JR西日本はどこに問題があったのか

2005年05月07日 | 経済問題
今日は、朝日ニュースターというCS放送の「愛川欣也のパックイン・ジャーナル」に出演してきました。築地の朝日新聞のなかにスタジオがあります。
この討論番組は、地上波と比べてかなり自由に発言できるので、とても楽しいです。
今回の最大のテーマはJRの脱線事故後のJR西日本の対応でした。最近は、運転手が現場で救助しなかったことを、古い国鉄の体質が残っていたのだと批判する評論家もいますが、私は逆ではないかと思っています。大赤字を出していた国鉄が分割民営化され、JR西日本は1000億円以上の利益を出しています。なぜ、これだけの利益が出たのでしょうか。それは、大幅なコストカットと収入増加策が功を奏したからです。ただ、コストカットには保線要員の削減も含まれました。ATSが整備されていなかったのも、コストを一気にかけられないということ一つの要因になっていたのでしょう。また、収入を増加させるために、車両を軽量化し、そして限界ギリギリのスピードで列車を走らせていました。
つまり、乗客の安全よりも利益を増やすことに会社は動いていたのです。私はそれが一番の問題だと思います。もちろん赤字を積み重ねることは、株式会社である以上できないでしょう。ただ、1000億円もの利益を出すのなら、安全対策に使うなり、阪急電鉄の売上を奪うほどのスピードを出さないという方法も取り得たのではないでしょうか。
鉄道会社というのは、利益よりも乗客の安全確保が先にくるべきです。それが企業理念として根付いていなかったことが、運転士が救助にあたれなかった原因だと思います。
私はニッポン放送の社員に一番感心することは、放送中に地震が起こると「一体どこにいたのだろうか」と思うくらい、瞬時にスタジオに社員が集まってくることです。地震のときのラジオ放送の重要さを社員一人一人が重く認識しているからです。地震のときには、通常の分担を離れて、力を合わせて、正確・迅速な放送をしなければならないという意識が企業理念として染み渡っているのです。
鉄道事業も同じだと思います。乗客が事故に巻き込まれたら、真っ先に助けに行かなければならないのは、鉄道会社の社員でしょう。上からの命令を待っていたのでは、被害は大きくなるだけです。
だから、私は今回の事故で一番問われなければならないのは、利益を追求するあまり、そうした企業理念を共有できるような社員教育を経営陣がしていなかったということなのだと思います。
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