走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

四面楚歌

2023年06月27日 | 仕事

カナダでの賃貸物件の賃貸料上昇は深刻な問題。この25年で23倍となっていて安い賃貸を求めて人は東へ東へ移動している。


で、賃貸料を安くするからOOをしてくれますか?のような条件付きの(もちろん公式ではありません)ものもある。よくあるパターンが草刈り、雪かき、家畜の世話など。だいたい家主さんの高齢化の場合が殆ど。Win Winを狙っているわけ。


彼女もその条件で安く農場の一角に住まわせてもらっています。しかし病気でそれらができなくなり、大家さんは労働分月200ドル多く払うように言ってきます(大家さんは彼女ができない分、人を雇わなければならないから)。仕事もできない状態でそれは無理、、、、となります。よって大家に追い出される日は刻々と近づいて、、、彼女のストレスはマックス。



自分は絶対病気にも障害にもならない。死ぬ時はポックリと死ぬ。


この考えを持つ人は非常に多い。日本のように貯金を増やすなんて考えも持っている人も少ない。動けなくなれば政府が面倒を見てくれる、と非常に楽観的な人が多いのはなぜなんだろう、といつも思う。しかし政府のお世話と言ってもそれなりの手続きを踏まなければならない(時間がかかるという事)し、基準に満たなければならない。その中間点ぐらいが一番やばいのだ。そう、彼女もその一人。


家なしになる恐怖。大好きな犬とお別れしなければならない(ペットを許す賃貸は非常に少ない)可能性に怯えて、心まで病んできている。


労働との引換で賃貸料を払う図式は健康な人のみができる事。そしてその健康がどれだけ続くのか、誰も保障してくれない。


彼女が言っていた


私を囲む箱がどんどん小さくなってきて息苦しい


四面楚歌 と言う意味だろう。健康の意味を考える今日この頃。



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