ゴキ研

ゴキゲン中飛車研究ノート

定跡の基本から最前線まで詳しく紹介。

【対超速戦略】銀対抗ABC

2020年03月22日 23時30分00秒 | 超速対銀対抗
戸辺将棋教室のレギュラー講師としてお世話になっていた杉本和陽四段がご退任された。

手元の棋譜によると昨日の指導対局が18局目だった様で、多大なご指導を頂き感謝が絶えない。

出身地が一緒であったり、性格的にも私と似ているところがあるなと感じ、
とても親しみがある方で、一抹の寂しさがある。

これからもゲスト講師としてお会いする機会はあるが、
一度区切りがついたところで
研究をしては戦いを挑んだ3年弱を棋譜と共に振り返りつつ、
私の対超速戦略の考え方を紹介したいと思う。

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初手からの指し手
☗2六歩 ☖3四歩 ☗2五歩 ☖3三角 
☗7六歩(途中図)
☖4二銀 ☗4八銀 ☖5四歩 ☗6八玉 
☖5五歩 ☗3六歩 ☖5二飛 ☗3七銀
☖5三銀 ☗4六銀 ☖4四銀(第1図)



まず始めに、私は対超速には銀対抗を愛用しているのだが、その理由が途中図にある。

ノーマル振り飛車も指せる方であればここは☖4四歩で問題ないのだが、
ここではゴキゲン中飛車や角道オープン型に拘りたい場合は
☖2二飛や本譜の☖4二銀を選択する事になる。

つまり、☖4二銀型を強要されている以上、
数ある超速対策の中でも選択肢は限られるのである。

その中でも銀対抗は研究しやすく変化も広いので、
1つの変化が悪くなっても次の対策を用意しやすい。

また、持久戦になれば力戦調に指す事もできるので力が出しやすい。

このあたりに魅力を感じている。

余談であるが、本譜途中の☗4八銀では☗6八玉とされるとゴキゲン中飛車にはできない。

☖5四歩☗3三角成☖同 銀☗5三角(A図)の時に、
☖5五角には☗7七桂で受かる仕組みだ。
従って、A図では☖4四角☗同角成☖同 歩(B図)と、
4三に空間ができる関係で駒組みに苦慮する。



この場合は、☖5四歩は諦めてノーマル振り飛車にするしかない。

さて、その銀対抗は居飛車急戦に2つのテーマを抱えている。

第1図からの指し手(1)
☗7八玉 ☖6二玉 ☗6八銀(テーマ図1)

第1図からの指し手(1)
☗7八銀(テーマ図2)



テーマ図1の急戦がポピュラーな駒組みであるが、
近年は1手早く銀を繰り出すテーマ図2が主流になりつつある。

この2つの駒組みに対する振り飛車側のプランが3通りある。

プランA(万能型):テーマ図1から☖7二玉☗7七銀☖8二玉☗6六銀
プランB(速攻型):テーマ図1から☖7二玉☗7七銀☖5六歩☗同 歩☖同 飛
プランC(力戦型):テーマ図2から☖6二銀



これらについて順に説明していきたい。

プランAからの指し手
☖7二銀 ☗5八金右(第2図)



プランAは相手の駒組みに意を介さず玉を囲う指し方である。

従って、居飛車がテーマ図1と2どちらで来ようが合流する為、万能な作戦である。

☖7二金と金美濃に組む指し方もあるが、
美濃囲いを選択した第2図は作戦の岐路で、1つは☖6四歩(第3図)だ。



これは☖6三銀~☖5四銀(C図)を見せて相手の応手を限定しようという作戦だ。



☗3七桂(第4図)または☗2四歩☖同 歩☗3七桂(第5図)が指定局面となり、
ここを起点に以降の変化を研究を用意すればよい。



2つ目は☖3二金☗3七桂☖5一飛(第6図)で、昨日の指導対局ではこちらを選択した。



これは居飛車の攻めに対しカウンターを狙う振り飛車らしい指し方で、
☗9六歩☖9四歩☗2九飛☖1四歩(第7図)は想定していた局面であった。



コンピューターを使い調べると、すぐに仕掛ける順を優先的に読む傾向があり、
☗4五桂☖2二角☗2四歩☖同 歩☗同 飛☖3三桂☗同桂成☖同 角☗2九飛
☖5六歩☗同 歩☖5四桂☗5七銀左☖4六桂☗同 銀(第8図)
でやれると想定していた。



しかし、冷静に☗1六歩と受けられると☖6四歩との交換になり、
同じように進めると☖1五角が無いので最後に☗同 歩(第9図)と取れる。

以下は向かい飛車から逆襲を試みたが、☗3五歩(第10図)と攻められて痺れた。
☖同 銀と取ると☗3三角成☖同 金☗4二角で☖6四歩がマイナスに働く。



最後だからと気合を入れたのだが、さわやかに返り討ちにされてしまった。

ここでは上手くはいかなかったが、プランAは囲いの種類や駒組みの工夫により
振り飛車側が局面を選択する権利があり研究が活きやすい作戦である。

これらの書籍(リンクあり)に解説されているので参考にして頂きたい。



開始日時:2020年03月21日(土)
先手:杉本和陽四段
後手:ゴキ研管理人

▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △5四歩 ▲2五歩 △5二飛
▲4八銀 △5五歩 ▲6八玉 △3三角 ▲3六歩 △4二銀
▲3七銀 △5三銀 ▲4六銀 △4四銀 ▲7八玉 △6二玉
▲6八銀 △7二玉 ▲7七銀 △8二玉 ▲6六銀 △3二金
▲5八金右 △5一飛 ▲9六歩 △9四歩 ▲3七桂 △7二銀
▲2九飛 △1四歩 ▲1六歩 △6四歩 ▲4五桂 △2二角
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △3三桂 ▲同桂成 △同 角
▲2九飛 △5六歩 ▲同 歩 △5四桂 ▲5七銀左 △4六桂
▲同 歩 △2四歩 ▲6八金上 △2一飛 ▲3五歩 △同 歩
▲3四歩 △4二角 ▲4五桂 △3六歩 ▲3九飛 △2五歩
▲3六飛 △4五銀 ▲同 歩 △3五歩 ▲同 飛 △2四角
▲3六飛 △6五桂 ▲4八銀 △5一飛 ▲3三歩成 △2七銀
▲3四飛 △6八角成 ▲同 金 △5六飛 ▲3二と △5八金
▲4七金 △6八金 ▲同 玉 △5七金 ▲同 金 △同桂成
▲同 銀 △3六飛 ▲同 飛 △同銀成 ▲8六桂 △7一金
▲4一飛 △5一歩 ▲同飛成 △6一金打 ▲7四桂打 △同 歩
▲同 桂 △9二玉 ▲9五歩 △2八飛 ▲5八歩 △4七成銀
▲9四歩 △5八飛成 ▲7七玉 △9七歩 ▲9三銀 △同 桂
▲同歩成 △同 玉 ▲8五桂
まで111手で先手の勝ち

プランBからの指し手
☗5五歩  ☖同 銀 ☗4五銀 ☖5七飛成
☗5八金右 ☖5六銀 ☗5七金 ☖同銀成
☗6六銀  ☖6五金 ☗5七銀 ☖8八角成
☗同 玉  ☖5五角 ☗7七桂 ☖2八角成 
☗6五桂  ☖5五馬 ☗6六金 ☖4五馬 
☗5三桂不成☖5一金右☗4一桂成☖同 金(第11図)



