ゴキ研

ゴキゲン中飛車研究ノート

定跡の基本から最前線まで詳しく紹介。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

【対超速戦略】銀対抗ABC

2020年03月22日 23時30分00秒 | 超速対銀対抗
戸辺将棋教室のレギュラー講師としてお世話になっていた杉本和陽四段がご退任された。

手元の棋譜によると昨日の指導対局が18局目だった様で、多大なご指導を頂き感謝が絶えない。

出身地が一緒であったり、性格的にも私と似ているところがあるなと感じ、
とても親しみがある方で、一抹の寂しさがある。

これからもゲスト講師としてお会いする機会はあるが、
一度区切りがついたところで
研究をしては戦いを挑んだ3年弱を棋譜と共に振り返りつつ、
私の対超速戦略の考え方を紹介したいと思う。

****************************************************************************************************
初手からの指し手
☗2六歩 ☖3四歩 ☗2五歩 ☖3三角 
☗7六歩(途中図)
☖4二銀 ☗4八銀 ☖5四歩 ☗6八玉 
☖5五歩 ☗3六歩 ☖5二飛 ☗3七銀
☖5三銀 ☗4六銀 ☖4四銀(第1図)



まず始めに、私は対超速には銀対抗を愛用しているのだが、その理由が途中図にある。

ノーマル振り飛車も指せる方であればここは☖4四歩で問題ないのだが、
ここではゴキゲン中飛車や角道オープン型に拘りたい場合は
☖2二飛や本譜の☖4二銀を選択する事になる。

つまり、☖4二銀型を強要されている以上、
数ある超速対策の中でも選択肢は限られるのである。

その中でも銀対抗は研究しやすく変化も広いので、
1つの変化が悪くなっても次の対策を用意しやすい。

また、持久戦になれば力戦調に指す事もできるので力が出しやすい。

このあたりに魅力を感じている。

余談であるが、本譜途中の☗4八銀では☗6八玉とされるとゴキゲン中飛車にはできない。

☖5四歩☗3三角成☖同 銀☗5三角(A図)の時に、
☖5五角には☗7七桂で受かる仕組みだ。
従って、A図では☖4四角☗同角成☖同 歩(B図)と、
4三に空間ができる関係で駒組みに苦慮する。



この場合は、☖5四歩は諦めてノーマル振り飛車にするしかない。

さて、その銀対抗は居飛車急戦に2つのテーマを抱えている。

第1図からの指し手(1)
☗7八玉 ☖6二玉 ☗6八銀(テーマ図1)

第1図からの指し手(1)
☗7八銀(テーマ図2)



テーマ図1の急戦がポピュラーな駒組みであるが、
近年は1手早く銀を繰り出すテーマ図2が主流になりつつある。

この2つの駒組みに対する振り飛車側のプランが3通りある。

プランA(万能型):テーマ図1から☖7二玉☗7七銀☖8二玉☗6六銀
プランB(速攻型):テーマ図1から☖7二玉☗7七銀☖5六歩☗同 歩☖同 飛
プランC(力戦型):テーマ図2から☖6二銀



これらについて順に説明していきたい。

プランAからの指し手
☖7二銀 ☗5八金右(第2図)



プランAは相手の駒組みに意を介さず玉を囲う指し方である。

従って、居飛車がテーマ図1と2どちらで来ようが合流する為、万能な作戦である。

☖7二金と金美濃に組む指し方もあるが、
美濃囲いを選択した第2図は作戦の岐路で、1つは☖6四歩(第3図)だ。



これは☖6三銀~☖5四銀(C図)を見せて相手の応手を限定しようという作戦だ。



☗3七桂(第4図)または☗2四歩☖同 歩☗3七桂(第5図)が指定局面となり、
ここを起点に以降の変化を研究を用意すればよい。



2つ目は☖3二金☗3七桂☖5一飛(第6図)で、昨日の指導対局ではこちらを選択した。



これは居飛車の攻めに対しカウンターを狙う振り飛車らしい指し方で、
☗9六歩☖9四歩☗2九飛☖1四歩(第7図)は想定していた局面であった。



コンピューターを使い調べると、すぐに仕掛ける順を優先的に読む傾向があり、
☗4五桂☖2二角☗2四歩☖同 歩☗同 飛☖3三桂☗同桂成☖同 角☗2九飛
☖5六歩☗同 歩☖5四桂☗5七銀左☖4六桂☗同 銀(第8図)
でやれると想定していた。



