ゴキ研

ゴキゲン中飛車研究ノート

定跡の基本から最前線まで詳しく紹介。

ゴキゲン中飛車vs超速▲3七銀急戦(星野流)【△3二金・囲い保留型での久保新手△5一飛】

2011年09月10日 22時45分35秒 | 超速対策その他
久々の投稿になりますね。

先日の竜王戦挑戦者決定3番勝負第2局▲丸山忠久九段対△久保利明棋王・王将戦。

ゴキゲン中飛車対超速パターンC(△3二金・連結重視型)から
久保二冠が工夫を見せたものの完封されてしまいました。



A図の△3六龍に▲2四角成なら△5四飛が研究手の様で、
持ち駒の銀を使わせれば遊ばせて駒の効率で勝負形。

しかし、▲4三銀不成が△5四飛を防ぎつつ歩切れを解消する好手で、
最後はこの銀が美濃囲いの金と交換になり後手は受けに窮しました。

内容はゴキゲン中飛車の完封負けでしたが、この形はまだまだ工夫が可能であると私は思います。

例えば、3つアイデアがあったとして、下のパターンBとCを使い分ける事でアイデアも2倍。

つまり、6通りのアイデアが生まれると言う訳です。



事実、パターンCでは△7一玉型である為角のラインを気にする必要があって使えない変化もありますし、
パターンBでは▲4二飛などが王手になって2二に配置された駒が取られてしまう場合もあります。

今回は、前述の久保新手とパターンB(△3二金・囲い保留型)を組み合わせて
ひとつのアイデアを示したいと思います。

パターンBとCを使い分ける参考例になればと思います。

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パターンBからの指し手
▲6八銀△4二銀▲4五銀△2二角▲2四歩△同歩▲3四銀△5一飛(第1図)



◇▲4五銀の仕掛け

▲6八銀は次に▲7七銀~▲6六銀で5五の歩を狙っています。

ここで後手には2通りの方針があり、ひとつは▲7七銀の瞬間に△5六歩と「捌く」。【パターンD(△3二金・待機型)】



もうひとつが5五の「位を守る」です。

△4二銀に▲7七銀は、△5三銀▲6六銀△4四銀(B図)で旧式の▲3七銀急戦に合流するのが一例。

これが「位を守る」という方針です。



旧式の▲3七銀急戦は過去に記事を書いているので参照頂けると幸いです。

しかし、△4二銀と上がった瞬間は▲4五銀の仕掛けが生じます。

△3一銀型では成立しないのですが、詳しくはライバルに勝つ最新定跡がとても詳しいので参照頂ければと思います。



最後の△5一飛が久保新手。

飛車の利きで桂馬に紐が付いている意味があります。

過去の実戦例(類型含む)では△5四飛、△3三銀がありましたが後手が芳しくないのが現状です。

第1図からの指し手
▲2四飛△3三銀▲2三歩△2四銀▲2二歩成△同金▲4二角(第2図)



◇定跡の受け

▲2四飛はこうするところでしょう。

△3三銀は部分的に定跡化された受けで、△5一飛▲2四飛を入れていない進行で
△3三銀▲2三歩△3一角(以下は書籍参照)が定跡になっていますが芳しくないのが現状。

△3三銀に▲同銀成は△同角で2一の桂に紐が付いているのが久保新手△5一飛の効果。

そこで▲2三歩ですが、△3一角は▲3三銀成△同金▲2七飛くらいで先手が指せる。

これは次に▲2二銀が厳しい。

▲4二角の局面は左の金銀がそっぽに行き、飛車銀両取りで厳しい様に思えますが、
飛車角交換で捌け気味とも取れそうです。

そっぽの金銀が1つでも捌ければ優位に進められそうです。

まずは、第2図から▲丸山忠久九段対△久保利明棋王・王将戦の様に進めてみましょう。

第2図からの指し手①
△2七飛▲2八歩△4七飛成▲5八金右△3六龍(第3図)



◇銀取りを受ける△2七飛

△2七飛は銀取りを一時的に受けた手。

というのも、続く▲2八歩を△同飛成とすると▲5一角成△同金▲5五角(C図)と、
①壁角を解消し、②守りの金を引き離し、③龍金両取りを掛けられてしまうので、
金取りに△4七飛成とするよりない為です。



▲5八金右に△4九龍はあるかもしれませんが、攻めが細いのでここでは検討しません。

△3六龍にパターンCでは▲2四角成は危険でしたが…。

第3図からの指し手
▲2四角成△5四飛▲2五馬△3四飛▲3六馬△同飛▲4二飛(第4図)