長く進めてしまったが、実戦例のある定跡手順である為ご了承頂きたい。

以下、☗2二飛☖3二銀☗5二銀までが実戦例だが、
☖3一金(第12図)でやれると見る。



杉本和先生も研究済みで☗2二角と変化して来られた。

この辺りは私も事前研究で想定していたものの、
変化が膨大すぎて覚えきれず間違えたようだ。

この急戦は居飛車側が研究に嵌められるリスクが高く、
テーマ図2を採用して避ける傾向にある。

つまり、☖6二玉☗7七銀☖5六歩☗同 歩☖同 飛(D図)と同じように進めると、
☗5五歩☖同 銀☗4五銀(E図)で飛車が成れないのだ。



開始日時:2019年03月03日(日)
先手:杉本和陽四段
後手:ゴキ研管理人

▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △5四歩 ▲2五歩 △5二飛
▲4八銀 △5五歩 ▲6八玉 △3三角 ▲3六歩 △4二銀
▲3七銀 △5三銀 ▲4六銀 △4四銀 ▲7八玉 △6二玉
▲6八銀 △7二玉 ▲7七銀 △5六歩 ▲同 歩 △同 飛
▲5五歩 △同 銀 ▲4五銀 △5七飛成 ▲5八金右 △5六銀
▲5七金 △同銀成 ▲6六銀 △6五金 ▲5七銀 △8八角成
▲同 玉 △5五角 ▲7七桂 △2八角成 ▲6五桂 △5五馬
▲6六金 △4五馬 ▲5三桂不成△5一金右 ▲4一桂成 △同 金
▲2二角 △3九飛 ▲7八銀 △8五桂 ▲6八金打 △2九飛成
▲1一角成 △7七銀 ▲同 金 △同桂成 ▲同 玉 △8五桂
▲8六玉 △9四歩 ▲9六歩 △5六歩 ▲同 金 △4四馬
▲同 馬 △同 歩 ▲5九歩 △8八角 ▲2二飛 △5二歩
▲2一飛成 △3一金打 ▲2三龍 △9九角成 ▲7五桂 △5三香
▲6五香 △6二銀 ▲8三桂成 △同 玉 ▲6一角 △7二桂
▲7五桂
まで85手で先手の勝ち

プランCからの指し手
☗3七桂 ☖4二角(第13図)



居飛車がテーマ図2でプランBを避ければ
待ってましたとばかりにプランCのゴキ研流が発動する。

プランCの☖6二銀自体は既に実戦例があり、
2016/09/13 順位戦☗横山☖杉本昌で指されている。

狙いは☗7七銀☖5三銀上☗6六銀☖5四銀(F図)で
二枚銀には二枚銀で対抗して振り飛車側から押さえ込もうというものである。



☗3七桂で両取りを見せて☖5三銀上を防いだかに見えるが、
☖4二角(第13図)がゴキ研流のトラップだ。

2018/08/31 朝日杯☗長谷部☖戸辺戦が初出で、
当時は戸辺先生が研究を採用してくれ、そして勝利した事に興奮したことを覚えている。

この新手は将棋世界付録の新手年鑑2019年版にも取り上げられ、
研究が認められた思いがしてとてもうれしかった。



話が横道に逸れたが、第13図からは左美濃対木村美濃の戦いになる。

力戦形になるが厚みが大きく、振り飛車側からは☖5四銀~☖4五銀右や、
☖5一飛~☖3一飛と動く楽しみがある。

注意したいのが、第13図から☗5六歩(第14図)である。



☖同 歩☗4四角!☖同 歩☗4三銀(第15図)という鬼手がある。



しかし、この場合は玉形が悪く、☖8八角☗5二銀成☖同 玉☗5八飛
☖9九角成☗5六飛☖4三玉(第16図)で振り飛車が優勢である。



テーマ図1で同じ様に進めてしまうと、居飛車の玉形が良いので評価が入れ替わる。

戸辺先生との指導対局では初見で通用して天狗になり、
2度目の採用をした際にこの鬼手を食らい目玉が飛び出る思いをしたのは良い思い出だ。

以来、長くお蔵入りしていた研究手であったが、
テーマ図2の流行により復活した形だ。

実戦に初登場する前に杉本和先生に試した事があり、
玉等位取り対穴熊になった面白い棋譜があるので最後に紹介したい。

開始日時:2018年05月19日(土)
先手:杉本和陽四段
後手:ゴキ研管理人

▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲7六歩 △4二銀
▲4八銀 △5四歩 ▲6八玉 △5五歩 ▲3六歩 △5二飛
▲3七銀 △5三銀 ▲4六銀 △4四銀 ▲7八銀 △6二銀
▲3七桂 △4二角 ▲7七銀 △5三銀上 ▲7八玉 △6二玉
▲5八金右 △7二玉 ▲6六歩 △5四銀 ▲6七金 △5一金左
▲7五歩 △6二金左 ▲7六銀 △6四歩 ▲7七角 △5一飛
▲8八玉 △3一飛 ▲3八飛 △8二玉 ▲7八金 △7二金寄
▲9六歩 △7一金寄 ▲9五歩 △6一飛 ▲8六歩 △9二香
▲8五歩 △9一玉 ▲8六角 △6五歩 ▲同 歩 △同 銀
▲同 銀 △同 飛 ▲6六歩 △7五角 ▲7七角 △6二飛
▲4五桂 △8六銀 ▲5九角 △6六飛 ▲7六銀 △6七飛成
▲同 金 △6六歩 ▲6八金 △4五銀 ▲同 銀 △6四桂
▲6五銀 △5六歩 ▲同 歩 △6七金 ▲6九金 △5七歩
▲8六角 △同 角 ▲8七玉 △5八歩成 ▲8六玉 △6九と
▲6四銀 △7九と ▲6三桂 △5九角 ▲6八歩 △6五金
▲7一桂成 △同 金 ▲5三角
まで93手で先手の勝ち

【まとめ】
以上が私の銀対抗戦略であるが、プランABCの3種類をその時代の情勢に応じて使い分ける。
プランAは相手の出方に関係なく採用できる万能型の作戦でこれ1つで対応でき、この中で様々な工夫ができる。
プランBはテーマ図1、プランCはテーマ図2に対応した作戦であり、相補的な関係にある。




プランAが苦しい際には、プランBとCをセットに対応し、
プランBまたはCが苦しい際にはプランAを織り交ぜて対応する。

銀対抗ABCを研究して自分の作戦にできれば幅が広がる事間違いなしである。

これらの研究は、将棋教室を主催されている戸辺誠先生をはじめ、ゲスト棋士の諸先生、
レギュラー講師の杉本和陽先生が稚拙な研究を受け止めてくれたおかげである。

多大なご指導を賜りありがとうございました。

今後もよろしくお願い致します。

超速対銀対抗【ゴキ研流急戦封じ2.0】

2016年09月25日 01時18分00秒 | 超速対銀対抗
サボりにサボって1年9箇月ぶりの更新になる。

36協定ギリギリのラインまで働いているのでと言い訳をしておく(汗

とは言え、今年は東京ヤクルトスワローズのファンクラブに入り
隙あらば神宮球場へ足を運び充実した休日を送る事が出来た。

5/11のカープ戦ではヒーローになった山田選手が外野席へ投げた
サインボールを運良くキャッチする事が出来たのが一番の思い出だ。



今季は今のところ観戦成績が18勝18敗1分で、37戦も応燕に行っている。

小学生の時からツバメ一筋だが、それまでは数える程しか
神宮球場へ行っていなかったので優勝効果は恐ろしいw
(昨年は1試合しか行けなかった反動とも言うw)

次の最終戦で勝ち越して終わりたい。

今季のスワローズは現在4位で残念ながらBクラスが確定してしまった。

主力の相次ぐ離脱と投手陣の崩壊が響いた。

投手陣は数年がかりになるであろうがドラフトでしっかりと戦力を整えて欲しい。

個人的に贔屓にしている三輪選手には筋力アップをしてスタメンに食い込んで欲しいと願う。

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さて今回はゴキ研流の「急戦封じ2.0」を紹介したいと思う。

