ゴキ研

ゴキゲン中飛車研究ノート

定跡の基本から最前線まで詳しく紹介。

中飛車党の初手

2010年02月28日 21時23分14秒 | 基本変化など
皆様は、天下一将棋会というアーケドゲームをご存知でしょうか?^-^

ゲームセンターでできる将棋のオンライン対戦ゲームで、これが結構面白いんです。^-^

私もやってみたのですが、現在六段で属性は急戦型の風魔人でした。^^;

自分の棋風が急戦型という意識は無かったので意外でした。

と言っても、超急戦や▲3七銀急戦の研究ばかりしているので妥当なのかも。^^;

HIROというIDが居たら私です。
見かけたら教えて下さいね。^-^

皆様も一度遊んでみて下さい。^^

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さて、今回は「中飛車党の初手」と題しまして、▲5六歩△3四歩▲5八飛(テーマ図19)と、
▲7六歩△3四歩▲1六歩(テーマ図20)の出だしを比較検討したいと思います。



なお、ここでは相手が2手目に△8四歩と突く出だしは検討しません。

つまり、▲7六歩△8四歩▲5六歩も、▲5六歩△8四歩▲7六歩(A図)も、
同一局面に合流する為、比較にならないのです。

まずは、テーマ図19から検討して行きます。

テーマ図19からの指し手①
△5四歩▲7六歩△6二銀▲4八玉△4二玉▲2二角成△同銀▲3八玉(途中図)
△5三銀▲8八銀△6四銀(第1図)



◇5筋の交換ができない

テーマ図19から第1図までの進行は、現在の最新定跡。

中飛車側のポイントとしては、△4二玉のタイミングで▲2二角成と角交換する事です。
△同銀と取らせれば、穴熊に囲えないという訳です。

途中図から、以前は△3三銀▲8八銀△3二玉▲5五歩△同歩▲同飛(B図)と
5筋をすんなり交換ができていました。

▲8八銀と上がったおかげで△4四角には▲5八飛で受かる仕組みです。
この手の発見で中飛車側が高い勝率を上げていました。

しかし、現在は△4二玉型で△5三銀と上がるのが居飛車側の工夫で、
ここで▲5五歩には△同歩▲同飛△4四角▲5九飛△9九角成(C図)のときに、
玉が△5三銀を守っていて、中飛車側の香損に終わります。

そこで、一度▲8八銀と上がりますが、△6四銀が間に合い5筋の交換は
阻止されてしまいました。

これが、初手▲5六歩の先手中飛車対居飛車の最前線です。



テーマ図19からの指し手②
△3二飛(第2図)



◇中飛車vs三間飛車

テーマ図19から△3二飛(第2図)の相振り飛車は、現在の流行している対策です。

この中飛車vs三間飛車の相振り飛車が後手にどういったメリットをもたらしているのか
見ていきましょう。

第2図からの指し手
▲6八銀△6二玉▲5七銀△4二銀▲7六歩△7二玉▲4八玉△8二玉▲3八玉△7二銀
▲2八玉△5二金左▲3八銀△4四歩▲8六歩△4三銀▲8五歩△3五歩▲7七角△3六歩
▲同歩△同飛▲3七歩△3四飛▲8八飛(第3図)



◇一手損&作戦に幅が無い

長手数進めましたが、ここでは手順が問題ではなく第3図の模様を見てもらいたいのです。

後手はこの後、△3三桂~△1三角の石田流を目指すだけで攻撃準備完了。

先手は、▲5八飛と途中下車してから向かい飛車に振り直して一手損をしており、
▲5七銀型以外の相振りには組めません。

後手は△1三角の覗きから△5四銀と揺さぶるのが狙いで、
▲5七銀型では▲6六歩と受けるしかなく、先手は苦しい将棋を余儀なくされます。

よって、初手▲5六歩からのテーマ図19は、先手が苦戦が現状だと考えられます。



テーマ図20からの指し手①
△8四歩▲5六歩△8五歩▲5八飛(第4図)



◇ゴキゲン中飛車

テーマ図20の▲1六歩は、自分を後手番にする意味があり、
後手が居飛車党で普通に進めれば第4図になります。

こうなれば、勝率5割超のゴキゲン中飛車+▲1六歩が入っている計算になり、
超急戦ならば玉の逃げ道が出来ており(D図)、
丸山ワクチンでは、5筋の交換が出来る(E図)ので通常よりも優位に進められます。



