MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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#2514 変わる若者の恋愛観・結婚観

2023年12月18日 | 社会・経済

 株式会社リクルートが運営する『リクルートブライダル総研』が今年9月にインターネットを利用して実施した「恋愛・結婚調査2023」。全国約1200人の20~49歳の未婚男女が出した回答は、(ある程度予想されていたとはいえ)大変興味深いものでした。

 調査は、現在結婚適齢期にある未婚者の恋愛、結婚観の実態について詳細を把握するために実施されたもの。一見、伸び伸び生きているように見える彼らが、実は結婚や恋愛(そしてある意味異性そのものに対して)に対して、結構腰の引けている様子がうかがわれます。

 例えば、調査対象の(20~40代の未婚男女)のうち、恋人がいる人の割合は29.7%と、3割を切る割合。残り7割は「恋人」と呼べるような存在はいないということでした。まあ、それだけならば「そんなものかな?」という感じですが、その年齢になってもでも過去に一度も交際経験がない人が34.1%と三分の一を超えていると聞けば、少しびっくりさせられます。

 一体どうしたことか?…と、この「恋人がなく交際経験もない人」の状況を見ると、20代男性では半数近く(46.0%)がこれに該当しており、2年前に実施された前回調査よりも11.8ポイントも増加しているとのこと。20代女性でも29.8%と、前回調査比で5.5ポイント増加しているとのことであり、(コロナ禍の影響などもあるのでしょうが)この1~2年で若者の恋愛経験が大きく後退していることが見て取れます。

 それでは、そんな彼らの「恋愛」に対するイメージはどのように変化しているのか。調査結果によれば、「結婚を意識する相手としか付き合わない」という問いに対して「非常にあてはまる」「ややあてはまる」を選んだのは、20代男性では34.6%と約三分の一、20代女性では44.3%と4割を大きく超えており、前回調査に比べても男性で10.9ポイント、女性で6.6ポイントの増加。恋愛に対する考え方が、かなり「現実的」というか、堅実になってきていることが判ります。

 因みに、「恋愛は時間とお金の無駄である」と答えた割合も、20代男性で23.7%(前回調査比6.3ポイント増)、同女性で19.4%(同7.2ポイント増)と無視できない割合で、「恋愛するなら結婚のため」という価値観が20代男女の中で広がっているのはどうやら紛れもない事実のようです。

 次に、少子化問題の要とされる「結婚」についての認識です。今回の調査で「(いずれは)結婚はしたい」と答えた人は46.1%。一方、「(今後も)結婚はしたくない」は25.6%、「どちらとも言えない」は28.3%となり、前回調査と比較して「結婚はしたい」人がさらに減少(△6.5ポイント)する一方で、「結婚はしたくない」「どちらとも言えない」と答えた人が増加(6.5ポイント)している由。

 男女別では、男女いずれも「(いずれは)結婚はしたい」と答えた割合は減少しているものの、減少幅は男性が△3ポイント程度であるのに対して、女性では△10ポイント以上と、この2年(特に女性で)大きく減少しているのが特徴のようです。

 そこで調査では、これら結婚意向がない人と、どちらとも言えない人に対し、「結婚したくない理由」について複数回答で尋ねています。そしてその結果、「金銭的に余裕がなくなるから」が36.4%と最も多く、「行動や生き方が制限されるから」が35.8%と僅差で続き、さらに「メリットを感じないから」(24.8%)、「自由や気楽さを失いたくないから」(24.4%)、「必要性を感じないから」(22.6%)といった回答が上位に並んだとされています。

 これだけ見ても昨今の世の中の「世知辛さ」が強く伝わりますが、男女でも視点はかなり変わるもの。男性では「金銭的に余裕がなくなるから」が42.5%と最多となったほか、「家族浮揚の責任が負担だから」(19.8%)といった回答も多く、男にとっての結婚生活は「貧しく辛いモノ」といったイメージが満載です。

 一方、女性は「行動や生き方が制限されるから」が40.5%と最多で、以下「自由さや気楽さを失いたくないから」(29.8%)、「必要性を感じないから」(27.7%)など、結婚に夢や憧れを抱いていない現実的な姿が浮き彫りとなっています。

 さて、不確実性が増したこの時代。二人で築き上げていく結婚生活とは、それほど期待の持てないダメダメなものなのか。まあ、親たちの生活を見ていればなかなか夢も抱きにくいのでしょうが、「結婚生活」に対しメディア(特にドラマなど)がネガティブなイメージを垂れ流し続けているのにも原因があるような気がします。

 自分の経験を振り返れば、共稼ぎとして結婚生活を送ることで(少なくともお金の面では)生活は楽になったし、人生を二馬力で過ごすのは(何かあった際の)リスクヘッジとしても安心できるものでした。確かに、「思い立った時に好きなことを自分のペースでする時間」という意味での自由は少なくなりましたが、家族と一緒に暮らすことで世界が様々に広がったことも事実です。

 結婚に躊躇する気持ちはわからないではありませんが、結局のところ、問題は「どういう人」を選ぶかというところにある。ましてや恋愛であれば、(そんなに慎重にならないで)一遍くらいは思いっきりはまり込んでみても、それ自体は「人生経験」ということでバチは当たらないのではないかとも感じます。

 人生は楽しんだ者勝ち。少なくとも、イメージとしての恋愛や結婚をそれほど忌避する必要はないだろうと思うのですが、果たしていかがでしょうか。



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