ゴキ研

ゴキゲン中飛車研究ノート

定跡の基本から最前線まで詳しく紹介。

ゴキゲン中飛車▲7八金型【△3三角~▲3五馬①】

2010年01月10日 21時24分45秒 | ▲7八金型
今日の龍馬伝も面白かったですね。^-^

前回の「どうして目糞は目尻じゃなくて目頭からでるのか」が面白く、未だに耳に残っています。

坂本龍馬もついに江戸に行く事になりましたね。
次回は偽手形で江戸に行く様で、どうなるのか今から楽しみです。^-^

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前回に引き続きゴキゲン中飛車vs▲7八金型の将棋を取り上げます。

こちらでは先手の「龍馬」に活躍されないように気を付けたいですね。^^;

以前にも述べましたが、この将棋は数あるゴキゲン中飛車対策の中でも、
最も定跡化の難しい戦型です。

従って、プロの実戦例を参考に進めていきますので、独自の研究の部分は
少なくなりますがご了承下さい。

今回は、以前示したテーマ図14をまとめていきたいと思います。

テーマ図13と前後してしまいますが、ご了承下さい。



テーマ図14の実戦例は4局ありますが、今回は古い順に2局を取り上げます。

まずは、第1号局の棋譜から見ていきましょう。

第80期棋聖戦挑戦者決定トーナメント1回戦 木村一基八段vs森内俊之九段です。

木村一基八段はここを制して、そのままの勢いで羽生善治棋聖に挑戦しました。

テーマ図14からの指し手①
△5四飛▲4六馬△4四歩▲3六歩△4五歩▲3七馬(第1図)



◇狙いは右辺で馬を安定

まず△5四飛は次に△2四飛を狙っているので、▲4六馬と引いて牽制します。

後手もこのままでは駒組みが進まないので、△4四歩~△4五歩と馬を押し込みます。

こうして先手は馬を3七の地点で安定させました。

持久戦になれば、馬が美濃囲いのコビン攻めに利いてくるのと、
右銀を中央に活用しやすいと言うのが主張です。


第1図からの指し手
△5六歩▲同歩△同飛▲5七銀右(第2図)



◇飛車先を軽く

後手は5筋の歩交換を挑みます。

1歩でも多く持てば、手詰まり模様の持久戦になっても動きやすいと言う訳です。

先手は右銀を繰り出して、押さえ込みに入ります。

5筋周辺の勢力争いという構図になってきたのがわかると思います。


第2図からの指し手①
△5四飛▲5五歩△2四飛▲7九玉(第3図)



◇1号局は△5四飛

1号局は△5四飛と浮きました。

▲5五歩△2四飛と手順に飛車を旋回したものの、5筋の勢力は先手にあると言えます。

第3図となると、馬が2筋の守りに良く利いており、
早くも後手は動き方が難しい将棋になっていると言えます。


第3図からの指し手
△9五歩▲同歩△9七歩▲同香△9六歩▲同香△7四角▲7七金(第4図)



◇千駄ヶ谷の受け師

後手はこのままではジリ貧なので、端に活路を求めて
2枚の持ち歩を投入して香取りに角を打ちました。

しかし、▲7七金がそれを上回る好守で、△9六角は▲8六金(A図)で角が死にます。



流石に歩2枚を渡して角香交換になっては戦えません。

千駄ヶ谷の受け師らしい攻め駒を責める受けです。


第4図からの指し手
△2六歩▲5四歩△9六角▲5三歩成△8四飛▲8六歩(第5図)



◇5三のと金に負けはなし

△2六歩は、馬で取ってくれれば、△同飛~△4四角~△5五角の狙いですが、
このタイミングで▲5四歩の突き出しが好手。

△同飛と取っては飛車の働きが悪くなります。

△9六角と香を取りますが、5三にと金を作られて2枚の美濃では粘りきれません。

△8四飛にも落ち着いて▲8六歩で受けきっています。
ここを▲8六金では△同飛▲同歩△7八金の詰みなので気を付けましょう。(笑)

どうやら△5四飛と引くのは先手に分があるようです。

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次は第2号局。

第35期棋王戦挑戦者決定トーナメント木村一基八段vs杉本昌隆七段の一戦。

杉本昌隆七段はこの一戦を制して勢いを付け、ベスト4に上り詰めました。

第2図の局面で早速、杉本昌隆七段が工夫を見せてくれました。




再掲第2図からの指し手②
△5一飛▲5五歩△5四歩(第6図)



◇いきなり突っ掛ける!!

第1号局の△5四飛は、先手に自然に指されて作戦負けだったので、
こちらは△5一飛。

第1号局と同様に▲5五歩から厚みを築きに行きますが、
いきなりの△5四歩がなんと取れない。(!)