と言う訳で、問題になるのは、相手が居飛車党・振り飛車党問わずに
△1四歩(第5図)と受けてきた場合です。



第5図からの指し手①
▲6六歩△8四歩▲7八飛△8五歩▲7七角△6二銀▲6八銀△4二玉▲4八玉△3二玉
▲3八玉△5四歩▲2八玉△5二金右▲5六歩(第6図)



◇対穴熊で得をする

第6図は一例で、なんら変哲も無い普通の三間飛車対居飛車の戦い。

ゴキゲン中飛車や早石田が主流となった今では懐かしくも思えてしまいますね。

ここでポイントとなるのは、端歩の突き合いにより居飛車穴熊に組みにくくなっている点です。

そもそも、角道を止めるオーソドックスな振り飛車が指されなくなってきたのは、
居飛車穴熊が脅威である為で、それが組みにくいのであれば指さない理由も無いでしょう。

それでも相手が穴熊を目指すのであれば、石田流本組みから角を5七や4六に転換して
十分でしょうし、真部流と呼ばれる参考図1の陣形に組むのも有力です。



この真部流は鈴木大介の将棋 三間飛車編で詳しく紹介されており、私も愛用しています。



鈴木大介の将棋 三間飛車編


手厚い将棋を好む人にはうってつけの戦法ですので、興味のある方は参考にされるといいでしょう。

また、対急戦の新研究も載っているのでそちらも大変参考になります。^-^

なお、ここでは三間飛車を例に挙げましたが、四間飛車にしても同じメリットがあります。

好みに応じて四間飛車にするのも有力だと思います。

第5図からの指し手②
▲6六歩△3二飛▲7八飛△6二玉▲6八銀△7二銀▲3八銀△7一玉▲4八玉△4二銀
▲3九玉△3三銀▲6五歩△4四歩▲9六歩(第7図)



◇端歩を受ける選択肢

第7図は先手が端歩を突いたところ。

ここで後手には端歩を受けるか受けないかの選択肢がありますが、
先手は既に突き合っていて選択の余地はありません。

例えば、第7図から△5二金左▲9五歩△2四銀▲7五歩△3三角▲7四歩△同歩▲同飛
△4三金▲7六飛△7三歩▲6七銀△4五歩▲7七桂△1三香(F図)となると、
端攻めを浴びるのをただ指をくわえて待つしかありません。



もちろん、こうならない様に変化すれば良いのですが、
自玉だけ端の突き合いがあるので美濃には組みにくいのは否めません。

《番外編》

第5図で、▲7五歩と突いて石田流を目指せば良いじゃないかと思った方もいるはず。

しかし、石田流において端の突き合いははっきりとマイナスである事を紹介しましょう。

第5図からの指し手③
▲7五歩△4二玉▲6六歩△6四歩▲7八飛△6二飛(i図)



◇山本流石田封じ

i図は、山本真也五段発案の山本流と呼ばれる石田流対策で、マイナーながらもかなりの破壊力です。

私も後手番で対石田流に愛用しています。

先日、天下一将棋会でも極位の方を葬った恐ろしい破壊力です。

この戦法を詳しく解説しているのは杉本昌隆の振り飛車破りだけです。



杉本昌隆の振り飛車破り

山本流では、端の突き合いがあると居飛車が有利な変化が多くあるのです。

詳細は書籍に譲るとして、簡潔に紹介します。

i図からの指し手①
▲7四歩△同歩▲同飛△6五歩▲同歩△8八角成▲同銀△6六歩▲7八金△4五角
▲5八金△7二飛(ii図)



◇最も危険な変化

この変化は、山本流の最も基本となる変化で、見事に▲7四歩を咎めているのがわかると思います。

次に紹介する変化が、端歩の突き合いが損な理由です。

i図からの指し手②
▲6八銀△6五歩!▲同歩△同飛▲2二角成△同銀▲5六角△2五飛!▲8三角成△7二金
▲5六馬△2七飛成▲4六歩△1五歩!▲2八歩△2五龍▲1五歩△5四角(iii図)



◇端攻めが脅威

先手は慎重に▲6八銀でも△6五歩!という驚愕の超急戦があるのです。

以下、角交換から▲5六角で決まった様ですが、△2五飛!から龍を作って端攻めが狙いでした。

この▲5六角は罠なので、代わりに▲5八金左としても、△3二玉▲4八玉△7二金▲3八玉△1五歩!(iv図)と、
またも端攻めがあり、▲6六歩△6四飛~△8四飛や、▲1五同歩△1六歩▲2二角成△同銀▲1六香△6六飛!(v図)
となって香車は助かりません。



