ゴキ研

ゴキゲン中飛車研究ノート

定跡の基本から最前線まで詳しく紹介。

ゴキゲン中飛車vs▲5八金右超急戦【プロ棋界の最前線を探る旅】

2010年03月25日 19時51分01秒 | ▲5八金右超急戦
私事ではありますが、風邪を引いてしまいました。^^;

風邪とは言っても、どうも黄砂が原因のアレルギーな気がします。

王将戦が終了し、見事久保二冠が誕生、しかも超急戦に勝利しての奪取だったので、
タイムリーな時期に更新したかったのですが叶いませんでした。

少し乗り遅れましたが、今回は王将戦第6局で登場した超急戦の変化について
触れたいと思います。

脱線しますが、王将戦と現在進行中の棋王戦の戦型を整理してみましょう。

【王将戦】

第1局 石田流vs居飛車早仕掛け       ▲久保勝ち
第2局 ゴキゲン中飛車vs▲3七銀急戦・超速攻 ▲羽生勝ち
第3局 相振り飛車 先手三間vs後手向かい飛車 ▲久保勝ち
第4局 ゴキゲン中飛車vs丸山ワクチン   △久保勝ち
第5局 石田流vs居飛車銀冠       △羽生勝ち
第6局 ゴキゲン中飛車vs▲5八金右超急戦 △久保勝ち

【棋王戦】

第1局 石田流vs居飛車角交換型力戦 △佐藤(康)勝ち
第2局 ゴキゲン中飛車vs丸山ワクチン △久保勝ち
第3局 石田流急戦             △佐藤(康)勝ち
第4局 ゴキゲン中飛車vs▲7八金型持久戦 △久保勝ち
第5局 ???

石田流が1勝3敗に対し、
ゴキゲン中飛車はなんと4勝1敗(!)

こうなると、久保二冠としては棋王戦最終局の振り駒で後手番が欲しくなりますね。^^

それにしても、近年のタイトル戦は後手が良く勝つイメージがありますね。

やはりゴキゲン中飛車は偉大ですね。^-^

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前置きはこれくらいにして、プロ棋界の▲5八金右超急戦で
最もメジャーなのが△9九馬と香を取るテーマ図24ですね。

私は独自の定跡を作り上げたいのでテーマ図24は指しませんが、
この定跡の変化を知りたい人は多いではないでしょうか?

今回はプロの最前線を探ってみようと思いますが、
その前に予備知識として知って欲しい変化があります。

これは対応を誤れば一気に負けになるハメ手です。
テーマ図24を指すのであれば知っておく必要があるでしょう。



テーマ図24からの指し手①
▲6六香△5四銀▲1三龍△4二銀▲6三桂成△同銀▲4四角!(途中図)
△5一玉▲7一角成△同金▲6三香成△5六飛▲5七歩△5四飛▲8二銀!(第1図)