「急戦封じ1.0」は力強く左金を押し上げて
玉の囲いは崩さずに美濃囲いに収めるという狙いであった。

どうもこの左金が4段目に来るのが筋悪く感じる様で、
初対面の人にボロクソ言われて○そうと思った事もあるw

今回紹介する作戦も毛嫌いする人は多いだろうが、
それこそ「付入る隙」なのだ。

相手がノーマークであれば炸裂する可能性は高い。

まずは先日の社団戦で炸裂した実戦例を見て頂こう。

実戦例(1)

初手からの指し手
▲7六歩  △3四歩  ▲2六歩  △5四歩  ▲2五歩  △5二飛 
▲4八銀  △5五歩  ▲6八玉  △3三角  ▲3六歩  △4二銀 
▲3七銀  △5三銀  ▲4六銀  △4四銀  ▲7八玉  △7二銀(テーマ図)



普通は△6二玉と上がるところだが、
△7二銀と上がるのが研究手第1弾で今回のテーマだ。

この銀を上がるからにはもちろん穴熊には組めなくなるので、
持久戦への対策も必要になる。

(1)▲5八金右△6二玉▲6六歩

これには2通りの作戦があり、1つはゴキ研流超急戦で△5六歩の短期決戦。

結構この歩交換を通してくれる人は多いのでおススメだ。

2つ目は銀冠に組んで端の位を取る手法。(例)2015/2/4順位戦B級2組▲森下卓△杉本昌隆

(2)▲5八金右△6二玉▲7七角

これには△7一玉▲8八玉△9四歩▲9八香△9五歩(A図)と組む。

▲9九玉には△5六歩▲同歩△同飛▲8八銀△7六飛(B図)と進めて一局。



なお、この進行には類型があり△7二銀に替えて△8二玉(C図)
としたのが竜王戦1組▲佐藤康光△橋本崇載戦。



これは▲2四歩△同歩▲2二歩に△同角と取れず苦戦を強いられた。

つまり、▲2四飛△3二金▲2二飛成△同金▲4四角△同歩▲4三角(D図)となる。

これは△7二銀型(E図)であれば成立しない変化である。



これらの用意があればこれから述べる急戦封じが指せる。

テーマ図からの指し手
▲6八銀  △6四歩  (第1図)



▲6八銀に△6二玉と上がってしまうと定跡手順に合流してしまう。

つまり、▲7七銀△6四歩▲3七桂(F図)で▲4五銀の仕掛けを与える。



過去に解説した記事があるのでこちらを参考にして頂きたい。

研究手第2弾が△6四歩である。

これは▲7七銀に△6三銀を用意していて、
(1)▲3七桂には△5四銀が間に合うので仕掛けを封じる事が出来る。

こうなると跳ねた桂が邪魔で袖飛車の攻めも消えている。

(2)▲6六銀にも△6三銀としておけば
相手が桂馬を跳ねたタイミングで△5四銀を用意できる。

囲い合った後に機を見て△5四銀~△4五銀右と自ら動く事も出来る。

▲7七銀と進んだ将棋はリコーの強豪相手に指した経験がある。

実戦例(2)

端を受けてしまったので仕掛けを与えてしまったので、
受けないのが最善かもしれない。

受けるのであれば囲い方に工夫が必要で、
△7一玉~△7二金~△8四歩が良いと思う。

△8三金と上がれる形であれば潰れないと思う。

本来であれば手合い違いの相手にまともな将棋が指せているので
格上に使っても勝負出来ることが証明できていると思う。

これらの背景があり、既に第1図は勝負所を迎えている。

それだけの危機感を察知できるアマがどれだけいるだろうか。

全国レベルにも通った経験上、看破できる人は少ないと思う。

あとは2通りの仕掛けへの対策を用意すれば万全だ。

第1図からの指し手(1)
▲2四歩  △同 歩  ▲3七桂  △4二角(第2図)



突き捨てを入れてくるかは微妙であるが
▲3七桂に△4二角が仕上げの研究手第3弾だ。

実戦例(1)でも分かる様に、▲4五銀に△3三銀と引く手を用意している。

銀挟みが決まり次に△4四歩が入れば優勢になる。

▲4五桂も当たりにならないので、△6三銀~△5四銀で桂馬が取れる。

第2図の△4二角は従来の△6二玉▲7七銀が入っているG図では不可能であった。



つまり、次に▲6六銀で5筋の位が受からない。

△5六歩▲同歩△同飛に▲5五歩なら△3五歩で手になりそうだが、
▲4五桂とされて芳しくない様に思う。

一例として△1五角なら▲2四歩△4六飛▲同歩△3七角成▲1八飛で▲2二飛が残る。

△4二角が成立すれば▲3七桂は恐れるに足らない。

残る仕掛けはあと1つ。

第1図からの指し手(1)
▲3八飛  △6二玉  ▲3五歩  △同 歩  ▲同 銀  △5六歩  
▲4四銀  △同 角  ▲同 角  △同 歩  ▲4三角  △5七歩成 
▲5二角成 △同金右  ▲5七銀  △2七角  (第3図)



▲3八飛がこの形ではよくある仕掛け。

△6二玉に仕掛けないと△7一玉で安定してしまうので▲3五歩だが、
△同歩▲同銀にここは取らずに△5六歩を利かせるのが重要。

△3五同銀▲同飛を入れると△5六歩▲3三角成が入る恐れがある。

以下、△同桂▲同飛成に(1)△5五角は▲4三龍△4二歩▲4四角(H図)だし、
(2)△5七歩成は▲同銀(I図)が王手飛車の筋で受かっている。



従って、先に△5六歩を利かせるが強敵は▲3四銀の強攻だ。

△5七歩成に▲4三銀成が▲4四成銀を見た後の先。

ここは△6八と▲同金△4八歩(J図)と軽手を放ってみたい。



(1)▲同金は△5九飛成▲4四成銀△1五角▲4三成銀△7一玉(K図)
(2)▲同飛は△5四飛(L図)
(3)▲5二成銀△同金右▲4八金△5九銀(M図)
(4)▲5二成銀△同金右▲4八飛△5三銀(N図)




どれも勝負形になっている様に思う。

本譜の進行も二枚飛車を持たれてはいるが、
1枚は相手陣に隠居しているし馬を作れて不満無い様に思う。

以上で研究の発表を終える。

久々の更新であったが如何であろうか。

当初想定していなかった手順を確認する事ができて私も意義があった。

ちょうど野球もシーズオンオフに突入するので
また時間を作って更新したいと思う。

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超速対銀対抗【ゴキ研流急戦封じ】

2015年01月01日 02時57分04秒 | 超速対銀対抗
将棋の日という事でこの記事を書き始めている。

結局、完成は元旦を迎えてしまったw

明けましておめでとうございますw

今期も社団戦に参加し、全日程が終了した。

第25回リーグ表第5日

今期は6部の鰻チームに入れて頂き、ほぼ通しで大将を務めるという貴重な経験が出来た。
(遅刻して1戦は七将で出場した・・・。)

