はと@杭州便り

中国杭州で仕事&子育てしているはとぽっぽのページです。

国籍:2

2008-07-28 18:59:18 | 杭州で妊娠
子供が成人するまで中国国籍を持つ場合のメリットについて、検討してみた。

国籍が有る場合のメリット:
1.中国の公立学校へ進学する場合、学費が安く抑えられる。(注:中国の公立小中学校は学費が必要)
2.将来中国の大学へ進学するのであれば、選択肢が広い。
3.中国の公務員試験の受験資格がある。
4.中国企業へ就職するのであれば、選択肢が広い。


「えっ?このくらい??」と呆れるほどしか、本当に思いつかない。

公立学校への進学については相方の戸籍所在地である杭州市内の学区にたまたま良い小学校があれば良いが、
そうでない場合は、中国人でも少しでも良い学校(公立)に子供を進学させようと、いわゆる学区を越えた「越境入学」が盛んに行われている。
友人の子供の通う学校では、何と生徒の3分の1が学区外からの越境入学で、その場合は数万元とも言われる「寄付金」を学校へ支払わなくてはならないそうだ。
中国人でもそうなのだから、これが外国人ともなれば、法外な「寄付金」を要求されることもあるらしい。
子供を進学率の高い学区の学校に通わせたくて、わざわざその学区内に「学区房」と言われるマンションを購入する親までいるそうである。
「寄付金」の額ははっきり決まっておらず、あくまで校長の裁量で決まる上、学年が変わるたびに担任の先生へ付け届けを渡すことも、公然と行われているそうである。

公立進学校のそういった不透明な風習(?)を嫌う人は、最初から学費の高い私立学校に子供を進学させているらしい。
私立は学費は高いが、公立より設備や環境に恵まれているから、訳のわからない寄付金を払うくらいならそっちの方が納得できる、と韓国人の友人は話していた。

子供の国籍について考えることは、結局子供に将来どういう教育を受けさせてやりたいのか、という話に落ち着くように思う。

今の中国では厳しくなる一方の大学入試を背景に、小学校から詰め込み教育で日本より進度も早く、毎日毎日大量の宿題をこなさなければならないらしい。
生徒のテストや受験の結果が先生の業績評価と結びついているため、先生も鬼教師にならざるを得ず、クラス分けや座席順まで成績順で決まっている学校もあるそうである。
結局そこまでやらなければ大学入試に対応できなくなっているという現状があるのだが、
小学校から高校まで12年間、クラブ活動も、委員会も、修学旅行もなく(学校によってはあるらしいが)、ひたすら勉強、勉強と尻を叩かれ続ける子供達&その監督責任を問われる親も本当に大変である。
しかも日本の戦前の国民学校よろしく、子供達は「小国民」として何かにつけ愛国主義教育が強制されるのは覚悟しなければならない。

そこまでしてどうにかこうにか大学に入学できたとしても、よほど名門大学でもなければ就職が厳しいらしい。
何十社、何百社に履歴書を書き、面接までたどりつけるのはほんの数社。そこで合格できずに就職浪人せざるを得ない学生が数十万人もいるそうである。
中国経済は発展し、物価も高騰を続けているというのに、新卒者の平均初任給はこの数年、下がる一方であるという恐ろしいデータもある。
相方が大学を卒業した90年代半ばには10%そこそこだった大学進学率は、この10数年で20%を超えているのだが、その分企業や求人が倍増したわけではないからだ。

しかも中国の大学入試は奇妙なことに「地元優先制度」があり、例えば北京の戸籍があれば北京市内の大学、上海の戸籍であれば上海市内の大学に優先的に入学しやすいように、地元とそれ以外の各省で合格点が違うというとんでもない制度がある上、地元有力者の子弟に対する裏口入学も公然と行われているそうである
杭州の大学へ進学するなら別だが、大学のほとんどが北京や上海に集中しているこの国で、杭州戸籍でどれだけ頑張っても結局、北京や上海の子供達とは永遠に同じ土俵に立てないのだ。
しかも大学に進学しなかった場合、男の子は徴兵検査を受けなければならず、合格した者は否応なく2年間の兵役が待っている。
日本人である母親の私が、息子に
「祖国(?)のために銃を持って戦え」というのも、何だかシャレにならない

中国の教育や就職の現状について、中国人自身もうんざりしているところがあるらしく、
私が国籍のことで悩みを相談すると、中国人の友達はほとんど「日本籍でいいじゃない」「中国の子供はかわいそうだ」と言う。

相方も苦しかった自分の経験を踏まえて、子供にはできれば日本人として、日本で高等教育を受けさせてやりたいと言い出した。
相方が就職したときはまだまだ売り手市場だったとはいえ、結局親のコネで何の努力もせずにいい会社に決まっていくクラスメートを何人も見てきたそうだ。
農村から出てきて何のコネもない相方を心配した先生が、K産党への入党推薦状を書いてくれて、
そのお陰で何とか人並みの就職ができたのだが、それがなかったらどうなっていたかわからない。

