夜の部はどちらも奈良と強いつながりのある演目です。
南都二月堂 良弁杉由来
志賀の里の段 桜の宮物狂いの段 東大寺の段
傾城恋飛脚 新の口村の段
通路を隔てた隣の席に紫色の僧衣を纏った僧侶。
話を伺うと東大寺の僧侶であるとのことです。
良弁杉由来
お水取りのお松明の舞台となる二月堂の前にそびえる良弁杉にかかわる物語です。
宇治にある志賀の里で渚の方の一行が茶摘みをしていたところ、子供を鷲にさらわれてしまい、その後渚の方が三十年以上子供を探し、
桜の宮で心も衣服も乱れ泣き伏しています。
川の水面に映る自分の姿を見て、ようやく渚の方は正気を取り戻します。
志賀の里へ帰って我が子の菩提を弔おうとして、乗り合い舟に乗せてもらった渚は、
東大寺の良弁は幼いころ鷲に攫われてきて杉の木に残され、今は大僧正になっているという話を耳にして奈良へ向かいます。
東大寺の段では東大寺の雲弥坊は急いでいる物乞いの様子の中渚の方に呼び止められます。
てっきり渚の方を無下にすると思いきや、親切に、なかなか会えない大僧正良弁に渚の方が会うことができる算段を教え、
そのために必要な書き物を書いてあげるのです。
そのおかげで良弁と渚の方が会うことができ、その証拠に、良弁が鷲にさらわれた時に観音像をもたせたのですが、
良弁がその観音像を持っていて、人違いないとわかるのです。
傾城恋飛脚 新の口村の段
近松門左衛門の「冥途の飛脚」を菅専助が改作した作品です。歌舞伎では「恋飛脚大和往来」ですね。
冥途の飛脚では雨が降っているという状況ですが、この作品では雪が降り積もっているという状況です。
さて、次回の公演は四月。
そして今度は五代目吉田玉助襲名披露公演です。
演目も決まっていました。
今回のプログラム。浅香姫の衣装です。