一部だけの紹介に留めましたが、詳しく知りたい方は杉本昌隆の振り飛車破りを参考にして下さい。

テーマ図20からの指し手②
△4四歩▲7八飛△4二銀▲4八玉△4三銀▲6八銀△3三角▲3八銀△2二飛
▲3九玉△6二玉▲5九金左(第8図)



◇戸辺流の応用

相手が振り飛車党の場合、△4四歩と角道を止めて、
じっくりと四間飛車や向かい飛車に振ってくる事も考えられます。

第8図は、完全にオリジナルではありませんが、私の発案した構想。

mmusculus流とでもしておきましょうか。^-^

アイディアは戸辺誠六段発案の戸辺流と呼ばれる相振り飛車の後手三間飛車穴熊
(参考図2)から拝借しています。



詳しくは戸辺流相振りなんでも三間飛車を参考にして頂きたいのですが、簡単に狙い筋を示すと、
△3三銀~△4四銀(G図)と上がり、△5四歩~△5五銀(H図)や、△6二飛~△6四歩(I図)
の仕掛けがシンプルながらも受けにくい攻めなのです。



この構想の骨子は、▲5九金左と低く構えている事で、これにより戸辺流と同じ▲4八飛(J図)の仕掛けが狙えると言う訳です。



気を付けるべきは、△1五歩からの端攻めです。

隙があれば位を取ってしまうのも良いでしょうし、美濃囲いの組み上がりの早さを生かして
速攻を狙うのも良いでしょう。

この戸辺流はとても優秀なので、是非とも戸辺流相振りなんでも三間飛車で覚えて頂きたいです。^-^



戸辺流相振りなんでも三間飛車

【考察】

・相手が居飛車党の場合、初手▲5六歩は5筋の交換を阻止する構想が優秀で、
 自由に手を作れなくなっているが、初手▲7六歩~▲1六歩は端歩を受けられても
 オーソドックスな振り飛車にできるし、受けずに△8四歩ならば
 通常のゴキゲン中飛車よりも端歩を突いてスタートできて得。

・相手が振り飛車党の場合、初手▲5六歩は三間飛車にされると作戦を決めすぎている感があり、
 飛車を振り直すのに一手損を強いられ、▲5七銀型は定型となる。
 初手▲7六歩~▲1六歩は端歩を受けられると将来端攻めの危険性があり、
 美濃囲いでは心許無い。
 ただ、端歩を受けずに相振りとなった場合、戸辺流の応用で指せると思う。

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さて、3月にPSPソフトメタルギア ソリッド ピースウォーカーが発売する様ですね。^-^



メタルギア ソリッド ピースウォーカー

私は大のメタルギアファンなので、とても楽しみにしていました。

早速アマゾンで予約注文しようと思います。^-^

加えて、METAL GEAR SOLID RISINGというPS3ソフトもそのうち発売するようです。

見た感じ、雷電が主人公の様でどの様な内容かはまだ不明です。

さあ、みんなで潜友になりませんか?^-^
(パクリです。^^;)

ゴキゲン中飛車・4手目△5四歩の駆け引き

2009年09月27日 11時25分55秒 | 基本変化など
このブログでは、近藤正和六段考案の升田幸三賞受賞戦法「ゴキゲン中飛車」を
紹介して行きたいと思います。
まずは基本となる変化から。

初手からの指し手
▲7六歩△3四歩▲2六歩△5四歩(基本図)



◇狙いのスキ

4手目の△5四歩は角打ちのスキが出来て危険に思うかもしれませんが、これは後手の仕掛けた罠。
まずはその変化を見ていきましょう。

基本図からの指し手①
▲2二角成△同飛▲5三角△4二角(第1図)



◇後手2手得

先手としても角交換から▲5三角と打ちたくなるもの。
しかし、△4二角(第1図)と打たれてみると角の行き場が無いのです。
つまり、先手の▲2六歩が邪魔をして右側に成れない訳です。

基本図からの指し手②
▲2五歩△5二飛(第2図)



後手としては、基本図から▲2五歩と突かれると、今度こそ5三の地点を守る必要があるので△5二飛。
これがゴキゲン中飛車の基本形です。
角頭を守らず角道も止めていない。当然▲2四歩が気になりますね。

その変化は次回に解説したいと思います。