自己免疫性筋炎のページを更新
- 自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下を来す。典型的な皮疹を伴うものは、皮膚筋炎と呼ぶ。疾患の本態は筋組織や皮膚組織に対する自己免疫であるが、全ての筋・皮膚組織が冒されるわけではなく、特に皮膚症状では、特徴的部位に皮疹が出やすい。検査所見上、筋組織崩壊を反映して、筋原性酵素高値を認めるほか、他の膠原病と同様に高γグロプリン血症や自己抗体を認める。2009年の臨床調査個人票の解析結果によれば、多発性筋炎(polymyositis:PM)・皮膚筋炎(dermatomyositis:DM)の推定患者数はほぼ同数で、男女比は1:3で、発症ピークは5~9歳と50歳代にあった。
- ■ 原因
- 本疾患の骨格筋には、単核球の未壊死筋線維周囲への浸潤と、筋線維の変性、壊死、再生が認められる。浸潤細胞は、T、Bリンパ球、マクロファージなどである。かつて、多発性筋炎では浸潤細胞にCD8陽性Tリンパ球が多く、皮膚筋炎ではCD4陽性Tリンパ球が多い上、筋血管内皮細胞に補体沈着が認められたことから、前者はキラーCD8陽性Tリンパ球による筋組織傷害、後者は抗体による筋血管障害が原因であるとの説が唱えられた。しかし、その後の研究成果や両疾患の治療反応類似性、皮膚炎だけの無筋炎型皮膚筋炎の存在から、症例それぞれの程度で筋炎と皮膚炎を発症する炎症性筋疾患という一つのスペクトラムであるとも考えられる。
- ■ 症状
- ①全身症状として、発熱、全身倦怠感、易疲労感、食欲不振、体重減少など、
②筋症状として、緩徐に発症して進行する体幹、四肢近位筋群、頸筋、咽頭筋の筋力低下が多く、嚥下にかかわる筋力の低下は、誤嚥や窒息死の原因となる。進行例では筋萎縮を伴う。
③DMに特徴的な顔面皮膚症状は、ヘリオトロープ疹と呼ばれる上眼瞼の浮腫性かつ紫紅色の紅斑である。手指の指節間関節や中手指節関節の背側には、ゴットロン丘疹と呼ばれる紫色の丘疹ないし紅斑を生じる。
これらの三大徴候の他に、V徴候やショール徴候と呼ばれる紫紅色斑や、手指皮膚の角化、一カ所の皮膚病変に、多彩な皮膚病変が混在するものを多形皮膚と呼ぶ。レイノー症状も約30%の症例に見られるが、強皮症のように皮膚潰瘍や手指壊疽に進行することは少ない。
間質性肺炎を伴うことがあり、生命予後を左右する。特に急速進行例には、そのまま進行して呼吸不全となって死に至る病型がある。また、進行例では、不整脈、心不全などがみられることがある。一般人口と比してDMでは約3倍前後、PMでは2倍弱悪性腫瘍を伴いやすい。
<出典:難病情報センター>