◇馬の素抜きにご用心

これは一時期2ちゃんねるで話題になった変化です。
GPS新手と騒がれましたが、2ちゃんねるが先です。

私と相互リンクパートナーのきーさんもかくりにっきでこの変化を研究されています。
詳しく研究されているので、途中の細かい変化はそちらを参照されると良いでしょう。

途中図の▲4四角が驚愕の一手で、対応を誤れば即詰みまであります。

つまり、△4四同歩は▲6三龍△5一玉▲6一龍(A図)まで。
自陣の金銀が見事に壁になって詰んでいます。

代わって△7二玉は▲6三香成△同玉▲9九角(B図)で馬を素抜かれて敗勢。望みなしです。



ここは△5一玉と逃げるのが最善で、以下第1図までは変化の余地なしでしょう。

最後の▲8二銀は取ると△6二銀の一手詰めとなっています。

ここは桂香を取られて気分が悪いものの△6二金とぶつけて以下難解でしょう。

これでも後手としては戦えるものの、玉が裸で心許ないですよね。

そこで、途中図に至る手順の△4二銀で△4二金(C図)はどうでしょうか。

以下、同様の変化を辿って△5四飛(D図)まで進んでみると、最後の▲8二銀は無効になります。



つまり、4一に玉が逃げる空間があるという訳です。

ただし、C図では左銀が浮いているので、再度▲1一龍と潜り込む手が生じます。

以下、△5一飛▲1三角△3二銀▲3一角成△4一香(E図)で抑えられると見ますが注意が必要です。*

*2010.10.2追記 ▲1一龍には△4一金と戻るのが最善で、△5一飛だと▲1八角で適当な受けがありません。



これらは本筋では無いものの、対応を誤れば一気に負けになるので、
テーマ図24の△9九馬を主軸とするなら必修です。

では、予備知識はここまでに留め、早速テーマ図22の最前線を探りましょう。



テーマ図24からの指し手②
▲3三角△4四銀▲同角成△同歩▲6六香△7二銀▲8二銀(第2図)
△2七角▲9一銀成△5三香(第3図)



◇▲5五桂の価値

▲3三角には、次に▲6三桂成~▲8八角成の素抜きがあるので△4四銀は絶対です。

▲同角成~▲6六香~▲8二銀は効率が悪く損しているようですが、
▲1三龍としたときに龍の利きが6三へ直射するのが真の狙いです。

また、歩が4四へ進む事で馬の利きも止まっています。

第2図では、豊島新手の△5七歩▲同歩△2四角(F図)もあり、
私の把握している範囲では後手の2勝1敗となっていますが、
どうも決定打とは至っていないようです。



その内の1敗である第66期A級順位戦▲羽生喜治二冠vs△久保利明八段戦(当時)
が影響しているのでしょう。

脱線するので簡易的に済ませますが、
F図から▲4六歩△8九馬▲4八銀(G図)がしっかりした手です。

△5一桂(▲8一銀不成の受け)▲9一銀成△5三香▲8一成銀△5五香▲同歩
△8一銀▲5四香(H図)が歩切れで、まともな受けがありません。



もちろん途中に変化の余地はあるでしょうが、トップ同士の対局と言う事で
与えた影響は大きいでしょう。

そこで、現在の主流は久保新手△2七角へ移っており、▲9一銀成に以前は
△8九馬▲8一成銀△5七歩(I図)が主流でしたが、▲5五桂の存在が大きく
後手が苦戦していました。



現在は、第3図の△5三香が目障りな桂馬を消す好手として発見されて、
後手が良く勝っている印象です。

以前、超急戦の記事を書いた時に▲5五桂を定軍山に構える夏候淵に例えた事がありましたね。

桂馬だと価値が低く思えてしまいますが、猛将に大将首を狙われていると考えると、
一刻も早く取り除かなければと思えてきませんか?

第3図からは2通りの実践例があり、①▲4三桂成と②▲8一成銀があります。

まずは、①▲4三桂成から見ていきましょう。

第3図からの指し手①
▲4三桂成△8九馬▲5二成桂△同金右▲2一飛△5七歩▲2七飛成△5八歩成▲同金
△5六香▲5七歩△同香成▲同金△4五桂▲5八香△5七桂成▲同香△6七馬▲5二香成
△同金(第4図)



◇飛車取りにもお構いなし

▲4三桂成は飛車取りですが、構わず△8九馬が肝心です。

この将棋は後手の飛車よりも5五桂の価値が非常に高いのです。
そっぽに成ってくれた事に満足しましょう。

▲2一飛も角取りと二枚換えを狙った手ですが、「両取り逃げるべからず」で△5七歩が正解。

二枚換えを選べば先手玉の脅威は取り除けませんし、
本譜▲2七飛成も先手玉の逃げ道を塞いでおり、攻めも遅れています。

かと言って、▲5七同金は△4五桂で攻めを加速させてしまうので論外でしょう。

第4図の局面は実戦例が2つあり、王座戦▲井上慶太八段vs山崎隆之七段戦では
▲4八玉△6六馬▲5七歩△5六歩▲1三竜△5七歩成▲3八玉△4七と▲同玉
△6五馬▲5六歩△4六香(J図)以下後手が寄せ切った様です。



