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モーニングサテライト・ウォッチ

2017.1.23 Newsモーニングサテライト

2017年01月23日 18時26分42秒 | MS
■マーケット

NY株 決算発表に注目
いよいよトランプ政権が始動。今週からは期待ではなく事実を受け止めながらの相場となりそうです。足元は決算発表に注目が集まります。過去のデータでは大統領就任式の後、株価は2週間程度は上昇しやすいという傾向があるようです。トランプ大統領誕生を受けて相場の先行きについて様々な見方が氾濫し、景気の動きを敏感に反映する小型株で構成されるラッセル2,000指数が50日平均を割り込むかどうか。為替ではドルユーロに注目すべきとの声もあります。今週はアルファベットやインテルなど相場に影響を与える大手企業の決算も相次ぎます。金曜日の株価です。揃って反発。ダウは6日ぶりの反発、94ドル高の1万9,827ドル。ナスダックは15ポイントプラスの5,555。S&P500は7ポイントプラスの2,271でした。

専門家インタビュー

・ 「今年のNY株価、静かな展開が」
トランプ政権がいよいよ発足しこれまで以上に新大統領の一挙手一投足に注目が集まります。しかし、専門家は短期的に見て政策による株価への追い風は限定的だと見ています。
《ウェルズ・ファーゴ/スコット・レン氏》
「現在の株価は適正価格でトランプ氏の政策との関連は薄いとみている。今年の株式相場は静かな展開ではないか。S&P500は年末には2230~2330と予想する。現在の株価はその範囲の中間であり、株価は大きく動かないと見通している。」

・ 「米政策効果来年には株価押し上げも」
レン氏はトランプ大統領が唱える政策が着実に実行されれば、来年以降株価を押し上げると予想します。
「減税、インフラ支出、規制緩和など、トランプ大統領の政策は株高にプラスだが、どれほど実現できるのか、いつ実行に移せるのかにかかっている。政策効果が表れるのは来年以降だろう。」
 
【為替見通し】注目ポイントは「米要人発言」
解説は三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作氏

--先週末の為替の動きを振り返っていかがでしょうか。
先週末のトランプ大統領の演説は、選挙期間中の主張の繰り返しで、新味に乏しい内容でした。就任演説後にアメリカ株が伸び悩むとドル円も軟化。本日未明のオセアニア市場では一時114円10銭前後まで下げる場面もありました。

--今日の予想レンジは、113.50~115.00円、注目ポイントは「米要人発言」です。
本日は注目材料が不足しており、明確な方向感は出にくいと思います。ただ最近のドル円相場は配信時刻や内容予測が難しい米国発の要人発言に過敏に反応しやすくなっているので注意が必要です。

--その要人発言でドル安・ドル高、どちらに動きそうでしょうか。
今週は明日からFRB関係の要人がFOMC1週間前の発言自粛期間に入るため、政府側の要人発言が目立ちそうです。先週はトランプ大統領、ニューヨーク連銀のダドリー総裁の発言がドル安材料視された一方、FRBのイエレン議長、ムニューチン次期財務長官の発言がドル高の反応を呼び株価は乱高下しました。それらの事例を見ると、今後の発言内容次第で上下のどちらにも50銭~1円ぐらい急に動くかもしれません。材料難でも油断できない日々がしばらく続きそうです。

【日本株見通し】注目ポイントは「上方修正の有無」
解説は岡三証券の小川佳紀氏

--今日の予想レンジは19000円~19200円、さて週明けどうでしょうか。
先週末のトランプ新大統領の就任演説では、市場が期待していた財政出動などに関する踏み込んだ話題が出ませんでした。加えて今週は決算発表も相次ぎますので、指数よりも個別株の動きがより注目となりそうです。