つまり、▲5四同歩△6四角(B図)で馬を消されてしまいます。

以下、▲6四同馬△同歩▲5三角には△5五角(C図)がぴったり。

いきなり先手の思惑は外れてしまいます。




第6図からの指し手
▲6五歩△5五歩▲6六銀△4三金(第7図)



◇5筋の位を奪還

▲6五歩は前述の△6四角を消した手。

後手は△5五歩と5筋の奪回と1歩得に成功します。

後手の△4三金は、すぐに5筋を守ると言うよりは、中央のバランスを取った手。

第7図で▲5五銀は△2六角(D図)があるのですぐに守る必要は無いのです。



第7図からの指し手
▲5八飛△2六歩▲7九玉△4二銀▲6七銀△2一飛▲2八歩△5四金▲7七桂
△4四角(第8図)



◇中央は安泰

▲5八飛△2六歩に▲5五銀は、△2七歩成▲同馬△5五飛!▲同飛△6六角
▲5八飛△9九角成▲7七桂△6六香(E図)という感じで進行するでしょう。

E図は飛車と銀2枚の二枚換えが確実で、玉型も大差になってしまいます。

また、△5四金に対し▲5五銀は、△同金▲同飛(▲同馬は△2七歩成)
△4四角(F図)で後手良しです。



第8図となれば、歩切れの先手は動きようがありません。

以下は、杉本昌隆七段の豪快な決め手も出て、後手が自陣も無傷のまま勝ちました。

第2図は現状では後手有利となっている模様です。

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次回は第3号局のNHK杯テレビ将棋トーナメント2回戦 森内俊之九段vs豊島将之五段と、
第4号局の朝日杯将棋オープン本戦 木村一基八段vs佐藤和俊五段を取り上げます。


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ゴキゲン中飛車▲7八金型【基礎知識】

2010年01月05日 21時39分16秒 | ▲7八金型
新年明けましておめでとうございます。^-^

今年もゴキ研をどうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、おかげ様でゴキ研もようやく開設100日が経ちました。^-^

まだ開設3ケ月ながら、相互リンクパートナーが2件見つかり、
上々のスタートが切れたと思います。

今年はもっと記事を書いて、一通りの対策を網羅したいです。^-^

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今回は予告通り、ゴキゲン中飛車vs▲7八金型の将棋を取り上げたと思います。

この戦型自体は結構昔からありましたが、玉の固さを重視する風潮から
あまり指されなくなっていました。

しかし、現在は玉を深く囲う手法が見出され、ゴキゲン中飛車への
有力な対策となっています。

なお、▲7八金型は数あるゴキゲン中飛車対策の中でも、
最も定跡化が難しいとされています。

必然と前例を辿る事が多くなると思いますが、ご了承下さい。


初手からの指し手
▲7六歩△3四歩▲2六歩△5四歩▲2五歩△5二飛▲7八金(基本図)



◇あらかじめ紐を付ける▲7八金

基本図の▲7八金がこの戦型の出発点。

意味は、次に△5五歩と位を取られた時に▲2四歩△同歩▲同飛の時に、
△5六歩▲同歩△8八角成▲同銀△3三角(参考図1)が無効という事です。



基本図からは2筋を放棄して①△6二玉と、②△5五歩▲2四歩△同歩▲同飛
△5六歩▲同歩△同飛の捌き合いがあります。

個人的には、②が分かりやすくておススメですが、①の勝率が高い事は見逃せません。

今回は、私の勉強も兼ねて①を研究する事にしました。

さて、まず①△6二玉を指すにあたって必修の受けがあるのでそちらを研究しましょう。


基本図から△6二玉には▲2四歩△同歩▲同飛が気になりますね。

△8八角成▲同銀△2二飛(A図)が升田式石田流から応用した受け。

飛車交換はまずいので、▲2三歩と打つ一手ですが、△5二飛(B図)が正しい逃げ場所。



升田式石田流では、△1二飛と逃げますが、ここではNG。
▲2二角と打たれてどう応じても受け切れません。

A図以下、△3二金▲3一角成△同金▲2二銀△5五角▲3一銀不成△3三角打。(参考図2)

升田式石田流では▲8八銀・▲7八玉型なので次の△8八角成が厳しいですが、
(参考図3・便宜上先後逆)この場合は、▲8八銀・▲7八金型なので通用しません。

下図を良く見比べて下さい。



なお、升田式石田流の受け方は今月の将棋世界 2010年 2月号久保利明棋王の講座に
詳しく書かれていました。
そちらを参考にすると良いでしょう。

B図でも▲2二角の強襲は気になりますね。

以下、△同銀▲同歩成△3三角▲2八飛△2二角▲2三飛成(C図)まで一本道。

△5二飛と逃げているので、▲2二同歩成が当たりになっていませんね。
最後の▲2三飛成では歩切れなので▲2四歩が打てないた為仕方ないでしょう。



ここまでで後手良しと結論付けるのは尚早で、C図は△指す手が難しい
(△1四角は▲3四竜△4七角成▲4三竜など)のですが、
ここは△7二玉と寄ってしまいましょう。

当然▲5三銀と打って来ますが、△8八角成(D図)と勝負。



まず、▲8八同金は△5三飛▲2一飛成△5一飛(E図)で受けになっています。

以下、▲5三桂△4二金▲2二竜△5二金右▲6一角△8二玉▲5二角成△同飛(F図)。



次に△4四角が見えているので▲6一桂成と勝負しますが、△4四角▲2一竜
△7二銀▲5一成桂△8八角成▲5二成桂△同金▲3一飛△6二銀▲6一金
△5六桂▲同歩△5七銀(G図)でどうでしょうか。