また、今期A級順位戦▲谷川浩司九段vs△藤井猛九段戦は
▲5四桂△5三玉▲1三龍△4三香▲7一角△6二桂(K図)で不詰め。

以下、自玉に手を入れて手を稼いだものの、後手が絶妙の△7四歩(L図)で逃げ切っています。



第3図から①▲4三桂成は現状後手に分がある戦いです。



第3図からの指し手②
▲8一成銀△5五香▲同歩(第5図)△8一銀▲6五香打△7一玉▲6三香成△6六馬
▲5二成香△同金右▲6六歩△5六香▲5七香(第6図)



◇こちらは未だ難解

▲8一成銀と進めば△5五香と桂を払います。これで当面の脅威は無くなったかに思えます。

▲5五同歩とした第5図では、第67期C級2組順位戦▲長岡裕也四段vs△横山泰明五段戦の
△同飛とした実戦例もありますが、これは疑問手だったようです。

▲5六歩(M図)から飛車を追われ後手の苦労する将棋となりました。



△8一銀が今期王将戦で初めて指された手ですが、
水面下で多くの棋士にこの変化は研究されていたようです。

途中、△6六馬▲5二成香に△3九馬が久保棋王の予定だったようですが、
▲6一成香△8二玉(△同玉は▲6五香△6三歩▲5三桂△7二玉▲6一飛(N図))
▲3一龍△同金▲7一銀△9一玉▲9二香△同玉▲8二飛△9一玉▲8一飛成△同角成
▲8二銀打△同馬▲同銀成△同玉▲7一角(O図)で詰んでしまう為、
予定変更で△5二同金右としたそうです。



予定変更とは言え、5二金・4一金・3一銀の陣形はとてもしっかりしているので、この進行は最善だと私は思います。

以前、私が八陣図と呼んだ構えにも似ていますね。

第6図で久保棋王は△4五桂とした為、▲5六香と払われて攻めが細くなったのですが、
ここは△5七同香成▲同金△5六歩(P図)が有力だった様です。



以下は週間将棋に乗っていた抜粋ですが、

①▲5六同金は△6四桂▲2三飛△5六桂▲2七飛成△5七銀▲5八金△4八香!(Q図)
▲同銀△6八金▲同金△同桂成▲4九玉△5八成桂▲3八玉△4八成桂▲2八玉△3九銀
▲1八玉△2八金▲同龍△同銀成▲同玉△2六香(R図)できっちり詰んでいます。



②▲6七金は難解で、△5七桂もありそうですが△4五桂▲5六金
(▲6五香は△5七桂成が角筋を通して自玉に詰みなし。(S図))
△6七銀▲6三桂△同金▲4三飛△5二金▲3一飛成△5一香(T図)は後手有望。
▲6三桂で▲6五香は△5七香▲4八玉△5六銀不成(U図)でこれも後手有望だったようです。



今後はプロの実戦でもP図をめぐる攻防が展開されると予想して
締めの言葉とさせて頂きます。



次回は、前回の続きで▲3七銀急戦超速攻対策2です。



上図からの持久戦を紹介します。



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ゴキゲン中飛車▲5八金右超急戦【▲1一龍△7二玉▲7五角④】

