。3月17日から大津市で開かれる日本生態学会で発表する。
昨年8月下旬~9月下旬、一部が警戒区域に指定された川内村、同県大玉村(同原発から60キロ)と只見町(同150キロ)の3町村の国有林で、40~100匹のミミズを採取した。
その結果、川内村のミミズから1キロあたり約2万ベクレルの放射性セシウムが検出された。大玉村では同約1000ベクレル、只見町で同約290ベクレルだった。調査時の川内村の空間線量は毎時3.11マイクロシーベルト、大玉村で同0.33マイクロシーベルト、只見町で同0.12マイクロシーベルトで、線量が高い地点ほど放射性セシウムも高濃度になっていた。
一方、林野庁が昨年8~9月に実施した調査によると、川内村で土壌1平方メートルあたり約138万ベクレル、大玉村で約8万~12万ベクレル、只見町で約2万ベクレルあった。
事故で放出された放射性物質の多くは落ち葉に付着している。落ち葉が分解されてできた有機物を、ミミズが餌とする土とともに取り込んだのが原因とみられる。【神保圭作】
毎日新聞 2012年2月6日 2時30分(最終更新 2月6日 2時49分)』
→2万ベクレルとは驚きだ。次から次へと汚染物質、汚染動植物がでてくる。全てが汚染されたことを実感させられる。


・時事通信---『2号機原子炉、70度超続く=注水量、さらに増加―福島第1』
『東京電力は6日、福島第1原発2号機原子炉の圧力容器底部の温度について、冷却水の注入量を増やしたにもかかわらず、依然として70度超の状態が続いていると発表した。ただ、同底部の別の温度計は45度程度で安定しているため、温度計の不具合の可能性もあるという。
東電によると、1日夜時点で52.0度だった同底部の温度計は上昇が続き、5日午後4時に71.7度に上昇。冷却水の注水量を毎時1トン増加した後の同日午後11時時点でも70.3度だったため、東電は6日午前1時29分、注水量をさらに毎時1トン増やし同10.6トンにしたが、6日午前5時時点で70.6度あるという。』
→温度が上昇し始めてから数日経つのに計器の故障かどうかも判断できない状況なのか。
コメント