--その決算発表ですけれども、注目ポイントはどこでしょうか。
今回の決算発表で最も注目度が高いのは、外需関連企業を中心に業績計画の上方修正があるか、無いかです。こちらは日銀短観における大企業製造業の想定為替レートとドル円の実勢レートの推移を表したグラフとなりますが、企業の想定に対して円安がかなり進んでいます。ですから円安の恩恵を受けやすい外需関連企業には上方修正の期待が高まるところです。

--実際に上方修正を発表する企業というのは増えそうですか。
(フリップ1:上方修正の期待高まる)
はい、もちろんその可能性はあります。ただ前回の中間決算で想定レートを円高方向に修正したことに伴って、下方修正を発表した企業がたった数か月で一転して上方修正を行うかには疑問も残ります。上方修正のタイミングが春先辺りに後ずれする場合、期待が高まっていた日本株の重しとなる可能性もありあそうです。
 
(フリップ2:「稼ぐ力」高まっている企業)
一方中間決算の際に、想定レートを円高に見直しながらも、通期の計画を据え置いたり、上方修正した企業もありました。そのような企業は為替に左右されない「稼ぐ力」が高まっていると言えますので、今回の決算発表でより注目度が増すと考えています。
 

■【エマトピ】トルコ 人口増加による内需拡大で新マーケットを開拓
2015年の夏以降、主要都市でテロが相次ぎ発生しているトルコ。現在は市民生活・経済活動ともに大きな影響は出ていない。しかし、治安をめぐる不透明感から通貨リラは今年に入り対ドルで過去最安値を更新。ただ日本企業にとっては、トルコが“欧州の工場”という位置付けで、投資インセンティブ制度も充実していることから、製造拠点として十分魅力的な場所と言える。トルコ企業とうまく協働することにより、今後も新たなマーケットを開拓できるだろう。解説はみずほ銀行の小嶺広展氏。

(フリップ1:約7年ぶりのマイナス成長)
--まずはトルコの経済状況を確認しておきましょう。先月発表されましたトルコの7-9月期のGDP成長率は前年比-1.8%となりました。四半期の成長率がマイナスに転じるのは、2009年7-9月期以来、実に7年ぶりのことです。経済拡大のけん引役である個人消費が↓3.2%、そして企業の設備投資を含む総固定資本形成も↓0.6減少しました。相次ぐテロやクーデター未遂の発生など社会の緊張が長引いていけば、トルコ経済の生命線である海外からの投融資の停滞を招く懸念もあります。
《電話中継:イスタンブール:みずほ銀行/小嶺広展氏》

--トルコでは年末年始の相次いでテロ事件が起きましたけれども、生活環境ンへの影響というのはありますか。
(フリップ2:テロ)
トルコでは2015年の夏以降、首都イスタンブールやアンカラなど主要都市でテロが増えていますが、現在は市民生活、経済活動とも通常通りで大きな影響は出ていません。ビジネス関連の出張者も大きくは減っていませんし、我々駐在員もこれまでとほぼ同様の生活を送っています。ただその一方で外国人旅行者の数は前年比で約3割減少しています。特に日本人観光客はほとんど見かけなくなりました。

--そして治安を巡る不透明感から通貨リラの下落続いていますね。12月には一時3.9リラ台と過去最安値を更新しました。当局は何か対策を考えているんでしょうか。
(フリップ3:今月最安値を更新)
通貨貿易目的の利上げという新興国の常道を、現在のトルコは政治的に使いづらい状況あるんです。それはエルドアン大統領が景気の減速を食い止めることを第一に考え、投資促進のための借り入れコスト低下を強く望んでいるからです。明日、トルコ中央銀行が金融政策委員会を開きますが、去年12月の利上げも見送っているだけに、今回も追加利上げは無さそうです。政策金利の引き下げといった措置がなければ、リラ安に歯止めをかけるのはなかなか難しそうです。

