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ピアノ♫滝廉太郎「憾」

2020-07-23 | おとなのピアノ
ただいま、滝廉太郎のピアノ曲「憾(うらみ)」を練習中です。

タイトルだけ聞くと、なにやら恐ろしげですが、
「うらみ」といっても、「怨恨」の「うらみ」ではなく、
「遺憾」、つまり残念とか無念とといった意味でございます。


(岡城にて)

小長久子『滝廉太郎』(吉川弘文館)によると、
この曲は明治36(1903)年2月14日完成、その四ヶ月後、
廉太郎は、6月29日に24歳を前にして亡くなっています。

「憾(うらみ)」は滝廉太郎の絶筆なのです。
その楽譜には「doctor!doktor!(ママ)」との走り書きがあったとか・・・

この走り書きは、前は英語なのに、あとのはドイツ語・・・
これが謎といわれてきました。

谷地矢車『廉太郎ノオト』(中央公論新社)でも、
かなりのページ数をさいて、
「憾」を作曲する廉太郎の姿が描かれています。

ちょこっと引用しますと・・・

「時間にして五分にも満たないこの曲の中に、瀧廉太郎(ママ)の人生の全てがーー、哀調を基調にしながらも輝かしい日々を過ごし、誰にも見えぬ天井に挑み続けた
一人の青年の人生がそこに切り取られていた」 343頁

本当に、そういう曲なんです!
さすが、新進の歴史小説家、見事に言い得ていらっしゃる!!
そして、例の「doctor!doktor!(ママ)」についての謎解きも鮮やかです!!!

アタクシは、このあたりを読んでいて、涙が止まりませんでした。


(版元ドットコムよりコピー貼付けました)


さて、「憾(うらみ)」

技術的には、難しい曲ではありません。
ピアノピースの難易度はB。
「エリーゼのために」と同じレベルと申せば、お察しいただけるかと・・・w

もともと、ピースのB、Cレベルの曲を探していて見つけたのです。
知らない曲だったのでYouTubeで、佐藤麻美子氏の演奏を聴いたところ・・・
ズッキュン!即、楽譜を買いに走った次第でした。

以来、この曲にはまっております。

大作曲家と、アラカンの凡人を一緒にするなんて失礼千万ですが、
アタクシも40代で大病をしたサバイバーです。

今、元気でいられて幸せです、それは間違いなく。
けれども、大病したせいで、いろいろなことをあきらめた「憾み」は
やっぱり抱えていて・・・

それゆえ・・・

志半ばで倒れた廉太郎さんに想いを馳せ・・・
時に廉太郎少年が好んだという、竹田の岡城や城下町を
旅した記憶と共に、めいっぱい入れ込んで弾いてきました。

つい最近、小原孝さんの最新CD
「ピアノ名曲フォーユー~日本を奏でる~」(キングレコード)も入手。
聴きまくってもいます。

こちらは小原さんらしい、歌うような語りかけるような調べです。


(岡城にて)


先日のレッスンでのこと。

先生からは、弾いているうちにリズムが狂ってしまうと、
ずっとご指摘を受けていました。

自分では気をつけて練習したつもりでしたが・・・
やっぱり不十分だったそうで・・・
ああ、なんたるリズム感のなさ!

さらに、コーダでのペダルの踏み方も・・・
ウチでは電子ピアノだからキレイに聞こえますが、
グランドだとそうはいきません。あ゛あ・・・



(大分県竹田市 瀧廉太郎記念館)


そして・・・ついアタクシ、先生に『廉太郎ノオト』と「憾」について、
熱く語ってしまったのです。

おきれいな先生は
「それだけご存じなら、演奏に生かしましょうよ。
どうぞ、想いを込めてください」と、にっこりされました。

・・・・・・・・・

アタクシ、妄想女ですから・・・想いだけは・・・もんのすごいかと・・・
おまけに、この曲は廉太郎さんに、ずっと語りかけながら、弾いていて・・・
でも、その想いが、聞き手には全然伝わっていなかった・・・

・・・・結局、気持ちではなくて、
ピアノの技量が追いつかないということですね・・・

切ない。
まさに「憾(うらみ」)・・・・・・


◆引用 谷地矢車『廉太郎ノオト』中央公論新社 
今年の読書感想文コンクールの課題図書(高校生の部)でもあり
オススメです。

◆画像は、2016年夏、大分の旅で、夫が撮影しました。

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