「成人するまで二重国籍にして、子供自身に選ばせる」と言っても、成人するまで中国と日本、どっちつかずの状態で育てれば、子供だって選べと言われても選べなくなってしまうだろう。
結局子供をどういう風に育てたいのか、どんな教育を受けさせたいのか、
色んな方々の意見を聞きつつ、相方と二人で約2ヶ月、じっくり話し合った。
私のつわりがひどく、痩せて絶不調なのも影響したのか、
相方がある朝、ぽつりと「今回は日本で生んで、その方が君も僕も、君の両親も安心だし、安全だし、そうしようよ。それで、子供は日本人として育てたらいいじゃないか。」と言い出した。

決断するまで、相方も私も本当に色々葛藤があった。
子供自身に選択の機会を与えてやれないことについては残念だし、この選択が本当に正しいかどうかはわからない。
でも、二人で悩みぬいて出した結論だから、あとは親としてできる限りのことをしてやるしかないと思っている。

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4 コメント

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Unknown (DaDao)
2008-07-30 00:54:27
 以前杭州市内の某小学校に行ったことがありますが、外国人に寄付金は要求されていなくても、学費が尋常ではない料金でした・・・それがいわば寄付金の一種なのかもしれませんが。今の自分たちでは少ししんどい金額です。でも日本人学校はさらに高いですよね・・・あれは無理です。

 子供もいないし、自分が受けた教育は10年以上前なので、
表面的なことしかわかりませんが、それでも日本の方がまだ健全に思えます。中国人の友人は、子供があまりにかわいそうだから、カナダに移民予定です・・・
 子供ができれば日本国籍で、漠然と日本での教育を受けさせたいな、と思っていますが・・・現時点で生活基盤が中国にあることを考えるとそことどう折り合いをつければよいのか、と悩みます。

 ちなみにほんとどーでもいいことですが、うちの相方は、前日徹夜して兵役を逃れたそうです(笑)何でも抜け道アリです。
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決断されたのですね (ヤスコ)
2008-07-31 18:40:47
いろいろお考えの末、結論がでたようでよかったです。

私もまだまだ母親6年生のヒヨッコですが、
最初から完璧なレールを敷いてあげられる親などどこにもいないのですから、
その時その時を、しっかり子どものために考えた結論ならば
それでいいのだと思っています。
例えば自分で自分の名前を付けて産まれてくる赤ちゃんなどいないわけですし。
意外と子どもは自分の置かれた状況を冷静に読みとり、
柔軟に対応していくのではないでしょうか。

せっかくのおめでたなのですから、産まれてくる赤ちゃんを楽しみに、マタニティ時代を楽しんでくださいね^^
安定期に入り、これから胎動なども感じて面白いですよ☆
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Unknown (はと)
2008-07-31 19:00:37
>DaDaoさん

生まれる前からこんなに先のことを心配するのもどうかと思うんですが、やっぱり気になりますよね。。。
中国の学校教育が日本と比べて一概に悪いとは言えないと思うんですが、家庭の教育方針と学校の教育方針があまりにもかけ離れてしまうと、子供は混乱してしまうと思うんですよ。。。

子供の国籍がもし中国国籍であっても、中国人のように祖父母が育てているのでない限り、小さいときは日本人である母親の影響を受けやすいので、やっぱり中国人の集団の中では浮いてしまうというか、外国人扱いされてしまうと思います。

私が中国企業で、中国人ばかりの集団の中で仕事をしてきて思うことは、同僚と個別にはわかりあえても、集団の中ではどうしても自分を殺さざるをえない、というか、すべてにおいて中国式を強要されてしまうつらさがあります。納得いかない理不尽な要求に対して大人なら反論もできますが、子供は反論もできないだろうし、そもそもこの国には多様な人や文化を受け入れるといった概念に欠けていると思うんです。

上海ならローカルの学校でも「国際班」を設けている学校もありますし、日本人学校の学費も杭州ほど高くないそうです。杭州が厳しいのであれば他の町に行くことや、一時的に日本に帰ることも含めて考えていくしかないと思います。私も生んでから、試行錯誤の日々が始まりそうです。。。
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Unknown (はと)
2008-08-01 18:33:25
>ヤスコさん

そうですね、先のことは考えてもまた状況も変わっていきますし(特に中国では。。。)、大まかな方向さえ決まっていれば、あとはその時その時でベストとはいかなくても、ベターな選択をしていくしかないと思っています。
色々難しい面もあると思いますが、日本と中国、2つの国の間でたくましく育ってくれればと思っています。

先週後半からはっきりした胎動を感じるようになり、ようやく妊婦だという実感がわいてきました(遅いって…)。
年齢的にも一生一度の体験かもしれないので、残されたマタニティ生活を楽しみたいです
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