特に、初日に連勝した後に調子に乗って連敗したのはかなり堪えた。

その1敗がチームの1敗に繋がってしまい大いに反省した。

1局の重要性を痛感し、心構えが変わった事を実感している。

また、食事にも気を付け昼食は自前で用意して臨む様にした。

実は、遅発性フードアレルギーという検査に引っ掛かっていて、
一部の食品に対してアレルギーを持っている事がわかっている。

いわゆる、花粉症に代表される様なアレルギー症状ではなく、
遅発性と言われるように緩やかに人によっては数時間~数日後に症状が現れる。

なぜか良く分からないが、頭痛がしたり頭が働かないと言う症状に
覚えのある方は以下の検査をおススメする。

遅発性アレルギー検査

私の場合、昼食にラーメンを食べた事でアレルギー物質を摂取してしまったのがまずかった。

大事な仕事や試験などでミスが許されない状況はだれにでも訪れる。
私も次の日の仕事に影響しないように食事に気を付ける様にしている。

自分の身体の事を知っているのは大いに助けとなるはずである。

ちなみに、リンク先はアフィリエイトなどは関係なく、
私自身が実際に行った病院である。

検査料金は高いが、受けて良かったと思った為紹介した次第である。

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さて、話が脱線したがここから本題に入りたいと思う。

前回2月に更新した時のゴキゲン中飛車の状況としては、
超急戦と超速にかなり押されていた。

超急戦はまだ振り飛車が回避策を採るなど押されているが、
超速は△3二金型が廃れたものの銀対抗が生き残っている様に見える。

その銀対抗の現状としては、急戦一辺倒であったはずが
持久戦が息を吹き返してややこしい状況になっている。

詳しい事は私もまだ詳細な研究を行っていないのではっきりとは言えないが、
▲6六歩と止めずに穴熊にする作戦において▲6八金右が必須でない事がわかったのと、
▲6六歩型においても角を右辺に転換する事で袖飛車以外の仕掛けに幅が広がった事が要因だと推測している。

持久戦についてはまたの機会に触れるとして、
今回は社団戦用に用意していた急戦対策を紹介したいと思う。

正直、まだ手探りの段階なのでこの記事を見て皆様なりの結論を出してから使用して欲しい。

初手からの指し手
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △5四歩 ▲2五歩 △5二飛
▲6八玉 △5五歩 ▲4八銀 △3三角 ▲3六歩 △4二銀
▲3七銀 △5三銀 ▲4六銀 △4四銀 (基本図)
▲7八玉 △6二玉 ▲6八銀 △4二金 (テーマ図)



まずは銀対抗に組み上げた基本図。

ここから居飛車が急戦を狙う場合▲7八玉~▲6八銀と進むが、
ここで△4二金が今回の研究テーマになる。

今期社団戦にて本研究の狙い通りに進行した将棋があるので、
まずはこちらをご覧頂きたい。

最後の寄せがお粗末なのはご了承頂きたい。(苦笑)

参考棋譜リンク


先手:相手チーム大将
後手:ゴキ研管理人

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △5四歩 ▲2五歩 △5二飛
▲6八玉 △5五歩 ▲4八銀 △3三角 ▲7八玉 △6二玉
▲3六歩 △4二銀 ▲3七銀 △5三銀 ▲4六銀 △4四銀
▲6八銀 △4二金 (テーマ図と同一局面)
▲7七銀 △5三金 ▲6六銀 △5四金 (A図)
▲5八飛 △7二玉 ▲1六歩 △8二玉 ▲6八金 △7二銀
▲5六歩 △同 歩 ▲同 飛 △5五歩 ▲5八飛 △6四歩
▲9六歩 △9四歩 ▲2八飛 △5六歩 ▲3五歩 △同 歩
▲3八飛 △6五歩 ▲7五銀 △4五銀 ▲3三角成 △同 桂
▲5八歩 △3六銀 ▲4八金 △4五金 ▲7七角 △4四角
▲同 角 △同 歩 ▲4三角 △6二飛 ▲5四角成 △6六歩
▲同 銀 △3四角 ▲5五銀右 △2五角 ▲2八飛 △5五金
▲同 馬 △2七銀打 ▲3七桂 △同銀成 ▲同 馬 △2八銀不成
▲同 馬 △3四角 ▲6四銀 △3六桂 ▲3七馬 △4八桂成
▲5三金 △6四飛 ▲同 馬 △5九銀 ▲6九金 △3八飛
▲7七玉 △6五歩 ▲同 銀 △6六歩 ▲同 玉 △3六飛成
まで90手で時間切れにより後手の勝ち



A図を見れば狙いがわかるだろう。
左金で5五を支える事により急戦を封じるのが本研究の目的なのだ。

しかし、それだけであれば従来にも同じ狙いの作戦は存在する。

そこで、A図とプロの実戦でも出現しているB図を比較して欲しい。




玉側の守りの駒を温存している分、堅く囲う余地が残っているのが分かると思う。

つまり、「5五へ利きを足して急戦を封じる狙いを残しつつ玉を堅くしたい」という
両立を狙った欲張りな作戦という訳だ。

この作戦への居飛車の対応としては2つの手段が考えられる。

(1)△5四金が間に合う前に超急戦を仕掛ける。
(2)左金の不在により生じた3一の隙を端角で狙う。

順に調べて行きたい。

テーマ図からの指し手(1)
▲3七桂 △5六歩 (第1図)



△5三金を直接的に防ぐ手段としては▲3七桂がまず思い付くところだろう。

これには、△5六歩(第1図)と捌いて行くのが良いだろう。

このタイミングであれば▲4五桂の反撃も△同銀と応じて早速罠にハマる。

つまり、(1)▲同銀△8八角成▲同玉△5五角(C図)は王手飛車。
(2)▲3三角成は△同桂(D図)で後手の桂得。

いずれも失敗に終わるのだ。



また、第2図で▲5六同歩は△同飛▲7七銀△3五歩(E図)と気持ちよく攻めて行ける。



以下、▲2六飛なら△1五角▲1六飛△4六飛▲同歩△3七角成(F図)で
飛車の捕獲も見込める状況とあれば振り飛車優勢と見て良いだろう。



一番厄介なのは▲5八金右だ。

第1図からの指し手
▲5八金右 △5七歩成 ▲同銀上 △5三金 ▲5六銀 △6四金
▲5五歩 △4二角 (第2図)



▲5八金右に△3五歩は目に付くが、
▲2六飛△1五角▲1六飛△5七歩成▲同銀上(G図)の連結が良く決まらない。



この仕掛けは▲7七銀型でないとなかなか決まらない。

ここは△5七歩成として△5三金が良いと思う。

5筋を切った事により▲4五桂には△同銀で角筋が通るので
王手飛車の筋が生じるのはここでも同じ。

ただ、飛車の利きが止まったので居飛車にも▲5六銀と突っ張る手段は生じる。

好形を許すのは癪だが、△6四金▲5五歩と打たせて
△4二角(第2図)とすれば居飛車の攻めは止まる。

振り飛車の囲いが完成する前に動きたいところだが、

(1)▲4五銀左は△5五銀▲同銀△同金▲3四銀△6四角(H図)
(2)▲6八金寄△5一飛▲5八飛なら今度は5五歩を守れるが△3五歩(I図)という反撃が生じる。
以下は、▲4五銀左△3六歩▲同銀(▲4四銀は△同歩で問題ない。)△3一飛▲3五歩△5六歩(J図)




狙いすました順が続き、次に△5一飛が厳しく振り飛車が優勢となる。

かと言って、動かないのであれば一局ではあるが、
振り飛車の思惑通りの展開と言えるので作戦は成功と言えると思う。

以上により急戦策はクリアしていると考える。

次に、(2)左金の不在により生じた3一の隙を端角で狙う。

このテーマについて考えて行きたい。

テーマ図からの指し手(2)
▲9六歩  △9四歩  ▲7七銀  △5三金  ▲6六銀  △5四金
▲9七角  (第3図)



一度端の交換を入れてから銀を繰り出し△5四金を催促する。

こうして出来た3一への隙を狙って▲9七角と覗くのが居飛車の切り札だ。

なお、△6四金と出ればこの覗きは無いが、他の面で不都合が生じる。

例えば、▲3八飛△4二角▲3五歩△同歩▲同飛△3三歩▲4五飛(K図)の様な揺さぶりが生じるし、
後で△4四金と飛車に当てながら飛車先を通す様な手が狙えない。



なるべく形良く△5四金と上がりたいのだ。

ここで振り飛車には3通りの受けが考えられるが正解はどうやら1つしかない様だ。

第3図からの指し手(1)
△3二飛  ▲5八飛  △7二玉  ▲5六歩  △同 歩  ▲同 飛
△5五歩  ▲5八飛  △8二玉  ▲7九角  △5一角  ▲8八角
△3三角  ▲3八飛  △7二銀  ▲3五歩  △同 歩  ▲同 銀
△同 銀  ▲同 飛  △4四金  ▲3六飛  △3四歩  ▲9七角
(第4図)