--そういった状況の中、今後、日本企業のトルコへの資本算入はどうなりそうでしょうか。
トルコは平均年齢が31歳という若い世代が中心であり、人口が毎年約100万人増加しています。トルコの内需増加を狙って、また周辺地域への事業拡大のハブとして、販売や製造拠点をつくるということが選択肢として考えると思います。最近では味の素がトルコの食品大手オルジェン社の全株式を2017年3月上旬に取得すると発表し、また去年の8月にはタキイ種苗がトルコのリト社の野菜育種部門を買収し、中東向けのキュウリ・ナスなどの品種開発拠点にしています。トルコは歴史的にみて欧州の工場という位置づけにもあり、投資インセンティブ制度も充実していることから、進出拠点の要件を満たしています。確かに日本から地理的に遠いのですが、歴史的な経緯から親日の国であり、トルコ企業とうまく共存することにより、今後も新たなマーケットを開拓できると思います。
 

■原油開発を促進、トランプ政策に反発
トランプ氏が20日大統領に就任しアメリカで新政権が誕生する。トランプ次期大統領がさっそく行う政策のひとつが環境規制を緩和して原油や天然ガスの開発促進。アメリカ中西部ノースダコタ州では近年、シェールオイルなどの石油開発が盛んな地域。ここにパイプライン「ダコタ・アクセス・パイプライン」というノースダコタ州の油田からシカゴ近くの石油基地までおよそ1,900キロを結ぶ計画が進行中。しかし、近くに住むアメリカ先住民が「飲み水が汚染される」と猛反発。雄大な自然と水源を守るよう訴えたため、オバマ政権は工事を中止させた。反対派には多くの寄付が寄せられていて氷点下20度のなかでも約300人がキャンプをはる。しかし、石油業界ではトランプ政権になれば、パイプラインの開発を進むと見る。エネルギー開発を巡って様々な利害が衝突するアメリカ。その現場を緊急取材した。
 
「規制緩和でエネルギー開発」に暗雲?

米国・トランプ大統領は就任当日、新政権の政策をホワイトハウスのウェブサイト上で発表。原油などのエネルギー開発を促進するため、環境規制を緩和する方針を表明。これにより数百万人の雇用を生み出せるとしている。現場を取材すると、実現は簡単ではないようだ。

(フリップ:ダコタ・アクセス・パイプライン)
米国ノースダコタ州は、シェールオイルなどの石油開発が盛んな地域。大規模な石油パイプライン「ダコタ・アクセス・パイプライン」の建設予定地(陸軍が管理する土地)では、建設に反対するアメリカの先住民およそ300人が、陸軍が管理する土地を占拠して、テント村を築いてキャンプを張っている。ノースダコタ州の油田からシカゴ近くの石油基地まで、およそ1900キロを結ぶ計画だ。
開発会社は去年中の開発を目指していたが、近くの居留地に住むアメリカ先住民が「飲料水が汚染される恐れがある」と猛反発。雄大な自然と水源を守るよう訴えたため、オバマ政権は工事を中断させた。

《環境活動家アンドレ・ヌネスさん》
「私たちの先祖は昔この土地を太陽に祈る儀式に使っていました。」

半年前から抗議活動を続けているヌネスさんは、カリフォルニア州から来たアメリカ先住民の血を引く環境活動家。テントの屋根には太陽光発電のパネル。先住民グループには活動に賛同する人たちから、約3億4000万円の寄付金が集まったほか、食料や生活用品が数多く寄付されているという。

《ヌネスさん》 「私たちを支援するため、さまざまな国の人たちが来ています。私たちの思いがパイプラインの建設を止めるでしょう。」

アメリカでは油田を巡る事故がたびたび起きていて、開発を進めたい石油業界と環境保護を求めるグループなどが激しく対立している。トランプ大統領は経済の再生につながるとして、環境規制を緩和し、エネルギー開発を進める方針だ。エネルギー業界は新政権で開発が進むことを期待している。

《IRE(エネルギー研究所)/クリス・ウォレンさん》
「トランプ政権は環境規制を大きく変えると思います。ダコタ・アクセス・パイプラインの建設も推し進めるだろう。大半の地域ではエネルギー開発について、地元住民から多くの支持を得ています。エネルギー開発は地域経済に大きな利益をもたらすからです。」