◇王手金取りで失敗

▲2四角成△5四飛には、▲2五馬が好手で、銀を取り返しても飛車を渡してしまうので▲4二飛が激痛になり失敗です。

なので、久保二冠はパターンCでの進行を選んだ訳です。

しかし、冒頭で述べたとおりパターンCも▲4三銀不成でうまく行かないので、第2図に戻って工夫したいと思います。

第2図からの指し手②
△5四飛▲2四角成△2七飛▲3五馬(途中図)△2九飛成▲4三銀不成△7四飛▲5九金右△7六飛▲7七銀△7四飛(第5図)




◇銀取りを掛ける△5四飛

△5四飛と銀取りに浮くのが私の研究手。

先に銀を取らせてから△2七飛で馬桂の両取り。

途中図を良く見て下さい。

もしこれが、パターンCであればD図の様に王手で切り返されて失敗に終わるところです。



以下は、だいたいこう進むであろうと言う一例です。

最終第5図はどう攻めるか難しい局面ではありますが、互角ではないでしょうか。

△7四飛に▲8五銀と打たれるのが気になりますが、△1四飛と逃げれるので簡単には死にません。

久保新手は負けたとは言え、△3二金・△4二銀型の可能性を見せてくれたという意味で
とても価値の高い一局であったと思います。

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ゴキゲン中飛車vs超速▲3七銀急戦(星野流)【分類】

2011年03月20日 02時28分47秒 | 超速対策その他
今週は、久保利明棋王・王将がダブル防衛を果たしましたね。^-^

一週間で2つ防衛するのはかなり珍しいのでは?

来年も振り飛車シリーズが見れると思うと大変うれしく思います。^^

久保利明棋王・王将には長期政権を築き上げて欲しいです。^-^

しかし、超速▲3七銀急戦(星野流)の△3二金・待機型に問題提起されたのも事実。

今後流行しそうな予感です。

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さて、今回はゴキゲン中飛車vs超速▲3七銀急戦(星野流)を分類分けして、それぞれの実戦例を載せておこうと思います。

棋譜を検索する時の手助けになればと思います。

ところで、A図からの勝敗が棋王戦中継サイト第4局にて載っていたので引用しようと思います。(2011.3.17時点)



A図から

①△6二玉 … ▲50勝、△53勝
②△4二銀 … ▲20勝、△20勝
③△3二銀 … ▲ 4勝、△ 2勝

こうしてみると、初期はゴキゲン側が大きく負け越していたので、かなり盛り返している事がわかります。

意外だったのが、②△4二銀の成績が五分である事。

△4二銀~△5三銀~△4四銀は負けていそうなイメージだったので驚きました。

この形は、相穴熊に進んだ後に先手の打開が難しいのかもしれません。


では、以下に分類をまとめます。

赤字になっているものは、その後の定跡に大きな影響を与えたものです。

【パターンA(△3二金・軽快型)】

代表棋士:杉本昌隆七段



2009.10.30 順位戦B級1組 ▲畠山鎮七段vs△鈴木大介八段(名人戦棋譜速報)
2010.1.8 順位戦B級1組 ▲豊川孝弘七段vs△杉本昌隆七段(名人戦棋譜速報)
2010.2.9 順位戦C級1組 ▲宮田敦五段vs△北島忠雄六段(名人戦棋譜速報)
2010.2.10 棋聖戦本戦一回戦 ▲佐藤天彦五段vs△谷川浩司九段(MSN産経ニュース)
2010.4.30 棋王戦予選 ▲村山慈明五段vs△佐々木慎五段(ライバルに勝つ最新定跡
2010.7.23 順位戦B級1組 ▲深浦康市九段vs△杉本昌隆七段(名人戦棋譜速報)
2010.8.11 竜王戦決勝トーナメント ▲羽生善治名人vs△阿久津主税(竜王戦中継)
2010.9.24 順位戦B級1組 ▲佐藤康光九段vs△杉本昌隆七段(名人戦棋譜速報)
2010.11.20 銀河戦Gブロック2回戦 ▲長岡裕也四段vs△清水上徹アマ(囲碁・将棋チャンネル)