2010年01月27日 22時58分04秒 | ▲5八金右超急戦
竜王戦1組において、郷田真隆九段が寝坊により不戦敗を喫したそうです。

1組での不戦敗は初めての様で、どういった処罰が下されるのか…。

A級九段のトップ棋士であり、個人的にも好きな棋士が寝坊というのは残念でなりません。

この経験をバネにどう立ち直りを見せてくれるのか温かく見守って行きたいと思います。

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さて、前回に引き続き、テーマ図16を見ていきます。



ところで、テーマ図16の後手の構えを勝手ながら
「石兵八陣」または「八陣図」と名付けたいと思います。^^



三国無双などをプレイした事のある方なら石兵八陣はご存知でしょう。^^

夷陵の戦いにおいて白帝城に籠る劉備陸遜が攻めた際、
諸葛孔明の仕掛けた石兵八陣により足止めされ、撤退を余儀なくされたと言われています。

この「八陣図」では、8つの重要な役割を持った駒が存在しています。

①6四歩…先手玉が6六へ逃れたときに、6五へ駒を打つ土台になっている。
②持ち角…飛車を持ったら、常に△2七角が攻防手になる。
       参考図の▲1一龍△9九馬型と違い、8一まで利いている。
③8八馬…桂香を拾う役割だけでなく、1一龍を睨んで▲6三桂成を牽制している。
④5二金…中央上部からの守りの要。5一歩を支える役割も果たす。
⑤5一歩…6一飛に対する防波堤。「金底の歩岩より固し。」
⑥3一銀…1一龍に対する防波堤。いざと言う時に△2二銀打を可能にしている。
⑦4一金…左右の防波堤を守る守将。
⑧7一銀…後手玉最後の砦。この駒の存在により後手玉は相当に寄り難い。
       縁の下の力持ち。

以上の8つの将に守られているから「石兵八陣」なのです。^-^

神算鬼謀の八陣図を、果たして先手が突破できるのか。


テーマ図16からの指し手①
▲6四飛成(テーマ図17)



◇石兵八陣から退避

テーマ図16からはいくつか有力な手がありますが、今回は①▲6四飛成を見ていきます。

▲6四飛成はぼんやりしている様で、先手玉の退路に待ち受ける「伏兵」6四歩を取り除く他、
▲3四龍と回る手も見ています。

ちなみに、テーマ図16から▲6三桂成は△1一馬があるので無効です。


テーマ図17からの指し手
△9九馬(第1図)



◇香車を拾う意味

テーマ図17では、△9九馬が冷静に盤面を見渡した一手。

つまり、馬の利きで1一龍を睨んでいるので、依然として▲6三桂成が決行できない。

しかも、先手が手を緩めれば△6二香~△8九馬~△6七香成があります。

そこで、先手は攻めの手を緩められません。

第1図から先手には①▲5四香と②▲5三香の攻めがあります。

今回は①▲5四香に絞って解説します。


第1図からの指し手①
▲5四香△6二香▲5二香成△同歩(第2図)



◇欲張って龍を取らない

▲5四香には△6二香が△9九馬からの継続の受け。

例えば、先手が怯んで▲7五龍なら△8九馬▲5二香成△同歩(A図)となります。



A図は△6七香成がありますが、受けても△6一香の二段ロケットが脅威で後手良しでしょう。

そこで、先手は▲5二香成と踏み込みますが、後手は△6四香と龍を取ってはいけません。

▲4一成香~▲3一龍となると八陣はあっという間に崩壊です。

目先の利を追求するよりも、じっと成香を払いましょう。

香車が龍取りの先手なので、こちらの方が主導権を握れます。


第2図からの指し手
▲3四龍△8九馬▲3一龍上△同金▲同龍△7八銀(第3図)
まで、後手勝勢。



◇石兵八陣にまんまと嵌る

先手は香当たりになっている龍を活用するには、▲3四龍と転換するより無いですが、

後手は△8九馬と桂香を拾う手が間に合いました。

以下、▲3一龍上からの二枚換えで防波堤を消しますが、後手陣はまだまだ遠い。

▲3四龍~▲3一龍上と遠回りする様が、石兵八陣に迷う呉将の様ですね。^-^

第3図は、△7八銀と迫って一手一手です。自玉に詰みはありません。

つまり、▲7二金(a)△同玉▲6三銀(b)△同香▲同桂成△同玉▲6一龍△6二桂
▲6六香△5三玉(B図)で後手勝ちです。

(a)△同銀は▲7一銀△9二玉▲8二金まで。
(b)△8二玉は▲7一龍△同玉▲7二金まで。



B図から▲6二香成は△6九銀成▲4八玉△4九金(C図)が好手。



①▲4九同玉は△2七角▲3八銀△5九金▲3九玉△5八金▲5二龍△4四玉▲3六桂
△同角成▲同歩△2五香▲2六歩△3九銀▲3七玉△4五桂▲4六玉△3四桂(D図)