しかし、冷静に☗1六歩と受けられると☖6四歩との交換になり、
同じように進めると☖1五角が無いので最後に☗同 歩(第9図)と取れる。

以下は向かい飛車から逆襲を試みたが、☗3五歩(第10図)と攻められて痺れた。
☖同 銀と取ると☗3三角成☖同 金☗4二角で☖6四歩がマイナスに働く。



最後だからと気合を入れたのだが、さわやかに返り討ちにされてしまった。

ここでは上手くはいかなかったが、プランAは囲いの種類や駒組みの工夫により
振り飛車側が局面を選択する権利があり研究が活きやすい作戦である。

これらの書籍(リンクあり)に解説されているので参考にして頂きたい。



開始日時:2020年03月21日(土)
先手:杉本和陽四段
後手:ゴキ研管理人

▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △5四歩 ▲2五歩 △5二飛
▲4八銀 △5五歩 ▲6八玉 △3三角 ▲3六歩 △4二銀
▲3七銀 △5三銀 ▲4六銀 △4四銀 ▲7八玉 △6二玉
▲6八銀 △7二玉 ▲7七銀 △8二玉 ▲6六銀 △3二金
▲5八金右 △5一飛 ▲9六歩 △9四歩 ▲3七桂 △7二銀
▲2九飛 △1四歩 ▲1六歩 △6四歩 ▲4五桂 △2二角
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △3三桂 ▲同桂成 △同 角
▲2九飛 △5六歩 ▲同 歩 △5四桂 ▲5七銀左 △4六桂
▲同 歩 △2四歩 ▲6八金上 △2一飛 ▲3五歩 △同 歩
▲3四歩 △4二角 ▲4五桂 △3六歩 ▲3九飛 △2五歩
▲3六飛 △4五銀 ▲同 歩 △3五歩 ▲同 飛 △2四角
▲3六飛 △6五桂 ▲4八銀 △5一飛 ▲3三歩成 △2七銀
▲3四飛 △6八角成 ▲同 金 △5六飛 ▲3二と △5八金
▲4七金 △6八金 ▲同 玉 △5七金 ▲同 金 △同桂成
▲同 銀 △3六飛 ▲同 飛 △同銀成 ▲8六桂 △7一金
▲4一飛 △5一歩 ▲同飛成 △6一金打 ▲7四桂打 △同 歩
▲同 桂 △9二玉 ▲9五歩 △2八飛 ▲5八歩 △4七成銀
▲9四歩 △5八飛成 ▲7七玉 △9七歩 ▲9三銀 △同 桂
▲同歩成 △同 玉 ▲8五桂
まで111手で先手の勝ち

プランBからの指し手
☗5五歩  ☖同 銀 ☗4五銀 ☖5七飛成
☗5八金右 ☖5六銀 ☗5七金 ☖同銀成
☗6六銀  ☖6五金 ☗5七銀 ☖8八角成
☗同 玉  ☖5五角 ☗7七桂 ☖2八角成 
☗6五桂  ☖5五馬 ☗6六金 ☖4五馬 
☗5三桂不成☖5一金右☗4一桂成☖同 金(第11図)



長く進めてしまったが、実戦例のある定跡手順である為ご了承頂きたい。

以下、☗2二飛☖3二銀☗5二銀までが実戦例だが、
☖3一金(第12図)でやれると見る。



杉本和先生も研究済みで☗2二角と変化して来られた。

この辺りは私も事前研究で想定していたものの、
変化が膨大すぎて覚えきれず間違えたようだ。

この急戦は居飛車側が研究に嵌められるリスクが高く、
テーマ図2を採用して避ける傾向にある。

つまり、☖6二玉☗7七銀☖5六歩☗同 歩☖同 飛(D図)と同じように進めると、
☗5五歩☖同 銀☗4五銀(E図)で飛車が成れないのだ。



開始日時:2019年03月03日(日)
先手:杉本和陽四段
後手:ゴキ研管理人

▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △5四歩 ▲2五歩 △5二飛
▲4八銀 △5五歩 ▲6八玉 △3三角 ▲3六歩 △4二銀
▲3七銀 △5三銀 ▲4六銀 △4四銀 ▲7八玉 △6二玉
▲6八銀 △7二玉 ▲7七銀 △5六歩 ▲同 歩 △同 飛
▲5五歩 △同 銀 ▲4五銀 △5七飛成 ▲5八金右 △5六銀
▲5七金 △同銀成 ▲6六銀 △6五金 ▲5七銀 △8八角成
▲同 玉 △5五角 ▲7七桂 △2八角成 ▲6五桂 △5五馬
▲6六金 △4五馬 ▲5三桂不成△5一金右 ▲4一桂成 △同 金
▲2二角 △3九飛 ▲7八銀 △8五桂 ▲6八金打 △2九飛成
▲1一角成 △7七銀 ▲同 金 △同桂成 ▲同 玉 △8五桂
▲8六玉 △9四歩 ▲9六歩 △5六歩 ▲同 金 △4四馬
▲同 馬 △同 歩 ▲5九歩 △8八角 ▲2二飛 △5二歩
▲2一飛成 △3一金打 ▲2三龍 △9九角成 ▲7五桂 △5三香
▲6五香 △6二銀 ▲8三桂成 △同 玉 ▲6一角 △7二桂
▲7五桂
まで85手で先手の勝ち