【パターンB(△3二金・囲い保留型)】

代表棋士:特になし



2010.3.24 棋王戦予選 ▲松本佳介六段vs△広瀬章人五段(将棋世界 2010年 06月号 名局セレクション)
2010.4.28 銀河戦Hブロック9回戦 ▲野月浩貴七段vs△阿部隆八段(囲碁・将棋チャンネル)
2010.4.21 王座戦本戦1回戦 ▲森内俊之九段vs△阪口悟五段(将棋世界 2010年 09月号 リレー自戦記)
2010.8.14 将棋世界企画 ▲屋敷伸之九段vs△里見香奈(将棋世界 2010年 11月号 里見香奈試練の3番勝負)

【パターンC(△3二金・連結重視型)】

代表棋士:遠山雄亮五段、横山泰明五段、佐藤和俊五段



2009.12.8 順位戦C級2組 ▲佐藤天彦五段vs△遠山雄亮五段(名人戦棋譜速報)
2010.3.9 順位戦C級2組 ▲中座真七段vs△遠山雄亮五段(名人戦棋譜速報)
2010.5.28 王位戦白組第5局 ▲三浦弘行八段vs△高崎一生五段(王位戦中継)
2010.11.1 朝日杯2次予選 ▲丸山忠久九段vs△中村太地四段(朝日杯将棋オープン戦中継)
2010.12.14 順位戦C級2組 ▲藤原直哉六段vs△佐藤和俊五段(名人戦棋譜速報)
2010.12.21 朝日杯本戦 ▲佐藤康光九段vs△佐藤和俊五段(朝日杯将棋オープン戦中継)
2011.1.6 棋聖戦2次予選 ▲屋敷伸之九段vs△横山泰明五段(MSN産経ニュース)
2011.1.11 順位戦C級2組 ▲上野裕和五段vs△横山泰明五段(名人戦棋譜速報)
2011.1.25 棋王戦予選 ▲金井恒太五段vs△伊藤真吾四段(将棋世界 2011年 04月号 名局セレクション)
2011.3.2 順位戦A級 ▲森内俊之九段vs△久保利明棋王・王将(名人戦棋譜速報)


【パターンD(△3二金・待機型)】

代表棋士:戸辺誠六段、久保利明棋王・王将



2009.12.1 王将戦挑決リーグ ▲三浦弘行八段vs△豊島将之五段
2010.1.28 王将戦7番勝負第2局 ▲羽生善治王将vs△久保利明棋王(毎日.jp)
2010.2.1 NHK杯テレビ将棋トーナメント ▲丸山忠久九段vs△羽生善治NHK杯選手権者(NHK 将棋講座 2010年 05月号
2010.2.10 王位戦白組第1局 ▲丸山忠久九段vs△戸辺誠六段
2010.4.13 NHK杯テレビ将棋トーナメント ▲瀬川昌司四段vs△広瀬章人五段(NHK将棋講座テキスト 2010年7月号??)
2010.4.15 棋聖戦本戦準決勝 ▲稲葉陽四段vs△渡辺明竜王(MSN産経ニュース)
2010.4.16 竜王戦2組 ▲島朗九段vs△藤井猛九段
2010.4.29 岡崎将棋祭り ▲谷川浩司九段vs△佐藤康光九段
2010.7.13 竜王戦挑決トーナメント ▲村山慈明五段vs△戸辺誠六段(竜王戦中継)
2010.7.30 銀河戦予選 ▲伊藤真吾四段vs△戸辺誠六段(将棋世界2010年10月号 名局セレクション)
2010.8.27 朝日杯1次予選 ▲佐藤天彦五段vs△田中悠一四段(日本将棋連盟モバイル)
2010.8.29 NHK杯テレビ将棋トーナメント ▲森内俊之vs△鈴木大介(NHK 囲碁と将棋)
2010.9.7 順位戦C級1組 ▲平藤眞吾六段vs△金井恒太五段(名人戦棋譜速報)
2010.10.6 銀河戦Cブロック4回戦 ▲糸谷哲郎五段vs△遠山雄亮五段(囲碁・将棋チャンネル)
2010.12.21 朝日杯本戦 ▲佐藤和俊五段vs△郷田真隆九段(朝日杯将棋オープン戦中継)
2011.1.11 順位戦C級2組 ▲岡崎洋六段vs△永瀬拓矢四段(名人戦棋譜速報)
2011.1.11 順位戦C級2組 ▲中座真七段vs△川上猛六段(名人戦棋譜速報)
2011.2.1 順位戦C級2組 ▲村田智弘六段vs△永瀬拓矢四段(名人戦棋譜速報)
2011.3.4 順位戦B級2組 ▲桐山清澄九段vs△戸辺誠六段(名人戦棋譜速報)
2011.3.8 王将戦7段勝負第5局 ▲豊島将之六段vs△久保利明棋王・王将(毎日.jp)
201.3.18 棋王戦5番勝負第4局 ▲渡辺明竜王vs△久保利明棋王・王将(棋王戦中継)


