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走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

黒づくめ

2016年08月09日 | 仕事
楽しかった2泊3日の旅行は終わり。旅に出るといつも思う。BC州は何て美しい所なんだと。先週の砂漠とはうって変わり針葉樹の多い山々。岩肌にしがみつくように根を伸ばす大木は生命力を感じる。と言うことでしばらく旅行中に撮った写真を紹介。

この辺りはマウンテンバイクのメッカ。スキー場はもちろんの事、山ですあればガンガン登り降りてくる若者たち。そんな場所で見つけたローマンアーチ。見えます?そこら辺の岩を集めて作ったよう。すご〜い!




統合失調性感情障害のある彼女が怒りまくって診療所に来たのは2週間前。

隣街に住んでいる友達に泥棒と呼ばれたことで怒り爆発。5日経つが怒りが収まるどころか怒りは日に日に増してくる。幻聴も始まった。男や女の声で友達を殴れ、刺してしまえ、溺れさせろ、殺してしまえ、と囁く。目を閉じれば幻聴を実行している自分の姿が浮かぶ。不眠も続く。

救急室の精神科医に診てもらうことを勧めるが断固と拒否する。救急室に行きたくない、と。それほど彼女は救急室でよく知られた女性なのだ。救急室に行ったって薬を増量されるだけ。だからそれを処方してほしい、と。受け答えはしっかりしていて危険な幻覚に苦しむ状態とは確実に違う。それに隣町は70kmも離れていて車のない双方。バスサービスもないに等しい。この2人が会う確率はないに等しい。

サポートの医師に相談した。幻聴があり他に危害を与える可能性があるからだ。強制入院の必要があるかどうか、1人での判断では不安だった。

サポートの医師も私の判断に賛成してくれた。夜間の薬を増量し日中の頓服薬を追加した。

1週間後再診に来た彼女は髪を真っ黒に染めいつもは着ないような黒づくめの服を全身まとっていた。その上普段はつけないようなゴツゴツのメタル、骸骨系のおもたいチェーンや指輪をつけてゴスファッションと言うと出で立ち。

ファッションの感想を述べると、それほど怒りまくっているのよ。こうでもしないと爆発しそう!助けて!!!と彼女は言う。

オンコールの精神科医に連絡をした。もっとガツンと高容量を処方しなきゃと、精神科医に言われた通り先週処方した薬を2〜3倍に増やし、彼女は帰路についた。もちろん救急室の選択はいつでもあるのだ。

今週に予約の中に彼女の名前は今の所ない。ようやく落ち着いてくれたか、、、。



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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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こんばんは (のびた)
2016-08-09 23:00:35
幻覚などもある患者 正直怖いです
本当に誰かを殺めるかも知れません
強制入院が妥当かどうか 隊員の判断も誤れば 先月 日本で起きた福祉施設の19名殺人 重軽症合わせて40名近く 戦慄の事件のようになります
障碍者は世の中の芙蓉者殺してしまえとの幻聴もあったようです
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のびたさんへ (美加)
2016-08-10 06:48:47
怖いと思う気持ちは正直な思いだと思います。日本で起きた事件は許し難いごとです。特に入院歴があり、その後のフォローが全くなかったことに日本のメンタルヘルスケアの院外治療のシステムを見直す必要があると感じました。
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