MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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♯35 うつ病になりやすい人の思考パターン

2013年07月14日 | 日記・エッセイ・コラム

 何でも、うつ病になりやすい思考パターンというのがあるのだそうです。

 精神科医の和田秀樹さんによると、うつ病になりやすい人には一定の考え方のパターンがあって、そういう人はなってしまった後も悪くなりやすいとのこと。そのため、うつ病患者の治療としてそうしたものの考え方を修正することが有効だし、また、うつ病になる前にこれを修正しておくとある程度は予防になるのだそうです。

 さて、その思考パターンとは。

① 白黒、敵味方に完全にわけて考える
 白でなければ黒、敵でなければ味方と、いろいろなものについてグレーを認めず、二つにわけて考えてしまうパターンだそうです。 こういう考え方を持つ人は、他人が自分の考え方を少しでも受け入れてもらえないと「敵になった」と認知してしまう。当然、いつでも意見のあう人などいないので、周りが敵だらけに感じてしまうのだとか。こうした二分割的思考に完全主義がくっついてしまうこともよくあるのだそうで、「満点でなければ0点」ということで、落ち込みのきっかけが生じやすいということ。また、回復も実感できにくいために治りも悪いとのことです。確かに、これではなんとも生きづらそうです。まあ、人にはそれぞれいい面も悪い面もあると思えなければ通常の人間関係は営めないし、裏切られたと思うのもつらいものです。あんまり潔癖すぎるとやはり「へこむ」ことが多いのでしょうね。

② 思い込みで決めつける、一部を見ただけで一般化する
 これは、相手の気持ちや将来のことを、自分の思いこみで決めつけてしまうという思考パターンです。確かめたわけでもないのに、相手が自分のことを嫌っているに違いないと思いこんだりすることがこれにあたるのだそうです。「主治医に見放された。もうだめだ」とか、「上司は自分のことをお荷物だと思っている」とか。 こういうタイプの人は、自分の世界に入り込みやすくうつ病になりやすい。落ち込んだ時にも立ち直りにくいのだそうです。相手が、ちょっと不機嫌なふるまいをしたとか、自分を無視するような態度をとった際に、いつもそうだとか、全面的に自分を嫌っていると考える人は注意が必要なのだとか。

③ いい面も否定する、「かくあるべき」が強すぎる
 肯定的な側面の否定というのは、自分にいい面があっても、それを取るに足らないと考えて否定的な見解が変わらないことだそうです。いわゆる「ネガティブ」な発想というところでしょうか。「自分は無能だ」「このくらいは取るに足らないことだ」などという自己否定パターン。その他にも、嫌っている人が少しでも親切な行動をしたときなど、「あんなものは偽善に決まっている」と考えるようなパターンがこれに当たるのだとか。さらに、should思考というパターンもがあるのだそうで、自分は常に明るく振る舞わなければならないとか、自分に対して「かくあるべき」という規制が強すぎると、そうはいかないときに落ち込みの原因になるのだとか。話だけを聞いていてもなんかずいぶん「うっとおしい(重い)」感じです。

 さて、40歳よりも若い年代において日本人の命を奪っているのは、交通事故などの事故死でも、成人病などによる病死でもなく、もう断トツで「自殺」なのだそうです。逆に考えると自殺しないための「メンタルタフネス」を身につけることが、この年代までを生き残る最大のサバイバル術だということを自覚しておく必要がありそうです。

 なお、和田先生の話の中には、テレビの影響が大きい人は悪い思考パターンに陥りやすいという指摘もありました。テレビというのは、わかりやすさを求めるために、敵と味方、正義と悪となど二分割でとらえがちです。さらに「占い」「読心」「過度な一般化」など、テレビの演出やコメンテーターの発言によく見られるパターンは、うつ病との親和性が高い思考の方向だということです。

 では、どうすればいいか。和田先生によれば、例えば、小沢(一郎)さんのような政治家がマスコミにコテンパンにたたかれているのを見ても、「まあこの人には悪い面もあるが、いい面もある」と考えることで、思考パターンというのは成長するのだとか。原発のようなものでも、ただ単純に感情的に否定するのではなく、リスクの実態を客観的な視点からいろいろ考えてみるというようなトレーニングが効果的なのだそうです。

 ひとつのことをあまり突き詰めない。いろんな考え方があることを認める。白や黒でないグレーを「あり」とする。少し様子を見る、ほおっておく…生きにくい世の中をタフに生き抜くためには、どこかにそんな「ゆるさ」が必要なのだということですね。まずは疲れないこと。「人間万時塞翁馬」に救われる人も多いということでしょう。



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