が一例で、後手勝ち。

②▲3八玉は△3九金▲同玉△2七桂(E図)。



E図以下は
(a)▲4八玉△3九角▲4九玉△4八銀▲同金△5九飛▲3八玉△2八金(F図)
(b)▲3八玉△2八金▲同玉△2七香▲3六玉△2六飛▲4五玉△4四銀▲3四玉△2四飛(G図)
(c)▲3八玉△2八金▲同玉△2七香▲2四歩△2八飛▲3六玉△3五銀(H図)以下。



よって、攻め合いは後手に分がありますので、第3図では▲7八同金(I図)。



以下、△同馬▲6八金打△7九飛▲6九金打(*)(J図)△同馬▲同金△4九金▲同玉
△6九飛成▲5九銀△2七角▲3八銀打△5七桂▲同金(K図)(▲4八玉は△4九金)
△3八角成▲同玉△5九龍(L図)でどうか。



▲7二金△同銀▲7一角△9二玉▲6二角成△2三香▲2六歩△4九銀▲2七玉△3八銀打
▲3六玉△5七龍(M図)で勝ちでしょう。



(*)▲6九銀は△7七桂が厳しいし、▲4八玉も△2七角(N図)で寄り。
  以下は▲3八銀なら△4九金▲5七玉△6五桂▲6六玉△7七馬。(O図)
  ▲7八金なら△4九飛成▲5七玉△6五桂▲6六玉△5八龍▲6八金打△5七桂成
  ▲7七玉△6七成桂(P図)以下寄り筋。
  2七角が受けに良く利いていて後手玉は安泰です。



長手数進めてしまった部分が多々あるので、理解しにくい部分が多いかもしれません。

ぜひ、一度盤に並べてみて下さい。^-^

そして、最後に気付いてしまったのですが、図が途中から先後逆になっていますね。^^;

今から作り直すのは大変なので、どうかご了承下さい。><

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次回は、超急戦を一度お休みして、▲3七銀急戦をまとめてみようと思います。^-^


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ゴキゲン中飛車▲5八金右超急戦【▲1一龍△7二玉▲7五角③】

2010年01月23日 16時49分49秒 | ▲5八金右超急戦
いや~、失敗しました。

先週の龍馬伝を観忘れてしまいました。T^T

これはNHKオンデマンドにお世話になるしかなさそうです。^^;

さて、今週は順位戦C級1組がありましたね。

C級1組

小林裕士六段△広瀬章人五段
 二枚銀急戦
  後手勝ち
村山慈明五段△長沼洋七段
 丸山ワクチン佐藤流
  後手勝ち
日浦市郎七段△戸辺誠五段
 相穴熊
  後手勝ち
佐々木慎五段△高野秀行五段
 先手中飛車
  先手勝ち
北島忠雄六段△近藤正和六段
 居飛穴対美濃囲い4筋位取り
  先手勝ち

ゴキゲン中飛車の4勝1敗。(先手中飛車の1勝を含む。)