まずは△3二飛から。

▲3八飛は角を引けば受かる仕組みだが、
飛車が5筋からいなくなった事により▲5八飛から一歩入手されるのが見た目以上に痛い。

長手数進めたが、角の動きに翻弄されるのも
△2二角では▲2四歩△同歩▲2三歩が生じるのが原因だ。

第4図は▲4一銀が受けにくい。

第一の手段△3二飛は無理筋の様だ。

第3図からの指し手(2)
△5一飛  ▲3八飛  △7二玉  ▲3五歩  △同 歩  ▲同 銀
△同 銀  ▲同 飛  △4四金  ▲3六飛  △3四歩  ▲4二銀
△5二飛  ▲3三銀不成△同 桂  ▲4二角打 △5六歩  ▲5三角上成
(第5図)



次に△5一飛を調べたい。

今度は▲3八飛と狙われたときに、
角の利きで飛車を3筋に回せない上に角の引き場が無い。

3筋で清算されて更に▲4二銀が生じて困った。

第6図は押さえ込まれて完敗だ。

第二の手段△5一飛も不発に終わった。

ここまで▲9七角の利きで大駒が釘付けにされたのが痛かった。

となると、最終手段はこれを遮断する手を考える。

第3図からの指し手(3)
△6四歩  ▲3八飛  △4二角  ▲3五歩  △同 歩  ▲同 銀
△同 銀  ▲同 飛  △3三歩  (第6図)



最後に△6四歩を考える。

玉頭に穴が空くだけに怖い手だが大丈夫。

今度は▲3八飛に△4二角と引けるのが大きい。

3筋での清算に△3三歩(第6図)で収まる。

▲2四歩△同歩▲2二歩も△5三角(L図)の切り返しがある。



第7図以下は▲3八飛なら△2七銀でも△5三角▲2八飛△2二飛でも十分だ。

また、△6四歩に▲5八飛は△7二銀として、▲5六歩に△7一玉(M図)が成立する。

以下は、▲5五歩△同銀▲同銀左△同金▲6四角△4六金▲5二飛成△同金
▲3一飛△6一銀打▲3三飛成△同桂▲4六角(N図)で捌けて一局ながら二枚飛車が大きいと思う。



以上をもって、急戦封じ△4二金は有力な超速対策になりうる事を示せたと思う。

時間が取れれば次は持久戦対策にもふれておきたいと思う。

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ゴキゲン中飛車対超速【銀対抗対居飛車急戦の現状】

2013年09月17日 15時04分34秒 | 超速対銀対抗
月日の流れは早いもので2月以来の更新になる。

その間に銀対抗の事情も大分変化が起きた。

今回はプロ将棋の定跡の変遷と、最後にひとつのアイデアを示したい。

読者の皆様も今後どう戦っていくかを自分なりに考えてもらいたいと思う。

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さて、今回は超速対銀対抗の居飛車急戦(テーマ図1)について考えて行きたい。



最近、プロの実戦で超速対銀対抗になると居飛車は急戦策を採用する事が増えた。

これは持久戦において振り飛車が互角以上の固さで待てる(▲6七金が離れる関係)事で、
居飛車が避ける様になってきたのが要因だろう。

振り飛車の対策としては金美濃、美濃、穴熊の3通りがあり、

金美濃>>>>>>>>>穴熊>美濃

と言うくらい、以前のプロ将棋では人気が偏っており、
ゴキ研でも一度記事にした事がある。

超速対銀対抗 居飛車急戦【金美濃テーマ1】

人気の秘訣はやはり5三への利きがある安心感だろうか。

木村美濃への組換えを狙う時に離れ駒が出来ないのも大きな魅力だ。

しかし、定跡が進歩し双方が最善を尽くしてきた結果、
互角とは言い難い様相を呈している。(A図)



A図は飛車の横利きが強力で仕掛けが難しい。

そこで、現在最有力視されている居飛車急戦対策を紹介する。

私も有力と思い早くから愛用してきた。

初手からの指し手
▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲7六歩 △4二銀
▲4八銀 (途中図)△5四歩 ▲6八玉 △5五歩 ▲3六歩
△5二飛 ▲3七銀 △5三銀 ▲4六銀 △4四銀 ▲7八玉
△6二玉 ▲6八銀 (テーマ図1)



居飛車が途中図までの進行により振り飛車の作戦を銀対抗に限定できるのは銀対抗の戦術的重要性で述べた通り。

初手から連続で飛車先を突くこの作戦は、相手が居飛車党・振り飛車党問わず作戦を限定出来るので、
実戦で遭遇する可能性は十分にある。

つまり、正調角換わりでは飛車先を突き越す短所に目をつぶり、
居飛車党相手では横歩取り、一手損角換わり、
振り飛車党相手では2手目△3二飛、角交換四間飛車、
ゴキゲン中飛車における菅井流や美濃+△3二金型を封じているからだ。

これを機会に良く考えておくべきだろう。

さて、本譜は居飛車が▲6八銀で急戦の態度を示してきた。

次の一手が本作戦において重要となる。

テーマ図1からの指し手(1)
△7二銀(第1図)



この△7二銀、以前は美濃囲いへ進める際に△7一玉型で
戦う意味合いであったが現在はそうではない。

ただ、第1図から直ちに▲3七桂と跳ねて来れば話は別で、△7一玉として5筋交換から△3五歩を狙える。

つまり、▲3七桂△7一玉▲7七銀なら△5六歩▲同 歩△同 飛▲5五歩△3五歩(B図)となる。



この仕掛けは常に狙い筋としてあるので必修の攻めだ。

以下は、▲6六銀△3六歩▲4五桂△1五角▲1六歩△3七角成▲同 銀△同歩成(C図)で振り飛車が優勢。

駒損でも低い陣形を保ち一方的に攻めている振り飛車が良い。



蛇足だが、▲5五歩を△同銀と取ると▲4五銀△5七飛成▲5八金右△5六歩▲7九角(D図)で失敗。



また、▲7七銀では直ちに▲4五銀と仕掛けるかもしれない。

▲3七桂△7一玉▲4五銀には△3五歩があるので覚えておくと役に立つ。

(1)▲3五同歩は△同 銀▲3六歩△1五角▲3八金△2六銀(E図)
(2)▲3四銀は△1五角▲4三銀成△5一飛▲4四成銀△3七角成▲1八飛△2六桂▲5八飛△1九馬(F図)
(3)▲4四銀は△同 角▲3五歩△5六歩▲4四角△同 歩▲5六歩△同 飛(G図)



△3五歩に替えて△1五角は▲3八金△4五銀▲1六歩(H図)で冴えないと思う。



他には、幽霊角を消す▲1六歩も考えられる。

△5六歩▲同 歩(*)△同 飛▲4五桂△同 銀▲同 銀△8八角成▲同 玉△5五角▲7七角
△2八角成▲5六銀△2九飛▲5九金右△1九飛成▲1一角成△5一香▲5五歩△6四桂(I図)で
振り飛車が良いと考える。

(*)▲4五桂は△同 銀で手順前後。



I図は銀が逃げると△5五香が歩切れで受からないし、▲5八香も△5六桂~△4八銀が厳しい。

よって、このタイミングでの▲3七桂は早計である。

少々話が脱線したが、△7二銀の本来の狙いは別にあり、
これから述べる作戦は菅井ノート 後手編でも頁数は少ないが触れられている。

最近では、長岡研究ノート 振り飛車編に詳しい研究が述べられている。



長岡研究ノート 振り飛車編

まずは、振り飛車の狙いについて述べて行きたい。

第1図からの指し手(1)
▲7七銀△6四歩▲6六銀△6三銀▲3七桂△5四銀(第2図)



