「明けましておめでとうございます。」
昨年暮れに長女の結婚式に参列致しました。
三十路になる前に身を固めることができました。
(この娘、恋愛という感情は備わっているのだろうか?男の友達が多く異性の拘りなく付き合えるタイプ。~母親ゆずり?)
私の時は二十二歳の早めの結婚だったせいか全て親任せでされるがままの結婚式でした。なのに自分の娘の時は何ひとつ相談にも乗ることができず全て二人で段どって結婚式はご招待状態。不甲斐なさこの上ない・・・。
会場に行くまでが大変でした。
家の年寄り二人を連れて行くこともできず、預け先を探しました。
まず、おじいちゃんの介護認定の申込から始めなければなりませんでした。
そうして初めてのパターンらしいのですが介護認定のないおばあちゃんを付き添いとして同室でショートスティが認められました。色んな方達にお世話になり、安心して出かけられました。感謝でした。
朝早く小松空港へ親戚を引き連れて羽田空港まで。それから、娘から横浜の式場までのメモを片手に主人が誘導します。流石、伊達に出張慣れはしてませんでした。婿殿が空港まで迎えに来ると言ってくれてました。でも、当日の式を目前にそんなことさせられません。丁重にお断り致しました。その分、娘のメモはまるでシミレートしたように詳しいものでした。こころ配りがありがたかったです。
たっぷり時間の余裕を持って式場に着くことが出来ましたがこの時点で五十代のアダルトたちはすっかりくたびれておりました。日頃の運動不足のせいか体力が無い。田舎者ほど足を使わず車に頼ってますね。
さぁ、主人はタキシード、私は留め袖。この時点でも娘に会ってません。
主人が先に呼ばれ、バージンロードの打ち合わせに。
しんみりと娘の花嫁姿を眺めることなく、いきなりファミリールームと称する所で新郎新婦を挟み両家の親族紹介。主人はすっかりとっちらかって娘の台本を無視。娘の立場から紹介するはずの個々の位置付けが自分の立場で言うものだからいちいいち娘が言い直して・・・・・。
主人:「妻の○○子です。」
娘 :「母です。」
主人:「次女の○○子です。」
娘 :「妹です。」
主人:「息子の○○です。」
娘 :「弟です。」
(いい加減に気付けよ~!)
とうとう、最後の親戚までこのパターンでした。
チャペルに通されました。前席に主人の席を空けて座ります。
扉が開きバージンロードを父娘が腕を組んで歩いて来ます。
甘える事を知らない娘が初めて父と腕を組みました。見納め・・・。
もうだめです。涙が止まりません。
(私の時は父は泣いてましたが母は涙は見せませんでした。)
私の肩の揺れと鼻をすする音でこちら側一同全滅!


披露宴では、娘の手紙が読み上げられました。小さな時の事をよく覚えてます。
「自分の今の常識は厳しく育ててもらったお陰です。」(皆様に鬼母と思われたかも・・・。)朗々と読み上げている間も涙です。
花束贈呈。婿殿が私に手渡してくれました。思わず花束の彼の手を握ってしまいました。(どうか、娘をお願いします。)心からそう願いました。
色んな趣向を凝らした披露宴は今時なのでしょうかクリスマスパーティも兼ねているかのようでした。華やかでした。引き出物よりお料理に力を入れたこともあり、とても美味しく大満足。皆さんの評価も良かったです。
ご招待客をお見送りする際、遠くで暮らす娘達をこの方達に委ねる思いでお一人お一人に頭を下げずにはいられませんでした。(何卒、二人をよろしくお願い致します。)
この晩のホテルは婿殿が用意してくれました。とても立派なホテル。素泊まりだけどいくらしたんだろう。

私は早々に眠ってしまいました。
朝、昨日の今日と言うのに婿殿が横浜見物に誘ってくれました。
船上で中華を頂きましたが、ホテルの朝食のバイキングで食べ過ぎた私達、「ごめんなさい。」折角なのに入らない。その代わり、婿殿の思いをいっぱい頂いて感謝するばかり。
帰るとき、頂いた花束がしおれて可哀想。これから、飛行機に乗って家まで持つだろうか?
私:「ねぇ。置いていったらダメ?」
婿殿:「ダメです。僕が上げたものなのに!」

確かにそうです。気の利かないことを口にしてしまいました。
娘:「枯れても仕方ないよ。上げた事に意味があるんだから。」
婿殿、娘が羽田空港まで見送ってくれました。
二人にはとても気を使わせて本当に申し訳ない。
ありがとう。ありがとう。身体に充分、気を付けて下さい。
小松空港に着いた瞬間、現実が戻って来ました。
兎に角、お天気に恵まれたことに心から感謝致しました。

婿殿からの花束、枯れずに水が上がってくれました。
花束のラッピングも花瓶にかぶせて・・・。
引き出物の紙袋の中からテーブルにセットしてあったミニ花束が七個も。
婿殿からもらった花束からこぼれた花も。
慌てて小鉢に水を張り洗面所に。
あくる日、おじいちゃん、おばあちゃんを迎えに行きました。
娘に負けずにリセット。
「がんばれ!わたし。」