この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

# 589 月見草の歌

2009年07月10日 | 
先日、ある会の後でお酒を飲みながらみんなで思い思いに雑談していたときに、向かいに座っていた私より何年か先輩のKさんが言った。
「旧制一高の寮歌には女性が出てこないんだよね。」

私は旧制高校の寮歌の知識はほんの少しはある。たしか旧制一高の寮歌には思い当たる文句はない。
私はふと思いついた。そして言った。
「商船学校(東京高等商船学校)の「白菊の歌」には女性が出てきますよね。」
Kさんはうなずく。

「白菊の花」について私はすでにこのブログに書いている。

故郷の空を眺めつつ
ああ父母は今いづこ
我が恋人は今いかに
少年左手に持つものは

月の光に照らされて
傍の友に語るやう
もとこのものは故郷の
外山のかげに咲き残る

遅れ咲きなる白菊を
吾れ故郷を出づる時
君が形見と贈られし
真心こめしこの栞

海山遠く隔たつとも
彼が形見を思ひ出に
朝な夕なに眺めつつ
云はんとすれど悲しやな

涙の為に遮られ
そのままトップに打ち伏しぬ
やがて少年身を起こし
遠き故郷を眺めつ

この歌には見事に女性が出てくる。

すると、私の横に座っていたこれも先輩にあたるIさんが、「月見草の歌」がありますね。」とおっしゃる。
「そうだね。」とKさん。
二人で「月見草の歌」を歌いはじめた。

私はこの歌は全く知らない。しかし、その歌の文句に似合わずちっとも詩的とは私には思えないメロディーは私は聞いたことがあるのである。
なかなか終わらない二人の歌に私はふしだけ一緒に唱和した。

思い出した。このふし(曲)は、私の父が私に教えてくれた旧制磐城中学の「凱歌」という歌のふしまわし(曲)である。当然どこかの曲を借りてきたのであろうが。

やがて、Kさんは、歌詞を最後まで完全に覚えていないようで、途中で黙ってしまった。Iさんは、その後もずっと歌い続けた。

その日、家に帰ってから私はインターネットで「月見草の歌」を検索して、この歌が京都の旧制第三高等学校の寮歌であることを知った。
なるほど、なるほどと歌詞を何度も読んだ。京都の学生は雅びだったのであろう。

この歌は1番から11番まである。
Iさんはこの歌を1番から11番まで完璧に記憶しておられたのである。私は感心しながら聞いていた。

記憶力に自信がなくなって来ている今日このごろであるが、そうだ、俺も全部覚えてやろう」と思ったものである。
(ホームページにリンクさせていただくことにする。)

リンク:「月見草の歌」(京都大学吉田寮同窓会より収録)とのこと←クリック

画像:筆者撮影


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