第2図は既に居飛車が面白くない。

と言っても、ピンと来ないと思うが、4五の地点の利きを確認して欲しい。
振り飛車は2枚の銀により2つの利きがある為、居飛車の攻めの起点である
▲4五銀と▲4五桂を防いでいるのだ。

こうなると▲6六銀も負担になり、△6五歩でいつでも追い返されてしまう。

この後の進行は以下の棋譜を参考にして頂きたい。

実戦例も少ないので、私の将棋も掲載させて頂いた。

失敗例も含めて参考にして頂けると幸いだ。

参考棋譜1

参考棋譜2

参考棋譜3

2012/10/02 第71期順位戦C級1組05回戦 ▲富岡英作△近藤正和

また、前回も述べたが▲3七桂を見届けてから△5四銀とご記憶願いたい。

つまり、第1図から▲7七銀△6四歩▲6六銀△6三銀▲3八飛△5四銀だと、
▲3五歩△同 歩▲同 銀△6五歩▲7七銀△3五銀▲同 飛(J図)の時に、
△5六歩からの捌きがないのだ。



このあたりは前回の記事と以下の棋譜を参考にして頂きたい。

2011/10/11第24期竜王戦6組昇級者決定戦 ▲船江恒平△伊藤真吾

普通に組むと△5四銀で攻めを封じられてしまうと言う事は、
△5四銀とされる前に仕掛ける必要がある。

「最短の仕掛けで攻め潰せない様では銀対抗に急戦は通用しませんよ。」

これは、超速に対する振り飛車の挑戦状なのだ。

第1図からの指し手(2)
▲7七銀△6四歩▲3七桂△6三銀▲4五銀(第3図)



実は、初手から第3図までの進行はプロの将棋でそのまま現れているのだ。

第71期B級1組順位戦▲松尾歩△久保利明

その後、度々実戦に登場しており、現在超速対銀対抗で最もホットな局面である。

第39期棋王戦予選▲堀口一史座△佐藤和俊
第72期B級1組順位戦▲松尾歩△広瀬章人
第72期C級1組順位戦▲小林裕士△近藤正和(参考棋譜なし、名人戦棋譜速報より閲覧可能)

このあたりの解説は、長岡研究ノート 振り飛車編で述べられているのでそちらに譲りたい。

要約すると、第3図から△1五角▲3八金△4五銀▲同 桂△7二玉(K図)と、
▲5三銀を防ぐために一度自陣に手を戻さなければならないのが不満と見られている。



その為、第72期C級1組順位戦▲小林裕士△近藤正和の様に▲4五銀に△3五歩でどうかが
現在の命題となっている様だ。

既に、第2の手を模索している状況で閉塞感が出てきているように思う。

そこで、私が考えるアイデアをひとつ提示してみたい。

テーマ図1からの指し手(2)
△7二玉▲7七銀△6二銀(第4図)



△7二玉~△6二銀が工夫手順。

と言っても、何の事も無いただの早囲いの様だが、
例えば▲5八金右なら△5三銀上▲7七銀△5四銀(L図)
というルートで△5四銀型が完成する仕組みだ。



よって、これを防ぐには

(1)▲3七桂として、△5三銀上に▲4五桂の両取りを用意する。
(2)▲6六銀として、△5三銀上に▲5五銀左の一歩得を用意する。

この2パターンしかない。

順に調べて行きたい。

第4図からの指し手(1)
▲3七桂△5六歩▲同 歩△同 飛▲4五桂△1五角
▲2四歩△4六飛▲同 歩△3七角成▲1八飛△4六馬(第5図)



▲3七桂には桂頭を狙って5筋の歩を交換する。

次に△3五歩が来ると忙しい先手は▲4五桂と角取りに跳ねるが、
△1五角の幽霊角で勝負する。

ここで△4二角と緩めると▲2四歩~▲2二歩の仕掛けで参る。

先手としても、次に△5二飛と引かれると▲2四歩~▲2二歩の仕掛けも無くなるので、
▲2四歩と突いて催促するが、飛車と銀を刺し違えて馬を作った第5図は
低い陣形を保った後手が指しやすい。

ただし、この場合は玉の横っ腹を開けると▲2三歩成~▲2二飛があるので注意するべきだ。

また、△1五角に▲1六歩は、△4六飛▲1五歩△4七飛成▲4八飛△4五龍
▲同 飛△同 銀(M図)と進める。



以下は、(1)▲6八銀には△4六飛、(2)▲5八金右には△5七歩、
(3)▲5九金右には△5七桂の要領で攻めて振り飛車が良いと思う。

第4図からの指し手(2)
▲6六銀△6四歩▲3七桂△6三銀▲4五銀(第6図)



第3図と第6図を比較して頂きたい。



第6図は▲6六銀と△7二玉の交換が入っている事がご理解頂けるだろうか。

この2手の交換では振り飛車に価値が高いだろうと言う主張なのだ。

先程の第3図からの進行では途中で△7二玉が必要となり面白くなかった。

予め△7二玉が入っていればその分、他の一手が指せる訳だ。

ただし、▲6六銀の価値が上回れば意味が無いので検証して行きたいと思う。

第6図からの指し手
△1五角▲3八金△4五銀▲同 桂(途中図)△3七銀▲1八飛
△3八銀成▲同 飛△4八金▲1八飛△4四歩▲5三銀
△4五歩▲5二銀不成△同金右(第7図)



長く進めたが、変化について細かく調べて行きたい。

まず、△4五銀に▲1六歩は△4二角▲4五桂△4四銀▲4六歩
△5六歩▲同 歩△同 飛(N図)と捌いてどうか。



負担になりそうな歩を交換できてまずまずな分かれだと思う。

途中図まで進めてK図との比較で△7二玉が既に入っている効果が
実感できるのではないだろうか。



途中図はここで手抜いて△3七銀を利かせる事が出来る。

▲3七同金は△同角成が4六~5五に利いてくるので、
▲1八飛△5四金(O図)で△6五歩~△4五金と好調に進められる。



つまり、▲4六歩は無効であり、▲5五銀~▲5三銀の様な乱暴も出来ない。

本譜に戻り、金銀交換から△4八金が大事な一手。

▲1八飛を限定する事で△3七角成を権利としており、
▲1六歩と突かれた後からでは手抜かれる可能性を排除している。

そして、△4四歩で桂取りを見せて▲5三銀を催促し、
清算した第7図は飛車と金桂交換の勘定。

最終手は△5二同金右が良く、△同金左では▲3一飛から桂香を拾われて苦戦。
△同銀も後で▲5五銀~▲6四銀を許す事になる。

第7図以下は、▲5五銀△3七角成▲6四銀△同銀▲4四角△5三銀
▲1一角成△2六桂▲6六香△6二銀打▲同香成△同金(P図)
が一例で振り飛車が十分だろう。



玉周辺の金銀の枚数が形勢に影響している様に思う。

以上が銀対抗対居飛車急戦におけるアイデアである。

プロの実戦に出現していない事もあり、私もなかなかの高勝率を挙げているのでぜひ試して頂きたい。

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超速対銀対抗【ゴキ研流△7二銀型超急戦】

2013年02月11日 17時09分47秒 | 超速対銀対抗
ゴキゲン中飛車と超速の戦いが2009/12/25から始まり3年の歳月が過ぎた。

現在、振り飛車の有力手段として生き残っているのは以下の3通りと言える。

(1)美濃+△3二金型
(2)菅井流
(3)銀対抗

最近の動向を見ると関東と関西でどれが有力か見解が違うのかなと感じている。

(1)美濃+△3二金型

20120705中田久保
20120828高見遠山
20120901郷田久保
20121016中座西尾
20121101広瀬久保
20121126渡辺羽生
20121127屋敷広瀬
20130207郷田久保
20130209渡辺菅井

