森の里ホームズのブログ

自己免疫性脳症

自己免疫性脳症のページを更新
 急性か亜急性発症(通常3か月以内)の記銘力障害、精神症状、傾眠、人格変化、てんかん発作、意識障害等を呈し、症状は変動する。昏睡に至ることもある。炎症が遷延し、慢性にてんかん発作、認知機能障害、精神症状を呈する場合もある。経過中発熱等の感染徴候を伴わない場合、自己免疫性脳炎・脳症を疑う必要がある。自律神経症状(循環器症状、呼吸器症状、腹部症状、立毛、感覚症状等)、ジストニア、小脳症状、ミオトニアを伴うこともある。
急性期治療が奏功し予後良好な群もあるが、急性期からの回復後も認知機能、運動機能の障害を残し、てんかんを発症すると薬剤抵抗性にあるいは長期に経過することがある。

急性脳炎・脳症による脳組織の障害に加えて、複数の脳組織抗原に対する自己免疫異常も関与すると考えられている。現在までに,抗NMDAR( N-methyl-D-aspartate receptor)抗体,抗LGI1(leucine-rich glioma-inactivated 1)抗体、抗VGKC(voltage-gated potassium channel)複合体抗体などの神経細胞表面構造物に対する自己抗体および抗GAD(Glutamic Acid Decarboxylase)抗体が病因に関与していると考えられている。加えて、その他及び未知の抗神経抗体の関与や傍腫瘍性の原因が指摘されている

 抗VGKC複合体抗体陽性脳炎では、記銘力低下、てんかん発作、性格変化が亜急性に進行し、数ヶ月から年余にわたり経過する。本脳炎の主要な病因である抗LGI1抗体が陽性の症例では、同側の顔面と上肢に非常に短く常同的なジストニー発作(faciobrachial dystonic seizure : FBDS)が 頻回(1日 50回に及ぶ)に出現する場合がある。  抗NMDA受容体脳炎では、感冒様の前駆症状に引き続き、抑うつや興奮等の感情障害、日常的な作業の遂行が障害される認知行動障害や幻覚・妄想など、急性発症の統合失調症に類似した精神症状が出現する。引き続き、カタレプシー等の緊張病類似の症状、意識障害、頻回のけいれん発作、呼吸不全、顔面・四肢のアテトーゼ・ジスキネジア様不随意運動、著明な自律神経症状(発汗異常・腸管麻痺・血圧変動・唾液分泌亢進・体温調節異常など)が出現する。
その他、関与する抗体の種類により症状に多少の差異はあるが、多くは急性期に意識障害、認知機能障害、てんかん発作(時に重積状態)などを呈し、昏睡、死亡に至る場合もある。

 急性期からの回復後も脳の障害部位により、認知機能障害、高次脳機能障害、運動機能障害などを様々な程度で合併する。てんかんを発症すると薬剤抵抗性にあるいは長期に経過することがある。てんかん発作は、焦点性発作とその二次性全般化発作、あるいは全般性発作である。

<出典:小児慢性特定疾病情報センター

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「更新記録」カテゴリーもっと見る