長屋の亀次郎が長屋のご隠居さんの所にやって来ました。
隠「やあ亀さん、いらっしゃい。久し振りだね。」
亀「はい。ご無沙汰しておりました。」
隠「今日はどういう用件だね。」
亀「また教えて欲しいのです。」
隠「何が聞きたいのだね。」
亀「選挙のことです。」
隠「選挙はもうとっくの昔に終わってしまったよ。」
亀「それは知っているんですが、どうもテレビを見ていてわからねえことがあるんで。」
隠「何でも言ってごらん。」
亀「実は女刺客のことですが。」
隠「おいおいお前さん、女と言ってはいけないと前に言ったろう。」
亀「はい、その、ご婦人の刺客のことですが。」
隠「お前でもご婦人っていう言葉も使えるんだね。」
亀「使えるってことはないんですが、ご隠居さんがそういうから仕方がないでしょう。私の言い方に何かごフシン(不審)なことがおありですか?」
隠「お前さん、しゃれも言えるんだね。見上げたものだよ。」
亀「えらい。ご隠居さん、よく私のしゃれがわかりましたね。」
隠「ああ、何とかわかったよ。」亀「私だって、しゃれくらいは言えますよ。これでも江戸っ子なんで。」
隠「お前さんが江戸っ子だというのは言われなくても知ってるよ。ところで、ご婦人の刺客の何が聞きたいんだね。」
亀「ねえご隠居さん。ご婦人の刺客は見事に相手を討ち果たしたんですか?」隠「それはいろいろだね。討ち果たしたり返り討ちにあったり」亀「そうですか。可哀想に返り討ちにあった刺客もいるのですか?だから言わないこっちゃない。ところで返り討ちにあったというのは殺されたということですか?」
隠「殺されてはいない。ご婦人の刺客はみんな見事に国会議員になっている。」
亀「どうもわからねえな。刺客に討たれた相手は国会議員にはなれなかったのでしょう。」
隠「そうだよ。」
亀「それで、ご婦人の刺客は返り討ちにあってもみんな国会議員になってると言うのですか?」
隠「そのとおりだよ。」
亀「何故ですかねえ~?」
隠「何故って、そうなってるんだよ。」
亀「そうですか。わかりませんね。」
亀「あのドラエモンとかなんとかいう刺客はどうなったのですか?」
隠「ドラエモンなんて失礼なことを言うもんじゃないよ。あの人はホリエモンさんというんだよ。」
亀「そのホリエモンさんはどうなったんですか。」
隠「あの人は返り討ちにあった。」
亀「そうですか、可哀想そうに。それでそのドラエモンではない、ホリエモンも返り討ちにあっても国会議員になったのですか?」
隠「返り討ちにあったんだから、国会議員になどになるもんかい。もうご苦労さんといわれてそれで終わりよ。」
亀「でもご婦人の刺客は返り討ちにあっても国会議員になってるんでしょう?ホリエモンは討たれたら討たれっぱなしで生き返らない。ますますわからね~な。」
隠「わからないだろう。わからないのが、この国の政治だよ。」
亀「うまいことを言うね。流石ご隠居さんだ。」
隠「褒めてもらっても何も出ないよ。」
亀「ああ、わかった。」
隠「何がわかった?」
亀「もしかするとホリエモンは男でしょう?」
隠「お前さんもテレビで見てただろう。ホリエモンさんは立派な男だよ。」
亀「それでご婦人の刺客は女でしょう?」
隠「当たり前じゃないか。ご婦人だから女だよ。」
亀「それでわかった男は殺されたらそれっきりだけど、女は殺されても化けて出る。」
お後がよろしいようで。
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