(2)菅井流

20120809島戸辺
20120910佐藤天彦佐藤康光
20120919森内佐藤康光
20121122羽生佐藤康光
20121214谷川佐藤康光

(3)銀対抗

20120603深浦戸辺(居飛車▲6六歩型)
20120607長沼広瀬(居飛車▲6六歩型)
20120619八代阪口(居飛車▲6六歩型)
20120619藤原横山(居飛車急戦対△7二銀)
20120717村中永瀬(居飛車急戦対金美濃)
20120730佐藤秀司佐藤和俊(居飛車急戦対金美濃)
20120807小林高崎(居飛車6筋位取り)
20120809中田広瀬(居飛車急戦対金美濃)
20120809木村鈴木(居飛車急戦対金美濃)
20120918田中横山(居飛車急戦対金美濃)
20120928長岡阪口(居飛車急戦対穴熊)
20121002富岡近藤(居飛車急戦対△7二銀)
20121002北島福崎(居飛車▲6六歩型)
20121007木村永瀬(居飛車急戦対金美濃)
20121012深浦羽生(居飛車阿部流端角)
20121018松尾久保(居飛車急戦対△7二銀)
20121101飯塚阿久津(居飛車角道オープン穴熊)
20121107田村戸辺(居飛車急戦対穴熊)
20121116屋敷佐々木(居飛車▲6六歩型)
20121204佐藤広瀬(居飛車阿部流端角)
20121217羽生広瀬(居飛車急戦対金美濃)
20121218永瀬阪口(居飛車▲6六歩型)
20121221佐藤秀司佐々木(居飛車急戦対金美濃)
20130115片上高崎(居飛車急戦対金美濃)
20130128谷川戸辺(居飛車急戦対金美濃)

(敬称略)

以上は手元の棋譜から2012年6月以降で抜粋した。

個人的に有力と感じていない(1)、(2)は
漏れがあるかもしれないがご了承頂きたい。

(1)美濃+△3二金型は久保利明九段の採用が目立つ。

菅井竜也五段も昨日の朝日杯決勝で採用した様に、
久保菅井の関西ラインで研究が進められているのかもしれない。

ただし、結果は連敗中で芳しくない。

(2)菅井流は佐藤康光王将の孤軍奮闘状態だ。

一時は銀対抗の採用が多かったのだが、
独自性を求めて菅井流を指しているのかもしれない。

しかし、昨年12月を最後に指されていない様だ。

(3)銀対抗は優秀性が認められて
採用が多くなっているのが一目瞭然。

関西でも阪口悟五段が持久戦において独自の
阪口流を用いて星を稼いでいるが、
関東の棋士が多く採用しているのがわかる。

この流れを見ると、久保、菅井両氏が別の振り飛車に活路を見出し、
公式戦ではほとんど銀対抗になる可能性もある様に感じている。

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さて、今回は以前にゴキゲン中飛車対超速【△4四銀型:現代の定跡へリンクする新構想】で紹介した
振り飛車の超急戦について考えて行きたい。

初手からの指し手
▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲7六歩 △4二銀
▲4八銀 △5四歩 ▲6八玉 △5五歩 ▲3六歩 △5二飛
▲3七銀 △5三銀 ▲4六銀 △4四銀 ▲7八玉 △6二玉
▲5八金右△7二銀(第1図)



前述の記事でも述べたが、銀対抗への居飛車作戦は以下の3つ。

(1)▲6八銀~▲7七銀の急戦。
(2)▲6六歩~▲6七金とする穴熊や左美濃を主体とする持久戦。
(3)▲7七角~▲6八金寄とする角道を通したままの穴熊。

第1図の△7二銀がゴキ研流。

(1)の急戦には右銀を繰り出して戦うのが有力と認識している。



(第1図から▲6八銀△6四歩▲7七銀△6三銀で参考1図)

この戦いのポイントは居飛車が▲3八飛で来るか▲3七桂で来るかを見極めるのが重要。

早めに△5四銀と出ると▲3八飛と寄られた時に困る。

右銀を保留しておけば、参考1図から▲6六銀△7二玉▲3八飛△5一金左▲3五歩△同歩▲同銀
△6五歩▲7七銀△3五銀▲同飛△5六歩(A図)で捌けるのだ。



途中の△6五歩は戸辺誠六段に教わった時に感想戦で指摘して頂いた手で大変参考になった。

また、▲3七桂なら△5四銀と繰り出して居飛車の仕掛けをシャットアウトできる。

(3)の角道を閉じない持久戦は、△7一玉~△9四歩~△9五歩で十分。

▲5八飛と回って仕掛けを封じる作戦が登場したが、
2012/11/01▲飯塚△阿久津戦が参考になる。

この作戦に対しては振り飛車がそう悪くない。

そして、(2)▲6六歩に対する超急戦がこの作戦の主眼。

この作戦が有力であれば銀対抗の可能性が広がる。

居飛車党の棋士に寄って集って研究されているゴキゲン中飛車にとって、
これが有力であれば最低限狭さから脱却できる。

上手く行けば▲6六歩からの持久戦を滅ぼす可能性もある。

果たして、この作戦は桶狭間の戦いにおいて今川勢の大群(居飛車党)を相手に
奇襲を掛けて今川義元(超速)を討ち果たした織田信長になれるか。

第1図からの指し手
▲6六歩 △5六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲5五歩 △同 銀(第2図)



▲6六歩の小休止には直ちに△5六歩と攻めかかる。

▲5五歩で退路は断たれるが構わず△5五同銀と攻めを継続する。

さて、ここで本題に入る前に例の如く脱線しようと思う。

第2図からの指し手(1)
▲4五銀 △6六飛 ▲3四銀 △7六飛 ▲6七玉 △6六飛
▲7八玉 △2二角 ▲2四歩 △7六飛 ▲7七歩 △3六飛
▲2三歩成△4四角(第3図)



▲4五銀の変化球も案外厄介。

飛車を取られる訳にはいかない△6六飛も
次に△7六飛~△7四飛で銀の立ち往生を狙っている。

ここで▲6六同角△同銀は銀と玉の位置関係が悪く
角で両取りが掛かるラインに入りやはり銀が立ち往生する。

従って、▲3四銀は必然。

ここで△7六飛に▲6七玉が強い受けで、△6六飛に再度▲7八玉と戻って
連続王手の千日手反則を狙っている。

▲6八玉と避ける手もあるが、先手を取れないので厳しさに欠ける。

△2二角▲2四歩△6六銀▲6七歩△5五角▲1八飛△5七歩▲5九金引
△7四飛▲6六角△同 角▲同 歩△3四飛(B図)で捌けている振り飛車が面白い。



また、▲7七歩も消極的で△3六飛▲3三銀成△3九飛成▲2六飛△3三桂(C図)で十分。



本譜△2二角は手を稼ぐ手筋で、▲2三銀成は△4四角で二の矢が無い。

しかし、▲2三銀不成は一考の余地があり、△4四角▲3四銀成△2二角
▲2四歩△7六飛▲7七歩△3六飛▲2三歩成(D図)と、
本譜とした手順と同様に進めると△4四角と出れない。



ここは、▲2三銀不成△4四角▲3四銀成△2七歩(*)▲同飛△7六飛▲7七歩
△3六飛▲4四成銀△3八飛成▲5三角△5一玉▲3七飛△2九龍▲4三成銀
△6六桂(E図)で怖いながらも振り飛車が良いだろう。