【パターンE(△3二銀・軽快型)】

代表棋士:久保利明棋王・王将



2011.1.16 NHK杯テレビ将棋トーナメント ▲佐藤康光九段vs△久保利明棋王・王将(NHK 囲碁と将棋)
2011.1.28 竜王戦4組 ▲青野照市九段vs△佐々木慎五段(将棋世界 2011年 04月号 名局セレクション)
2011.2.9 王位戦紅組1回戦 ▲深浦康市九段vs△谷川浩司(日本将棋連盟モバイル)
2011.2.9 王将戦7段勝負第3局 ▲豊島将之六段vs△久保利明棋王・王将(毎日.jp)
2011.2.10 棋王戦予選 ▲矢倉規広六段vs△阪口悟五段(日本将棋連盟モバイル)


【パターンF(△3二銀・囲い保留型)】


2010.10.15 順位戦A級 ▲丸山忠久九段vs△久保利明棋王・王将(名人戦棋譜速報)
2010.11.8 NHK杯テレビ将棋トーナメント ▲郷田真隆九段vs△豊島将之六段(NHK 囲碁と将棋)
2010.11.16 順位戦C級2組 ▲長岡裕也五段vs△阪口悟五段(名人戦棋譜速報)


【パターンG(△3二銀・連結重視型)】



【パターンH(△3二銀・待機型)】

代表棋士:久保利明棋王・王将、谷川浩司九段、横山泰明五段、遠山雄亮五段



2008.2.5 順位戦C級2組 ▲川上猛六段vs△戸辺誠四段(名人戦棋譜速報)
2010.4.14 王座戦挑決トーナメント ▲久保利明棋王・王将vs△佐藤和俊五段
2010.7.22 順位戦A級(千日手指直し局)▲谷川浩司九段vs△久保利明棋王・王将(名人戦棋譜速報)
2010.8.26 竜王戦4組昇級者決定トーナメント ▲飯塚祐紀七段vs△横山泰明五段
2010.8.30 竜王戦挑戦者決定3番勝負第2局 ▲羽生善治名人vs△久保利明棋王・王将(竜王戦中継)
2010.9.4 達人戦決勝 ▲佐藤康光九段vs△谷川浩司九段(達人戦サイト)
2010.10.19 順位戦C級2組 ▲伊奈 祐介六段vs△横山泰明五段(名人戦棋譜速報)
2010.10.19 順位戦C級2組 ▲中村太地四段vs△遠山雄亮四段(名人戦棋譜速報)
2011.1.8 王将戦7段勝負第1局 ▲豊島将之六段vs△久保利明棋王・王将(毎日.jp)
2011.1.14 順位戦B級2組 ▲青野照市九段vs△堀口一史座七段(名人戦棋譜速報)
2011.2.1 順位戦C級2組 ▲村田顕弘四段vs△遠山雄亮四段(名人戦棋譜速報)
2011.2.2 順位戦A級 ▲渡辺明竜王vs△谷川浩司九段(名人戦棋譜速報)


【パターンI(銀対抗型)】

代表棋士:久保利明棋王・王将、佐藤康光九段



2009.12.18 順位戦B級1組 ▲屋敷伸之九段vs△久保利明棋王・王将(名人戦棋譜速報)
2010.1.8 銀河戦Eブロック5回戦 ▲中村太地四段vs△遠山雄亮四段(囲碁・将棋チャンネル)
2010.8.14 京急将棋祭り ▲羽生善治名人vs△佐藤康光九段
2010.10.19 順位戦C級2組 ▲佐藤慎一四段vs△永瀬拓矢四段(名人戦棋譜速報)
2011.1.28 竜王戦1組 ▲森下卓九段vs△久保利明棋王・王将
2011.3.17 王座戦2次予選 ▲中田宏樹八段vs△佐藤康光九段(日本将棋連盟モバイル)


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超速▲3七銀急戦に対する新構想?