先週の順位戦でも6勝1敗だったので、勢いは衰えることを知りません。^-^

しかし、残念ながら私期待の近藤正和六段は敗れてしまいました。T^T

以前週刊将棋のインタビューで、

「ゴキゲンで相穴熊を指す人が居るけど、あれは僕には考えられない。
穴熊にしたくないからゴキゲンを指すのに、それでは自分の中飛車人生を
否定する事になる。」

と仰っていた通り、美濃囲いから4筋位取りで戦ってくれましたが、
▲8六角の覗きが厳しく敗れてしまいました。

結局、左金が一度も動く事無く終局してしまったのが敗因ではないでしょうか。

2枚の囲いと4枚穴熊ですからね。

一手△5二金左が入ったら大きかったと思うのですが。

一方、相穴熊を選択した戸辺誠五段はうまく捌いて快勝しました。^-^

これで怒涛の9連勝です。

昇級争いは以下の4人に絞られました。

9勝0敗 戸辺誠五段(28位)
7勝1敗 飯島栄治六段(4位) 片上大輔六段(15位)
6勝2敗 広瀬章人五段(3位)

実は、私は戸辺誠五段、広瀬章人五段と同い年なんです。^-^

同世代の星として、何とか一緒に昇級してもらいたいです。^-^

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さて、そろそろ超急戦のテーマ図8について触れておきたいと思います。



テーマ図8からは遠山新手の△5一飛が最良と考えて研究していましたが、
なかなか後手良しの結論が出せないでいました。

しかし、真っ先に切り捨てていた手が実は最善だったのかもしれません。

早速その手を研究して行きたいと思います。


テーマ図8からの指し手
△6四銀(途中図)
▲同角△同歩▲6三銀△8二玉(第1図)



◇△7二玉を最も活かす一手

テーマ図8から△6四銀が新手であり、盲点となっていた一手。

と言うのも、▲1一龍△7二玉が入っていない▲7五角型(参考図)の将棋では成立しないから。



参考図から△6四銀だと本譜と同じ進行を辿ったときに
▲同角△同歩▲6三銀△5一玉(A図)と逃げるしかないですよね。



上の第1図とA図を比べたら天地の差です。

△8二玉と手順に戦場から遠のくか、△5一玉と押し戻されるかですからね。

以上の理由から、新手△6四銀は△7二玉と寄った手を最も活かす一手かもしれません。


第1図からの指し手
▲5二銀成△同金右▲6一飛△5一歩(テーマ図16)



◇試される受けの力

テーマ図16までは一本道でしょう。

テーマ図8からテーマ図16に至るまでの間に、駒の損得は飛角交換のみです。

つまり、角銀と飛桂香交換となっています。

後手としては、馬で桂香を拾う展開に持ち込めれば駒得となってベスト。

先手も簡単に拾わせては不利になるので、猛然と攻めてくるはずです。

つまり、先手の攻めを後手が如何に受け止めるかが鍵になります。

テーマ図16からは先手の手が広いので、後手は受けの力が要求されます。

とは言え、あらかじめ研究していれば大丈夫。

今後はテーマ図16を深く掘下げていこうと思います。

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今週の中継は日曜日に女流名人戦清水市代女流名人vs里見香奈倉敷藤花

木金に王将戦羽生善治王将vs久保利明棋王がありますね。

どちらも中飛車が濃厚で楽しみです。^-^


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ゴキゲン中飛車▲5八金右超急戦【フローチャート】

2009年12月19日 02時13分37秒 | ▲5八金右超急戦
先日、私のブログ名を検索してみたところ、ゴキ研のリンクを貼ってくれている
サイトを見つけました。

かくりにっき

管理人のきーさんには感謝の気持ちでいっぱいです。^-^
超急戦の研究や、プロ&クラブ24の超急戦棋譜集を扱っていらっしゃるので、
私からもオススメしたいサイトです。^-^

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さて、これまでに書いたゴキゲン中飛車▲5八金右超急戦の記事が探しにくいと思うので、
簡単なフローチャートを作成しました。^-^

指し手に貼られたリンクを押せば、過去の記事に飛ぶようになっています。
皆様の研究にお役立て下さい。^-^

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初手からの指し手
▲7六歩△3四歩▲2六歩△5四歩▲2五歩△5二飛▲5八金右△5五歩
▲2四歩△同歩▲同飛△5六歩▲同歩△8八角成▲同銀△3三角
▲2一飛成△8八角成▲5五桂△6二玉(基本図)