地元に住み反対活動に従事してきたアメリカ先住民のトルーデルさんは、トランプ大統領の「環境より経済」の姿勢に反発している。

《アメリカ先住民/セージ・トルーデルさん》
「私はトランプ大統領の考え方が全く好きではありません。経済的な利益しか見ていないからです。」

さらにアメリカ先住民がかつて白人に土地を奪われた歴史的背景もあり、パイプラインの建設には到底納得できないと訴える。

《トルーデルさん》 「かって白人たち何もかも奪って小さな居留地に私たちを押し込めた。いま白人たちは石油資源を見つけ、それも欲しい、と言って、私たちに残されたわずかな土地を自分たちのために使おうとしています。」

エネルギー開発を巡って様々な利害が衝突するアメリカ。トランプ大統領が政策を推し進めるのも簡単ではなさそうだ。

このダコタ・アクセス・パイプラインの建設計画には、日本のメガバンクも金融支援をしています。トランプ氏は建設に前向きですが、繁多運動のあるキャップで取材した男性は、トランプ氏が大統領になることで、むしろ反対運動の参加者は増えていくだろうと話していました。
 

■【モーサテ・サーベイ】今週のマーケットを出演者が予想
マーケットや世界経済の先行きを番組のレギュラー出演者へのアンケートから独自に予想します。
(調査期間:1月20日~22日、番組出演者36人)

(1) 今週末の日経平均予想。
予想中央値(19200円)、先週の終値(19137円)

《ニッセイ基礎研究所/井出真吾氏》
(19400円予想)
「10-12月期の決算発表で、業績の上振れ確認できれば、株価はやや強含む展開だと見る。」

《インベストラスト/福永博之氏》
(18600円予想)
「決算発表が本格化する前に、利益確定売りが優勢になる。」
 
(2) 今週末のドル円相場

予想中央値(114.50円)、先週の終値(114.63円)
《ソニーフィナンシャルホールディングス/尾河眞樹氏》
(115.50円予想)
「トランプ政権が具体的な政策に移っていき市場の不安心理も、市徐々に取り除かれる。」
《クレディ・アグリコル銀行/斎藤裕司氏》
(113.50円予想)
「アメリカはトランプ大統領の予算教書待ち、今週は中国圏が旧
正月でポジション調整が出やすく、リスクを取れないため、ドル円の上値は重い。」
 
(3) モーサテ景気先行指数
    (45.8に低下)
 



 
■特集 米トランプ新政権 減税の効果は?
アメリカのトランプ新政権は基本政策に法人税と個人所得税をともに引き下げる大型の税制改革を掲げたが、その実現性や効果は?解説はホリコ・キャピタルマネジメントの堀古英司氏。

--いよいよトランプ政権が誕生しました。共和党の動きが大事なんだというところで、その中でも政策効果が期待できるものは何か、というと減税ですか。
(フリップ1:米法人税は高水準のまま)
「これからいろんな具体策が出てくると思いますけれども、やはり私は大きなピクチャーを見るべきだと思っていて、まず間違いないのは、共和党でまずやるのは資本コストを下げるというのは共通する概念だと思うんですけど、まず法人税率。オバマさんはこれを見て見ぬふりをしてきたんだと思うんですよ。アメリカはもう連邦と地方税を合わせてずっと40%近くの法人税率で、これではアメリカではビジネス出来ないです。やっぱりトランプさんが主張している通商問題とかに発展していっているわけで、これはアメリカが下げれば一気に貿易問題とか、かなりの部分が解決すると思うので、一番先にこれをやると思いますね。」

--でも現実的にどのぐらいまで下げられるか。
「地方税と連邦を合わせて25%ぐらいまで行くと思うので、ヨーロッパや日本の国々を下回るような水準まで、今回持って行くんじゃないかと思います。」