2011年03月14日 01時35分31秒 | 超速対策その他
現在超速▲3七銀急戦シリーズを前回から述べているところですが、
ふと、新しい形を思いついたので忘備で載せておこうと思います。

△3二金型と同様に、△3二銀型においてもそれぞれ

パターンE:軽快型
パターンF:囲い保留型
パターンG:連結型
パターンH:待機型

に分類できます。



△3二銀型の進展性が無いという欠点をついて先手が様子見を続けていると、
パターンHから▲5八金右となり、豊島将之の定跡研究では△5六歩と突くしかないと解説されています。(p.20参照)

ただ、ここで△4二金という手は無いのでしょうか。



まだ考えたばかりで何とも言えないのですが、
▲4五銀なら△1二香▲3四銀△1一角(第1図)で戦えないか。



第1図から▲2四歩△同歩▲同飛には、△3二銀型の効果で△2一桂に紐が付いているのが主張点で、
△5四飛の反撃がありそうです。

▲2四飛以外なら、△3三桂で銀の退路を断つ変化も含んでいます。

また、▲4五銀と来ないのであれば、△5三金~△5四金と進出する事が可能です。

まずは△3二金型を完結したいと思いますが、並行して研究を進めて行きたいと思います。

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ゴキゲン中飛車vs超速▲3七銀急戦(星野流)【△3二金・軽快型①】

2011年03月13日 00時27分45秒 | 超速対策その他
昨日の東北地方太平洋沖地震。

私は東京で勤務中に被災しました。

最初は普段発生する地震と大差が無かったのですが、やけに揺れが長く続き何かいつもと違う事に気付きました。

と、次の瞬間。尋常でない揺れに襲われました。

東京では震度5強だったそうで、居室から出る際、壁の至る箇所に大きなヒビが入っており、愕然としました。

私が所属する部署では普段から居室や実験室には整理整頓され、耐震対策も万全であった為それ程大きな被害には遭いませんでした。

しかし、経験した事もない程の大きな揺れで恐怖を感じました。

東京でこの状況であったので、震源地での被害は甚大な物だと想像します。

心からお見舞いを申し上げます。

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さて、こんな状況ではありますが記事を書こうと思います。

被災された方の暇潰しにでもなれば幸いです。

今回は予告通り、超速▲3七銀急戦(星野流)に対する△3二金・軽快型の攻防です。



この形は杉本昌隆七段がよく用いています。

ところで、昨日のB級1組順位戦で、屋敷伸之九段が念願のA級へ昇級を決めました。

その一方で、杉本昌隆七段のB級2組への降級が決まってしまいました。

ゴキゲン中飛車で、豊川孝弘七段、深浦康市九段、佐藤康光九段、山崎隆之七段に敗れて1勝もできなかったのは痛かったと思いますが、
井上慶太九段、屋敷伸之九段、鈴木大介八段に横歩取りの先手番で3敗を喫しているのも大きかったと思います。

今季は先手番勝率が大きく勝ち越しているそうなので、やはり先手番で負けるのは痛かったか。

ところで、ゴキゲン中飛車4局の内容は以下の通りになります。

vs 豊川孝弘七段 ▲5八金右超急戦:当時タイトル戦で出たばかりの▲6五香打に対して△5一桂と受ける新手を出したが負け。
vs 深浦康市九段 超速▲3七銀急戦:△3二金・軽快型で負け。
vs 佐藤康光九段 超速▲3七銀急戦:△3二金・軽快型で負け。
vs 山崎隆之七段 ▲7八金型持久戦:山崎流の右銀保留に向かい飛車で逆棒銀を試みるが、右の金銀を保留された効果で攻略できず。

ご覧の様に、超速▲3七銀急戦(星野流)に対し下図(パターンA)で対抗したものの2つ敗れています。



この軽快型のメリットは7六歩を取りやすい事なのですが、5三の地点に傷が出来るデメリットの方が大きい様です。

これから解説する内容は、豊島将之の定跡研究と、ライバルに勝つ最新定跡を使って
解説する部分もありますので、お持ちの方は是非ご参照頂きたいと思います。



                      豊島将之の定跡研究                          ライバルに勝つ最新定跡


それでは、本題に入ろうと思います。

まず、下図(パターンA)から考えられる先手の指し手は①▲5八金右(第1図)と、②▲7八玉(第2図)。




先に①▲5八金右と上がると、後で▲6八銀~▲7七銀の進出が一手遅れるので、選択肢を狭める意味があり少数派ではあります。

ですが、中央からの仕掛けが見えているので守りを厚くする考えは理にかなっています。

第1図からの指し手①
△5六歩▲同歩△8八角成▲同銀△5六飛▲2四歩△同歩▲5五歩(第3図)