基本図からの指し手
▲1一龍
∟→△9九馬(テーマ図24)
∟→△7二玉
   ∟→▲2三角(テーマ図7)

   ∟→▲3三角
      △8二玉
      ▲4三桂成
      △3三馬
      ▲同成桂
      △5七歩
      ▲同金
      △2四角
      ▲6六角
      △6五銀(第3図)
        ∟→▲3四成桂
        ∟→▲4三成桂(テーマ図10)

   ∟→▲3一龍(テーマ図11)

   ∟→▲7五角(テーマ図8)
      ∟→△5一飛
         ▲2三歩
         △7四歩
      ∟→△6四銀
         ▲同角
         △同歩
         ▲6三銀
         △8二玉
         ▲5二銀成
         △同金右
         ▲6一飛
         △5一歩(テーマ図16)
          ∟→▲6四飛成(テーマ図17)










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ゴキゲン中飛車▲5八金右超急戦【▲1一龍△7二玉▲7五角②】

2009年12月17日 00時30分04秒 | ▲5八金右超急戦
遠山雄亮四段がご結婚されたそうですね。
おめでとうございます。^-^

今回は私のはまっている漫画の紹介を少し。



覇-LORD 1 (ビッグコミックス)

この漫画の著者は、北斗の拳でお馴染み武論尊。

物語の舞台は三国志です。

何が面白いかと言うと、主人公の劉備が倭人(日本人)という点です。

劉備が曹操に敗れた時に言った言葉「愚将、敗将の因、奢りが俺にもあった」
と言って泣くシーンが最も印象に残っていますね。

上のリンクから行けば、中古で1円(!)で購入できるので、皆様も読みませんか?^-^


さて、今回は基本図から▲1一龍△7二玉▲7五角△5一飛▲3一龍と進んだ
テーマ図11についての研究を乗せたいと思います。



恐らく、これが一番気になる変化だと思います。
と言うのも、二枚換えの筋が見えているからです。

果たして、二枚換えでも戦えるのか…。

**********************************************************************

テーマ図11からの指し手
△3一同金▲4三桂不成△5六飛▲3一桂成



◇駒損でも効率は良し

第1図で形勢を判断すると、駒割は飛車と金桂香の交換となっており、
損はしていますが左辺がきれいに捌けたと考えることができます。

目標となりそうだった飛車も世に出て、自陣に迫ってくる駒もありません。
何より、最も脅威だった龍がいなくなった事が大きいです。

これだけで判断しても、後手が良いと言えますね。

しかし、後手良しと言っても具体的に勝ちきるのは難しいと思います。
どの様に進めればいいのか、寄せの段階まで研究しました。

まずは一手進めます。


第1図からの指し手
△9九馬(第2図)



◇このタイミングで香を拾う重要性

△9九馬は、駒損なのに手番を渡してつまらない様ですが、
好機に▲6六角とされると香車が拾えなくなってしまいます。

香車を拾っておけば、▲6六角に△8九馬と手順に桂馬を拾えますね。

また、第1図で△2六飛は気持ちの良い転換に見えますが、
▲2七歩(A図)で困ります。

△同飛成は▲2八香で飛車が死にます。

この筋は香車を手持ちにされていると無理筋になるのでご記憶願います。



第2図以降は、いつもの通り最強 東大将棋 デラックスを相手に研究した手順を掲載します。

ここでは、①▲5七香や②▲7八銀が考えられます。

まずは、攻防に利かせて自然な①▲5七香から。


第2図からの指し手①
▲5七香△2六飛▲2八歩△5六歩▲5三角成(第3図)



◇飛車取りだが…

香車を使ってくれれば△2六飛の転換が成立します。

▲2八歩の受けは仕方ないところで、後手は△5六歩と香取りを掛けます。

対する▲5三角成が飛車取りで△2三飛は▲5七香で失敗です。

▲5三角成で困った様ですが…。


第3図からの指し手
△5七歩成▲2六馬△5六香(第4図)