以下、▲6八玉△5八桂成▲同金△5七歩▲4二成銀△同金▲3一飛成△4一歩
▲4二角成△6二玉(F図)で逃れ。

あとは、▲5四桂△7一玉▲5三馬△8二玉▲5七金△5六歩(G図)の要領で良い。



蛇足だが、(*)のところで▲4四成銀は△2八歩成▲6六角△同銀
▲5三角△5一玉(H図)で攻めが息切れしている。



よって、本譜は▲2四歩としたが、途中の△7六飛に▲6七玉は
△3六飛で玉が露出して振り飛車にはありがたい。

▲2三歩成に△4四角と逃がして第3図。

第3図からの指し手
▲4三銀成△2七歩 ▲同 飛 △3八飛成▲2四飛 △3五角
▲2五飛 △6四銀 ▲3五飛 △同 龍 ▲4四角 △同 龍
▲同成銀 △7一玉(第4図)



さて、前譜▲2三歩成のところで△2七歩とした場合はどうなっただろうか。

▲同 飛△3八飛成▲2四飛△4四角として、▲4三銀成なら△3五角で本譜に合流するが、
ここは飛車で銀に紐が付いているので▲4三銀成とはしてくれないだろう。

第3図の局面は銀に当たっているので▲4三銀成が必然となっているのをご確認頂きたい。

ここで△2七歩と細かい利かしを入れて飛車を八段目に成る。

こうする事で▲2四飛△3五角とした時に△5七角成の狙いが残るのだ。

なお、単に▲2五飛なら角が出れない様だが△3四龍で龍と成銀に当たるので失敗する。

さて、▲2四飛△3五角▲2五飛の局面は、▲3五飛から王手龍が掛かるので注意が必要。

ここは△6四銀の活用で▲5三角を防いでおく。

以下、第4図の△7一玉がとても重要な一手。

これが入っているのといないのでは天地の差で、例えば△3九飛では▲2二飛(王手)
△5二金左▲5三歩△同銀▲同成銀△同玉▲2一飛成(I図)で玉を露出させながら
好調な攻めが続いてしまう。



第4図を見てもらえばわかる様に、王手でなければ▲2二飛は△3一金で飛車が憤死する。

よって、▲2二歩の様な攻めなら△3九飛▲2一歩成△2九飛成▲6七歩△5七歩▲6八金寄
△5六桂▲5七金△4八桂成▲5三桂△同銀▲同成銀△5六歩(J図)が一例で振り飛車勝ち。

J図は金が逃げると△6九龍から詰むのだ。



以上により、▲4五銀の変化球は振り飛車が指せると私は考える。


第2図からの指し手(2)
▲6七金 △6六飛 ▲同 金 △同 銀(第5図)



▲6七金で飛車は詰んだ。

しかし、△6六飛が強い手で▲5五銀なら△同 角▲4六銀△6七飛成▲同 玉△8八角成に、

(1)▲8八同銀△4九角(K図)
(2)▲8八同飛△4九角(L図)

いずれも居飛車が困っている。



K図は5八に合駒をしても△2七銀で飛車を召し取れるので不安定な居飛車陣は崩壊するし、
L図も角を合駒に使うと振り飛車陣が安泰になるので△2七角成くらいで十分となる。

本譜は第5図の局面が詰めろ。

飛車金交換ながら居飛車は歩切れで指し手を

(1)▲6八金(テーマ図1)
(2)▲6八銀(テーマ図2)
(3)▲6八飛(テーマ図3)

以上の3通りに限定しているので、ここを起点に研究がしやすい意味がある。



今回はテーマ図1について考えてみたい。

テーマ図1からの指し手(1)
△5六歩 ▲5四飛 △5七歩成▲同 銀 △5三歩(第6図)



ここで一度、△7二銀型について要点をまとめておきたい。

△7二銀型は従来の定跡で生じていた▲5三飛を消している反面、
新たに角のラインという弱点が生じている。

つまり、角交換になったら△7一玉と入らない限り
常に▲2六角を心配する必要がある点は心に留めておいて頂きたい。

さて、△5六歩の垂らしに飛車の縦利きで攻防に利かす▲5四飛を考える。

一見困った様だが、△5七歩成の成り捨てから△5三歩とバックさせる手筋で受ける。

これは前述の角のラインを未然に防ぎ一石二鳥の好手だ。

第6図からの指し手
▲5六飛 △5七銀成▲同 飛△8八角成▲同 銀 △3九角
▲5八飛引△4九銀(第7図)



第6図では▲3四飛も見えるが△5七銀成が当然ながら厳しい一手。

▲5七同金は△8八角成がどちらで取っても王手飛車。

しかし、▲3三飛成も一度王手で△6八成銀とボロッと金を一枚取られてしまう。

いずれの変化も鉄壁の振り飛車が優勢である。

よって、▲5六飛だが△5七銀成が次に王手になるので取る一手に限定している。

ここで▲5七同金には△8八角成▲同玉(銀では王手飛車)△4五銀▲6六飛△5五角
▲3七角△同角成▲同 桂△5五角▲2六角△3五歩▲7七桂△3六銀▲6五飛△3七銀不成
▲5五飛△2八銀成(M図)で振り飛車が指せる。



以下、▲5四歩△同歩▲3五飛には△4四金と先手を取れば▲3二角の様な強襲もない。

以上により、▲5四飛と打つ変化は振り飛車が良いと考える。

テーマ図1からの指し手(2)
△5六歩 ▲6五飛 △5七銀成▲同 銀 △8八角成▲同 銀
△3九角 ▲3八飛 △5七角成▲同 金 △同歩成 ▲7九銀
△5四金(第8図)



次に、△5六歩に▲6五飛と銀に当てつつ自陣の受けに利かせる手を考える。

ここは一度△5七銀成と成り捨て、角交換から△3九角~△5七角成と攻める。

途中、△3九角のタイミングで▲2六角を利かせるのは、
△3五歩▲3八飛△5七角成▲同 金△同歩成(N図)で
次に△2七金も見えて▲7九銀とやり辛い。



△5四金と飛車を追った第8図。

この手で▲2六角の脅威が軽減して自陣が一気に引き締まる。

金駒6枚を占有して優勢は間違いないのであと一息だ。

第8図からの指し手(1)
▲6九飛 △5八金 ▲3九飛寄△4七と ▲2六角 △4四歩
▲2八飛 △4八銀 ▲同 角 △同 金 ▲6九飛 △5八金
▲6七飛 △5六角 ▲6八銀打△5七と ▲7七角 △6八金
▲同 銀 △6七角成▲同 銀 △6九銀 (第9図)



▲6九飛には露骨に飛車を取りに行く手が厳しい。

重たい攻めとは反面確実でもある。

途中、気を付けるべきは▲2六角のラインで、△4七となら角のラインに入らない。

飛車を自陣に引き付けるのは居飛車にとって危険である事が分かった。

次は横に逃がす手を考える。

第8図からの指し手(2)
▲8五飛 △6七銀 ▲8八玉 △6八と ▲同 飛 △同銀不成
▲同 銀 △2八飛 ▲7七角 △6七金 ▲8六角打△7七金 
▲同 角 △6六角 ▲7八金 △7七角成▲同 銀 △2九飛成(第10図)



▲8五飛には一度△6七銀で応手を伺う。

△6七銀に▲7七玉は、△8四金▲8六飛△9五金▲8八玉△8六金▲同 歩
△2七飛(O図)が次に△2九飛成と△4七飛成を見て厳しい。



よって、▲8八玉だが△6八とと追撃の手を緩めない。

▲6八同銀はもちろん△7八金なので▲6八同飛しかない為、と金と銀の犠牲で飛車を入手できる。

続く△2八飛から攻め立てて第10図は一方的な攻めが見込める振り飛車が優勢だ。

香車を入手すれば、△8四香▲7五飛△7四歩▲同飛△6四金の様な手も狙える。

今回の研究は以上とする。

△7二玉型では最も脅威となっていた▲6八金が、ゴキ研流△7二銀型では戦える事が分かった。

テーマ図2と3については次の機会に考えて行きたいと思う。

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