--先ほど資本コストを下げると・・・。これがトランプ政権の狙い、共和党の狙いというふうに見ればいいんですね。
(フリップ2:トランプ政権の狙い)
「銀行からお金を借りる時に金利というのがありますけれども、株で企業が資金を調達するときの、そのコストを下げるということなんですね。」

--はい、ではちょっと分かりづらいことですので、丁寧に具体的に見ていきましょう。

(フリップ3:500万円投資で40万円(8%)の利益)
「投資家が500万円投資で8%ぐらいのリターンを求めているというマーケットの状況だった時とします。
(オバマ政権の場合)
そうすると企業は税引き前で150万円の利益を生まないと、法人税・個人所得税を引くと、ちょうど40万円(8%)の利益になる。優遇税制なしの場合をやっていますけれども、今は150万円の利益を生まないと、こうはならないわけです。
(トランプ政権の場合)
しかし今度トランプさんになると、(たぶん法人税25%ぐらいになりますし、所得税率も下がりますので、)100万円を稼ぐだけで、投資家が要求するリターンを満たせる。結局、企業から見るとコストですので、この資本のコストが、500万円に対して150万円(30%)のコストでしたけれども、これが20%でよくなるので、結局10%も資本コストが下がるという結果になります。」

--ただもちろん資本コストが下がるとは言っても、これからアメリカは金利が上がるのではないかと言われている。その結果はやはり足を引っ張ることになりませんか。
「トランプさんの政策がそのまま本当にうまくいくとすると、経済成長率3~4%にもっていける。そうすると国債の利回りはやはり4~5%に行くわけですよ。それは私はうまくいく限りは覚悟しておかないといけないと思いますが、ただ今国債の利回り2.5%から2~3%上がったとしても、資本コストがこれだけ10%もドカーンと下がってくれますから、金融はほとんど気にしなくていいぐらいになると思うんですよ。」

ーーだからさっき仰っていたように、これからは利益リードで株価が上がっていくだろうと・・・。
「そうですね。」

--では株価の推移を見ていきますと、上昇局面に張っていくという局面ですか。
(フリップ4:米株価は上昇局面入り?)
「グラフは過去のパーセントがよくわかるように対数で示してあります。過去の大きな上昇局面に入る前というのは、必ず財政を緩和しているわけですよ。第2次世界大戦のあとは軍事費が上昇したからですよね。それからレーガノミクスも財政を緩和したからです。次にはトランプさん、共和党が選ばれたことによって財政を緩和することはまず間違いないので、また私は大きな上昇局面に入ったと見ております。」

--これはタームがあるんですね。10年低迷し25年で上昇するという、なんか流れがあるんですね。
「あると思いますね。ITバブル崩壊、同時多発テロ、金融危機なんかがあって、財政が使えなかったので仕方がなかったと思います。ついに今回使えるようになったと思います。」

--ただ財政に関して言いますと、やはりそこまで出せるのかという、減税もどこまでできるのかということがありますね。
(フリップ5:レーガン政権歳入増加)
「歳入の話になると、財政赤字が増えていくト・・・。法人税下げて、減税すると歳入が減るんじゃないかと・・・。そうじゃないんです。レーガン政権の時を見ていると、減税することによって、ビジネスが増えて、歳入が倍になっているんです。これをまず復習しておかないといけないと思います。そしてさらに中身を見ていきますと、確かにレーガン政権で財政赤字が増えたんですけれども・・・。」

(フリップ6:レーガン政権、国防費↑)
--こちらは赤い棒グラフが財政赤字、どんどん増えていってますね。
「それで青い棒グラフが国防費なんですね。ほとんど財政赤字は、国防費またはそれに伴う国債の利払いで説明がつくので、今は冷戦構造とはちょっとかなり違いますから、同じパターンを踏襲するとみるのは違うと思います。」