◇前例は1局

この進行は前例が1局のみで、前述の順位戦B級1組 ▲佐藤康光九段vs△杉本昌隆七段です。

▲6八玉型で△5六歩と仕掛けられた場合、▲同歩の一手になります。

▲3三角成とすると、一度王手で△5七歩成とされて形が乱れてしまうからです。

角交換から△5六飛に一度▲2四歩を利かせるのが好手。

効果は後から出て来ます。

▲5五歩(第3図)の局面は▲6五角が見えている為暴れるよりありません。

第3図からの指し手
△7六飛▲7七銀△7四飛▲2四飛△2三歩▲2六飛(第4図)
まで、後手不満。



△3九角は▲3八飛△8四角成▲6五角で敗勢なので、△7六飛の一手。

▲7七銀△7四飛に▲5三角は、△3九角で後手にも馬が出来てしまうので不満です。

そこで、先程突き捨てた効果で▲2四飛と走るのがベスト。

突き捨てていなければ一度△3九角が利いていました。

第4図は既に後手の指す手が難しい局面です。

△5四歩は放置されて、△5五歩▲同銀となって中央を制圧されるだけなので、
飛車を自陣に生還させるのは難しい。

△3三桂と跳ねれば▲5六角~▲3五歩があるので早い動きも難しい。

以上により、すぐに△5六歩では後手もうまく行かないのである。

第1図からの指し手②
△4二銀(第5図)



◇行くか溜めるか

△4二銀は△5六歩と仕掛けた時に、角交換に対して形良く取れる意味があり、①▲4五銀の仕掛けを誘っています。

しかし、▲6八玉型でこの仕掛けは成立しないので見て行きたい。

最善は②▲7八玉であるので後述します。

第5図からの指し手①
▲4五銀△2二角▲2四歩△同歩▲3四銀△3三銀▲2三歩△3一角▲3三銀成△同金▲2二銀△6四角
▲3三銀成(A図)△同桂▲6五金△5六歩▲6四金△5七歩成▲同金△6四歩(第6図)



◇王手で△5七歩成が入り結論が逆転

ライバルに勝つ最新定跡をお持ちの方はご用意を。

先ず、p.13の△5四飛~△4四飛は、▲5八金右の効果で先手になっていないので論外。

その為、p.17の△3三銀で対抗しなければなりません。

先手が▲6八玉型でp.13の進行を踏襲した場合、▲6五金に強く△5六歩と突き出す反撃が利きます。

飛車取りである為▲6四金と根元の角を取る一手ですが、△5七歩成が王手で入るので状況が急変します。

▲同金に△6四歩と手を戻したときに、△5六歩と△4五桂の狙いが同時に受かりません。

▲3三角成は△5六歩▲5八金引△5七銀▲7八玉△5八銀不成▲同金△5七歩成でと金の生産に成功。

(2011.3.23修正)▲同金△同飛には▲4五角の王手飛車がある。

▲5六歩は△4五桂▲6六金△5七銀▲7八玉△6六銀成▲同角△5六飛で取られそうだった桂馬と、飛車が捌けて優勢です。

以上により、A図で変化する必要がある。



A図から△5六歩でどうか。(B図)



B図以下、①▲4三成銀には△5四飛(C図)とし、

(a)▲4四成銀△5七歩成▲同金△同飛成▲同玉△2八角成(D図)は金得で玉が露出しているので後手優勢。
(b)▲1八飛△5七歩成▲同金△5六歩(E図)は「5三のと金に負けなし。」




②▲2四飛には△5七歩成▲同金△5六歩▲同金△同飛▲6四飛△5七金▲7八玉△6四歩
▲4五角△8二玉▲5六角△同金(F図)。

F図は駒の効率、玉の安全度に勝る後手が優勢でしょう。




第5図からの指し手②
▲7八玉△5六歩▲6六歩△5七歩成▲同金△4四歩▲6八銀△4三銀(第7図)



◇昔ながらの将棋へ

▲7八玉とすれば△5七歩成が王手にならないのですが、ここでも△5六歩の仕掛けがあります。

ここで先手は▲6六歩と止めて△5七歩成に▲同金と手順に手得しながら厚みを築く手段があります。

金であれば、△5六歩に▲6七金と形良く逃げられます。

後手は△4四歩として次に△4五歩を見せて△4三銀が間に合い、第7図は1局の将棋です。

また、△5六歩と仕掛けずに△8二玉とすればパターンB:左銀活用型に合流します。

①▲5八金右(第1図)だけで盛り沢山になってしまいました。

②▲7八玉(第2図)は次回にまわそうと思います。



参考棋譜:2010/9/24 順位戦B級1組 ▲佐藤康光九段vs△杉本昌隆七段(名人戦棋譜速報

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▲3七銀急戦超速攻【超力戦 part 3・ゴキ研流】

2010年12月13日 22時23分30秒 | 超速対策その他
前回の更新からの間に、将棋界に大きな動きがありましたね。

王将戦挑戦者決定リーグで豊島将之五段が5勝1敗の成績で見事に挑戦者となりました。^-^

挑戦に至るまでに倒した相手も凄く、2次予選で谷川浩司九段と丸山忠久九段。
挑決リーグで森内俊之九段、深浦康市九段、三浦弘行八段、羽生善治名人、佐藤康光九段。
20歳での挑戦は王将戦史上最年少記録だそうです。^-^