プランCからの指し手
☗3七桂 ☖4二角(第13図)



居飛車がテーマ図2でプランBを避ければ
待ってましたとばかりにプランCのゴキ研流が発動する。

プランCの☖6二銀自体は既に実戦例があり、
2016/09/13 順位戦☗横山☖杉本昌で指されている。

狙いは☗7七銀☖5三銀上☗6六銀☖5四銀(F図)で
二枚銀には二枚銀で対抗して振り飛車側から押さえ込もうというものである。



☗3七桂で両取りを見せて☖5三銀上を防いだかに見えるが、
☖4二角(第13図)がゴキ研流のトラップだ。

2018/08/31 朝日杯☗長谷部☖戸辺戦が初出で、
当時は戸辺先生が研究を採用してくれ、そして勝利した事に興奮したことを覚えている。

この新手は将棋世界付録の新手年鑑2019年版にも取り上げられ、
研究が認められた思いがしてとてもうれしかった。



話が横道に逸れたが、第13図からは左美濃対木村美濃の戦いになる。

力戦形になるが厚みが大きく、振り飛車側からは☖5四銀~☖4五銀右や、
☖5一飛~☖3一飛と動く楽しみがある。

注意したいのが、第13図から☗5六歩(第14図)である。



☖同 歩☗4四角!☖同 歩☗4三銀(第15図)という鬼手がある。



しかし、この場合は玉形が悪く、☖8八角☗5二銀成☖同 玉☗5八飛
☖9九角成☗5六飛☖4三玉(第16図)で振り飛車が優勢である。



テーマ図1で同じ様に進めてしまうと、居飛車の玉形が良いので評価が入れ替わる。

戸辺先生との指導対局では初見で通用して天狗になり、
2度目の採用をした際にこの鬼手を食らい目玉が飛び出る思いをしたのは良い思い出だ。

以来、長くお蔵入りしていた研究手であったが、
テーマ図2の流行により復活した形だ。

実戦に初登場する前に杉本和先生に試した事があり、
玉等位取り対穴熊になった面白い棋譜があるので最後に紹介したい。

開始日時:2018年05月19日(土)
先手:杉本和陽四段
後手:ゴキ研管理人

▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲7六歩 △4二銀
▲4八銀 △5四歩 ▲6八玉 △5五歩 ▲3六歩 △5二飛
▲3七銀 △5三銀 ▲4六銀 △4四銀 ▲7八銀 △6二銀
▲3七桂 △4二角 ▲7七銀 △5三銀上 ▲7八玉 △6二玉
▲5八金右 △7二玉 ▲6六歩 △5四銀 ▲6七金 △5一金左
▲7五歩 △6二金左 ▲7六銀 △6四歩 ▲7七角 △5一飛
▲8八玉 △3一飛 ▲3八飛 △8二玉 ▲7八金 △7二金寄
▲9六歩 △7一金寄 ▲9五歩 △6一飛 ▲8六歩 △9二香
▲8五歩 △9一玉 ▲8六角 △6五歩 ▲同 歩 △同 銀
▲同 銀 △同 飛 ▲6六歩 △7五角 ▲7七角 △6二飛
▲4五桂 △8六銀 ▲5九角 △6六飛 ▲7六銀 △6七飛成
▲同 金 △6六歩 ▲6八金 △4五銀 ▲同 銀 △6四桂
▲6五銀 △5六歩 ▲同 歩 △6七金 ▲6九金 △5七歩
▲8六角 △同 角 ▲8七玉 △5八歩成 ▲8六玉 △6九と
▲6四銀 △7九と ▲6三桂 △5九角 ▲6八歩 △6五金
▲7一桂成 △同 金 ▲5三角
まで93手で先手の勝ち

【まとめ】
以上が私の銀対抗戦略であるが、プランABCの3種類をその時代の情勢に応じて使い分ける。
プランAは相手の出方に関係なく採用できる万能型の作戦でこれ1つで対応でき、この中で様々な工夫ができる。
プランBはテーマ図1、プランCはテーマ図2に対応した作戦であり、相補的な関係にある。




プランAが苦しい際には、プランBとCをセットに対応し、
プランBまたはCが苦しい際にはプランAを織り交ぜて対応する。

銀対抗ABCを研究して自分の作戦にできれば幅が広がる事間違いなしである。

これらの研究は、将棋教室を主催されている戸辺誠先生をはじめ、ゲスト棋士の諸先生、
レギュラー講師の杉本和陽先生が稚拙な研究を受け止めてくれたおかげである。

多大なご指導を賜りありがとうございました。

今後もよろしくお願い致します。
コメント