--そうすると堀古さんはアメリカに対しては強気に見ているわけですね。
「いま共和党が言っている通りのことになるんだったら、かなり楽観的に見ていいと思いますね。」

--となるときになるのは日本なんですね。日本への影響というのはどう見ればいいですか。
「私はアメリカの実質金利が上がっていく話だと思うので、自ずからドル円は上昇トレンドに入ります。そうすると円安で明らかに日本はメリットを受けますね。日銀のイールドカーブコントロールにより実質金利は上がりませんから。しばらくはいいんですけど、そうやって日本が円安によってメリットを受けていると、必ずまた日本は内需を拡大しろという話になると思うので、私は早めに日本も財政を出動すべきだと思います。」

--それは先ほど仰った法人税とかそういうところで・・・
「はい、財政の緩和だったらいいと思いますね。消費税の引き上げみたいな、また逆のことをやらないように注意ですよね。」

--文句を言われる前に早めに動けということですね。
 
■日経朝特急

トランプ首脳外交27日始動
トランプ大統領の首脳外交が始まる。就任後の外国首脳との初会談はEU離脱交渉を控える英メイ首相で、27日にホワイトハウスで開く。31日には、メキシコ・ペニャニエト大統領と会う他、カナダ・トルドー首相ともNAFAT再交渉などに関して近く会談することで合意した。通商分野で米国第一の公約実現を目指して動き出す。

温暖化ガス削減加速
温暖化ガスの削減が加速。日本の主要製造業は2030年度の温暖化ガス国内排出量を2013年度を比べて14.4%と減らせる見通しであることが、日本経済新聞の環境経営度調査でわかった。温暖化対策の国際的枠組みパリ協定を受け、政府が掲げた地球温暖化対策計画の目標6.5%を上回る。自動車業界などで本業の競争力に直結するとして、一段と進化させる動きが相次いでいる。
 
潜在成長率0.8%に修正
内閣府はGDPの算出方法の見直しに伴い、日本経済の中長期の実力を示す潜在成長率を新たに試算した。直近の2016年7~9月は0.8%と従来の0.4%から上振れした。企業の研究開発費を加算するなど算出方法を切り替えたことで過去の経済成長率が高めに修正されたためだ。
 

■日刊モーサテジャーナル

トランプ大統領の就任演説、希望より怒り
トランプ大統領の演説について米国各紙が分析している。
ニューヨークポストは、「これからの主役は一般人だ」との発言を評価する一方、デイリーニュースは現状への怒りに満ちた演説だったと伝えている。
一方、主要紙は揃って、暗く希望が見いだせなかったことに懸念。
ニューヨークタイムズは、「製造業が苦しんでいることなどを、大虐殺という言葉を使って、既存の政治体制を激しく非難したのはやり過ぎだ」と主張、「経済の底堅さや最近の社会的進歩などを無視していて、アメリカの歴史を無理やり書き換えるものだ。」、と批判している。
ウォールストリートジャーナルは、演説は選挙中に白人労働者との集会で話したのと同じだったと指摘し、はれて大統領になったら生まれ変わるのではないか、という期待は完全に無くなったと分析。そもそも大統領の就任式とはもっと崇高なもので人々を鼓舞するはずなのに、と歴史家も驚いていると伝えている。

米国第一主義でアパレル業界に大打撃か(ウォールストリートジャーナル)
就任式で新ためて米国第一主義を掲げたトランプ大統領、ウォールストリートジャーナルは、この方針でどこよりも打撃を受ける業界はアメリカのアパレルだと報じている。理由は、アパレル業界の殆どは輸入に頼っているからだと指摘。
海外の生産品に関税をかけられたら、たとえ法人税が減税されても、百貨店のコールズは17年度の利益が68%減、アーバン・アウトフィッターズは52%減となる見方もある。記事は、ナイキなど、”この製品がなしでは生きていけない”と消費者が思うブランドでない限り、生き残りは難しい、と分析している。
 