こうなれば先手は受け切れないでしょう。



戻って、E図で▲7八金と手を戻すのは△5二金左(H図)で十分です。



なので、D図で▲5二銀不成と変化するのも考えられます。

以下、△7八馬▲6一銀不成△同玉▲2一龍△3一金打▲1一龍△7七角(I図)
▲同桂△同馬▲4八玉△1一馬▲5三桂△5二玉▲4一桂成△同金▲6六香
△6二銀打(J図)

長手数進めてしまいましたが、I図までは自然な進行でしょう。

△3一金打で先手を取って受け、△7七角から手順に龍を抜きます。
ただし、こちらは角を犠牲にしているので、駒割は香損。

こちらの主張は、馬と一歩得。
自陣には飛車を打ち込まれるスペースが少ないという事です。

なので、続く▲5三桂の受け方には注意が必要です。

△7一玉は▲6一角。△6二玉は▲6一飛で危険です。

ここは玉自ら桂馬を取りに行く△5二玉が正解。
▲6一角は△5三玉で失敗です。

▲6六香も注意が必要です。

次に▲6三香成~▲6一飛の十字飛車を狙っているからです。

なので、ここは惜しまず銀を投入しましょう。

J図になれば、駒損でもこちらだけ攻めに専念できる形で後手優勢です。



これで飛車先を無防備にしても安心ですね。^-^

それでは、本題の①△6二玉に入りましょう。


基本図からの指し手
△6二玉▲4八銀△7二玉▲6九玉△8二玉▲7七角△7二銀▲6八銀(第1図)



◇これが新手法

▲7七角~▲6八銀が新手法で、7九~8八への玉の通路が確保されています。
この構想が発見されたから▲7八金型が流行り出したのです。

後手から角を換えるのは、手順に桂馬を跳ねさせるだけで面白くありません。

何はともあれ、美濃囲いを完成させるのが先決です。

なお、▲7七角で▲2四歩と仕掛けた実戦もあり、34期棋王戦第3局
佐藤康光棋王vs久保利明八段(共に当時)が有名でしょう。

この形もいずれ解説したいと思います。

さて、次の一手が現在最も流行っている後手側の対策です。


第1図からの指し手
△3三角(第2図)



◇強気の一手

第2図の△3三角が流行の最先端。

▲3三同角成は、一度▲7七角とした後なので、1手損ですよという主張です。

しかし、ここで先手から気になる仕掛けが見えていますが…。


第2図からの指し手
▲2四歩△同歩▲2三角△3二金▲3四角成(第3図)



◇無条件で馬を作られる

▲2四歩から空間を作って▲2三角が金取りで、馬を作られるのが受かりません。

しかし、それは百も承知でこの変化に飛び込んでいるのです。(!)

以下、△3二金▲3四角成と進み第3図。

なんと、第3図の局面は先手の8勝17敗(2009.12.25現在)というから驚きです。

ちなみに、▲2四歩と仕掛けずにじっと▲7九玉とする前例もあり、
第2回朝日杯将棋オープン決勝 阿久津主税六段vs久保利明八段(共に当時)が
有名でしょう。

こちらも機会があったら解説したいと思います。


第3図からの指し手
△2五歩▲6六歩△5五歩(第4図)



◇馬を圧迫して模様を張る

第4図まで来れば後手の構想も見えてきますね。

次に△5四飛~△2四飛として、先手の飛車も馬も押さえ込む狙いです。

こうなってみると、▲7七角~▲3三同角成で1手損した為に、
先手の玉が立ち遅れているのがわかりますね。

局面も馬を作らせた代償に2手得、2・5筋の位、囲いの完成度と言った点で
釣り合いが取れています。
実際、戦績から見ても後手が良いのかもしれません。

ここから先手には馬の引き方が2通り考えられます。

第4図からの指し手
①▲6七馬(テーマ図13)
②▲3五馬(テーマ図14)



◇馬をどこで安定させるか

第4図からの1番人気は▲6七馬(テーマ図13)で、前例も圧倒的に多いです。

2番人気は▲3五馬(テーマ図14)で、木村一基八段がよく指しています。
ちなみに、前例は4局(2勝2敗)で、木村一基八段は1勝2敗。
NHK杯でも森内俊之九段が指していたのでご存知の方もいらっしゃるのでは?

▲7八金型では、まずこの2つをテーマに解説を進めて行こうと思います。

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NHK大河ドラマで、龍馬伝が始まりましたね。^-^

実は、私は福山雅治ファンだったりします。^^

これから毎週日曜日が楽しみです。^-^





超急戦の研究も進んで来ました。^-^

順調に行けば今月中にも記事にできそうです。


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