挑戦者となった事により、同日付で六段へと昇段。

棋王戦でも広瀬章人王位が挑決変則2番勝負へ進出し、
敗者復活組みから勝ち上がってきた者に1勝すれば挑戦と優位な状況です。

長らく続いた羽生世代にも世代交代の波が確実に押し寄せているようです。

戸辺誠六段も棋聖戦2次予選を突破しているので同世代として期待しています。

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さて、以前に少しだけ触れたテーマ図2を憶えているでしょうか。

▲3七銀急戦超速攻【超力戦】で最後に紹介した超速封じです。

恐らく実戦例は無いので私のオリジナル。

勝手にゴキ研流と呼ばせて頂いています。^^;

テーマ図1の超速封じに比べ△1四歩は無駄な手にも思えます。



しかし、実はそうではないのです。

先手がテーマ図2から▲2四歩の超力戦を見送れば、
郷田流▲3七銀急戦か居飛車穴熊という選択肢になります。

郷田流▲3七銀急戦の場合2つの効果があり、

2009.2.17 棋聖戦2次予選 ▲島朗九段△藤井猛九段戦より、
 A図から△1五歩!▲同歩△6五銀!▲5六銀△7六銀(B図)の
 端攻め&玉頭銀があり、次に△1五香~△4五桂~△1五角を許すと
 △8四香が激痛です。



②また、C図から▲4五桂△2二角▲2四歩△同歩▲同飛△3三桂(D図)に、
 ▲2三歩と打たれた時に△1三角(E図)の余地を作っている意味があります。



居飛車穴熊の持久戦になれば、相穴熊で互角に戦えるので
1手損も大きな影響は無いでしょう。

これらを見据えてテーマ図2のゴキ研流を考案した経緯があります。


さて、ここでもやはり▲2四歩が成立しないと
▲3七銀急戦超速攻は指せなくなってしまいます。

意地でも▲2四歩と突いて来るでしょう。



テーマ図2からの指し手
▲2四歩△同歩▲同飛△5六歩(第1図)
▲2三飛成(第2図)



◇先手の応手を限定

▲2四歩と仕掛ければ△5六歩の反撃はこの一手。

▲同歩と取ってしまうと△8八角成▲同銀に、

①△3五角▲4六角△2四角▲同角△4二銀(F図)が次に△2七飛を見て後手良し。



②△3三角は▲2一飛成△8八角成▲5五桂△6二玉(G図)と超急戦に進みます。
 以下一例で、▲1一龍には△7二玉▲7五角△6四銀▲同角△同歩▲6三銀△8二玉
 ▲5二銀成△同金右▲6一飛△5一歩(H図)となると、 ▲3三香が△2四角の
 流れ弾に当たる為打てないので、通常の超急戦よりも後手が得していると思います。



少しずつリードを広げたい方は①、一気に決めたい方は②を選択すると良いでしょう。

▲6六歩と角交換を阻止するのは△5七歩成▲同銀△1三角(I図)でジ・エンド。



▲2五歩も△2三歩で無効です。

その為、第1図では▲2三飛成の一手に限定されています。

テーマ図1の場合は、この▲2三飛成はより条件が悪くなるのですが、
追って説明します。

第2図からの指し手
△5七歩成▲同銀△8八角成▲同銀△2二飛▲同龍△同銀▲2五飛(第3図)