米国の投資家“日本株は買い”で一致(週間投資新聞バロンズ)
「混乱するマーケットを生き残るためのマニュアル」と題したおかかえの投資家同士の対談記事。それによると、現在の割高感からアメリカの株価上昇はそれほど期待できないが、日本株投資への期待では一致したと報じている。対談で投資家は、日本の株価を自動的に支える3つの要素は年金ファンドの投資、日銀のETF購入、企業の自社株買いの3つだと歓迎しつつ、今後、今は消極的な個人投資家からの買いも増えるのでは、と期待している。さらにドル高円安はやはり日本経済に追い風で、長期的に見れば1ドル200円もありうるという声も出ている。

・「米国の投資家“日本株は買い”で一致(週間投資新聞バロンズ)」について

--株価が今割高だからアメリカの株価の上昇は期待できないんじゃないかという話がありました。
《ホリコ・キャピタルマネジメント/堀古英司氏》
「株価というのは利益と株価収益倍率(PER)の掛け算になりますけれども、アメリカのマーケットって面白くて、利益が株価の上昇を引っ張るときと、株価収益倍率が引っ張るときと、くっきり分かれるんですけれども、これまでの5年間はPERが引っ張ってきたんですよね。私はこれから利益が引っ張るときになると見ていて、これが実は一番強い時になんですけれども、今まさにそれが伸びようとしち得る時ってPERが高いから割高感という意見が必ず出るんですよね。」

--今PERは19倍ぐらいです。
「ですからまさにバロンズで割高って出てくるのは、そういうことだなと私は見ています。」

--では利益がこれからしっかりついてくると堀古さんは見ているわけですね。
 

■今週の予定

23日 衆議院代表質問(安倍総理の施政方針演説に対する)、1月月例経済報告
24日 米1月製造業PMI、米12月中古住宅販売件数
25日 16年貿易統計(6年ぶり黒字転換の見通し)
26日 英10-12月期GDP、米12月新築住宅販売件数、米決算(アルファベット、インテル)
27日 12月消費者物価指数、米10-12月期GDP
 
■今日の予定

衆議院代表質問
12月全国スーパー売上高
1月月例経済報告
1月主要銀行貸出動向アンケート調査
米決算(マクドナルド)
 
 
■ニュース

欧州各国の極右政党など連携訴え
ヨーロッパ各国の極右・右派ポピュリスト政党の党首らが21日、ドイツで一堂に会しアメリカのトランプ政権発足を歓迎するとともに、反EU・反移民を掲げて連携を訴えました。

《フランス「国民戦線」/ルペン党首》
「2016年はアメリカとイギリスが目覚めた。2017年はヨーロッパが目覚めるとき。我々の勝利はもはや時間の問題だ。」
《ドイツ「ドイツのための選択肢」/ペトリ党首》
「自分の国のことは自分で決める。その自由を奪うことはできない。」

トランプ大統領の誕生やイギリスのEU離脱を追い風に今年の選挙での勝利を誓い合いました。一方、地元の市民らはこの集会に反発し、街頭をデモ行進しました。警察側の発表によりますとデモには5,000人が参加し、一触即発かと思われましたが、大きな混乱もなく終わりました。
 
監視委員会 協調減産を確認
OPEC=石油輸出国機構の加盟国と非加盟国は22日、今月から始めた原油の協調減産の監視委員会をウィーンで開き、各国が減産に乗り出したことを確認しました。すでに全体の目標の80%を超える日量およそ150万バレルを削減したということです。なお、次回の監視委員会は3月後半に開催される予定です。

鴻海・シャープ 米新工場に8,000億円
鴻海精密工業がアメリカへの巨額投資を検討です。郭台銘会長は22日、台北市内で記者会見し、傘下のシャープと共にアメリカでの液晶パネル工場の建設を検討していると発表しました。投資額は70億ドル、およそ8,000億円を超える見通しです。トランプ大統領が製造業のアメリカ国内での投資を訴えていることに応じたもので、アップルも投資する見込みだということです。