◇取った香で寄せに入る

飛車取りを放置して△5七歩成がありました。

▲同金は△5一香で十分でしょう。

本譜の▲2六馬には△5六香の継ぎ足しが強烈です。


第4図からの指し手
▲4八金△9八飛▲5八歩△同と▲同金上△5七歩



◇香車の重石で上から潰す

▲4八金は最強 東大将棋 デラックスが指した手なのですが、
△同とには▲同玉や、本譜△9八飛に▲5八歩を用意したものだと思います。

しかし、▲5八歩にも△同と~△5七歩で適当な受けがありません。
第4図からの仕上げ方は…。


第5図からの指し手
▲同金上△同香成▲同金△5六香(第6図)
まで、後手勝勢。



◇超急戦における香車の威力

5七の地点で清算した後、△5六香が急所中の急所。
超急戦における香車の価値の高さを良く表した例でした。

ここまで来れば、どう指しても後手必勝でしょう。

どうやら、先手は攻めを考えると良くならないようです。

そこで、じっと②▲7八銀と受ける手を考えます。


第2図からの指し手②
▲7八銀△7四歩▲4八角(第7図)



◇角を追われると逃げ場に困る

▲7八銀は桂馬を取られるのを防いで、局面を落ち着かせる狙い。

しかし、△7四歩が好手で逃げ場に困ります。

角の利きが5七から消えると、△5七歩が痛打になってしまいます。
なので、▲6六角は△同馬~△5七歩で無理筋です。

したがって、逃げ場は▲4八角しかありません。

第7図からの指し手
△8八香▲6六角△9八飛(第8図)



◇狭い場所から物量攻め

まずは△8八香で成駒の生産を狙います。
角の利きが止まったので、▲6六角の受けが可能になりましたが、一手損ですね。
ここは△9八飛と足して、△8九香成を狙います。

▲7九金打(B図)の受けはありますが、△8九香成▲同金△6六馬▲同歩△9七龍(C図)
の様な進行で十分でしょう。



C図では、△5七歩が見えていますし、▲5七香は△6六飛として
△4五桂を狙えばいいでしょう。

さあ、そろそろゴールが見えてきましたね。


第8図からの指し手
▲7七桂△8九香成▲4六金△5一飛▲8五桂△6六馬▲同歩△5七歩(第9図)
まで、後手優勢。



◇やはり上から潰す

▲7七桂は駒損を最小限に抑えた受けで、手順に▲8五桂と跳ねて攻めと
馬取りを掛けますが、バッサリと△6六馬と切って△5七歩が痛打。

やはり、飛車や香車、桂馬の飛び道具を使って上から圧力を潰すように寄せるのが基本。

△5七歩は、避ければ△5八銀から清算して、再度△5七歩と打てます。
ここまで来れば後手優勢ですね。

以上が、▲3一龍からの二枚換え対策でした。
あとは、以前紹介した基本図から▲1一龍△7二玉▲7五角△5一飛▲2三歩を
クリアすれば超急戦は後手有利の結論が出せそうです。

次回は、▲3七銀急戦の最前線「豊島新構想」を研究を載せたいと思います。
これは、早くも先日のC級2組順位戦で遠山雄亮四段が採用していたものです。

豊島将之五段はゴキゲン中飛車で数々の新構想を見せてくれています。
今後も豊島将之五段の動向に注目です。

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今月のマイコミ新書がAmazonにもアップされましたね。
これによると、発売日は12/23の様です。

高橋道雄九段の最新の8五飛戦法は、「プロ最前線シリーズ」と表紙に書かれていますね。

ゴキゲン中飛車でもリリースされるのを期待しています。^-^

また、浅川書房からも新書が出るようです。

タイトルは「パワー中飛車で攻めつぶす本」で、著者は鈴木大介八段です。

書店に並ぶのは12/19頃らしいのですが、宣伝が遅すぎませんかね?^^;

こちらも発売が待ち遠しいです。^-^



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