◇大駒総交換

まず、△5七歩成が王手で入るので手抜き不可能。

そして、△8八角成~△2二飛で大駒の総交換になります。

ここで先手は△2八飛を防ぐ必要があるので、2筋に飛車を打つのですが、
▲2八飛は△2七歩~△2六歩~△4四角でダメ。

▲2五飛が最善でしょう。

ここでテーマ図1から第3図と同様の変化をしたiii図を検討しましょう。



ここで、△3二金(iv図)と受けられると、
△1四角を受ける必要があるのが第3図との違いです。



と言って、①▲2八飛と引くのは△2七歩▲同飛△2六歩▲同飛△4四角(J図)でダメ。
取らなくても垂らした歩の頭に角を打たれます。

他に代わる手も難しく、②▲5八金左なら△3三桂▲8五飛(▲2四飛は△4五桂が絶好)
△2七飛▲8三飛成△8二歩(K図)でやはりダメ。

仕方ないので③▲7七銀ですが、△1四角▲2八飛△4七角成▲4八歩△7四角成(L図)
と馬を作らせて勝負するのが最善そうです。



③は一歩得で馬が出来た後手が指せる展開ですが、先手玉も金銀が集結した形なのに対し、
後手は左の金銀が離れているので、それ程大きなリードではありません。

△5六歩~△6四歩~△6三馬の様な順で玉を固めつつ、先手の飛車に圧力を掛けると
良いでしょう。

第3図からの指し手
△2三歩(第4図)



◇じっと我慢

第3図からは、冴えない様でも△2三歩と受けるべきです。

下手に△3二金と受けても、▲5三角△4二角▲同角成!△同玉▲8六角!(M図)
で痺れてしまいます。



テーマ図1からの変化であるiv図は、△6二玉型である為△3二金が成立するのです。

第4図から先手側に考えられる手は、

①▲5三角
②▲7七銀
③▲6五角
④▲6六銀

順に見て行きましょう。

第4図からの指し手①
▲5三角△4二角▲2六角成△2八飛▲5八金右△2九飛成▲6二角成△同玉▲2九飛
△5五角(第5図)まで後手優勢



◇角の引き場が無い

▲5三角には△4二角が用意の一手。

ここで▲同角成△同金は何をやっているのかわからないので▲2六角成ですが、
△2八飛が王手で入るので桂馬得できるのが大きい点です。

▲6二角成では▲7一角成も考えられ、実戦的にはこちらの方を選ぶべきかも知れませんが、
△2五龍▲8一馬の局面は飛車銀交換であり、二枚飛車の攻めなので私は後手持ちです。

第5図は△3七角成が約束されており、B面攻撃を仕掛けて後手優勢でしょう。

第4図からの指し手②
▲7七銀△6二銀!▲6五角△8五飛▲8六歩△6五飛▲同飛△2七角▲5八金右
△7二金(第6図)まで、双方不満なし。



◇7七の地点が埋まると…

▲7七銀は何事も無い様に見えて凡手。

ここは△6二銀!があり、▲8二角は△9二飛で大丈夫。

▲6五角にも△8五飛の返し技があり、飛車角の身動きが取れません。

第5図は後手も金美濃に囲う事ができるので双方不満なしでしょう。

7七の地点には桂馬が跳ねられる様にしておくのが急所と言うのを踏まえて
以降の変化を検討しましょう。

第4図からの指し手③
▲6五角△3三角▲6六銀△9五飛▲5五歩△6五飛▲同銀△6二玉▲7八玉
△5七角(第7図)まで、変化が多く難解。



◇非常に変化が多い

▲6五角は最も変化が多く、現状は難解と言うよりありません。

まず、△3三角では△9五飛もあるところで、▲6六銀△6四歩▲5五飛△6二玉
▲4三角成△5五飛▲4四馬△7二玉▲5五馬△6五歩▲同馬(N図)は、
先手陣の方が固く先手も持ちか。



▲6六銀では▲6六歩もあるところで、△9五飛▲5五歩△6五飛▲同歩△2四角
▲6七玉(O図)でやはり難解です。



ただし、▲7七銀だと△4二金に▲8三角成に△8八歩!(P図)があるのでいけません。



また、▲5五歩では▲7五歩も考えられ、△同飛▲同銀△8八角成(Q図)も難解。



しかし、駒損の攻めとは言え桂香が拾える展開で先手陣も固くならないので後手も満足か。

本譜の▲7八玉は大切なところで、
例えば▲7七銀なら△2四角と自陣角を活用されてしまいます。

第7図は馬が出来ますが、やはり難解な勝負でしょう。

第4図からの指し手④
▲6六銀△6二玉▲6五角△7四角▲同角△同歩▲2八飛△3二金(第8図)
まで、互角の形勢。



◇先に上がっても

先程までの変化を踏まえて、先に▲6六銀と上がっても△6二玉▲6五角に△7四角の
受けがあって技は決まりません。

第8図もやはり難解な勝負と言えそうです。


如何でしょうか。

どれも互角以上に戦えると思います。

あとは、実戦例が増えて勝率がわかればいいのですが…。

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