千代田区長選の現職決起大会、小池都知事「戦いを勝ち抜く」
夏の東京都議選の前哨戦とされる千代田区長選の告示まで1週間となりました。東京都の小池知事は、現職で出馬表明している石川雅己区長の決起大会に出席しました。小池知事は、決起大会に集まった支援者などおよそ500人に「区民は真の改革者を選ぶと思うので私も応援する」と、石川区長を全面的に支持する姿勢を強調しました。千代田区長選には、与謝野馨元財務大臣の甥で、自民党・東京都連が推薦する与謝野信氏が出馬を表明しています。小池知事は、千代田区長選で勝利をおさめ夏の都議選に向けて勢いを得たい考えです。千代田区長選には、このほかに元会社員の五十嵐朝青氏が立候補を表明しています。

自民、二階幹事長 今国会での改憲発議に言及
自民党の二階幹事長は22日、都内で記者団に対し、いまの国会で安倍総理大臣の悲願である憲法改正を発議することもあり得るとの認識を初めて示しました。国会では自民、公明、維新など憲法改正を目指したり、容認したりする勢力が、衆参両院で発議に必要な3分の2の議席数を占めていて、憲法改正の議論が現実的なものになっています。

豪、メルボルン車暴走 死者5人の中に日本人男性
オーストラリアのメルボルンで20日、繁華街で暴走した車が通行人を次々とはねて5人が死亡した事件で、亡くなった5人の中に日本人が含まれていることがわかりました。外務省のメルボルン総領事館によりますと、亡くなったのは20代の男性で現在、当時の状況の確認を進めているとのことです。

トランプ氏執務室 金色カーテンに
トランプ大統領は早速ホワイトハウスをトランプ色に染めたようです。トランプ大統領は20日の就任早々、大統領執務室のカーテンを金色に替えました。これはトランプ大統領が大統領令などへの署名をメディアに公開した際に判明したものです。トランプ氏はもともと金色を好んでいるとされていて、所有するビルや自宅の内装は金色が目立ちます。なお、オバマ前大統領の時はカーテンは赤茶色で、大統領が交代すると執務室を模様替えするのは通例なんだそうです。
 
 
■【コメンテーター】ホリコ・キャピタルマネジメント/堀古英司氏

・市場が注意すべき“トランプ批判”

--トランプ新大統領の就任演説を含め、どうご覧になりましたか。
「私が今ちょっと気持ち悪いなと感じているのは、メディアの報道がトランプさんを批判していれば、視聴率・読者数・クリック数が増えるようなイメージで皆やっているんですけど、例えば、大統領選挙でクリントンの方が得票数が多かったというのありましたね。でも法案を通すのは議会であって、大統領というのは承認の権限しかありませんので、そうすると、本当は議会のほうが大事で、この間の選挙で議会選挙で上院が70%、下院は55%、国民が共和党に投票しているわけですから、経済政策はそっちのほうを見るべきであって、やはりマーケットを見る人はそういう事実を受け止めて見ていかなければいけないと思います。」
 
・今日の経済視点 「大統領<議会」

「やはり日本の方々に一番伝わっていないところだと思うんですけど、経済政策を決めるのは議会であって、大統領というのは拒否権はあるけれども・・・。拒否権は共和党が議会の3分の2をとってないので有効なんですけど、でも議会でまず通さないとっていうことですね。」

--アメリカに対してポジティブに見ている堀古さんですけど、例えば、S&P500の年末をどう見ていますか。アメリカの専門家は2220~2230ですが・・・。
「私は税率が下がるだけで10%ぐらいの利益の押し上げ効果がありますし、規制緩和とかいろいろ考えると、20%ぐらい上げる実力はあると思いますけれども、ただ4年後にまた勝たないといけないので、たぶん初年度は抑えて10%ぐらいS&P500指数で2400ドル台後半を見ています。」