走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

良いとこ採りはダメよ

2020年10月10日 | 仕事
私の患者になるためには私が働いている街に住所がなければならない。ホームレスの人たちはこの街にテントを張っているのなら住所がなくても認めている。引越しした時は?本人が通う意思があるのならそのままケアを続行する。しかし中には遠いから新天地で誰か見つけるわ、と言う人もいる。個人の選択だからそれをどうこう言うつもりはない。

そんなわけで新天地で家庭医を見つけた彼女。カルテも転送してあるのに、やってくる。「ドクターは美加のように話を聞いてくれない。メンタルはやっぱり美加が一番!」と。ではMRP (Most Responsible Community Provider)を私に変えるのですか?と聞くと。「それはダメ。家庭医がいるから。こうやって美加に話を聞いてもらいたい時だけ来るのよ」と言う。

ああああああ、私はあなたのお友達でも聞き役でもないのよ。プライマリーケアを提供するために診察時には問診もしっかりするしカウンセリングもする。でもそれは自分の患者に限って。私の患者になりたい人は大勢いるのよ。多すぎて断っている状況なんだから、昔のよしみでとかそんな事ができるほど時間はないのよ!!!!両方キープしたいとはなんて事。BCの州民でMRPが見つからず困っている人は多いのに!!!!

と言いたい気持ちをグッと抑えて形式的に断る。MOA(メディカル オフィスアシスタント)にも予約も電話も通さないように伝えておいた。5分診療の医師に比べて私は20分。その医師が彼女の話を聞かないのもよくわかる。でもダブルディップはいけません。2つの選択があって家庭医を選ぶのは貴方なんだから。文句を言わないのよ〜

冒頭写真: 原生林の根っこが残る森。白人が移住してお金儲けに片っ端から切り倒した原生林。どれだけ大きな杉だったかわかりますか?太い根っこの部分は使い物にならないから残すのが昔のやり方でした。


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